乾癬を併発した末期腎不全(ESRD)患者は、併発していないESRD患者に比べて年齢が若く、がん、糖尿病、および冠動脈疾患の有病率が高いという研究結果が、「Journal of Clinical Medicine」に7月26日発表された。.マインツ大学医療センター(ドイツ)のJohannes Wild氏らは、2010年から2020年のドイツ全国入院患者サンプルに含まれるESRD患者36万980人(男性59.8%、年齢中央値70歳)を対象に、乾癬を併発したESRD患者の合併症と入院中の転帰について、乾癬を併発していない患者との比較で検討した。対象患者の1,063人(0.3%)は乾癬にも罹患していた。主要評価項目は全院内死亡、副次評価項目は心血管プロファイルの悪化で、具体的には、1)入院中の深刻な心血管イベント(心筋梗塞、虚血性脳卒中、肺塞栓症など)、2)心血管リスク因子(糖尿病、本態性高血圧、肥満など)、3)心血管合併症(冠動脈疾患、左/右心不全、心房細動/心房粗動)発生の有無を調べた。.ESRD入院患者を、乾癬併発の有無で分けて、カテゴリー変数についてはフィッシャーの正確検定またはカイ二乗検定により、連続変数の場合にはMann-WhitneyのU検定により比較した。また、合併症、年齢、臨床状態が院内死亡に及ぼす影響を、単変量および多変量ロジスティック回帰モデルを用いて分析し、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。.2010年から2020年の間にESRDにより入院した患者の数は増加していたが、乾癬を併発したESRD患者の数はわずかに減少していた(2010年:101人、2020年:78人)。乾癬を併発したESRD入院患者は、併発していない患者に比べて年齢が若く〔66(四分位範囲56〜75)歳対71(同59〜79)歳、P<0.001)、肥満者が多く(17.5%対8.2%、P<0.001)、がん(4.9%対3.3%、P<0.001)、糖尿病(42.7%対38.5%、P=0.005)、冠動脈疾患(31.1%対28.0%、P=0.026)を合併した人が多かった。.乾癬併発ESRD患者と非併発ESRD患者の間で、心筋梗塞や脳卒中などの深刻な有害事象の発生は同程度であったが(心筋梗塞:1.1%対1.2%、P=0.889、脳卒中:1.0%対0.6%、P=0.113)、肺塞栓症についてのみ、乾癬併発ESRD患者で発生が多い傾向が認められた(0.6%対0.2%、P=0.051)。院内死亡についても、両者で大きな違いは認められなかった(5.5%対5.9%、P=0.554)。多変量回帰分析を行うと、ESRD患者における乾癬の診断の追加と院内死亡リスクとの間に有意な関連は認められなかった(OR 1.02、95%CI 0.78〜1.33、P=0.915)。同様に、心筋梗塞(同0.84、0.48〜1.49、P=0.563)、肺塞栓症(同2.16、0.96〜4.83、P=0.062)、脳卒中(同1.64、0.90〜2.97、P=0.105)との間にも有意な関連は認められなかった。.著者らは、「本研究結果は仮説生成的な段階にあるものと考えるべきだ。乾癬が急性および慢性腎臓病の各ステージに与える影響をさらに調査するためには、大規模な前向き観察研究が必要である」と結論付けている。.なお、数人の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2022年8月17日).https://consumer.healthday.com/comorbidities-up-among-patients-with-esrd-concomitant-psoriasis-2657874701.html.Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
乾癬を併発した末期腎不全(ESRD)患者は、併発していないESRD患者に比べて年齢が若く、がん、糖尿病、および冠動脈疾患の有病率が高いという研究結果が、「Journal of Clinical Medicine」に7月26日発表された。.マインツ大学医療センター(ドイツ)のJohannes Wild氏らは、2010年から2020年のドイツ全国入院患者サンプルに含まれるESRD患者36万980人(男性59.8%、年齢中央値70歳)を対象に、乾癬を併発したESRD患者の合併症と入院中の転帰について、乾癬を併発していない患者との比較で検討した。対象患者の1,063人(0.3%)は乾癬にも罹患していた。主要評価項目は全院内死亡、副次評価項目は心血管プロファイルの悪化で、具体的には、1)入院中の深刻な心血管イベント(心筋梗塞、虚血性脳卒中、肺塞栓症など)、2)心血管リスク因子(糖尿病、本態性高血圧、肥満など)、3)心血管合併症(冠動脈疾患、左/右心不全、心房細動/心房粗動)発生の有無を調べた。.ESRD入院患者を、乾癬併発の有無で分けて、カテゴリー変数についてはフィッシャーの正確検定またはカイ二乗検定により、連続変数の場合にはMann-WhitneyのU検定により比較した。また、合併症、年齢、臨床状態が院内死亡に及ぼす影響を、単変量および多変量ロジスティック回帰モデルを用いて分析し、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。.2010年から2020年の間にESRDにより入院した患者の数は増加していたが、乾癬を併発したESRD患者の数はわずかに減少していた(2010年:101人、2020年:78人)。乾癬を併発したESRD入院患者は、併発していない患者に比べて年齢が若く〔66(四分位範囲56〜75)歳対71(同59〜79)歳、P<0.001)、肥満者が多く(17.5%対8.2%、P<0.001)、がん(4.9%対3.3%、P<0.001)、糖尿病(42.7%対38.5%、P=0.005)、冠動脈疾患(31.1%対28.0%、P=0.026)を合併した人が多かった。.乾癬併発ESRD患者と非併発ESRD患者の間で、心筋梗塞や脳卒中などの深刻な有害事象の発生は同程度であったが(心筋梗塞:1.1%対1.2%、P=0.889、脳卒中:1.0%対0.6%、P=0.113)、肺塞栓症についてのみ、乾癬併発ESRD患者で発生が多い傾向が認められた(0.6%対0.2%、P=0.051)。院内死亡についても、両者で大きな違いは認められなかった(5.5%対5.9%、P=0.554)。多変量回帰分析を行うと、ESRD患者における乾癬の診断の追加と院内死亡リスクとの間に有意な関連は認められなかった(OR 1.02、95%CI 0.78〜1.33、P=0.915)。同様に、心筋梗塞(同0.84、0.48〜1.49、P=0.563)、肺塞栓症(同2.16、0.96〜4.83、P=0.062)、脳卒中(同1.64、0.90〜2.97、P=0.105)との間にも有意な関連は認められなかった。.著者らは、「本研究結果は仮説生成的な段階にあるものと考えるべきだ。乾癬が急性および慢性腎臓病の各ステージに与える影響をさらに調査するためには、大規模な前向き観察研究が必要である」と結論付けている。.なお、数人の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2022年8月17日).https://consumer.healthday.com/comorbidities-up-among-patients-with-esrd-concomitant-psoriasis-2657874701.html.Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock