改変型の尿のゲノム検査により、臨床的徴候や症状が現れる12年も前に膀胱がん〔尿路上皮がん(UC)〕を予測できることが、米国泌尿器科学会年次総会(AUA 2023、4月28日~5月1日、米シカゴ)で報告された。.尿の包括的ゲノムプロファイリング(uCGP)検査によるUCの検出は、高リスク集団のスクリーニングに有効と考えられる。UroAmp(Convergent Genomics社製)を用いたuCGP検査は通常、60個の遺伝子の変異を対象としている。今回、米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのYair Lotan氏らは、これらの遺伝子のうち最も予測能が高いとされる10個の遺伝子を対象とした改変型のuCGP(muCGP)検査により、スクリーニングの有効性を調べた。対照群140人、UC群96人から成るトレーニングコホートのmuCGP検査データを用いて、UCのスクリーニングモデルを構築した。モデルの検証は、多施設症例対照研究(対照群96人、UC群70人)と、Golestanコホート研究(5万45人を最長12年間追跡)のコホート内症例対照研究(対照群98人、UC群29人)で行った。.その結果、スクリーニングモデルは、感度88%(高悪性度では97%)、特異度94%だった。1つ目のモデル検証では、新規腫瘍で感度86%(高悪性度では87%)、全体(新規+再発腫瘍)で感度71%、特異度94%だった。2つ目のモデル検証では、ベースラインでのmuCGP検査の予測感度は66%(高悪性度では71%)、特異度は94%だった。一方、ベースラインでのテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)変異はがんの48%を予測し、特異度は100%だった。muGCP検査で予測陽性の場合、予測陰性に比べて、無がん生存率は有意に不良だった(ハザード比8.5)。5年以内のUC発症に限定して解析した場合、TERT変異のみを用いた場合の57%と比較して、muGCP検査では将来発生するがんの90%が検出された。.Lotan氏は、「これは、包括的ゲノムプロファイリング検査により、診断の10年以上も前に発症前のUCが検出できることを示した最初の研究である。さらに研究を進めることで、膀胱がん発症リスクの高い患者の特定、リスク層別化、モニタリング方法を改善できる可能性がある」と述べている。.本研究はUroAmpの製造元であるConvergent Genomics社からの資金提供を受けて実施された。(HealthDay News 2023年5月15日).https://consumer.healthday.com/physician-s-briefing-bladder-2659944018.html.Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
改変型の尿のゲノム検査により、臨床的徴候や症状が現れる12年も前に膀胱がん〔尿路上皮がん(UC)〕を予測できることが、米国泌尿器科学会年次総会(AUA 2023、4月28日~5月1日、米シカゴ)で報告された。.尿の包括的ゲノムプロファイリング(uCGP)検査によるUCの検出は、高リスク集団のスクリーニングに有効と考えられる。UroAmp(Convergent Genomics社製)を用いたuCGP検査は通常、60個の遺伝子の変異を対象としている。今回、米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのYair Lotan氏らは、これらの遺伝子のうち最も予測能が高いとされる10個の遺伝子を対象とした改変型のuCGP(muCGP)検査により、スクリーニングの有効性を調べた。対照群140人、UC群96人から成るトレーニングコホートのmuCGP検査データを用いて、UCのスクリーニングモデルを構築した。モデルの検証は、多施設症例対照研究(対照群96人、UC群70人)と、Golestanコホート研究(5万45人を最長12年間追跡)のコホート内症例対照研究(対照群98人、UC群29人)で行った。.その結果、スクリーニングモデルは、感度88%(高悪性度では97%)、特異度94%だった。1つ目のモデル検証では、新規腫瘍で感度86%(高悪性度では87%)、全体(新規+再発腫瘍)で感度71%、特異度94%だった。2つ目のモデル検証では、ベースラインでのmuCGP検査の予測感度は66%(高悪性度では71%)、特異度は94%だった。一方、ベースラインでのテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)変異はがんの48%を予測し、特異度は100%だった。muGCP検査で予測陽性の場合、予測陰性に比べて、無がん生存率は有意に不良だった(ハザード比8.5)。5年以内のUC発症に限定して解析した場合、TERT変異のみを用いた場合の57%と比較して、muGCP検査では将来発生するがんの90%が検出された。.Lotan氏は、「これは、包括的ゲノムプロファイリング検査により、診断の10年以上も前に発症前のUCが検出できることを示した最初の研究である。さらに研究を進めることで、膀胱がん発症リスクの高い患者の特定、リスク層別化、モニタリング方法を改善できる可能性がある」と述べている。.本研究はUroAmpの製造元であるConvergent Genomics社からの資金提供を受けて実施された。(HealthDay News 2023年5月15日).https://consumer.healthday.com/physician-s-briefing-bladder-2659944018.html.Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock