1-1 HDN4月19日「パッケージニュース」No.1

米国でカフェインのサプリが販売禁止に

米食品医薬品局(FDA)は4月13日、純カフェインまたは高濃度カフェインを含有するサプリメントの販売を禁止すると発表した。違法に販売されている製品についても「市場からなくすための準備はできている」としている。

規制の対象となるのは、消費者に直接バルク(個包装されていない状態)でまとめて大量に販売されている粉末状または液状の純カフェインまたは高濃度カフェインのサプリメント。カフェインが含まれる医療用の処方薬や市販薬、昔から飲まれているカフェイン入り飲料などの一般的な食品は規制の対象外となる。

FDAは2014年、カフェインのサプリメントの過剰摂取に関連したそれまで健康だった男性の死亡例が2例報告されたことを受け、2015年および2016年に純カフェインまたは高濃度カフェインのサプリメントの摂取によるリスクについて注意喚起を行っていた。

FDA長官のScott Gottlieb氏は、プレスリリースで「以前からさまざまな対策を講じてきたにもかかわらず、純カフェインや高濃度カフェインはサプリメントとして消費者に販売され続けてきた。しかし、これらの製品の中にはひと箱に数千回分に相当する大量のサプリメントが入った状態で販売されているものもある」と説明。その上で「こうした製品を摂取すれば活力が得られると信じてスポーツ用ドリンクに混ぜて飲むなど、危険を伴う方法で摂取している若者は少なくない。また、個包装になっていないため計量が難しく、過剰摂取や乱用のリスクもある」と指摘している。

FDAによれば、高濃度カフェインの液状サプリメント2分の1カップに含まれるカフェインは約2,000 mg、粉末状の純カフェインの場合はティースプーン1杯に含まれるカフェインは約3,200mgで、これは20~28杯分のコーヒーに含まれるカフェインに相当する。粉末状の純カフェインの場合、テーブルスプーン2杯足らずでほとんどの成人の致死量に達し、小児の場合にはより少ない量でも死亡する可能性があるという。

なお、安全なカフェインの摂取基準は200mg(液状の高濃度カフェインでティースプーン2.5杯分、粉末状の純カフェインで16分の1杯分)とされている場合が多い。(HealthDay News 2018年4月13日)

https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/nutritional-supplements-health-news-504/fda-cracks-down-on-caffeine-loaded-supplements-732931.html

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Senior Man Relaxing In Bed

たった一晩の睡眠不足でアルツハイマー病リスクが増大?

たった一晩でも睡眠が不足すると、アルツハイマー病との関連が指摘されているアミロイドβ(Aβ)と呼ばれるタンパク質の蓄積量が脳内で増加することが、米国立アルコール乱用・依存症研究所(NIAAA)のEhsan Shokri-Kojori氏らによる研究から明らかになった。この研究結果は「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」4月9日オンライン版に掲載された。

アミロイドβはアルツハイマー病患者の脳内で認められるアミロイドプラークを構成する主なタンパク質で、アルツハイマー病の発症に関与すると考えられている。また、これまでにマウスやヒトの研究で脳内のAβの蓄積には睡眠不足が関連している可能性があることが示されていた。ただ、ヒトの研究の多くは自己申告による睡眠の質に基づいたものであった。

そこで、Shokri-Kojori氏らは今回、睡眠不足による脳内Aβ蓄積への影響をより正確に評価するため、22~72歳の健康な男女20人(平均年齢39.8歳、10人が女性)を対象とした研究を実施した。

この研究では、対象者が実験室に二晩にわたって宿泊し、一晩目には十分に睡眠を取り、二晩目には一睡もしないよう指示した。また、それぞれ翌朝に対象者の脳内のAβ蓄積量を定量化するためPET(陽電子放射断層撮影)と放射性薬剤(18F-florbetaben)を用いたアミロイドPET検査を実施した。

その結果、十分に睡眠を取った翌朝と比べて一睡もしなかった翌朝には脳内のAβの蓄積量が有意に増加していることが分かった。また、Aβ蓄積量の増大は、記憶に関連する海馬や感覚情報を伝達する視床などの脳領域で認められた。

米マウントサイナイ・ヘルスシステム睡眠医学のAndrew Varga氏によると、一部の専門家の間では神経細胞の「発火(活動電位が発生すること)」がAβの産生に寄与していると考えられているという。「眠らないと神経細胞が発火し続けるため、Aβの蓄積につながる可能性がある。一方、睡眠中は神経細胞が縮小し、細胞間に空間ができるためAβなどの不要な物質が排出されやすくなる」と同氏は説明する。

しかし、睡眠不足がアルツハイマー病リスクに直接的に関連するかどうかを明らかにするためには、さらなる研究が必要だと専門家は口を揃える。今後の研究課題について、Shokri-Kojori氏は「一時的な不眠によってAβが蓄積しても、一晩ぐっすり眠れば消失するのか否かについて検討する必要がある」と指摘。また、Varga氏は「脳内にAβが蓄積した状態が続くと神経細胞が凝集しやすくなるのかどうかを明らかにすべきだ」としている。(HealthDay News 2018年4月9日)

https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/alzheimer-s-news-20/sleepless-nights-show-ties-to-alzheimer-s-risk-732724.html

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Take a deep breath. Skillful trained private doctor using professional stethoscope for hearing how elderly man breathing and diagnosing him

COPDリスクを高める「小児期の経験」

喫煙によって発症リスクが高まることで知られる慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、中高年層で発症しやすいため「成人の疾患」とみられがちだ。しかし、COPDの発症には小児期の喘息や受動喫煙などの経験が影響している可能性があることが、2件の研究で示唆された。これらの研究論文は「The Lancet Respiratory Medicine」4月5日オンライン版に掲載された。

1件目の研究は、メルボルン大学(オーストラリア)アレルギー・呼吸器医療ユニットのShyamali Dharmage氏らが実施したもの。タスマニア州(オーストラリア)の地域住民を長期にわたって追跡調査した前向き研究(Tasmanian Longitudinal Health Study;TAHS)のデータを用いて小児期のさまざまな因子と後のCOPDリスクとの関連について検討した。

対象は7歳、13歳、18歳、45歳、50歳、53歳の時点で肺機能検査を受けた男女2,438人。7歳から35歳までの肺機能の変化を6パターンに分類して解析した結果、肺機能が平均レベルの場合と比べて(1)小児期から中年期にかけて一貫して低い(2)小児期には平均レベルをわずかに下回る程度だったが成人後に一気に低下(3)小児期から中年期にかけて一貫して平均レベルをわずかに下回る―の3つのパターンがCOPDリスクに関連していた。

また、53歳までに発症したCOPDの4分の3を、こうした3つのパターンで示される小児期からの肺機能低下で説明できることが分かった。さらに、これら3つのパターンには小児期の喘息や気管支炎、肺炎、アレルギー性鼻炎、湿疹、親の喘息、受動喫煙のほか、本人の喫煙や成人期の喘息といったリスク因子が関与していることも明らかになった。

COPDの主要なリスク因子は喫煙だが、この研究では小児期のさまざまな因子も後のCOPDリスクを高めることが示唆された。この結果を踏まえ、Dharmage氏は「The Lancet」のプレスリリースで「COPDリスクを抑えるためには親の禁煙やワクチン接種の奨励、本人の禁煙が重要だ」との見解を示している。

一方、英ブリストル大学のJohn Henderson氏らが2,632人の肺機能を出生時から24歳まで追跡した2件目の研究では、生後1~6カ月時に肺機能の低下が認められた乳児の約4分の3は、小児期に肺機能が大きく改善していたことが分かった。このことから小児期は肺機能を向上させる絶好のタイミングであり、成人後のCOPDリスクの低減にもつながる可能性があるとして、同氏らは「幼少期に最大限の肺の成長を促すための介入を行えば、成人後のCOPDリスクを抑えることができるかもしれない」との見解を示している。

COPDは慢性かつ進行性の呼吸器疾患で、治癒することはほとんどない。米国肺協会(ALA)によると、米国ではCOPDの患者数は1100万人を超え、死因の第3位となっている。

米レノックス・ヒル病院のAnn Tilley氏は「今回報告された2件の研究から、成人の肺疾患リスクに小児期の因子が重要な影響を与えている可能性が示された。子どもを受動喫煙から守り、小児喘息の子どもには確実に最善の治療を受けさせることが、子どもの肺の健康を生涯にわたって良好に保つために親ができることだといえそうだ」と話している。(HealthDay News 2018年4月6日)

https://consumer.healthday.com/diseases-and-conditions-information-37/copd-966/copd-is-an-adult-killer-but-its-origins-may-lie-in-childhood-732645.html

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4.1.1

世界一辛いトウガラシで激しい頭痛、脳動脈に異常も

トウガラシを食べると救急科を受診しなければならないレベルの激しい頭痛が起こる可能性があることを、覚えておいた方が良いかもしれない―。トウガラシを食べるコンテストに参加した男性が、世界で最も辛いとされている種類のトウガラシを食べた後に「雷鳴頭痛」と呼ばれる激しい頭痛に苦しんだとする報告書が「BMJ Case Reports」4月9日オンライン版に掲載された。CT検査では脳動脈の一部の攣縮が認められ、男性は可逆性脳血管攣縮症候群(RCSV)と診断されたという。

報告書を執筆した米バセット・メディカルセンターのEdward Bischof氏らによると、この男性は34歳。ニューヨーク州で開かれたトウガラシを食べるコンテストで、世界で最も辛いトウガラシとされる「キャロライナ・リーパー」という種類のトウガラシを食べたという。その直後に男性は吐き気を催し、さらに数日間にわたって激しい首の痛みと頭痛が数秒間持続する症状が繰り返しみられた。

男性は救急科を受診し、さまざまな神経症状の検査を受けたが、異常はなかった。しかし、CT検査で脳動脈の一部の攣縮が認められ、RCVSによる雷鳴頭痛と診断された。その後、この男性の症状は自然消失し、5週間後のCT検査では脳動脈が正常に戻っていたという。

RCVSには必ずしも明確な原因があるわけではないが、特定の処方薬や違法ドラッグに反応して発症する場合がある。Bischof氏らによれば、トウガラシの摂取によるRCVS発症例の報告はこれまでなかったが、以前からカイエンペッパーの摂取が冠動脈の攣縮や急性心筋梗塞と関連していることが報告されている。

今回の症例報告について、米ノースウェル・ヘルス頭痛センター所長のNoah Rosen氏は「可逆的だが危険な脳動脈の攣縮に抗うつ薬や精神刺激薬、マリファナが関連することは分かっていたが、今回の報告からカプサイシンも関連する可能性が示された」と説明。その上で「治療は対症療法しかないため、問題を起こしうるこれらの物質の摂取を避けるしかない。したがって、世界一辛いトウガラシを食べようとしているなら、それは考え直した方が良い」と話している。(HealthDay News 2018年4月9日)

https://consumer.healthday.com/head-and-neck-information-17/headaches-health-news-345/one-man-got-a-nasty-surprise-from-world-s-hottest-chili-pepper-732695.html

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2HDN糖尿病ニュース4月19日配信2

13歳までの減量で2型糖尿病リスク減

過体重の子どもは思春期を迎える前に減量すると、成人後に2型糖尿病を発症するリスクが低減する可能性があることが、「New England Journal of Medicine」4月5日号に掲載された新しい研究で示された。思春期に入ってから減量しても2型糖尿病リスクは低減するが、小児期のうちに減量した場合よりも低減幅は小さいという。

研究を主導したビスペビャー・フレデリクスベー大学病院(Bispebjerg and Frederiksberg University Hospital、デンマーク)のLise Bjerregaard氏によると、子どもの肥満は世界的な課題であり、世界の子どもの約4分の1は過体重や肥満だと推定されている。また、これまでの研究で、小児期や成人期早期に過体重や肥満であると、その後に2型糖尿病を発症するリスクが高まることが知られているという。

この研究は、デンマークに在住する男性6万2,565人を対象としたもの。参加者が7歳および13歳の時点と成人期早期(17~26歳)の間に測定した体重と身長のデータに加えて、30歳から60歳の2型糖尿病の診断歴に関する情報を収集して解析した。

その結果、7歳の時点で過体重だったが13歳までに適正体重となった男性は、30歳から60歳の間に2型糖尿病を発症するリスクが、過体重になったことがない男性と同程度であることが分かった。また、小児期から思春期にかけて過体重だったが成人期早期には適正体重となった男性は、過体重になったことがない男性と比べて2型糖尿病リスクは50%高かったが、小児期から成人期早期にかけて過体重だった男性よりもそのリスクは有意に低かった。

なお、小児期から成人期早期にかけて過体重だった男性は、常に適正体重だった男性と比べて2型糖尿病リスクは4倍に上っていた。さらに、7歳までは適正体重だったが成人期早期までに過体重になった男性も2型糖尿病リスクは高かった。

Bjerregaard氏らは、リスクの低減幅には多少の変動がみられるかもしれないが、デンマーク以外の国でも同様の結果が得られるだろうとの見方を示している。

研究をレビューした米ニューヨーク大学ランゴンヘルスシステムの栄養士であるSamantha Heller氏は「肥満の子どもの生活習慣を見直し、肥満を解消させるよう対策を講じるのは早ければ早いほどよい」と強調する。同じく専門家で米マウントサイナイ・アイカーン医科大学のAndrea Dunaif氏は「今回の結果は、小児期の過体重や肥満による悪影響は思春期以前に減量できれば打ち消せるが、それ以降に減量しても完全には打ち消せないことを示している」と述べ、子どもの肥満は13歳までに解消し、その後は減らした体重を維持させるよう指導を徹底するべきだとしている。

また、Heller氏は子どもの肥満を予防するには家庭での対策が重要だと助言する。「仕事で疲れた日の夕食はファストフードや冷凍ピザで済ませたくなりがちだが、子どもがこうした食べ物に一度慣れてしまうと、その習慣を是正するのは難しくなってしまう。子どもには、できるだけ早いうちから健康的な食生活と運動習慣を身につけさせることが肥満や糖尿病予防の鍵になるだろう」と話している。(HealthDay News 2018年4月5日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/misc-diabetes-news-181/losing-excess-weight-in-childhood-cuts-diabetes-risk-732642.html

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2HDN糖尿病ニュース4月19日配信1

糖尿病網膜症を診断する人工知能デバイスを初承認――米FDA

米食品医薬品局(FDA)は4月11日、糖尿病網膜症を検出する人工知能(AI)を用いたデバイスを医療機器として初めて承認したと発表した。このデバイスを用いれば、眼科の専門医でなくても糖尿病網膜症の診断が可能になるという。

この新しいデバイスは、米IDx社が開発した「IDx-DR」と呼ばれるもので、特殊な無散瞳眼底カメラ(株式会社トプコン販売の「NW400」)で撮影した糖尿病患者の網膜画像データを、AIアルゴリズムを用いて解析する仕組みだ。AIを用いた解析プログラムをインストールしたクラウドサーバーに、撮影した網膜の画像データをアップロードすると軽度以上の糖尿病網膜症が検出される。具体的には、「糖尿病網膜症を検出;専門医の受診を勧める」あるいは「糖尿病網膜症は未検出;12カ月以内の再検査を勧める」のいずれかの結果が得られる。

今回の承認は、10カ所のプライマリケア施設で登録した糖尿病患者900人から得た網膜画像データを用いて糖尿病網膜症の診断精度を検証した臨床試験に基づいている。この研究では、IDx-DRは軽度以上の糖尿病網膜症を87.4%の精度で診断できたほか、軽度以上の糖尿網網膜症ではない人を89.5%の精度で識別できることが分かった。

FDAによると、糖尿病網膜症は米国に3000万人以上いる糖尿病患者が視力を失う主な原因とされる。その管理は早期発見、早期治療が肝要であり、糖尿病網膜症と診断されたら患者は早急に眼科専門医を受診し、詳しい検査を受ける必要があるという。

FDAで眼科医療機器を所管する部門の部門長を務めるMalvina Eydelman氏は「糖尿病の管理では、網膜症の早期発見は重要な課題に位置づけられているが、糖尿病患者の約半数は年1回の眼科医の検診を受けておらず、適切なスクリーニングが実施されていないのが現状だ。今回承認されたAIデバイスは、プライマリケア医でも使いこなすことができるだろう」と話している。

このプログラムはレーザー治療、眼の外科手術や注射を行っている糖尿病患者のほか、永続的な視覚障害やかすみ目、飛蚊症、黄斑浮腫、重症非増殖糖尿病網膜症(NPDR)、増殖糖尿病網膜症(PDR)、放射線網膜症、網膜静脈閉塞症の既往がある患者の網膜症スクリーニングには使用すべきではないとされている。さらに、妊娠中に急速に進行する網膜症の検出には対応できないため、妊娠中の女性にも用いるべきではないとされている。(HealthDay News 2018年4月12日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/misc-diabetes-news-181/fda-approves-ai-device-to-spot-diabetic-eye-disease-732858.html

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33180

高齢になっても脳神経細胞は増え続ける

高齢になると脳細胞は減るばかりで増えることはないと一般的に考えられているが、こうした考えを覆す新しい研究結果が「Cell Stem Cell」4月5日オンライン版に掲載された。14~79歳で急死した健康な男女の脳を剖検した結果、高齢者でも若い人と同様に、記憶や学習に重要な役割を担う脳の海馬で前駆細胞から新しい神経細胞(ニューロン)を生成する能力がある可能性が示唆されたという。

これまでマウスやサルなどを用いた基礎研究では、高齢になると脳細胞を新しく生成する能力は失われることが示されているが、ヒトの脳の研究では異なる結果が得られており、結論には至っていない。

今回の研究では、14~79歳で急死した男女28人の脳の海馬を剖検した。対象者には認知症やその他の神経疾患、精神病性障害の診断を受けた人はいなかった。その結果、高齢者と若者の脳では中間型の前駆細胞と未熟な神経細胞がほぼ同数見つかったほか、海馬の容量に年齢で差はみられないことが分かった。

研究を率いた米コロンビア大学准教授のMaura Boldrini氏は「高齢になっても脳内に(神経細胞に分化する)前駆細胞が存在することを示すこの結果は、高齢者にとって朗報だ」と述べている。

ただし、健康な79歳の脳が29歳の若々しい脳と全く同じというわけではなさそうだ。研究では、高齢者の脳は血管新生が少なく、一部の海馬領域では静止期の前駆細胞プールが小さいことも明らかになった。

専門家の一人で米ウェイル・コーネル医科大学のEzriel Kornel氏は「高齢者の脳でも若い人の脳と同じように新しい神経細胞同士で信号を伝達したり、機能したりするかどうかは分かっていない」と指摘する。一方で、同氏はこの研究結果は有望だとも評価しており、「高齢者の脳で神経細胞を生成させ、細胞同士の信号伝達を促進する因子について、さらに研究を進めていく必要がある」と述べている。

また、Kornel氏は、健康な高齢者と認知症の高齢者の脳を比較することにも興味を示している。Boldrini氏もこの意見に同意し、「これまでの研究で、アルツハイマー病で死亡した人の脳の海馬では神経細胞の数が減ることが分かっている。しかし、この理由が、神経細胞が生成されなくなったためなのか、神経細胞が死滅した結果なのかは明らかになっていない」と話す。同氏は、健康な高齢者の脳と認知症患者の脳を比較することで、高齢でも認知機能が衰えない人がいる理由を突き止められる可能性や新しい認知症治療の開発につながる可能性があるとしている。

さらに、Boldrini氏は「高齢になっても若々しい海馬を維持している人が実践している生活習慣を知ることも大切だ」と強調する。アルツハイマー病協会(Alzheimer’s Association)によると、多くの研究で喫煙をしない、適正体重や正常血圧を維持する、健康的な食生活を送る、定期的に運動するといった生活習慣因子や社会的活動、知的活動が認知症リスクと関連することが報告されているほか、運動によって海馬の神経細胞の生成が促進される可能性も示されているという。(HealthDay News 2018年4月5日)

https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/brain-health-news-80/older-brains-replenish-cells-just-like-young-brains-study-732668.html

(参考情報)
Abstract/Full Text
http://www.cell.com/cell-stem-cell/fulltext/S1934-5909(18)30121-8

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1-1 HDN4月16日「パッケージニュース」No.2

薬が効かない「スーパー淋菌」に警鐘、米専門家ら

今年はじめ、ある英国人男性が一般的に使用されている抗菌薬が効かない「スーパー淋菌」に感染していたことが明らかになり、人々に衝撃を与えた。専門家らは、今後このような多剤耐性淋菌の感染は米国でも広がる可能性があるとして、警鐘を鳴らしている。

英国人男性の「スーパー淋菌」感染の報告は、感染症の専門家の間では想定内だったようだ。米アラバマ大学バーミングハム校のEdward Hook氏は「淋菌感染症の治療に抗菌薬が用いられるようになったころから淋菌は薬剤耐性を獲得し始めていたため、このような事態になることは予想されていた」と説明する。米ノースショア大学病院のBruce Farber氏もこれに同意し、「米国でも薬剤耐性淋菌はさまざまな地域で確認されている。英国で認められた株ほど極端なものではないが、今や米国でも薬剤耐性淋菌は珍しいものではない」と話す。

淋菌感染症は比較的高頻度にみられる性感染症の一つで、世界保健機関(WHO)によると世界の新規感染者数は年間7800万人と推定されている。米国では淋菌感染症は増加傾向にあり、その報告数は2015年から2016年にかけて19%増加したことが米疾病対策センター(CDC)の調査で明らかにされている。

増加の背景について、米ジョンズ・ホプキンズ大学医療安全センターのAmesh Adalja氏は「危険な性行動との関連が指摘されている」と説明。その上で「(英国で認められた)抗菌薬に強い耐性を示す淋菌が米国にも入ってくれば、淋菌感染症が大流行することも考えられる。医師が治療不可能な淋菌感染症の患者に遭遇するようになる可能性は否定できない」と危機感を示している。

前出のHook氏によると、淋菌感染症の患者が最も多いのは15~24歳の若者で、特に性的に活発な人や、複数の性的パートナーがいる人はリスクが高いという。通常は淋菌に感染しても死に至ることはまれだが、女性の不妊や流産のリスクを高めることが分かっている。

なお、「スーパー淋菌」に感染した英国人男性は、アジアで女性と性的関係を持った1カ月後に発症したとされている。発症後、男性は医療機関で第一選択薬の抗菌薬であるアジスロマイシンとセフトリアキソンによる治療を受けたが、効果が認められなかった。Washington Post紙によると、その後男性にはertapenem(日本では未承認)と呼ばれる別の種類の抗菌薬が静脈内投与され、奏功したとみられている。

現在、淋菌感染症の治療に使用できる2種類の新たな抗菌薬が開発中であるという。また、ニュージーランドの研究グループは昨年、MeNZBと呼ばれる髄膜炎ワクチンによって淋菌感染症の感染を約30%予防できたとする研究結果を「The Lancet」で報告している。

淋菌感染症の感染を予防するにはコンドームの使用も有効だ。さらに、淋菌に感染しても症状がみられない場合もあるため、Hook氏らは「一定期間に複数の相手と性行為を経験した人は、症状がなくても性感染症の検査を受けてほしい」と呼び掛けている。(HealthDay News 2018年4月4日)

https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/antibiotics-news-30/super-drug-resistant-gonorrhea-coming-to-u-s-experts-say-732607.html

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young blond woman having a headache close up

片頭痛予防に携帯型TMS装置が有効か

患者が自宅で使用できる携帯型の単一パルス経頭蓋磁気刺激(sTMS)装置(商品名SpringTMS)が片頭痛の予防に有効であることを示した研究結果が「Cephalalgia」3月4日オンライン版に掲載された。この装置は既に米国で前兆のある片頭痛の治療を目的とした使用が承認されているが、この結果を受け2017年9月に片頭痛の予防にも適応が拡大されている。

これまでにTMS治療は神経疾患や精神疾患の治療や診断で広く使用されてきたが、SpringTMSは2014年5月、米国で初めて片頭痛の治療を目的としたTMS装置として米食品医薬品局(FDA)により承認された。その大きさは8cm×23cm、重さは1.4kgほどで、患者自身による操作が想定されている。発作時に装置を後頭部に当て、ボタンを押すと磁気パルスが発生するという。

当初、SpringTMSは前兆のある片頭痛の治療を目的とした使用が承認されていたが、2017年9月には前兆の有無にかかわらず片頭痛の予防にも適応が拡大された。その根拠とされているのが、今回論文が発表されたESPOUSE Studyの成績だ。この研究は、米メイヨークリニック神経学のAmaal Starling氏らがSpringTMSを製造・販売するeNeura社の資金提供を受けて実施した。

対象は、2014年12月~2017年3月に頭痛専門クリニックで登録された18~65歳の片頭痛患者263人で、前兆のある患者とない患者が含まれていた。対象者は頭痛日誌を1カ月間付け、自宅でSpringTMSを操作できるよう指導を受けた上で3カ月間、この装置を使用した。

同研究では対象者に片頭痛予防のため午前中と夜間に4回ずつSpringTMSを使用し、1分未満の磁気刺激を与えるよう指示した。また、頭痛発作中には磁気刺激を3回与える治療を15分の間隔を空けて最大で3回行うよう指示した。

その結果、研究開始から3カ月後、片頭痛のタイプにかかわらず頭痛発作がみられた日数が1カ月当たり平均で約3日減少した、また、頭痛の頻度が半減した対象者の割合は46%を占めていた。

Starling氏によると、片頭痛患者の脳は過剰に興奮した状態となっており、この興奮を抑えれば頭痛発作を予防できると考えられている。今回の研究で有効性が示されたTMS装置は、磁気エネルギーを用いて神経細胞の電気的環境を変化させ、脳の興奮を抑制するという。「この研究では、SpringTMSの使用によって片頭痛患者の頭痛発作の頻度だけでなく、片頭痛治療薬の使用量も減量でき、忍容性も良好だった」と同氏は説明する。

米国では片頭痛の患者数は3800万人と推定され、男性よりも女性の方が多く、女性の有病率は男性の3倍であることが報告されている。根治療法はなく、抗てんかん薬や抗うつ薬、降圧薬のほかボツリヌス毒素の注射やストレスマネジメント、リラクゼーション法や運動が症状の軽減に役立つ場合がある。

Starling氏の共同研究者の一人で米アルバートアインシュタイン医科大学神経学のRichard Lipton氏は、「この研究は片頭痛に苦しむ患者に新たな治療選択肢を提供することを最終的な目標に掲げ実施したものだ」とした上で、「薬物治療を受けたくない患者や、薬物治療が奏効しないか副作用が問題になる患者にとって、TMS装置を用いた治療は重要な選択肢となるだろう」と話している。(HealthDay News 2018年4月5日)

https://consumer.healthday.com/head-and-neck-information-17/headaches-health-news-345/magnetic-pulse-device-may-be-new-way-to-prevent-migraines-732606.html

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結婚指輪をした男女の手

いとこ婚の子ども、成人後の精神疾患リスク2~3倍に?

いとこ同士の両親から生まれた子どもは、成人後にうつ病などの気分障害や精神病性障害を発症するリスクが高い可能性があることが、クイーンズ大学(英領北アイルランド)ベルファスト公衆衛生センターのAideen Maguire氏らによる研究から明らかになった。この研究では、いとこ婚カップルから生まれた子どもでは、成人後に抗うつ薬や抗不安薬などの薬剤を処方される確率が血縁関係にないカップルから生まれた子どもの3倍以上で、抗精神病薬を処方される確率も2倍以上であることが分かったという。詳細は「JAMA Psychiatry」4月4日オンライン版に掲載された。

いとこ同士あるいははとこ同士など血縁関係にある男女のカップルから生まれた子どもは珍しい存在ではない。現在、世界の子どもの約10%を、はとこよりも近い関係の近親婚カップルから生まれた子どもが占めている。その多くはアジア地域や東アフリカ地域の子どもで、西欧では近親婚カップルから生まれた子どもの割合は1%未満と推定されている。一方、米国や北朝鮮、中国では近親婚は認められていない。

これまで、いとこ婚などの近親婚カップルから生まれた子どもは先天異常や早期死亡、成人後の心血管疾患やアルツハイマー病などのリスクが高いことが報告されていたが、精神疾患リスクについて検討した研究は少なかったという。そこでMaguire氏らは今回、北アイルランドの小児保健システムや医薬品処方などのデータを用いて、近親婚とその子どもの成人後の気分障害および精神病性障害とのリスクとの関連について検討した。

対象は、1971年1月~1986年12月に北アイルランドで出生した36万3,960人(52.5%が男性)。成人後の5年間(2010~2014年)に抗うつ薬または抗不安薬を1回以上処方されていた場合を気分障害の発症、抗精神病薬を1回以上処方されていた場合を精神病性障害の発症と推定した。対象者の0.2%(609人)が近親婚カップルの子どもで、このうち349人ははとこ婚、260人はいとこ婚のカップルから生まれていた。成人後に抗うつ薬または抗不安薬を処方された経験があるのは、はとこ婚カップルの子どもで約31.2%、いとこ婚カップルの子どもで35.8%、血縁関係にないカップルの子どもで26.0%だった。また、成人後に抗精神病薬を処方された経験があるのは、それぞれ4.3%、8.5%、2.7%だった。

多変量ロジスティック回帰モデルを用いて精神疾患の発症に影響するさまざまな因子を調整して解析した結果、いとこ婚カップルの子どもでは、血縁関係にないカップルの子どもと比べて成人後に抗うつ薬または抗不安薬を処方される確率は3.01倍、抗精神病薬を処方される確率は2.13倍だった。

以上を踏まえ、Maguire氏は「近親婚のカップルは、近親婚による生殖に関連した健康上のリスクについて、カウンセリングを受けるべきだ」と助言している。

一方、この研究結果について米国精神医学会(APA)事務局長で米コロンビア大学メディカルセンター精神医学教授のPhilip Muskin氏は「慎重に解釈する必要がある」と強調し、「この研究は因果関係を証明したものではなく、両親の健康状態などの背景要因のデータも不明だ。また、医薬品の処方データだけで疾患があったかどうかは判断しにくい」と指摘している。その上で、「近親者カップルから生まれた子どもに異常が生じうることは、はるか昔から知られていた。この研究は、そのことをデータで裏付けるものだ」との見解を示している。(HealthDay News 2018年4月4日)

https://consumer.healthday.com/diseases-and-conditions-information-37/genetic-disorder-news-332/here-s-another-reason-to-not-marry-your-cousin-732647.html

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