2HDN糖尿病ニュース4月27日配信2

1型糖尿病患者は全て眼科検診を年1回受けるべきか?

1型糖尿病患者は糖尿病網膜症などの失明につながる合併症リスクが高いことから、米国の診療ガイドラインでは診断されてから3~5年以内に年1回の眼科検診を始めることが推奨されている。しかし、この推奨に従って全ての1型糖尿病患者で眼科検診を行うことは費用が余計にかかる上に効果的ではないことが、新しい研究で示された。

研究を主導した米マサチューセッツ総合病院(ボストン)糖尿病センター/臨床研究センター長のDavid Nathan氏によると、例えば、血糖コントロールが良好で網膜に異常が検出されない低リスクの患者では眼科検診は4年ごとで済み、一方で、血糖コントロールが不良かつ糖尿病網膜症が検出された患者では3カ月ごとなど頻繁な眼科検診が必要とされるなど、検診の受診間隔は全ての患者で一律ではないという。

同氏らは、現行の診療ガイドラインで推奨されている眼科検診の妥当性を検証するため、1983~1989年のDCCT研究(Diabetes Control and Complications Trial)と追跡観察したEDIC研究(Epidemiology of Diabetes Interventions and Complications)に参加した13~39歳の1型糖尿病患者約1,400人が、30年間の追跡期間中に受診した眼科検診2万4,000件の網膜の断層画像データを解析した。なお、網膜画像の撮影は1993年までは6カ月ごと、その後の追跡研究中は2012年まで4年ごとに行われた。

検討の結果、平均HbA1c値が6%で糖尿病網膜症の徴候がない場合は眼科検診の頻度を4年ごとに、糖尿病網膜症が早期の場合は3年ごとに減らせる一方で、糖尿病網膜症が中等症~重症に進行した患者では3~6カ月ごとに間隔を狭める必要性が示された。また、HbA1c値が平均で8~10%の高値を示す患者では、より頻繁に検診を受ける必要があるという。

同氏らは、この新しい推奨に従うと1型糖尿病患者の眼科検診にかかる費用は20年間で半減し、約10億ドル(約1100億円)の節約につながると試算しており、また、糖尿病網膜症のリスクが高い患者に対してより積極的な治療を早期に始められるとしている。

この知見は、「New England Journal of Medicine」4月20日号に掲載された。

米国糖尿病協会(ADA)のCourtney Cochran氏は、今年2月に改訂されたADAの糖尿病網膜症に関するガイドラインの中で、1型糖尿病と診断後5年以内に年1回の眼科検診を開始することを推奨すると同時に、過去1~2年間で糖尿病網膜症の徴候がみられない場合には検診の頻度を下げることを考慮しても良いと明示していることを指摘。しかし、「軽症のレベルでも糖尿病網膜症がいったん検出されたら、年1回の眼科検診は必ず受けるべきだ。糖尿病網膜症が進行した状態であればより頻繁な検査が必要になる」と強調している。

付随論説を執筆した米アルベルト・アインシュタイン医学校(ニューヨーク市)准教授のJamie Rosenberg氏は、新しい推奨による眼科検診は費用の削減に加えて、医師と患者双方の時間の節約にもつながるとしつつ、「検診スケジュールを個別化すると患者の追跡が難しくなる可能性があるが、この課題を克服すればこうした眼科検診の有用性は高いかもしれない」とコメントしている。(HealthDay News 2017年4月19日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/type-i-diabetes-news-182/is-annual-eye-exam-a-must-for-people-with-type-1-diabetes-721806.html

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2HDN糖尿病ニュース4月27日配信1

1型糖尿病患者が安全に運転するための注意点とは? 運転前の確認と低血糖への対応策が重要

1型糖尿病患者が運転する際には、運転中の低血糖発作で事故を起こす可能性が懸念されるが、米バージニア大学医学部教授のDaniel Cox氏らが作成した質問票を活用することで、事故につながる運転ミスを起こしやすい患者を特定できることが、新しい研究で報告された。詳細は「Diabetes Care」オンライン版に4月12日掲載された。

糖尿病患者では、インスリン治療や血糖降下薬の影響で血糖値が下がり過ぎて低血糖を起こし、意識消失やけいれんを起こす可能性がある。同氏は「糖尿病患者は、糖尿病が心疾患やナルコレプシーなどと同様に運転に支障を来す疾患であることを認識すべきだ。パイロットがフライト前にチェックリストを用いて自身の健康状態を確認するように、1型糖尿病患者も運転前には運転できる状態であるかを確認する必要がある」と説明している。

同氏によると、糖尿病患者の中でも運転中に重症低血糖を起こしたことがある患者や低血糖リスクが高い患者、運転する機会が多い患者、糖尿病神経障害により下肢の感覚が鈍っている患者では、運転中にトラブルを起こすリスクが平均よりも高まるという。しかし、運転中の事故リスクが高い患者を区別する標準的な検査法は今のところ存在しない。

そこで、同氏らは11の質問項目から成る「糖尿病を持つドライバーのリスク評価(Risk Assessment of Diabetic Drivers;RADD)」と名付けた質問票を作成し、事故リスクの高い患者を事前に特定できるか否かを調べた。

まず、米国の3地域(ボストン、バージニア州中央部、ミニアポリス)の1型糖尿病患者1,371人を対象に、RADD質問票に回答してもらい、その後12カ月間の運転中の事故や事故につながりかねない危険な運転ミスの有無を調べた。その結果、このRADD質問票によって事故を起こすリスクが高い人では60%、リスクが低い人では75%を事前に特定できることが分かった。

次に、全米の1型糖尿病患者1,737人を対象にオンライン上で回答したRADD質問票スコアから事故リスクが高いと判定された372人の半数と低リスクと判定された118人には通常ケアを、高リスク者の残りの半数にはインターネットサイト「DiabetesDriving.com」によるオンライン上での介入を2カ月間行い、その後12カ月間の事故記録を調べた。

この介入は低血糖を予防し、検出して治療するもので、対象者に提供した低血糖を管理するためのツールキット一式には、血糖測定器、運転前のチェックリスト、血糖値が下がった場合の注意事項を記したキーホルダー、ブドウ糖の錠剤やゼリーといった即効性のあるブドウ糖製品が含まれていた。この結果、こうしたオンライン上の介入は1型糖尿病患者が運転中の低血糖を回避するのに有効であることが分かった。

同氏は「1型糖尿病患者の多くは低血糖への正しい対処法を知らず、脂肪やたんぱく質が多い食品を摂りがちだが、それでは血糖値はすぐには上がらない」と指摘し、車内には血糖値を上げるのに即効性がある炭水化物を常備するよう勧めている。

米モンテフィオーレ医療センター(ニューヨーク市)臨床糖尿病センター長のJoel Zonszein氏は、糖尿病患者の運転の安全性を判断するには、オンラインテストなどで患者が自己判断するよりも医師や専門家が検査する方がよいと指摘している。別の専門家も、インターネット上での匿名性という利点はあるが、医師がテスト結果を閲覧できるようにすることが重要だとしている。(HealthDay News 2017年4月20日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/type-i-diabetes-news-182/when-is-it-safe-to-drive-with-type-1-diabetes-721782.html

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4HDN国内ニュース4月24日配信2

糖尿病は高齢患者でも心血管疾患死リスクに影響を及ぼすのか? ――日本の8コホート研究を対象に解析

糖尿病は中年期と同様に高齢期(70~80歳代)の患者でも心血管疾患(CVD)死や全死亡の独立したリスク因子であることが、循環器疫学コホート研究の統合データベース共同研究(EPOCH-JAPAN)の解析で分かった。高齢期の患者では中年期の患者よりもCVDによる超過死亡の絶対リスクが増加したことから、高齢患者においても死亡リスク低減を目指した包括的な糖尿病の管理が重要であることが明らかになった。詳細は「Journal of Epidemiology」3月号に掲載された。

糖尿病はCVD死や全死亡のリスク因子とされるが、糖尿病がこれらの死亡リスクに及ぼす影響は加齢によって変化するのか否かは明らかにされていない。慶應義塾大学衛生学公衆衛生学の岡村智教氏と九州大学大学院衛生・公衆衛生学の二宮利治氏らの共同研究グループは、糖尿病によるこうした影響を年齢別に評価するため、日本で行われた複数のコホート研究を対象にプール解析を行った。

研究グループは、健康診断データを収集し、追跡期間が10年以上、参加者が1,000人以上の条件を満たした8つのコホート研究(端野・壮瞥町研究や久山町研究、NIPPON DATA 80など)に参加した3万8,854人を対象に解析を行った。40~90歳で心血管疾患の既往がないことを対象者の登録基準とした。ベースライン時に参加者の4.8%(1,867人)が1998年の世界保健機関(WHO)による診断基準で糖尿病と診断された。

その結果、平均10.3年の追跡期間中に4,542人が死亡し、このうちCVD死は1,376人であった。多変量調整後の解析で、糖尿病を持たない人に比べて、糖尿病患者ではCVD死亡のハザード比は1.62(95%信頼区間1.35~1.94)、冠動脈疾患(CHD)死では2.13(同1.47~3.09)、脳卒中死では1.40(1.05~1.85)であり、全死亡のハザード比も1.39(同1.25~1.55)と糖尿病患者ではCVD死および全死亡リスクが有意に増加することが分かった。

また、参加者を年齢群(40~49歳、50~59歳、60~69歳、70~79歳、80~90歳)に分けて糖尿病がCVD死リスクに及ぼす影響を比較したところ、CVD死の相対リスクは全ての年齢群で同程度であったが(ハザード比1.38~2.06)、糖尿病による超過CVD死の絶対リスクは60歳代以下の患者群に比べて70~80歳代の患者群で増加していた。研究グループは、この結果は高齢期の糖尿病患者では中年期の患者に比べてCVDによる死亡リスクが増加することを意味するとしている。(HealthDay News 2017年4月24日)

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http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0917504016301551

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Woman taking blood sample for measuring sugar level

高齢2型糖尿病患者で低血糖を起こさない治療上のポイントとは? ――千葉大の研究グループ

65歳以上の高齢2型糖尿病患者が低血糖を起こさないためには、血糖変動を抑え、平均血糖値も下げ過ぎない包括的な管理が重要であることを、千葉大学病院糖尿病・代謝・内分泌内科の横手幸太郎氏と越坂理也氏らの研究グループが持続血糖測定(CGM)データを用いた研究で明らかにした。詳細は「Journal of Diabetes Investigation」オンライン版に4月11日掲載された。

高齢の糖尿病患者では重症低血糖を来しやすく、この回避は重要な課題の1つとされる。重症低血糖は認知機能の低下や転倒による骨折、脳卒中、心血管イベントのリスクを増加させることが明らかにされている。日本糖尿病学会と日本老年医学会による合同委員会は、2016年に高齢糖尿病患者の血糖コントロール目標を作成し、こうした患者の目標値は認知機能や日常生活動作(ADL)、併発疾患などを考慮して個別に設定すべきとの考えを示している。

研究グループは今回、高齢の2型糖尿病患者を対象に行ったCGMデータを用いて、低血糖(CGMで測定された血糖値70mg/dL未満と定義)のリスク因子を後ろ向きに検討する研究を行った。

研究では、65歳以上の高齢2型糖尿病患者170人を対象に、2011~2016年に行ったCGMデータを後ろ向きに解析し、血糖降下薬の種類、血糖変動、平均血糖値やHbA1c値による低血糖リスクへの影響を調べた。対象は現行の治療で血糖コントロールが安定しており、CGM中に治療を変更しなかった患者とした。対象患者の平均年齢は74.1±6.7歳、平均HbA1c値は8.2±1.8%であり、CGMの平均施行日数は3.7日間であった。

対象患者を、低血糖を認めた群と認めなかった群に分けて単変量解析した結果、低血糖リスクはインスリンを使用中の患者で高く(オッズ比2.17、95%信頼区間1.16~4.08、P=0.015)、DPP-4阻害薬を使用中の患者で低い(同0.47、0.25~0.89、P=0.019)ことが分かった。一方で、HbA1c値には両群間で有意な差は認められなかった。

また、ロジスティック回帰分析の結果、低血糖リスクは血糖変動幅が大きい患者に比べて変動幅が小さい患者で有意に低く(同0.87、0.83~0.91、P<0.0001)、さらに、平均血糖値が高い患者に比べて低い患者で有意に高い(同1.09、1.06~1.12、P<0.0001)ことも明らかにされた。なお、ロジスティック回帰分析によると、インスリンやDPP-4阻害薬の使用と低血糖リスクとの関連に有意性はみられなくなった。(HealthDay News 2017年4月24日)

Abstract
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jdi.12676/full

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高齢2型糖尿病患者に低血糖を起こさせない治療上のポイントとは?――千葉大の研究グループ

65歳以上の高齢2型糖尿病患者が低血糖を起こさないためには、血糖変動を抑え、平均血糖値も下げ過ぎない包括的な管理が重要であることを、千葉大学病院糖尿病・代謝・内分泌内科の横手幸太郎氏、越坂理也氏らの研究グループが持続血糖測定(CGM)データを用いた研究で明らかにした。「Journal of Diabetes Investigation」4月11日電子版に掲載の論文。

研究グループは、同患者170人(平均年齢74.1±6.7歳)を対象に2011~2016年に行ったCGMデータを後ろ向きに解析し、血糖降下薬の種類、血糖変動、平均血糖値やHbA1c値による低血糖リスクへの影響を調べた。(HealthDay News 2017年4月20日)

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遠隔診療の推進で糖尿病などの生活習慣病の重症化予防図る――2018年度診療報酬改定で評価、厚労省

政府が4月14日に開いた第7回未来投資会議では、新たな医療・介護・予防システムの構築について議論がなされ、塩崎恭久厚生労働大臣が人工知能(AI)などの最先端技術やICTインフラの整備を戦略的に進めるデータヘルス改革の方向性について概説した。改革の中で、2018年度の診療報酬改定に向けて、遠隔診療や介護ロボットの診療報酬上の評価を行うという。

遠隔診療の導入推進では、対面診療とオンライン診察を組み合わせて、糖尿病などの生活習慣病患者を効果的に指導・管理するほか、血圧・血糖などの遠隔モニタリングを活用して早期の重症化予防を図る考え。有効性や安全性に関する知見を集積し、2020年度以降の改定でも反映する方針が示された。(HealthDay News 2017年4月18日)

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基礎代謝と骨代謝の関連に血中ビタミンD値が重要な可能性――閉経後2型糖尿病患者で検討

閉経後の2型糖尿病患者において、骨代謝と基礎代謝が正の関連を示すには、血清中の25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)値が正常範囲内であることが重要である可能性が、「Journal of Diabetes Investigation」3月31日電子版に掲載の論文で報告された。

東京女子医科大学糖尿病センターの尾形真規子氏らは、閉経後の2型糖尿病患者44例を前向きに追跡し、骨代謝と基礎代謝の関連に影響する因子を検討した。対象患者のうち血清25(OH)D値が低値(20ng/mL未満)の23例には血中ビタミンD値を回復させる生活習慣の是正を指導し、このうち骨粗鬆症をもつ患者15例にはアルファカルシドールを投与した。(HealthDay News 2017年4月5日)

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特定健診・保健指導受診率増めざし、保険者機能を抜本強化へ――厚労省

厚生労働省は、40~74歳を対象とした特定健診・保健指導の受診率増加をめざし、医療保険者機能の抜本強化を図る方針を示した。特定健診の受診者数が少ない企業の健康保険組合には財政的な罰則を大幅に強化する一方で、受診率増などの成果を上げた場合には報酬を引き上げる。4月12日に開かれた経済財政諮問会議で塩崎恭久厚労相が表明した。2020年度には稼働させる予定。

2014年度の特定健診受診率は49%(目標70%)、保健指導受診率は18%(同45%)と目標にはほど遠い数値となっている。医療保険者に対するインセンティブを強化し、健診受診率の増加につなげるのが狙い。(HealthDay News 2017年4月17日)

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Woman exercising with dumbbells.

持久性運動と高強度で間欠的な運動はどちらが肥満者の体組成改善に有効か? ――オーストラリアの研究

中強度持続性トレーニング(MICT)と高強度インターバルトレーニング(HIIT)はいずれも短期間で過体重者や肥満者の体組成を改善するとの研究結果が、「Obesity Reviews」4月11日電子版に掲載された。

ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)のWewege氏らは、18~45歳の過体重者または肥満者を対象にMICTとHIITの効果を比較した13件の研究を対象にメタアナリシスを行った。その結果、MICT、HIITのいずれも平均週3回、10週間行うと全身脂肪量とウエスト周囲長が有意に減少した。体組成測定値には両群間で有意な差はなく、HIITはより少ない運動時間で改善効果が得られた。(HealthDay News 2017年4月17日)

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糖尿病は依然として世界的な脅威――米国とスウェーデンの研究

「New England Journal of Medicine」4月13日号には糖尿病に関する研究論文が2報掲載された。米ノースカロライナ大学のMayer-Davis氏らの研究によると、米国では2002~2012年に小児の1型糖尿病、2型糖尿病の発症率はともに増加傾向にあった。これらの年間増加率は白人に比べて人種的・民族的マイノリティで高かったという。

一方で、ヨーテボリ大学医学研究所(スウェーデン)のRawshani氏らの研究によると、1998~2014年に成人の1型糖尿病患者および2型糖尿病患者における心血管疾患の発症率と死亡率は低下していた。しかし、糖尿病患者におけるこれらの発症率は対照群に比べて依然として高かった。(HealthDay News 2017年4月13日)

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