2HDN糖尿病ニュース6月22日配信2

ブロッコリー新芽の成分が2型糖尿病の血糖管理に有望?

ブロッコリーの新芽(ブロッコリースプラウト)に多く含まれる「スルフォラファン」と呼ばれる物質が、肥満を伴う2型糖尿病患者の血糖コントロールに役立つ可能性のあることが、スウェーデンで行われた研究で分かった。

ただし、研究を行ったイェーテボリ大学(スウェーデン)のAnders Rosengren氏によると、この研究は小規模かつ追跡期間も短いもので、対象患者はメトホルミンを服用していたためスルフォラファン単独の作用を確認したものではない点を指摘している。また、研究で用いたスルフォラファンは純度と有害性を調べた上で濃縮したものを使用しており、「市販されているサプリメントを2型糖尿病の治療に用いることは勧められない」と、同氏は注意を促している。

スルフォラファンはカリフラワーやメキャベツ、ブロッコリーなどアブラナ科の植物に含まれる物質で、特にブロッコリースプラウトに多く含まれる。Rosengren氏らによると、これまでの基礎研究で、スルフォラファンは炎症の抑制に働き、がんや脂肪肝にも効果を発揮する可能性が示唆されているという。

同氏らは、まず、2型糖尿病に関連する遺伝子活性を調節する可能性がある化合物を同定するため、3,800超の物質をスクリーニングし、スルフォラファンに着目した。次に、培養した肝細胞を用いた実験でスルフォラファンは肝細胞におけるグルコース産生を抑制した他、糖尿病モデルラットを用いた実験では、肝臓において2型糖尿病に関連する一部の遺伝子発現が低下することが分かった。

さらに、同氏らはメトホルミンを服用中の2型糖尿病患者97人を対象にスルフォラファンの有効性を検討する臨床試験を行った。対象患者の多くで血糖コントロールは良好に管理されていたが、37人はコントロール不良例であった。対象患者を、メトホルミンに加えてスルフォラファンの粉末を12週間摂取する群とプラセボの粉末を摂取する群にランダムに割り付けて観察した。

その結果、研究開始時点で血糖コントロール不良だった肥満を伴う患者群では、スルフォラファンの摂取によりHbA1cの平均値が開始時の約7.4%から12週後には約7.0%へと低下したことが分かった。一方で、その他の患者群ではスルフォラファンによる血糖値の改善効果は確認されなかった。

Rosengren氏らの研究グループは今後、スルフォラファンが糖尿病前症から2型糖尿病への進展を抑制できるかどうかを調べる予定だという。なお、同氏らは、肝臓におけるグルコース産生抑制を目的としたスルフォラファン使用の特許を出願している。

一方で、ある栄養の専門家は「血糖調節の仕組みは複雑であり、たった1つの栄養素で血糖コントロールができるという誤解を広めることにならないか」と懸念を示している。しかし、Rosengren氏は「ブロッコリーを食べる量を増やすことは、血糖コントロール以外のさまざまな視点からも体に良い影響を与えるのは確かだ」とコメントしている。

この研究結果は「Science Translational Medicine」6月14日号に掲載された。(HealthDay News 2017年6月14日)

https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/food-and-nutrition-news-316/broccoli-extract-shows-promise-for-type-2-diabetes-723701.html

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2HDN糖尿病ニュース6月22日配信1

低血糖治療にグルカゴン含有の経鼻パウダーが有望

糖尿病患者にとって、低血糖は極めて危険な健康状態をもたらすリスクとなるが、経鼻投与できるパウダータイプのグルカゴンによって血糖値が迅速に正常化することを示した研究結果が第77回米国糖尿病学会(ADA 2017、6月9~13日、サンディエゴ)で報告された。この経鼻パウダーには、低血糖状態で意識を失っている患者にも、家族など周囲にいる人が簡単に投与できる利点もあるという。

グルカゴンは血糖値を上げる作用を有するホルモンで、既に低血糖治療に使用されているが、現在は注射タイプのものしかない。研究を主導した米ミネソタ大学のElizabeth Seaquist氏によると、注射タイプのグルカゴンは使用に恐怖心を抱く家族が少なくないが、経鼻パウダーを実際に使用した介護者の95%が「極めて簡単に使用できた」と回答しているという。

低血糖に陥った場合には、果汁や加糖飲料、キャンディーなど糖分を含む飲み物や食べ物をすぐに摂取すれば血糖値は正常に回復する。しかし、適切に対処しないと症状は悪化し、意識障害やけいれんが生じ、死に至ることもある。症状が続く場合や意識障害のため飲食できない場合には、グルカゴンを注射する。米疾病対策センター(CDC)によると、米国では重篤な低血糖によって病院に搬送される1型糖尿病の患者数は推定で年間30万人に上る。

今回の研究で使用された経鼻グルカゴンパウダーは、喘息治療などに使用されている経鼻ステロイド吸入薬に似た形状で、それよりもやや小さなデバイスに装填されているという。使用時には家族や介護者が患者の鼻孔に先端を挿入し、デバイスの底のボタンを押すとグルカゴンを投与できる。薬剤は鼻腔内で血液中に吸収される。共同研究者の1人で、Eli Lilly社の上級医療アドバイザーを務めるCristina Guzman氏は「患者は息をしたり吸い込んだりする必要がなく、極めて簡単に使用できる」と説明している。

研究では、1型糖尿病患者にあらかじめ経鼻グルカゴンパウダーを渡しておき、低血糖発作時にこのパウダーを使用してもらった。その結果、69人の患者で計157回の低血糖発作が起こったが、このうち96%の発作が経鼻グルカゴンパウダーを使用後30分以内に血糖値が正常に回復していた。一方、副作用については、注射タイプのグルカゴンと同様に吐き気や嘔吐の他、鼻粘膜刺激や頭痛などが報告された。

Eli Lilly社は現在、注射タイプのグルカゴン製剤を製造しているが、この経鼻グルカゴンパウダーを2018年中に米国食品医薬品局(FDA)に承認申請し、承認後には国外での販売も目指す予定。現在、製品名は未定で、販売価格も不明だ。なお、Seaquist氏は同社の顧問で、この研究は同社とパウダータイプのグルカゴン製剤を開発したLocemia社の資金援助を受けて実施された。(HealthDay News 2017年6月13日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/misc-diabetes-news-181/for-diabetics-nasal-powder-fixed-severe-low-blood-sugar-723607.html

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2HDN糖尿病ニュース6月15日配信2

インスリンを使用しない2型糖尿病患者の血糖自己測定は不要? ――ADA 2017で発表

インスリン療法を受けていない2型糖尿病患者は、血糖自己測定(SMBG)を行わなくても血糖コントロールには悪影響はないとする研究結果が第77回米国糖尿病学会(ADA 2017、6月9~13日、サンディエゴ)で発表され、「JAMA Internal Medicine」6月10日オンライン版に同時掲載された。こうした患者ではSMBGを行っても行わなくても1年後の血糖コントロールや健康関連QOL(生活の質)スコアに差はみられなかったという。

研究を行った米ノースカロライナ大学のLaura Young氏によると、良好な血糖コントロールを維持する最善策は、医師の指示通りに服薬を守ることと、きちんと自己管理を継続することにあるという。ただし、SMBGは新しい薬剤の服用を開始したり用量を変更する際には役立つ可能性がある他、「低血糖を避けるためにも、インスリン療法を受けている患者は定期的にSMBGを行うことが必須となる」と同氏は強調。患者は自分がSMBGを必要とするのかどうかを主治医に確認するようアドバイスしている。

今回対象としたのは、ノースカロライナ州にあるプライマリケアの15施設を受診している、インスリン療法を受けていない2型糖尿病患者450人(平均年齢61歳、平均罹病期間は8年)。対象患者を(1)SMBGを1日1回行う群(150人)、(2)SMBG+フィードバックメッセージを受け取る群(148人)、(3)SMBGを行わない群(152人)の3群にランダムに割り付けて1年間追跡した。なお、研究開始時には対象患者の約4分の3がSMBGを行っていた。

その結果、1年後の平均HbA1c値と健康関連QOLスコアには3群間で有意な差はみられなかった。なお、試験開始から数カ月間は、SMBGを行わなかった群に比べてSMBGを行った2群でHbA1c値は有意に改善していた。にもかかわらず1年後に有意差が消失したのは、「SMBG群ではコンプライアンスが徐々に低下したことが影響している可能性がある」と同氏らは指摘している。

糖尿病専門医である米モンテフィオーレ医療センター・臨床糖尿病センター長のJoel Zonszein氏は、今回の研究で導かれた結論には同意を示しているが、自身は全ての患者にSMBGの知識を身につけ、具合が悪い時や療法内容を変更した時には自己測定するように強く勧めているという。また、SMBGの目的は低血糖を回避することであり、「特にスルホニル尿素薬を服用している際には頻回の測定が必要だ」としている。

ただし、同氏自身の患者の多くはメトホルミンやGLP-1受容体作動薬、SGLT-2阻害薬を服用している患者が多く、「これらの薬剤を服用している場合は重症の低血糖の頻度は極めて低く、SMBGを必要とするケースはほとんどみられない」と付け加えている。また、頻回の自己測定は抑うつにつながる可能性もあるとし、「SMBGは穿刺による痛みを伴い、コストも高い。患者に行ってもらうには、それ相応の理由が必要になるだろう」とコメントしている。(HealthDay News 2017年6月10日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/type-ii-diabetes-news-183/can-folks-with-type-2-diabetes-forgo-the-finger-stick-723567.html

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2HDN糖尿病ニュース6月15日配信1

SGLT2阻害薬で糖尿病性ケトアシドーシスのリスクが増加

2型糖尿病の治療に用いるSGLT2阻害薬は、頻度はまれだが生命に危険を及ぼす糖尿病ケトアシドーシス(DKA)のリスクを増加させる可能性のあることが、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のMichael Fralick氏らの検討で分かった。詳細は「New England Journal of Medicine」6月8日号に掲載された。

SGLT2阻害薬(一般名はカナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジンなど)は2013年(日本国内は2014年)に上市された比較的新しい薬剤だが、2015年には米国食品医薬品局(FDA)が同薬によるDKAリスク増加について警告を発出している。

DKAは、1型糖尿病患者だけでなく2型糖尿病患者でもごくまれに起こる合併症で、悪心や嘔吐、腹痛に止まらず脳浮腫や昏睡を引き起こし、治療せずに放置すると命に関わる重大な合併症だ。

今回の研究は、米国の大規模な民間保険会社の請求データを用いて、2013~2014年にSGLT2阻害薬またはDPP-4阻害薬の服用を新たに開始した2型糖尿病患者(それぞれ5万220人、9万132人)を対象に解析したもの。解析の結果、SGLT2阻害薬を服用する群ではDPP-4阻害薬(一般名はシタグリプチンリン、サキサグリプチンなど)を服用する群に比べて、DKAリスクが約2倍に上っていた(1,000人年当たり4.9件対2.3件;ハザード比2.1、95%信頼区間1.5~2.9)。

Fralick氏らは、SGLT2阻害薬を服用する患者でDKAを発症したのは1,000人に1人の割合に過ぎず、そのリスクは極めて低い点を強調しながらも、DKAは1型糖尿病患者の合併症と広く認識され、2型糖尿病ではあまり注意を払われていないため見過ごされている危険性があると指摘。「2型糖尿病患者でもDKAの徴候が現れていないかを注意深く観察する必要がある」と述べている。

米レノックス・ヒル病院で内分泌を専門とするMinisha Sood氏によると、SGLT2阻害薬は尿中へのグルコースの排泄を促進する機序で注目を集めた一方で、同薬は血中ケトン体を増加させるホルモン(グルカゴン)の分泌を促進する作用も併せ持つ。ケトン体の過剰な蓄積はDKAの発症につながるという。

そのため、Sood氏も「特にSLGT2阻害薬を使い始めた最初のうちは、医師も糖尿病患者もDKAの可能性に気を配るべきだ」とアドバイスしている。しかし、この結果はSLGT2阻害薬の使用を阻むものではなく、同薬の血糖コントロールの有益性は有害性を明らかに上回るとも述べている。(HealthDay News 2017年6月7日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/misc-diabetes-news-181/study-confirms-link-between-diabetes-med-and-rare-but-dangerous-complication-723438.html

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2HDN糖尿病ニュース6月8日配信2

「70歳でも血管年齢20歳」は可能――ただし相当な努力が必要

70歳を超えても20歳代のしなやかで健康な血管を維持する-これは簡単ではないが、実現可能であることを示唆する新たな研究結果が報告された。

3,000人超の成人を対象とした同研究では、適切な食生活や運動習慣を守り、引き締まった体型を維持すれば、加齢に伴う血管の老化を食い止められる可能性のあることが示された。一方、血管年齢を若く保つ上で、遺伝的な要因は生活習慣ほど大きく影響するわけではないことも分かった。

研究を実施した米ボストン大学医学部のTeemu Niiranen氏によると、ヒトの血管は高齢になるほど硬くなり、血圧が上昇するが、こうした変化は心疾患や脳卒中の重大なリスク因子になるという。「血管を若く保つ特効薬はないが、極めて健康的な生活習慣を送っている人は血管年齢が若いようだ。例えば、狩猟採集して暮らす先住民族では高血圧はほとんどみられない」と、同氏は話している。

Niiranen氏らは今回、米国立心肺血液研究所(NHLBI)によるフラミンガム心臓研究に参加した50歳以上の成人3,196人のデータを用いて研究を行った。研究では、高血圧がなく、脈波伝播速度(PWV)で動脈硬化が認められない場合を「健康的な血管年齢」と定義した。その結果、対象者の17.7%が健康的な血管年齢を維持していた。また、若いほど健康的な血管年齢である割合は高く、50~59歳では30%を占めていたが、70歳以上では1%のみで、主に女性だった。

さらに、米国心臓協会(AHA)が健康的な心血管を目指した啓発キャンペーン“Life’s Simple 7”で達成すべき目標として提唱している、血圧や脂質、血糖のコントロールや健康的な食生活、運動習慣、減量、禁煙などの7項目のうち、6項目を達成している人では、0~1項目しか達成していない人と比べて健康的な血管年齢を維持している可能性が10倍以上高かった。さらに、健康的な血管年齢を維持している人では、心疾患や脳卒中を発症するリスクが55%低かった。

米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)教授のByron Lee氏は「食生活や運動習慣に気をつけ、血圧や脂質などをきちんと管理すれば不可避と考えられていた動脈硬化を遅らせるだけでなく、進行を食い止めることさえできる」と強調。「今回の研究結果を受けて健康的なライフスタイルを選択する人が増えることが期待される」としている。

この研究報告は「Hypertension」5月30日オンライン版に掲載された。(HealthDay News 2017年5月30日)

https://consumer.healthday.com/circulatory-system-information-7/coronary-and-artery-news-356/can-a-70-year-old-have-the-arteries-of-a-20-year-old-723167.html

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2HDN糖尿病ニュース6月8日配信1

特定の術式による減量手術後に腸内細菌叢が変化

減量手術の術式の1つである腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術(RYGB)が、腸内細菌叢に大きな変化をもたらすことを示した研究結果が明らかになった。RYGBを受けた患者では、腸内細菌叢の多様性が増すことが分かったという。

米アリゾナ州立大学のRosa Krajmalnik-Brown氏らが減量手術を受ける前の肥満患者、適正体重者、RYGBまたは腹腔鏡下調節性胃バンディング術(LAGB)を受けた肥満患者の便サンプルを用いて腸内細菌叢を調べた結果、RYGBを受けた患者では細菌叢が適正体重者やLAGBを受けた患者とは異なることが分かった。また、RYGBを受けた患者の細菌叢は、LAGBを受けた患者と比べてより高い多様性を示していた。

Krajmalnik-Brown氏は「腸内細菌叢が多様であることは好ましい状態にあると言える。今回の知見は、肥満について理解を深め、適切に管理する一助となるのではないか」との期待を示している。

また、共同研究者の米メイヨー・クリニック(アリゾナ州)で消化器を専門とするJohn DiBaise氏は「腸内細菌叢の組成や機能に関する今回の新しいデータを受けて、減量手術後の減量と腸内細菌叢との関連について一気に理解を深めることができた」とコメントしている。

この研究結果は「ISME(International Society for Microbial Ecology)Journal」5月26日オンライン版に掲載された。(HealthDay News 2017年5月26日)

https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/microbiome-probiotics-986/gut-bacteria-changes-after-some-weight-loss-surgeries-723082.html

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2HDN糖尿病ニュース6月1日配信2

睡眠不足でメタボ患者の心臓病や脳卒中死亡リスク高まる

腹部肥満や高血糖、高血圧、脂質異常などのリスク因子を複数持つメタボリック症候群患者では、1晩の睡眠時間が6時間未満と睡眠不足であると心臓病や脳卒中による死亡リスクが倍増する可能性のあることが、新しい研究で示された。

米国では、腹部肥満、脂質異常(中性脂肪値またはHDL-コレステロール値の異常)、高血圧、高血糖のうち3つ以上に該当すると「メタボリック症候群」と診断される(注:日本国内では腹部肥満が必須項目とされる)。

「メタボリック症候群の患者は睡眠不足を解消すると、早期死亡につながる心筋梗塞や脳卒中のリスクを低減できる可能性がある」と、研究を主導した米ペンシルバニア州立大学Milton S. Hershey医療センター・睡眠研究治療センターのJulio Fernandez-Mendoza氏は述べている。

今回の研究は、一般住民から無作為に抽出した成人男女1,344人(平均年齢49歳)を対象に、睡眠検査室で一晩寝てもらって睡眠時間を測定し、その後、平均で約17年間追跡したもの。ベースライン時には参加者の39%がメタボリック症候群であった。

その結果、追跡期間中に参加者の22%が死亡した。検査室での睡眠時間が6時間未満だったメタボリック症候群の患者群では、同じく睡眠不足だがメタボリック症候群のリスク因子が2つ以下だった群に比べて心臓病または脳卒中による死亡リスクが2.1倍であることが分かった。一方で、睡眠時間が6時間以上だった同患者では、これら2つの疾患による死亡リスクは約1.5倍であった。

また、睡眠時間が短かったメタボリック症候群の患者群では、全死亡リスクも2倍近くであることが明らかにされた。同氏らは、心疾患のリスク因子として知られる睡眠時無呼吸を考慮して解析していることから、今回示された睡眠とメタボリック症候群の関連は注目に値すると強調している。

ただし、この研究は睡眠不足とメタボリック症候群、心臓病や脳卒中による死亡との関連を示したに過ぎず、これらの関連には多くの因子が関与していると、同氏は指摘している。メタボリック症候群患者と睡眠不足の人は共通して座りがちな生活を送りがちで、食生活の質も悪いことが多いが、今回の研究ではこの点は考慮されていないという。

また今回の研究では、特に高血圧や高血糖のリスク因子を保有する人が睡眠不足になると、早期死亡リスクが増加することも示されており、「睡眠不足のメタボリック症候群患者では、自律神経系の問題や代謝異常を抱えている可能性がある」と、同氏は示唆している。これらをまとめて、同氏は「メタボリック症候群のリスク因子を持つ人は睡眠時間に配慮すべきだ。睡眠時無呼吸や不眠症、睡眠障害を行動療法や薬物治療でコントロールすることも有効な手段になると思われる」と述べている。

米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のByron Lee氏は、この研究からは、短時間睡眠が早期死亡の要因であるのか、あるいは単に不健康である徴候に過ぎないのかを判断するのは難しいとしながらも、「いずれにせよ、患者は自分の睡眠時間や質に気をつけるべきで、よく眠れない場合には医師に相談することが勧められる」とアドバイスしている。

この報告は「Journal of the American Heart Association」オンライン版に5月17日掲載された。(HealthDay News 2017年5月24日)

https://consumer.healthday.com/sleep-disorder-information-33/misc-sleep-problems-news-626/sleepless-nights-could-pose-heart-risk-dangers-723020.html

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2HDN糖尿病ニュース6月1日配信

米女優アンジェラ・バセット、糖尿病と心疾患の関連強く訴え

米女優のアンジェラ・バセット(Angela Bassett)は、数十年にわたり映画やテレビで広く活躍し、1993年にはゴールデン・グローブ賞を受賞、アカデミー主演女優賞にもノミネートされるなど女優として輝かしい経歴を持つ。そうした彼女が最近、精力的に取り組んでいるのが、2型糖尿病と心血管疾患との関連にスポットライトを当てた啓発活動だという。

バセットはこの問題に詳しい。というのも、2型糖尿病を患っていた彼女の母親が2014年、心疾患のため78歳で亡くなったことによる。

「母を亡くすまで、2型糖尿病が心筋梗塞などと強く関わることに気づかなかった」とバセットは当時を振り返っている。彼女は、もしこうしたリスクを知っていて、母親の生活習慣を改善できていれば結果は大きく違っていただろうと後悔の念を語っている。

米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)循環器内科学部門の部門長を務めるGregg Fonarow氏は「2型糖尿病患者では心筋梗塞や脳卒中、末梢動脈疾患の発症やこれらの疾患による早期死亡リスクが高く、心不全のリスクも2~8倍に高まる。しかし、心血管疾患は2型糖尿病患者の死亡や障害の原因の第1位を占めることは意外と知られていない」と指摘している。また、米国心臓協会(AHA)によると、成人の糖尿病患者では糖尿病を持たない人に比べて、心血管疾患による死亡リスクは2~4倍に上るという。

米国では5月半ばに「For Your SweetHeart」と銘打ったキャンペーンが開始された。これは、2型糖尿病患者は心血管疾患を発症しやすいことを認識しておくことの重要性を啓発する活動で、製薬企業のベーリンガーインゲルハイム社とイーライリリー・アンド・カンパニー社の資金提供によって展開されている。キャンペーンサイト(https://www.foryoursweetheart.com/)では教育ビデオや専門家による解説、糖尿病と心血管疾患の関連にまつわるクイズなどが閲覧できる。

糖尿病と心血管疾患が密接に関わる原因について、AHAは「これら2つの疾患には高血圧、LDL-コレステロールや中性脂肪などの脂質異常、過体重や肥満、座りがちな生活習慣などの多くのリスク因子が共通しているためだ」と説明している。一方、Fonarow氏は「幸運にも、2型糖尿病患者は食生活の見直しや定期的な運動を行うことで心血管リスクを大きく低減できる」と説明している。

運動に関しては、AHAは糖尿病患者に対して、中強度の有酸素運動を週に150分以上、あるいは高強度の有酸素運動を週に75分以上行うよう推奨している。また、中強度~高強度の筋肉トレーニングを週に2回以上行うことも勧めている。さらに、米国糖尿病協会(ADA)は普段の生活で座位時間を減らすよう強く推奨しており、30分ごとに立ち上がって2~3分歩くようにアドバイスしている。

同氏は「アスピリンやスタチン、ACE阻害薬といった心血管保護に働く薬の服用も選択肢として考えられる」としつつ、「糖尿病患者は医師とよく相談の上、心血管リスクを低減させる最適な方策を練る必要がある」と述べている。

糖尿病を持つ家族がいるバセットは、医師から糖尿病前症になりやすいとも言われており、自分の健康には最大限の注意を払っているという。彼女の伯父も糖尿病患者であるが、健康への意識を高めて食生活を改善し、服薬を遵守しているという。「意識すること。それが第一のステップとなる」と、バセットは述べている。(HealthDay News 2017年5月16日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/type-ii-diabetes-news-183/angela-bassett-puts-the-spotlight-on-heart-health-722634.html

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2HDN糖尿病ニュース5月25日配信2

野菜や果物を多く食べると末梢動脈疾患の予防につながる?

野菜や果物の摂取量が多い人では、下肢の動脈が閉塞してさまざまな症状を引き起こす末梢動脈疾患(PAD)を予防できる可能性のあることが、「Arteriosclerosis, Thrombosis and Vascular Biology」オンライン版に5月18日掲載された論文で報告された。

「この知見は、普段の食生活に野菜や果物を積極的に取り入れることが重要とするさらなるエビデンスとなるものだ」と、研究著者である米ニューヨーク大学医学部のSean Heffron氏は述べている。

PADでは下肢の動脈が閉塞して血流が不足し、歩行や立つことが困難になり、下肢にしびれや痛みが生じる。その多くは動脈硬化が原因とされている。

この研究では、病歴や生活習慣に関する質問票に回答し、PADのスクリーニングを受けた平均年齢64歳の男女約370万人のデータを解析した。対象者のうち約6割が女性であった。なお、PADは足関節上腕血圧比(ABI)0.90以下と定義した。

その結果、野菜や果物の摂取量とPADの有病率との間には負の関連が認められ、野菜や果物を1日に3サービング以上(1サービングは生の葉野菜で1カップ、調理した葉野菜やそれ以外の野菜では2分の1カップ、リンゴやバナナ、オレンジは中1個を指す)摂取する人では、摂取量が少ない人に比べてPADの発症リスクが18%低いことが分かった。

また、対象者のうち、高齢の白人女性では野菜や果物を1日に3~4サービング摂取する人が多かったが、若い黒人男性では摂取頻度は低いことも明らかにされた。また、これらの摂取頻度が低い喫煙者や過去に喫煙していた人で特にPADリスクが高かったという。

同氏は「野菜や果物を食べることの重要性を広く周知させるとともに、PAD患者には、医療者が食生活を評価してカウンセリングを行う必要があるだろう」と述べている。

これまでの研究で、野菜や果物の摂取頻度が少ないと心疾患や脳卒中の発症リスク増加と関連する可能性が示されているが、PADとの関連を検討した研究はほとんどなかった。今回の研究はこれらの関連性を示したに過ぎないが、「普段の食事に野菜や果物を足すだけで生命に危険を及ぼすPADの予防につながるという、公衆衛生上で重要な情報をもたらすものとして重要な知見だ」と、共著者である同大医学部のJeffrey Berger氏は付け加えている。(HealthDay News 2017年5月18日)

https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/food-and-nutrition-news-316/fruits-veggies-may-benefit-your-legs-too-722759.html

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2HDN糖尿病ニュース5月25日配信1

外気温の上昇で妊娠糖尿病リスクが高まる可能性

外気温が上昇すると妊娠糖尿病の発症リスクが高まる可能性のあることが、カナダで行われた研究で報告された。「CMAJ(Canadian Medical Association Journal)」オンライン版に5月15日掲載された論文によると、妊娠中に気候が温暖だった妊婦に比べて、外気温が-10度と極端に寒い地域で過ごした妊婦では妊娠糖尿病の有病率が低かったという。

研究を主導したセント・マイケルズ病院Li Ka Shing Knowledge研究所(カナダ、トロント)のGillian Booth氏は「気温の変化が妊娠糖尿病リスクに及ぼす影響はごくわずかでも、影響を受ける女性は世界中に多くいることから無視できない問題である可能性がある」と述べている。また、同氏は、地球温暖化で気温が上昇している地域では妊娠糖尿病の増加が懸念されるとも指摘している。

今回の研究は、行政の診療データベースを用いて、2002~2014年の12年間にわたり、オンタリオ州のトロントを中心とした大都市圏に住む約39万人の女性の出産55万5,911件を対象とした。妊娠中期(妊娠24~28週)の妊娠糖尿病スクリーニング実施前の30日間における平均外気温を調べ、妊娠糖尿病の有病率との関連を分析した。

その結果、外気温が平均で-10度以下の地域に住んでいた女性では妊娠糖尿病の有病率は4.6%だったのに対し、平均気温が24度以上だった地域の女性では有病率は7.7%に増加していた。

また、妊娠糖尿病の有病率は、平均気温が10度上昇するごとにわずかに増加(1.06 倍)し、こうした関連は女性が生まれた地域の気候が温暖だったか、寒冷だったかにかかわらず認められた。さらに、平均気温の上昇に伴う妊娠糖尿病の有病率増加は、同じ女性が2回妊娠した場合でも継続して認められたという。

同氏らは、外気温と妊娠糖尿病の関連は「褐色脂肪細胞」で説明できる可能性があるとしている。褐色脂肪細胞はエネルギーを燃焼するため、「極端に寒い環境では褐色脂肪細胞が活性化されることで体重増加を抑えて、血糖値の改善につながる可能性があるのではないか」と、同氏らは説明している。

一方で、これらの関連に懐疑的な見方を示す専門家もいる。米モンテフィオーレ医療センター(ニューヨーク市)臨床糖尿病センター長のJoel Zonszein氏は「この知見は、地球温暖化と世界中で増え続けている糖尿病患者との関連を裏づけるものではなく、決定的と結論づけるには時期尚早だ」と述べている。

また、同氏は、妊娠糖尿病の発症原因には遺伝的素因が特に重要であるが、不健康な食生活や運動不足、ストレス、睡眠不足など多様な環境因子も関与しており、気温はその1つに過ぎないとしている。

しかし、2016年にスウェーデンで行われた研究では、妊娠糖尿病の発症率は冬場よりも夏場に高いことが報告されていることを踏まえ、Booth氏は、無事に出産を迎えるためには妊娠中の食生活や運動に配慮することに加えて、気温の管理も重要になるとし、「冬場には暖房を止めて外出する、夏場にはエアコンを使用することなどが、妊娠糖尿病リスクの低減につながる可能性がある」と述べている。また、同氏は、今回の知見は妊娠糖尿病とリスク因子が重なる2型糖尿病にも通じるものだとしている。(HealthDay News 2017年5月15日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/misc-diabetes-news-181/as-temps-rise-risk-of-pregnancy-complication-may-too-722697.html

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