8.3.1

低HbA1c値は高齢2型糖尿病患者フレイルのリスク因子 ――日本人患者で検討

日本人の高齢2型糖尿病患者において、低HbA1c値はフレイル(虚弱)のリスク因子になり得ることが、福岡大学内分泌・糖尿病内科教授の柳瀬敏彦氏と誠和会牟田病院(福岡県)内分泌・糖尿病内科の柳田育美氏、名和田新氏らの検討で分かった。2016年に日本糖尿病学会と日本老年医学会が示した高齢者糖尿病の血糖コントロール目標では、重症低血糖リスクが危惧される場合は目標下限値を設定することとされたが、高齢者のフレイルリスクを考慮してもこれは妥当と言えるとしている。詳細は「Journal of Diabetes Investigation」5月27日オンライン版に掲載された。

高齢者が筋力や心身の活力が低下した状態は「フレイル」と呼ばれるが、これまでの研究から、高齢の2型糖尿病患者では血糖コントロールが悪くてもHbA1c値が低すぎても、身体的側面で評価したフレイルスコアの上昇と関連する「Uカーブ」現象がみられることが報告されている。今回、研究グループは、日本人の高齢2型糖尿病患者を対象に、HbA1c値を含めた患者側のどの因子が身体的・精神的側面で評価したフレイルのリスク因子となり得るのかを検討する後ろ向き観察研究を行った。

研究では、65歳以上の2型糖尿病患者132人(男性が63人、平均年齢78.3歳、平均HbA1c値7.0%)を対象に、身体的・精神的側面を7段階で評価するClinial Frailty Scale(CFS)を用いてフレイルスコアを算出した。スコア9に該当する患者がいなかったため、スコア1~4を「フレイルなし群(77人)」、スコア5~8を「フレイルあり群(55人)」に分けて患者側のさまざまな因子(HbA1c、ヘモグロビン、血清アルブミン、AST・ALT、クレアチニン、尿酸、脂質、血圧の各値、身長や体重、BMIなど)との関連を調べた。

多変量回帰分析の結果、加齢と血清アルブミン、HDL-コレステロール、収縮期血圧(SBP)、HbA1c、総コレステロール(TC)、体重の低値はいずれもフレイルの独立したリスク因子であり、年齢と血清アルブミンとの関連が最も強いことが分かった。

研究グループは「今回の解析で重要な点は、従来、動脈硬化症の発症予防などの観点から中高年の健康指標として低値が望ましいとされてきたHbA1c、体重、コレステロールなどの代謝マーカーは、高齢2型糖尿病患者においては、逆に低値が重症フレイルのリスク因子になること(リバースメタボリズムと言う)を明らかにした点にある」と述べている。特に高齢2型糖尿病患者における低HbA1c値については、低血糖と同時に、フレイルの点からのケアが重要であることを示しているとしている。(HealthDay News 2017年6月19日)

Abstract
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jdi.12698/abstract

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4.1.1

夜遅く食べても食後血糖値の上昇を抑える方法は? ――日本人2型糖尿病患者で検討

21時以降の夜遅い食事は食後高血糖をもたらしやすいが、夜遅く食事をとる数時間前に野菜や炭水化物を少量摂取しておくと、こうした食後血糖値の上昇を抑えられる可能性のあることが、京都女子大学家政学部食物栄養学科教授の今井佐恵子氏と梶山内科クリニック(京都府)院長の梶山静夫氏らの検討で分かった。「遅い時間の食事が避けられない場合でも、食事を2回に分けることで食後高血糖を抑えられ、結果的に合併症リスクの低減にもつながるかもしれない」と、今井氏は話している。詳細は「Diabetes Research and Clinical Practice」5月16日オンライン版に掲載された。

朝食を抜く、夕食を夜遅く食べるといった不規則な食生活は肥満リスクを上昇させることが知られているが、2型糖尿病患者の食後血糖値への影響はあまり検討されていなかった。今井氏らは2014~2015年に、2型糖尿病患者を対象に夕食を21時に単回摂取した場合と18時および21時の2回に分けて摂取した場合による食後血糖値への影響を検討した。

この研究は2型糖尿病患者16人(平均年齢70.3歳、平均HbA1c値は7.2%)を対象としたランダム化クロスオーバー試験。対象患者のうち6人は食事療法のみを行っており、残り10人は経口血糖降下薬を服用していた。

対象患者には、5日間の試験期間を通して持続血糖測定モニター(CGM)を装着してもらい、摂取カロリーや栄養素を調整した試験食を提供して自宅で決められた時間に食べてもらった。初日は21時に夕食、2日目以降は朝食(8時)、昼食(13時)とした上で2日目および4日目は夕食を21時に単回摂取する群または2回(18時には野菜と炭水化物、21時には野菜と主菜)に分けて摂取する群にランダムに割り付けてクロスオーバーさせ、3日目は全ての患者が18時に夕食を摂り、5日目の朝食後にCGMを外してもらった。

その結果、夕食を18時に単回摂取した場合に比べて、21時に単回摂取すると23時~翌8時の血糖上昇曲線下面積(IAUC)と上昇血糖ピーク(IGP)が有意に高くなり、食後血糖値が上昇しやすくなることが分かった(IAUC:147mmol/L×分対644mmol/L×分、IGP:3.09mmol/L対6.78mmol/L、いずれもP<0.01)。さらに、夕食を21時に単回摂取した方が24時間の平均血糖変動幅(mean amplitude of glycemic excursions;MAGE)も高くなる傾向がみられた(6.99mmol/L対5.35mmol/L、P=0.077)。

一方で、夕食を18時と21時の2回に分けて摂取すると23時~翌8時のIAUC(142 mmol/L×分)、夕食後のIGP(3.75mmol/L)、MAGE(5.33mmol/L)はいずれも有意に抑えられていた(いずれもP<0.01)。(HealthDay News 2017年6月19日)

Fulltext
http://www.diabetesresearchclinicalpractice.com/article/S0168-8227(17)30133-X/fulltext

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Woman taking blood sample for measuring sugar level

日本人高齢2型糖尿病患者の臨床像と処方傾向を解析 ――3万人を超える患者データを分析

400人を超える90歳以上の患者を含めた大規模な高齢2型糖尿病患者データの解析から、高齢患者の血糖や脂質は良好にコントロールされており、また高齢になるほど経口薬やインスリン製剤の処方内容は簡略化していることが分かった。糖尿病データマネジメント研究会(JDDM)のデータを福元医院(鹿児島県)の福元良英氏らが解析したもので、詳細は、5月18~20日に愛知県名古屋市で開かれた第60回日本糖尿病学会年次学術集会で報告された。

対象は、JDDM参加施設を2015年7月以前に初診し、2016年5~7月に受診歴がある60歳以上の2型糖尿病患者3万5,655人。対象患者を年齢でⅠ群:60~69歳(1万5,690人)、Ⅱ群:70~79歳(1万3,930人)、Ⅲ群:80~89歳(4,563人)、Ⅳ群:90歳以上(404人)の4群に層別し、年代別の臨床像と治療内容を比較した。

解析の結果、2型糖尿病の推定罹病期間と通院期間は、高年代になるほど延長していた。血圧・血糖・脂質の年代別の傾向をみると、高年代ほど収縮期血圧(SBP)は高く、拡張期血圧(DBP)は低くなる傾向がみられ、また、平均HbA1c値は70歳代以上では6.9%、60歳代でも7.0%と良好にコントロールされていた。さらに、LDL-コレステロール、HDL-コレステロール、トリグリセライド(TG)の各値はいずれも高年代ほど低かったが、クレアチニン値は加齢に伴い高値を示した。

全体的な処方内容については、高年代になるほど食事療法の割合が増加し、経口薬の割合は減少した。経口薬の処方頻度はI群ではSU薬+ビグアナイド(BG)薬+DPP-4阻害薬が最も多く、II・III・IV群ではDPP-4阻害薬の単剤処方が最も多かった。経口薬の処方は、高齢になるほどDPP-4阻害薬の単独投与が増えた他、数ある処方の中で上位5位以内の処方が占める割合も高まり、処方を簡略化する傾向がみられた。インスリンの使用状況は、高年代ほど超速効型+持効型療法の割合が低下し、経口薬を併用するBOT(basal supported oral therapy)療法の割合が高まっており、高齢患者における低血糖への配慮が伺えた。(HealthDay News 2017年6月12日)

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Close-up of Women's running shoes on a paved trail.

インターバル速歩直後の乳製品摂取が生活習慣病症状を改善 ――日本人の中高年女性で検討

中高年者では早歩きとゆっくり歩きを3分間ずつ交互に繰り返す「インターバル速歩」を行うと筋力が向上し、全身の炎症反応が抑制されることが知られている。今回、運動直後に多くの乳製品を摂取するとその効果が高まることが、信州大学バイオメディカル研究所の能勢 博氏らの研究グループによるランダム化比較試験で分かった。結果は「PLOS ONE」5月17日オンライン版に掲載された。

加齢に伴う筋力の低下は全身の炎症反応や生活習慣病の発症と関連しており、この低下を食い止めるには適切な運動と栄養摂取が有効とされているが、実際の処方は確立していない。

能勢氏らは今回、インターバル速歩を6カ月以上実践して、その効果が頭打ちになっている中高年女性37人(平均年齢66歳)を対象に、さらに5カ月間、同じトレーニングを実施してもらい、運動直後の乳製品摂取による効果を検証した。

対象者を、(1)インターバル速歩のみを行う群(12人)、(2)インターバル速歩+直後に少量の乳製品(たんぱく質4g+炭水化物3gを含有)を摂取する群(12人)、(3)インターバル速歩+多くの乳製品(少量群の約3倍)を摂取する群(13人)に無作為に割り付け、インターバル速歩を1日30分、週に4日以上、5カ月間行ってもらった。

その結果、3群間でインターバル速歩の達成率に差は認められなかったが、多くの乳製品を摂取した群のみで介入後に筋力が平均で8%増加し、全身に炎症反応を引き起こす遺伝子であるNFKB1とNFKB2の活性がそれぞれ29%、44%抑制されていた。一方で、インターバル速歩のみを行った群と少量の乳製品を摂取した群ではこれらの変化は認められなかった。

以上の結果から、同氏らは「乳製品は手頃な価格で手に入れやすい。生活習慣病の予防や治療のためにも、運動の後には乳製品を摂取する習慣をつけて欲しい」と述べている。(HealthDay News 2017年6月12日)

Abstract
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0176757

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Kidneys

日本人2型糖尿病患者のアルブミン尿陽性率は約30% ――JDCP studyベースラインデータを用いた解析

大規模前向き観察研究であるJDCP(Japan Diabetes Complication and its Prevention Prospective)studyのベースラインデータの解析により、日本人2型糖尿病患者のアルブミン尿陽性率は約30%で、正常アルブミン尿でありながら腎機能低下がみられる患者は全体の約1割にみられることが、岡山大学病院新医療研究開発センターの四方賢一氏らの検討で分かった。過去の報告に比べてアルブミン尿陽性率は低下したが、正常アルブミン尿+腎機能低下症例の割合には変化がみられず、同氏は「日本人2型糖尿病患者の腎病変は多様化している可能性がある」と指摘している。第60回日本糖尿病学会年次学術集会(5月18~20日、愛知県名古屋市)での報告。

JDCP studyは、2007~2009年に登録した全国の糖尿病医療機関に通院中の1型および2型糖尿病患者(40~74歳)6,338人を前向きに観察したもの。今回の研究では、同研究に参加した2型糖尿病患者5,944人のうち腎症に関するベースラインデータが登録されている5,194人を対象に、腎症の合併率や病期、その発症に関連する因子を検討した。

その結果、対象患者におけるアルブミン尿の頻度は、正常アルブミン尿が約70%、微量アルブミン尿が25%、顕性アルブミン尿が5.1%とアルブミン尿陽性率は約30%であることが分かった。アルブミン尿陽性率は2007年のJDDM(糖尿病データマネジメント研究会)の報告(42%)に比べて低かった。腎症の病期分類は腎症前期(第1期)が全体の約70%、早期腎症期(第2期)が約25%、顕性腎症期(第3期)が約5%、腎不全期(第4期)が0.7%であった。

近年、注目されている正常アルブミン尿でありながら腎機能低下〔推定糸球体ろ過量(eGFR)が60mL/分/1.73m2未満〕がみられる患者の割合は、正常アルブミン尿者の12.9%、対象患者全体では9.0%であった。なお、この割合は2009年のJDDMの報告(正常アルブミン尿者の11.4%、全体の7.9%)と同程度であった。

アルブミン尿が正常な患者と陽性の患者では、年齢、糖尿病罹病期間、高血圧や脂質異常症の既往、体重、BMI、ウエスト周囲長の他、HbA1cや空腹時血糖、血圧、HDL-コレステロールなどの各測定値に有意差がみられた。また、腎機能低下の有無(eGFR 60mL/分/1.73m2以上または未満)でも同様の指標に有意差がみられたが、後者では飲酒習慣があると腎機能が保存されるとの結果が得られた。

さらに、多重ロジスティック回帰分析によると、アルブミン尿の発症には年齢、糖尿病罹病期間、高血圧の既往、BMI、HbA1c値およびeGFRが関連因子であることが分かった。これらの因子はeGFR低値とも関連していたが、腎機能低下には男性、脂質異常症の既往、アルブミン尿といった因子も関連することが判明し、アルブミン尿と腎機能低下に関連する因子には一部に相違がみられた。

今回はベースラインデータの解析であったが、同氏らのワーキンググループは今後、観察期のデータを解析することで腎症の発症進展率や進展に関連する因子、寛解の頻度などを検討していく予定だとしている。(HealthDay News 2017年6月5日)

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Close-up Of Patient Hands Measuring Glucose Level Blood Test With Glucometer

インスリン分泌能評価に通常食負荷試験の実用性高い ――鳥取大の研究グループ

2型糖尿病患者が高血糖状態(空腹時血糖値が147mg/dL以上)ではない場合、インスリン分泌能の評価にはグルカゴン負荷試験よりも通常食の食事負荷試験(normal meal tolerance test;NMTT)が簡便で有用性が高いことが、鳥取大学附属病院内分泌代謝内科の藤岡洋平氏と大倉 毅氏らの研究グループの検討で分かった。ただし、高血糖状態の場合にはグルカゴン負荷試験を行うべきとしている。詳細は「Journal of Diabetes Investigation」オンライン版に5月11日に掲載された。

研究グループは、2型糖尿病患者142人を対象に、グルカゴン負荷試験と通常食を用いたNMTTの有用性を比較検討した。NMTTは標準体重によるカロリー調整食を用いて行い、Cペプチド免疫活性(CPR)を空腹時と食後2時間の2回測定し、一方のグルカゴン負荷試験ではCPRを空腹時とグルカゴン注入から6分後の2回測定した。負荷後のCPRから空腹時のCPRを減産してCPRの変化量(ΔCPR)を算出した。

その結果、CPRの平均変化量は、グルカゴン負荷試験後では2.0ng/mL、NMTT後では3.1ng/mLであった。対象患者のうち104人でCPRの変化量はNMTT後の方がグルカゴン負荷試験後よりも大きく、平均変化量もNMTT後の方が有意に大きかった(P<0.05)。糖尿病治療薬を服用していない患者42人に限定した解析でも、CPRの平均変化量はNMTT後の方が有意に大きかった(4.3ng/mL対2.4ng/mL;P<0.05)。

また、NMTT後よりもグルカゴン負荷試験後のCPR変化量が大きくなるのを予測するカットオフ値は、空腹時血糖値が147mg/dL〔感度0.64、特異度0.76、曲線下面積(AUC)0.73〕、HbA1c値が9.0%(同0.56、0.71、0.66)であった。

以上の結果から、研究グループは「通常食のNMTTは簡便に実施でき、混合食の負荷試験やグルカゴン負荷試験に比べて臨床上、有用かつ実用的であることが分かった」と結論づけるとともに、通常食のNMTTは、糖尿病治療薬を服用中の2型糖尿病患者においても内因性インスリン分泌能の評価に有益な可能性があると述べている。(HealthDay News 2017年5月24日)

http://www.physiciansbriefing.com/Article.asp?AID=722930

Abstract
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jdi.12692/abstract

Full Text
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jdi.12692/epdf

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4HDN国内ニュース5月29日配信3

糖尿病足潰瘍の年間発症率は0.3%、切断率は0.05% ――日本初の大規模前向き調査、日本糖尿病学会で報告

福岡県内の糖尿病専門病院に通院する糖尿病患者約5,000人を対象に、糖尿病足病変に関する疫学調査を行った結果、糖尿病足潰瘍の年間発症率は0.3%、切断率は0.05%と海外の報告に比べて10分の1程度であったことを、白十字病院(福岡市)副院長・糖尿病センター長の岩瀬正典氏(九州大学大学院病態機能内科学共同研究員)が第60回日本糖尿病学会年次学術集会(5月18~20日、名古屋市)で報告した。糖尿病足病変に関する大規模な疫学調査は国内で初だという。

海外では糖尿病患者の2~3%が活動性の足潰瘍を有し、その生涯発症リスクは25%に上るとされているが、国内では糖尿病足病変の大規模調査は行われていなかった。今回、同氏らは大規模疫学調査である福岡県糖尿病患者データベース研究(Fukuoka Diabetes Registry;FDR)のデータを用いて足病変の発症率と発症要因、生命予後について検討を行った。

対象は、2008~2010年に同県内の糖尿病専門施設に通院する外来の糖尿病患者5,131人(うち男性が2,854人、平均年齢65歳、平均罹病期間16年)。糖尿病足潰瘍の有無は年1回の自記式質問紙調査で調べ、医師が発症を確認した。追跡率は97.7%で、追跡期間の中央値は5.4年であった。

その結果、追跡期間中に79人が足潰瘍を発症し、うち12人が切断した。1,000人年当たりの発症率は足潰瘍が3.0、切断が0.5であった。再発率は足潰瘍の既往がある患者で高く、107人中24人(22%)が再発した。また、多変量調整Cox比例ハザードモデル解析により、足潰瘍発症のリスク因子として足潰瘍の既往(ハザード比21.3)、うつ症状有り(同1.82)、血糖コントロール不良(HbA1c値8.0%以上、同1.69)、男性(同1.66)の4つの因子が浮かび上がった。なお、うつ症状はうつ病自己評価尺度(CES-D)スコアが16以上と定義した。

閉塞性動脈硬化症〔ASO;ABI(足関節上腕血圧比)9.0未満と定義〕の有無が判明した足潰瘍患者63人の44%にASOの合併が認められ、ASO合併例の29%が下肢切断に至った。また、切断例では約8割がASOを合併していた。

足潰瘍患者の死亡率は年間2.8%で、5年生存率は88%であり、5年生存率は足潰瘍がない患者(95%)に比べて有意に低かった。また、足潰瘍がない患者の死因の第1位はがん(39%)だったのに対し、足潰瘍がある患者では循環器疾患(44%)による死亡が最も多かった。多変量調整Cox比例ハザードモデル解析で心血管疾患の既往や慢性腎臓病(CKD)を調整後も足潰瘍は死亡のリスク因子(1.77倍)であった。

以上の結果から、同氏は、(1)海外の報告(足潰瘍の年間発症率1.9~2.6%)に比べて国内の糖尿病足潰瘍の発症率は10分の1程度に留まったこと、(2)うつ症状による足潰瘍リスクの増加の程度は海外の成績と同程度であったこと、(3)足潰瘍患者の5年生存率に海外の報告(約60%)と差がみられたのは心血管リスクの相違が影響している可能性があるとまとめている。(HealthDay News 2017年5月29日)

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4HDN国内ニュース5月29日配信2

食前15分のヤマトイモ摂取で食後血糖値の上昇を抑制 ――城西大の研究グループ

米飯を食べる15分前にヤマトイモを摂取すると、食後30分の急峻な血糖値の上昇を抑えられることが、城西大学薬学部の金本郁男氏らの研究で分かった。ヤマトイモの粘性の特性が胃内排泄速度の遅延をもたらした可能性があるという。一方で、30分前の摂取では血糖値の抑制は確認されなかった。研究の詳細は5月18~20日に愛知県名古屋市で開かれた第60回日本糖尿病学会年次学術集会で報告された。

糖尿病の発症や進行を抑えるには、食後の血糖値の急峻な上昇を抑えて血糖値の日内変動を平坦にすることが重要とされ、糖質制限、食べる順番や摂取タイミングによる血糖値への影響がさまざまな方法で検討されている。

同氏らが着目したのは、全国的に消費量が減少し、日本の食卓から姿が見えなくなりつつある「ヤマトイモ」。同氏らはヤマトイモ50gを米飯120gと同時に摂取すると、米飯150gだけを摂取した場合に比べて食後30分の平均血糖値の上昇を約30%抑え、インスリン分泌量にも減少傾向がみられることを既に報告している。そこで今回はヤマトイモの摂取タイミングを変えた場合の食後血糖値への影響を調べた。

健康なボランティア女性8人(平均年齢22.1歳、平均BMI 21.0、平均HbA1c値5.1%)を対象に、21時以降を絶飲食で過ごしてもらった翌朝に、(1)米飯150g摂取群、(2)米飯120g摂取群、(3)米飯120g+ヤマトイモ50g同時摂取群、(4)米飯120g+ヤマトイモ50gを15分前に摂取する群、(5)同30分前摂取群の5群にランダムに分けてクロスオーバー試験を行った。なお、今回の検討では生のヤマトイモではなく市販の冷凍ヤマトイモを使用した。

その結果、米飯150g摂取群に比べて、ヤマトイモを15分前に摂取した群では食後30分の平均血糖値の上昇が有意に抑えられることが分かった(対150g摂取群;P<0.05)。また、ヤマトイモを摂取した群では、いずれの摂取タイミングでも米飯だけを摂取した群に比べて血糖値の上昇曲線下面積(IAUC)が低く、ヤマトイモを15分前に摂取した群と米飯150g摂取群の間には有意差がみられた(対150g摂取群;P<0.05)。

ヤマトイモを15分前に摂取した際に食後30分の血糖値が抑えられた要因について、同氏は、(1)ヤマトイモの粘性の特性により食品が胃内に長く留まり、胃内排泄速度が遅延して糖質の吸収速度が遅くなった可能性、(2)ヤマトイモに含まれるムチンなどの水溶性の粘り成分が米飯を包み込み、消化酵素による糖の分解が抑えられて小腸粘膜でのグルコースの吸収が遅延した可能性を指摘している。(HealthDay News 2017年5月29日)

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Organic Raw Soy Tofu on a Background

イソフラボン代謝物「エクオール」が潜在性動脈硬化リスクと関連 ――健康な日本人男性で検討

健康な日本人男性では、大豆イソフラボンの血中濃度は潜在性の動脈硬化と関連しないが、イソフラボンの代謝物である「エクオール」は血中濃度が高いほど冠動脈石灰化のリスクが低減する可能性のあることが、ピッツバーグ大学(ペンシルベニア州)公衆衛生学の関川 暁氏らの国際研究グループ(同大学と滋賀医科大学との共同研究)の検討で分かった。男性におけるエクオールと冠動脈石灰化との関連を示した初の研究だという。詳細は「British Journal of Nutrition」1月号に掲載された。

エクオールとは、大豆イソフラボンに含まれる成分から腸内細菌叢の働きによって作られる代謝物。同氏らは2016年に、エクオールの血中濃度と冠動脈疾患(CHD)との関連を調べるため、42件の研究を対象にメタ解析を行った結果、一部の研究ではエクオールの産生がCHDリスクの低下と関連することが示されたものの、結論には至らなかったと報告している(Journal of Nutritional Science; 2016年7月19日オンライン版)。

今回の対象は、日本人、米国人(白人およびハワイ日系人)、韓国人の3カ国4集団から心血管疾患の既往を持たない健康な40~49歳の男女約1,200人を対象に、潜在性動脈硬化に関連する指標やそのリスク因子を調べる疫学研究(ERA JUMP研究)の参加者から抽出した日本人男性272人。対象者の大豆イソフラボンおよびエクオールの血中濃度を測定し、CT検査による冠動脈石灰化(米国では冠状動脈硬化のバイオマーカーとして広く使用され、CHDの発症を予測する因子とされる)で評価した潜在性動脈硬化との関連を調べた。

その結果、年齢やBMIなどの複数因子を調整した解析により、大豆イソフラボンの血中濃度と冠動脈石灰化のリスクとの間には有意な関連はみられなかった。一方で、エクオールの血中濃度で「産生者(83nmol/L以上;対象者の約16%)」と「非産生者(80nmol/L未満)」に分けて冠動脈石灰化のリスクを比較したところ、エクオールが産生されなかった人に比べて産生された人では冠動脈石灰化のリスクが約10分の1に低減していることが分かった。

これまでの研究で、欧米人と日本人や中国人などのアジア人との間では、イソフラボン摂取と動脈硬化症との関連について知見が一致していなかった。研究グループは、日本人や中国人ではイソフラボン摂取量が多く、エクオール産生者も多いことから、動脈硬化症との関連にみられるこうした人種差はエクオールで説明できる可能性があるとしている。(HealthDay News 2017年5月29日)

Abstract
https://www.cambridge.org/core/journals/british-journal-of-nutrition/article/significant-inverse-association-of-equolproducer-status-with-coronary-artery-calcification-but-not-dietary-isoflavones-in-healthy-japanese-men/1FF867A997A2128F475C7BDD6DDCB542

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Young children at school getting an education

一人っ子や祖父母と同居する子どもは肥満になりやすい? ――小児肥満には家庭環境が大きく影響する可能性

一人っ子や祖父母と同居する子どもは、そうでない子どもに比べて過体重や肥満になりやすい可能性のあることが、医薬基盤・健康・栄養研究所(東京都)国際栄養情報センター生物統計研究室の池田奈由氏らの検討で分かった。一人っ子の子どもは8歳以上で、祖父母と同居する子どもは5歳半以上でそれぞれ過体重や肥満になる可能性が高まることが分かったという。詳細は「PLOS ONE」オンライン版に4月17日掲載された。

近年、子どもの肥満の増加は日本国内だけでなく国際的にも指摘され、大きな問題となっている。2015年に文部科学省が行った学校保健統計調査によると、12歳男児の10%、女児の8%が過体重または肥満であることが報告されている。小児肥満は主に過剰なエネルギー摂取が原因と考えられているが、研究グループは子どもの場合は家庭環境の影響も大きい点に着目。今回は家族構成の中でも「一人っ子」と「祖父母と同居」に焦点を当てて検討を行った。

研究グループは、厚生労働省の21世紀出生児縦断調査のデータを用いて、2001年のある2週間に日本で誕生した小児4万3,046人を対象に、2歳半~13歳まで毎年収集された体重や身長、家族構成などのデータを分析した。

解析の結果、一人っ子の子どもは兄弟姉妹がいる子どもに比べて、未就学児(2歳半~5歳半)の間は過体重や肥満となる可能性は男児では低く、女児では両者の間に差はみられなかったが、小学校に入学後、8歳以上になると男児女児ともに過体重や肥満となる可能性が増加することが分かった。最も過体重や肥満となる可能性が高かったのは、男児では11歳(オッズ比1.87)、女児では10歳と13歳(同1.75、1.73)の時点であった。

また、祖父母と同居する子どもはそうでない子どもに比べて、未就学児のうちから過体重や肥満になる可能性が高い傾向がみられ、5歳半の時点で両者の間に大きな差が生じていることが明らかにされた。最も過体重や肥満となる可能性が高かったのは、男児では10歳と13歳(同1.53、1.54)、女児では11歳(同1.51)であった。(HealthDay News 2017年5月22日)

Abstract
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0175726

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