4HDN国内ニュース4月24日配信2

糖尿病は高齢患者でも心血管疾患死リスクに影響を及ぼすのか? ――日本の8コホート研究を対象に解析

糖尿病は中年期と同様に高齢期(70~80歳代)の患者でも心血管疾患(CVD)死や全死亡の独立したリスク因子であることが、循環器疫学コホート研究の統合データベース共同研究(EPOCH-JAPAN)の解析で分かった。高齢期の患者では中年期の患者よりもCVDによる超過死亡の絶対リスクが増加したことから、高齢患者においても死亡リスク低減を目指した包括的な糖尿病の管理が重要であることが明らかになった。詳細は「Journal of Epidemiology」3月号に掲載された。

糖尿病はCVD死や全死亡のリスク因子とされるが、糖尿病がこれらの死亡リスクに及ぼす影響は加齢によって変化するのか否かは明らかにされていない。慶應義塾大学衛生学公衆衛生学の岡村智教氏と九州大学大学院衛生・公衆衛生学の二宮利治氏らの共同研究グループは、糖尿病によるこうした影響を年齢別に評価するため、日本で行われた複数のコホート研究を対象にプール解析を行った。

研究グループは、健康診断データを収集し、追跡期間が10年以上、参加者が1,000人以上の条件を満たした8つのコホート研究(端野・壮瞥町研究や久山町研究、NIPPON DATA 80など)に参加した3万8,854人を対象に解析を行った。40~90歳で心血管疾患の既往がないことを対象者の登録基準とした。ベースライン時に参加者の4.8%(1,867人)が1998年の世界保健機関(WHO)による診断基準で糖尿病と診断された。

その結果、平均10.3年の追跡期間中に4,542人が死亡し、このうちCVD死は1,376人であった。多変量調整後の解析で、糖尿病を持たない人に比べて、糖尿病患者ではCVD死亡のハザード比は1.62(95%信頼区間1.35~1.94)、冠動脈疾患(CHD)死では2.13(同1.47~3.09)、脳卒中死では1.40(1.05~1.85)であり、全死亡のハザード比も1.39(同1.25~1.55)と糖尿病患者ではCVD死および全死亡リスクが有意に増加することが分かった。

また、参加者を年齢群(40~49歳、50~59歳、60~69歳、70~79歳、80~90歳)に分けて糖尿病がCVD死リスクに及ぼす影響を比較したところ、CVD死の相対リスクは全ての年齢群で同程度であったが(ハザード比1.38~2.06)、糖尿病による超過CVD死の絶対リスクは60歳代以下の患者群に比べて70~80歳代の患者群で増加していた。研究グループは、この結果は高齢期の糖尿病患者では中年期の患者に比べてCVDによる死亡リスクが増加することを意味するとしている。(HealthDay News 2017年4月24日)

Full text
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0917504016301551

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Woman taking blood sample for measuring sugar level

高齢2型糖尿病患者で低血糖を起こさない治療上のポイントとは? ――千葉大の研究グループ

65歳以上の高齢2型糖尿病患者が低血糖を起こさないためには、血糖変動を抑え、平均血糖値も下げ過ぎない包括的な管理が重要であることを、千葉大学病院糖尿病・代謝・内分泌内科の横手幸太郎氏と越坂理也氏らの研究グループが持続血糖測定(CGM)データを用いた研究で明らかにした。詳細は「Journal of Diabetes Investigation」オンライン版に4月11日掲載された。

高齢の糖尿病患者では重症低血糖を来しやすく、この回避は重要な課題の1つとされる。重症低血糖は認知機能の低下や転倒による骨折、脳卒中、心血管イベントのリスクを増加させることが明らかにされている。日本糖尿病学会と日本老年医学会による合同委員会は、2016年に高齢糖尿病患者の血糖コントロール目標を作成し、こうした患者の目標値は認知機能や日常生活動作(ADL)、併発疾患などを考慮して個別に設定すべきとの考えを示している。

研究グループは今回、高齢の2型糖尿病患者を対象に行ったCGMデータを用いて、低血糖(CGMで測定された血糖値70mg/dL未満と定義)のリスク因子を後ろ向きに検討する研究を行った。

研究では、65歳以上の高齢2型糖尿病患者170人を対象に、2011~2016年に行ったCGMデータを後ろ向きに解析し、血糖降下薬の種類、血糖変動、平均血糖値やHbA1c値による低血糖リスクへの影響を調べた。対象は現行の治療で血糖コントロールが安定しており、CGM中に治療を変更しなかった患者とした。対象患者の平均年齢は74.1±6.7歳、平均HbA1c値は8.2±1.8%であり、CGMの平均施行日数は3.7日間であった。

対象患者を、低血糖を認めた群と認めなかった群に分けて単変量解析した結果、低血糖リスクはインスリンを使用中の患者で高く(オッズ比2.17、95%信頼区間1.16~4.08、P=0.015)、DPP-4阻害薬を使用中の患者で低い(同0.47、0.25~0.89、P=0.019)ことが分かった。一方で、HbA1c値には両群間で有意な差は認められなかった。

また、ロジスティック回帰分析の結果、低血糖リスクは血糖変動幅が大きい患者に比べて変動幅が小さい患者で有意に低く(同0.87、0.83~0.91、P<0.0001)、さらに、平均血糖値が高い患者に比べて低い患者で有意に高い(同1.09、1.06~1.12、P<0.0001)ことも明らかにされた。なお、ロジスティック回帰分析によると、インスリンやDPP-4阻害薬の使用と低血糖リスクとの関連に有意性はみられなくなった。(HealthDay News 2017年4月24日)

Abstract
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jdi.12676/full

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Close-up Of Hand Holding Device For Measuring Blood Sugar

基礎代謝と骨代謝の関連に血中ビタミンD値が果たす役割とは? ――日本人の閉経後2型糖尿病患者で検討

閉経後の2型糖尿病患者において、骨代謝と基礎代謝が正の関連を示すには、血清中の25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)値が正常範囲内であることが重要である可能性が、「Journal of Diabetes Investigation」3月31日オンライン版に掲載の論文で報告された。

東京女子医科大学糖尿病センターの尾形真規子氏らは、閉経後の2型糖尿病患者44例を対象に前向きに追跡し、骨代謝と基礎代謝の関連に影響する因子を検討した。対象患者のうち血清25(OH)D値が低値(20ng/mL未満)であった23例には血中ビタミンD値を回復させる生活習慣の是正を指導し、このうち骨粗鬆症をもつ患者15例にはアルファカルシドールを投与した。

その結果、血清25(OH)D値は全対象患者中25例で上昇し、19例では低下した。試験開始時点で介入を受けなかった患者で血清25(OH)D値が低下する傾向がみられた。

安静時エネルギー消費量(REE)の変化は、骨形成マーカーであるⅠ型プロコラーゲン-N-プロペプチド(P1NP)、骨吸収マーカーであるⅠ型コラーゲン架橋C-テロペプチド(CTX)-1の変化と正相関を示した。また、呼吸商(RQ)の変化はHbA1c平均値と正相関し、介入後ではP1NPと血清25(OH)D値は正相関することも分かった。こうした関連は、血清25(OH)D値が上昇した患者とアルファカルシドールを補充投与した患者で顕著であった。

以上の結果から、同氏らは「閉経後の2型糖尿病患者では、骨代謝と基礎代謝が正の関連を示すには血中ビタミンD値を正常範囲内に回復させることが条件となる可能性がある」と述べている。なお、一部の著者は製薬企業との利益供与を開示している。(HealthDay News 2017年4月5日)

http://www.physiciansbriefing.com/Article.asp?AID=721303

Abstract
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jdi.12666/abstract

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Sehr dicker Mann mit erheblichem Übergewicht präsentiert sich der Kamera
Fat man isolated on white

肥満予防に昆布などの成分「フコース」が有効か ――東大の研究グループがマウス実験で検証

昆布やワカメなどの褐藻類に多く含まれる「フコース」が高カロリー摂取による肥満の抑制に働く可能性があることを、東京大学大学院農学生命科学研究科教授の潮 秀樹氏らの研究グループがマウスを用いた実験で突き止めた。焼津水産化学工業株式会社との共同研究で、詳細は3月17~20日に京都市で開かれた日本農芸化学会2017年度大会で発表された。

フコースとは、褐藻類のぬるぬるとした成分から抽出した多糖類を構成する単糖の一種で、ヒトの母乳にも含まれている。研究グループはフコースの機能性開発を進める一環で、高カロリー食の摂取で肥満させたマウスを用いてフコースの摂取による影響を調べた。

まず、マウスに高脂肪・高炭水化物食とフコースを同時に摂取させたところ、フコースを摂取しない対照マウス群に比べて0.01%および0.1%フコース投与群で体重の増加が有意に抑えられていることが分かった。また、フコース投与群では対照群に比べて肝脂肪量には有意な差は認められなかったが、内臓脂肪量は有意に低下することが明らかにされた。

次に、フコースを経口投与した24時間後のマウス肝臓の総発現遺伝子を解析したところ、複数の脂質代謝に関する因子の発現に有意な変化がみられたことから、フコースの摂取は遺伝子発現レベルでも脂質の蓄積を抑制し、脂質の異化を促す可能性が示唆された。

さらに、研究グループはマウスの脂肪細胞を用いた実験で、フコースの投与は前駆脂肪細胞が成熟脂肪細胞へと分化するのを遅らせる働きをもつことを見出した。成熟脂肪細胞にフコースを投与したところ、脂質の異化が促進されたという。

以上から、研究グループは「フコースは脂質の代謝を制御して内臓脂肪の蓄積を抑制し、体重増加を抑える働きを持つ可能性がある」と結論づけている。(HealthDay News 2017年4月17日)

Pressrelease
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2016/20170321-1.html

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human liver on a white background, 3d render

特発性肺線維症薬が非アルコール性脂肪肝炎にも有効な可能性 ――NASHモデルマウスを用いた検討、東京医歯大・九州大学など

特発性肺線維症の治療薬が非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の治療にも有効かもしれない-。こんな研究結果を、東京医科歯科大学大学院分子内分泌代謝学および九州大学大学院病態制御内科学の小川佳宏氏らの研究グループが、名古屋大学と国立成育医療研究センターとの共同研究で明らかにした。NASHモデルマウスに抗線維化薬であるピルフェニドンを投与したところ、肝臓の炎症所見と線維化が著しく抑制されたほか、肝細胞死を抑制することでNASHの予防にも働く可能性が示唆された。詳細は「Scientific Reports」オンライン版に3月17日掲載された。

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)のうち肝臓の脂肪化に伴って炎症を起こし、線維化が進行するNASHは肝硬変や肝細胞がんに至る重大な疾患とされているが、治療法はいまだ確立されていない。研究グループは、抗線維化作用をもつが分子機構は明らかではない特発性肺線維症の治療薬であるピルフェニドンに着目。同薬の抗線維化作用がNASHに有効性を示す可能性を検証するため、独自に開発したNASHモデルマウスを用いて実験を行った。

まず、NASHモデルマウスにピルフェニドンを経口投与したところ、脂肪肝の形成には影響を与えることなく炎症所見と線維化を著しく抑制することがわかった。また、同薬はNASHモデルマウスにおける肝臓の細胞死を抑制することも判明した。さらに、培養した肝細胞を用いた検討で、同薬は腫瘍壊死因子(TNF)-αにより誘導される細胞死を抑制していた。

研究グループは、「この研究は、既存薬がNASHの予防や治療にも適応をもつ可能性が示されたことに加えて、過剰な肝細胞死の抑制がNASHの予防や治療につながる可能性を示した点でも重要な知見だ」と述べている。(HealthDay News 2017年4月10日)

Abstract
http://www.nature.com/articles/srep44754

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身体活動量が増えるとEDリスクは低下する可能性 ――日本人男性2型糖尿病患者で検討、愛媛大の研究グループ

日本人の男性2型糖尿病患者では、身体活動量が増えるほど勃起不全(ED)リスクは低下する可能性があることが、愛媛大学大学院疫学・予防医学講座の古川慎哉氏らの検討で示唆された。詳細は「Journal of Diabetes Investigation」オンライン版に3月28日掲載された。

日本人の2型糖尿病患者を対象とした調査ではEDを訴える患者も多くみられるが、その実態は明らかにされていない。同氏らは今回、身体活動量とEDの関係に着目。2009~2014年に2型糖尿病と診断された患者1,051人を前向きに追跡している道後Studyのベースラインデータを用いて、患者が自己申告した身体活動量とEDとの関連について検討した。

解析対象は、道後Studyに参加した男性の2型糖尿病患者460人(平均年齢60.8歳、糖尿病罹病期間は中央値で11.0年)。自記式質問紙調査により、運動習慣(30分以上×2回/週を1年間以上)、歩行習慣(1時間以上/日)、早歩きの習慣の有無を調べた。EDの有無およびその重症度は、ED症状に関する5項目の問診票(Sexual Health Inventory for Men;SHIM)により、スコア12未満を「中等症~重症ED」、スコア8未満を「重症ED」と評価した。

その結果、対象患者全体のED有病率は、中等症~重症EDが64.6%、重症EDが51.1%であった。対象患者のうち36.6%は運動習慣が「ある」と回答し、41.3%は歩行習慣、37.6%は早歩きの習慣が「ある」と回答していた。

解析したところ、歩行習慣は中等症~重症EDおよび重症EDと独立して負の関連を示した。運動習慣は重症EDと独立して負の関連を示したが、中等症~重症EDとの関連はみられなかった。

また、これらの習慣の有無に基づいて対象患者を身体活動量で(1)最も低強度な群、(2)比較的低強度な群、(3)中強度群(4)高強度群の4群に分けて解析したところ、身体活動量の増加は中等症~重症ED(補正後オッズ比0.42、95%信頼区間0.21~0.85)および重症ED(同0.38、0.19~0.73)とそれぞれ独立した負の関連を示し、その関連は統計学的に有意であった(傾向P値はそれぞれ0.02、0.005)。(HealthDay News 2017年4月10日)

Abstract
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jdi.12660/full

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large HDLと2型糖尿病の発症率に負の相関 ――ながはまコホート研究から

HDL-コレステロールはsmall HDL(HDL3)よりもlarge HDL(HDL2)のほうがインスリン抵抗性の増大や2型糖尿病の発症リスクの予測能に優れることが、京都大学大学院附属ゲノム医学センターの田原康玄氏らの研究グループの検討でわかった。詳細は「Diabetes Research and Clinical Practice」オンライン版に3月21日掲載された。

研究グループは今回、HDL-Cによるインスリン抵抗性の増大や2型糖尿病の予防効果がサブクラス(小型のHDL3と大型のHDL2)で差がみられるのかどうかを調べる観察研究を行った。

対象は、ながはまコホート研究のうち脂質異常症治療薬を服用していない滋賀県長浜市の住民8,365人(平均年齢52歳)。ベースライン時にHDL-CおよびLDL-Cのサブクラスを分析し、インスリン抵抗性(HOMA-IR)を評価した後、平均5年間の追跡調査を行った。

その結果、交絡因子を補正した横断解析により、HDL2-C値とHOMA-IR値(インスリン抵抗性の増大)は負の相関を示したが、HDL3-C値はHOMA-IR値と正相関することがわかった。2型糖尿病患者に限定した解析でも同様の結果が得られた。また、5年間の追跡による縦断解析においてもHDL2-C値とHOMA-IR値は負の相関を示し、HDL3-C値はHOMA-IR値と正相関した。

さらに、追跡期間中に205人が新たに2型糖尿病と診断され、HDL2-C値が高値なほど2型糖尿病の発症リスクは低下していることがわかった(オッズ比0.98、P=0.006)。(HealthDay News 2017年4月3日)

Abstract
http://www.diabetesresearchclinicalpractice.com/article/S0168-8227(16)31687-4/abstract

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肥満に伴う糖代謝異常に肝臓内の細胞間接着や接触が関連 ――糖代謝を引き起こす新しい機序を発見、東京医歯大など

肥満に伴う糖代謝異常には肝臓内における細胞間の接着や接触が重要な役割を果たしていることを、東京医科歯科大学大学院分子内分泌代謝学および九州大学大学院病態制御内科学の小川佳宏氏らの研究グループが、マウスを用いた実験で突き止めた。大阪大学や鶴見大学との共同研究。

この研究により、肥満マウスの肝臓に集積した白血球はVLA-4(very late antigen-4;インテグリンα4β1)を介して、肝臓において血管(類洞)と肝細胞を隔てる肝類洞内皮細胞(liver sinusoidal endothelial cell;LSEC)に浸潤することや、浸潤した白血球が肝細胞と接触することで肝細胞のNotchシグナルを介して糖代謝異常を惹起するという機序が明らかにされた。糖尿病の新しい治療法の開発につながるものと期待される。詳細は「Cell Reports」3月14日号に掲載された。

肥満になると、肝臓には好中球や単球などの白血球が集積して血糖値の上昇に関与することが報告されているが、その詳細なメカニズムは明らかにされていなかった。研究グループはLSECに着目し、肥満の病態下で白血球が肝臓に浸潤する際にLSECとどのように作用するのか、また、肝臓に浸潤した白血球が肝細胞と接触すると糖代謝にどのような影響を及ぼすのかをマウスを用いて検討した。

研究グループはまず、顆粒球特異的に緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現する遺伝性肥満マウスの生体イメージングにより、非肥満マウスと比べて多くの顆粒球が肝類洞に接着していることを見出した。また、電子顕微鏡を用いた解析により、多くの白血球が肝細胞の間に浸潤していることがわかった。

次に、肥満マウスのLSECではケモカインや炎症性サイトカイン、接着因子の遺伝子発現が上昇し、LSECの細胞表面にある接着因子のVCAM-1(vascular cell adhesion protein-1)の発現が増加して、VCAM-1と結合するVLA-4を介した白血球との細胞接着が亢進していることがわかった。そこで、肥満マウスに抗体を投与してVLA-4の働きを阻害したところ、顆粒球とLSECの接着と肝臓への白血球の浸潤が抑えられ、高血糖が改善した。

さらに、電子顕微鏡による観察で肥満マウスの肝臓では浸潤した白血球が肝細胞と接触している様子が観察された。実際に、マウス肝臓内の白血球と肝細胞を接触させて培養すると肝細胞からの糖の産生が増加した。この際に、細胞同士の接触により活性化されるNotchシグナルを介して糖の産生を促進する酵素の遺伝子発現が増加することも判明。肝臓に浸潤した白血球が肝細胞と接触し、Notchシグナルを介して高血糖を引き起こすメカニズムが明らかにされた。(HealthDay News 2017年4月3日)

Abstract
http://www.cell.com/cell-reports/abstract/S2211-1247(17)30237-1

Pressrelase
http://www.tmd.ac.jp/archive-tmdu/kouhou/20170315.pdf

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Model human kidney cross section inside

糖尿病腎症の早期発見を可能にする尿検査法を開発 ――尿中メガリン測定法の実用化に向けた研究進む

新潟大学大学院機能分子医学講座の斎藤亮彦氏らの研究グループは、国立がん研究センター研究所とデンカ生研株式会社との共同研究で、近位尿細管細胞にある「メガリン」と呼ばれる分子の尿中排泄量を測定することで、糖尿病腎症の早期診断や予後予測に役立つ可能性があると発表した。研究グループでは、今後、尿中メガリン測定の実用化に向けた臨床研究を計画しているという。詳細は「Diabetes」オンライン版に3月13日掲載された。

糖尿病の三大合併症の1つである腎症は、透析導入の原因疾患の第1位を占め、その予防や進行抑制は重要な課題とされている。糖尿病腎症の発症要因はいまだ明らかにされていないが、実臨床では糖尿病腎症を発症しやすい人とそうでない人が存在することが知られている。そこで、糖尿病腎症の発症や進展リスクを評価する簡便な検査法の開発が求められている。

研究グループが着目したのは、近位尿細管細胞に発現し、糸球体からろ過されるさまざまなタンパク質や薬剤などを再吸収し、それらの代謝を促す受容体として機能する「メガリン」という分子。研究グループは2016年に、肥満を合併した糖尿病モデルマウスを用いた研究で、このメガリンが入り口となって腎障害性のタンパク質などを取り込むことで、タンパク質の代謝負荷からリソソーム(細胞内小器官)に機能障害をもたらし、糖尿病腎症が発症・進展する機序を見出していた(J Am Soc Nephrol 2016; 27(7): 1996-2008)。

今回、研究グループは、こうしたリソソームの機能障害によって糖尿病腎症が発症・進展する機序に関連して、メガリンがエクソソームという微小構造物に搭載されて腎臓から尿中に排泄される量が増えることを明らかにした。このメガリンの尿中排泄量の測定は糖尿病腎症の早期診断や予後予測に役立つ有用な情報をもたらす可能性があるという。

研究グループによると、腎臓を構成するネフロンの数が少ない、あるいは尿細管の長さが短い人が糖尿病を発症すると、代謝負荷がより増大して糖尿病腎症の発症・進展リスクが増加する可能性があるという。「こうした場合には尿中メガリン測定値を(機能ネフロン数を反映する)クレアチニン値で除すことで残存する単一ネフロン当たりの代謝負荷を評価できる」と研究グループは述べている。なお、この尿中メガリン測定法は新潟大学とデンカ生研(株)が共同特許を取得しており、実用化に向けた研究を進める予定だ。(HealthDay News 2017年3月27日)

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生活習慣のパターンは2型糖尿病患者の心腎代謝に影響を及ぼすのか? ――日本人患者を対象とした横断研究

2型糖尿病患者では食事や運動といった生活習慣因子だけでなく夜型・朝型などの生活リズムや睡眠の質、抑うつ状態の有無も心腎代謝の指標に影響を及ぼすことが、順天堂大学大学院代謝内分泌内科学の三田智也氏、綿田裕孝氏らと那珂記念クリニック(茨城県)の共同研究グループの検討でわかった。2型糖尿病患者の心腎機能を改善し心血管疾患(CVD)の発症を予防するためには、さまざまな因子が複雑に絡み合う生活習慣のパターンを包括的に改善する介入が必要となる可能性があるという。詳細は「PLOS ONE」オンライン版に3月8日掲載された。

研究グループは今回、CVD既往がない2型糖尿病患者を対象に、生活習慣因子の内容で3つの群に分けて、それぞれの因子(生活リズム、睡眠習慣、抑うつ状態、食習慣、喫煙や飲酒の習慣、運動習慣)と心腎代謝パラメータとの関連を調べる横断研究を行った。

対象はCVD既往がない外来通院中の成人(25~70歳)2型糖尿病患者726人。対象患者の平均年齢は57.8歳で、約6割を男性が占め、HbA1c平均値は7.0%であった。対象患者には生活リズム(Morning Evening Questionnaire;MEQ)、睡眠の質(Pittsburg Sleep Quality Index;PSQI)、抑うつ状態(Beck Depression Inventory;BDI-Ⅱ)、食習慣(Brief, self-administered Diet History Questionnaire;BDHQ)、身体活動量(International Physical Activity Questionnaire;IPAQ)に関する自記式質問紙調査と生化学的検査を行った。

まず、探索的因子分析の結果、対象患者の生活習慣因子は、(1)生活リズム(夜型または朝型)、睡眠の質、抑うつ状態(パターン1)、(2)食事によるエネルギー摂取量、喫煙や飲酒の習慣(パターン2)、(3)身体活動量(パターン3)-の3つに分類されることがわかった。

次に、パターン1の夜型の生活リズムで睡眠の質が悪く、抑うつ状態の患者ではHbA1c値や空腹時血糖値、ALT値が高く、アルブミン尿がみられた。パターン2のエネルギー摂取量が多く、喫煙や飲酒の習慣がある患者ではγ-GTP、中性脂肪(TG)、HDL-コレステロール(HDL-C)、血圧、脈間脈波伝播速度(baPWV)の各値が高値を示した。パターン3の運動量が多い患者では尿酸値が低く、ALTやAST値が軽度上昇していた。

さらに、年齢や性などを調整した多変量回帰分析を行ったところ、パターン1の生活はHbA1c値や収縮期血圧、baPWVの値の上昇と関連し、パターン2はHDL-CやTG、AST、γ-GTP、拡張期血圧の各値の上昇と関連していることがわかった。(HealthDay News 2017年3月27日)

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