4HDN国内ニュース9月18日配信2

日本人2型糖尿病患者の約3割に不眠症 神経症傾向が強いと不眠症リスク増、弘前大

日本人の2型糖尿病患者の約3割に不眠症がみられ、特に神経症傾向が強いと不眠症になりやすいことが、弘前大学大学院神経精神医学講座の古郡規雄氏らの研究グループの検討で示唆された。不眠症にはその他にも女性や一人暮らし、肥満などが関連したが、HbA1c値や生活習慣との関連はみられないことも分かった。詳細は「Journal of Diabetes Investigation」9月5日オンライン版に掲載された。

最近の研究では、睡眠障害は2型糖尿病のリスク因子であることが報告されており、中でも不眠症を伴う患者の割合は一般住民よりも高いとされている。また、不眠症には個人のパーソナリティ特性(personality traits)が関連することも示されている。古郡氏らの研究グループは今回、日本人の2型糖尿病患者を対象に、不眠症とパーソナリティ特性の関連を調べる横断研究を実施した。

対象は同大学病院に1年以上通院した糖尿病患者504人(平均年齢は63.9±12.5歳)。対象患者の睡眠障害はピッツバーグ睡眠質問票日本語版(PSQI-J)を用いて、パーソナリティ特性(外向性、協調性、勤勉性、神経症傾向、開放性)は日本語版Ten Item Personality Inventory(TIPI-J)を用いてそれぞれ評価した。また、対象患者の生活習慣因子やHbA1c値、抑うつ状態についても評価した。

その結果、対象患者のうち30.6%(154人)に不眠症が認められた。交絡因子で調整した解析の結果、不眠症と有意に関連する因子として、女性や一人暮らし、BMI高値、強い神経症傾向が浮かび上がった。一方で、HbA1c値や喫煙、飲酒、運動などの生活習慣因子と不眠症との間には関連は認められなかった。

以上の結果を踏まえて、古郡氏らは「日本人の2型糖尿病患者では不眠症の有病率が高く、神経症傾向といったパーソナリティ特性が関連することが分かった。2型糖尿病患者の不眠症に対する行動介入による治療効果については、さらに前向き研究で検討する必要がある」と結論づけている。(HealthDay News 2018年9月18日)

Abstract/Full Text
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/jdi.12927

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4HDN国内ニュース9月18日配信1

植物性たんぱく質の摂取量が多いと心血管疾患リスクは低い NIPPON DATA 90データを解析、慶應大

日本人の成人では、植物性たんぱく質を多く摂取するほど心血管疾患(CVD)による死亡リスクが低く、特に高血圧のない人でこの傾向が強いことが、慶應義塾大学衛生学公衆衛生学の栗原綾子氏らの研究グループの検討で分かった。植物性たんぱく質の摂取量が多いと、循環器系の疾患の中でも脳内出血による死亡率が低かったという。詳細は「Journal of Atherosclerosis and Thrombosis」8月9日オンライン版に掲載された。

これまでの疫学研究で植物性たんぱく質の摂取量は血圧と逆相関することが報告されている。しかし、植物性または動物性たんぱく質の摂取や総たんぱく質の摂取と血圧やCVDとの関連については一定の方向性は示されていなかった。そこで、研究グループは今回、30歳以上の一般住民のランダムサンプルを対象とした大規模な前向き疫学研究(NIPPON DATA 90)のデータを用いて、食事からの植物性たんぱく質の摂取とCVDによる死亡率との関連を調べる研究を実施した。

研究では、研究開始時点(1990年)でCVDの既往のない30歳以上の成人男女7,744人(男性3,224人)を対象に15年間追跡し、食事からの植物性たんぱく質の摂取とCVDによる死亡率との関連を調べた。研究開始時に実施した3日間の秤量法に基づく半定量式食事歴法により植物性たんぱく質からの摂取エネルギーが総摂取エネルギーに占める割合(エネルギー比率)を評価した。

平均13.9年の追跡期間中に1,213人が死亡し、このうち29.2%(354人)はCVD死であった。植物性たんぱく質のエネルギー比率で四分位に分けてCVD死との関連を調べた結果、植物性たんぱく質の摂取比率が大きいほどCVD死亡率は低くなる傾向がみられた。また、植物性たんぱく質のエネルギー比率が1%増加するごとにCVDによる死亡リスクは14%低下し(ハザード比0.86、95%信頼区間0.75~0.99)、脳内出血による死亡リスクは42%低下した(同0.58、0.35~0.95)。

さらに、対象者を研究開始時の高血圧の有無で分けて解析したところ、特に高血圧のない群において、植物性たんぱく質の摂取比率とCVDおよび脳卒中による死亡率に有意な逆相関が認められた。

以上の結果を踏まえて、栗原氏らは「日本人は植物性たんぱく質を多く摂取するほどCVDや脳内出血で死亡するリスクが低い可能性がある。こうした植物性たんぱく質の摂取による効果は脂肪や食塩摂取量、BMIとは関係なく、男女差もみられなかった」と結論。「特に高血圧のない人では植物性たんぱく質を多く摂取すると、将来CVDになりにくいことが示唆されたが、ベースライン調査以降に血圧上昇が抑えられた効果が反映されている可能性もある。こうした結果が得られた背景についてはさらなる研究で明らかにする必要がある」と述べている。(HealthDay News 2018年9月18日)

Abstract/Full Text
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jat/advpub/0/advpub_44172/_article

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4HDN国内ニュース9月10日配信2

肥満でなくても総コレステロール高値に注意 50歳以上の日本人男女を分析、滋賀医大

50歳以上の日本人男女では、30年前に比べて総コレステロール(TC)高値に対する肥満の影響が弱まっている可能性のあることが、滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門教授の三浦克之氏が研究代表を務めるNIPPON DATA研究グループの調査で明らかになった。論文の筆頭著者で浜松医科大学健康社会医学講座の柴田陽介氏によると、30年前は肥満の人ほどTC高値になりやすく、痩せている人ほどなりにくかったが、近年では適正体重であっても、また女性では痩せている人でもTC高値になる人が増えていることが分かったという。詳細は「Journal of Epidemiology」7月21日オンライン版に掲載された。

研究グループは今回、厚生労働省が1980年、1990年、2000年および2010年に実施した国民健康・栄養調査と旧循環器疾患基礎調査に参加した全国の50歳以上の男女(それぞれ5,014人、4,673人、5,059人および2,105人)を対象に、肥満度とTC高値との関連を調べる研究を実施した。なお、調査は全国300地区の一般住民を対象に行われた。研究では、TC高値は220mg/dL以上とし、肥満、痩せ、適正体重はそれぞれBMIが25.0kg/m2以上、18.5kg/m2未満、18.5kg/m2以上25.0kg/m2未満と定義した。

その結果、30年間で肥満の人の割合は男性では16.3%、21.6%、28.2%、34.1%と上昇したが、女性ではほぼ横ばいで推移していた(26.2%、29.0%、27.1%、27.0%)。また、痩せている人の割合は男女とも低下傾向にあった。TC高値の人の割合は男性(14.3%、26.4%、24.7%、27.4%)、女性(28.9%、47.2%、44.2%、42.3%)ともに1990年まで増加し、その後はほぼ横ばいであった。

また、肥満や痩せの人が適正体重の人に比べてTC高値にどのくらいなりやすいのかを、年齢や喫煙、飲酒、運動習慣の有無などで調整して解析した結果、男性では1980年には肥満の人は2.4倍だったが、2010年には0.9倍へと低下していた。痩せている人は0.3倍から0.4倍になった。さらに、女性では、肥満の人は1980年の1.4倍から2010年には0.9倍まで低下し、痩せている人は0.4倍から1.0倍へと増加した。

以上の結果を踏まえ、三浦氏らは「日本人を対象とした大規模調査で、50歳以上の男女ではこの30年の間に肥満とTC高値との関連が弱まっていることが分かった。近年では、体型にかかわらず脂肪(特に飽和脂肪、食事性コレステロール)が多い食事を取る人が増えており、このことで肥満や痩せとTC高値との関連が弱くなった可能性が考えられる。脂質異常症を予防するには肥満対策だけでなく、肥満度にかかわらず食事中の脂肪分を減らすなどの対策も必要だ」と話している。(HealthDay News 2018年9月10日)

Abstract/Full Text
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jea/advpub/0/advpub_JE20170229/_article

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4HDN国内ニュース9月10日配信1

血糖変動は急性冠症候群患者の予後予測に有用か 日本人のPCI施行患者を解析、横浜市立大

持続血糖モニタリング(CGM)で測定した血糖変動は、重症の糖尿病を合併しない急性冠症候群(ACS)患者の予後予測に有用な可能性のあることが、横浜市立大学附属市民総合医療センター心臓血管センター講師の岩橋徳明氏らの研究グループの検討で分かった。詳細は「Cardiovascular Diabetology」8月18日オンライン版に掲載された。

高血糖や低血糖などの糖代謝異常は、冠動脈疾患のリスク因子であることが知られている。これまでの研究で、CGMで測定した血糖変動はACS患者の死亡や冠動脈プラークの進展を予測する因子であることが報告されている。岩橋氏らの研究グループは今回、日本人のACS患者を対象に、CGMで評価した血糖変動が予後に及ぼす影響を調べる観察研究を実施した。

対象は、2012年4月~2016年11月に同センターで経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行したACS患者417人(平均年齢66歳、男性83%)。対象患者には入院中に病状が安定した後にCGMを24時間以上装着し、平均血糖変動幅(MAGE)などの血糖変動指標を算出した。対象患者をMAGEの第2三分位の値(50mg/dL)以上を高値群(149人)、50mg/dL未満を低値群(268人)に分けて中央値で39カ月間追跡した。

その結果、対象患者の16%(66人)に主要有害脳心血管イベント(MACCE)の発生が認められた。その内訳は心血管疾患死5件、ACSの再発14件、再血行再建術を要する狭心症27件、心不全8件、脳卒中16件であった。また、MACCEの発生率は、MAGE高値群で低値群に比べて有意に高かった(23.5%対11.6%、P=0.002)。さらに、多変量解析の結果、MAGE高値群であることはMACCE発生の独立した予測因子であることが明らかになった。

以上の結果を踏まえ、岩橋氏らは「重症糖尿病を合併しないACS患者では、CGMで評価した血糖変動が大きいことは予後不良の予測因子である可能性が示された。ACS患者における血糖変動の臨床上の有用性については、今後さらに検討する必要がある」と結論づけている。(HealthDay News 2018年9月10日)

Abstract/Full Text
https://cardiab.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12933-018-0761-5

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4HDN国内ニュース9月3日配信2

第5回「糖尿病レシピコンテスト」、最終選考進出校が決定

日本糖尿病協会が主催する「第5回チャレンジ!糖尿病いきいきレシピコンテスト」の最終選考に参加するチームが発表された。書類審査を通過し、実技審査に進むのは、盛岡大学(岩手県)や川崎医療福祉大学(岡山県)、滋賀県立大学(滋賀県)など12校14チーム。最終選考は9月23日の東北会場を皮切りに全国3地区で行われ、最優秀賞などを決定する。

コンテストは「おいしい、バランスの良い手作りごはんで、健康&幸せ家族を目指そう!」をテーマに、糖尿病の予備群や患者向けの朝食・昼食・夕食用レシピを募集した。応募対象は、栄養士や管理栄養士を目指す学生で、若い世代の糖尿病への関心を高めることを目的としている。

2014年の開始から第5回を迎えた今回は、栄養士や管理栄養士を目指す学生から241件(学校数で47校)の応募があった。また、今回から地域とのつながりを深めるために、最終選考を東北と九州、関西の3地区の会場で実施し、地区ごとに優秀賞を決定する。入賞したレシピは前回と同様に、11月12日より始まる「全国糖尿病週間」で広く一般に配布される予定だ。(HealthDay News 2018年9月3日)

Press Release
https://www.nittokyo.or.jp/modules/information/index.php?content_id=69

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4HDN国内ニュース9月3日配信1

高齢糖尿病患者のサルコペニア、「低BMI」「高体脂肪率」でリスク増 秋田大の研究グループ

日本人の高齢糖尿病患者は、肥満度(BMI)が低過ぎたり、体脂肪率が高過ぎたりすると、加齢に伴って骨格筋量と骨格筋力が低下するサルコペニアになりやすい可能性のあることが、秋田大学大学院内分泌・代謝・老年内科学の福岡勇樹氏らの研究グループの検討で分かった。詳細は「Journal of Diabetes Investigation」8月11日オンライン版に掲載された。

糖尿病患者は、健康な人に比べてサルコペニアになるリスクが約3倍に上ることが報告されている。特に高齢の患者では、日常生活動作(ADL)を保持するためにはサルコペニアの適切な管理が重要になるが、高齢患者を対象にサルコペニアについて検討した研究は限られていた。そこで、福岡氏らの研究グループは今回、日本人の高齢糖尿病患者を対象に、サルコペニアの有病率と関連する因子のほか、サルコペニアの指標となりうる身体評価項目について検討する横断研究を実施した。

対象は、2015年2月~7月に同大学病院の糖尿病・内分泌内科/老年内科を外来受診した65歳を超える糖尿病患者267人(平均年齢73.7歳、女性40.4%)。サルコペニアは、握力と歩行速度、四肢の骨格筋量指標を用いて、アジアのワーキンググループ(AWGS)による診断基準で評価した。また、生体インピーダンス法にて身体組成を測定し、BMIや四肢骨格筋量、体脂肪率を算出した。

その結果、対象患者におけるサルコペニアの有病率は18.7%(267人中50人)であり、加齢に伴い有意に上昇していた。BMIを四分位に分けてサルコペニアの有病率を比較したところ、男女ともにBMIが低いグループほど有病率は有意に高かった。一方で、体脂肪率を四分位に分けて比較したところ、男女ともに体脂肪率が2番目に高いグループ(男性では25.3~30.2%、女性では33.1~38.7%)でサルコペニアの有病率は最も低く、体脂肪率が最も高いグループでは有病率は上昇していた。また、BMIと骨格筋量指数との間には有意な正の関連が認められた。

交絡因子を調整した多重ロジスティック回帰分析の結果、男性ではBMI低値とメトホルミンを使用していないこと、骨ミネラル量の低下が、女性では骨ミネラル量の低下と血清アルブミン値の低下、加齢がそれぞれサルコペニアの有病率と有意に関連することも明らかになった。

以上の結果を踏まえて、福岡氏らは「65歳を超える日本人の糖尿病患者は、BMIが低過ぎたり、体脂肪率が高過ぎたりするとサルコペニアになるリスクが高まる可能性がある。そのため、高齢の糖尿病患者のサルコペニアを予防するためには、BMIだけでなく、骨格筋量指数と体脂肪率のバランスの評価を含めた身体管理が重要になるだろう」と結論づけている。(HealthDay News 2018年9月3日)

Abstract/Full Text
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jdi.12908

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4HDN国内ニュース8月27日配信2

日本人の2型糖尿病患者に適した炭水化物摂取比率は? 約3千人の患者を対象に解析

日本人の2型糖尿病患者では、炭水化物の取り過ぎはHbA1c値の上昇につながる可能性があることが、横浜市立大学附属市民総合医療センター内分泌・糖尿病内科部長の山川正氏らの研究グループの検討で分かった。この研究では、総エネルギー量に対する炭水化物由来のエネルギーの割合を60%未満に抑えることが血糖コントロールの維持に有用なことも示唆された。詳細は「Journal of Diabetes Investigation」8月1日オンライン版に掲載された。

日本糖尿病学会による食事療法に関する提言では、炭水化物の摂取は総エネルギーの比率で50~60%とすることが推奨されている。しかし、日本人を含むアジア人の2型糖尿病患者を対象に、三大栄養素の摂取エネルギー比率を大規模に調査した研究は限られていた。そこで、研究グループは今回、日本人の2型糖尿病患者を対象に、良好な血糖コントロールの達成に適した栄養素のエネルギー比率を検討する観察研究を実施した。

対象は、日本人の糖尿病患者を対象に睡眠や食生活の質と血糖コントロール状況などの関連を調べる観察研究(Sleep and Food Registry in Kanagawa;SOREKA研究)に参加した20歳以上の2型糖尿病患者3,032人。対象患者の平均年齢は63.2歳、男性が1,851人で、平均BMIは25.3、平均HbA1c値は7.5%であった。簡易型自記式食事歴法質問票を用いて、対象患者の三大栄養素のエネルギー比率を評価した。

その結果、対象患者の1日の平均エネルギー摂取量は1,711±645kcalであり、たんぱく質、脂質、炭水化物のエネルギー比率は平均でそれぞれ16.3%、26.8%、52.3%であった。

対象患者をHbA1c値で5つの群に分けて比較したところ、HbA1c値が6.5%未満の群に比べて、8%を超える高値群ではたんぱく質のエネルギー比率は低く、炭水化物のエネルギー比率は高いことが分かった。さらに、HbA1c値が高いほどBMIは上昇し、炭水化物のエネルギー比率は増加したが、たんぱく質のエネルギー比率と食物繊維の摂取量は減少した。年齢や性、BMIなどを調整した多変量回帰分析でも、HbA1c値と炭水化物のエネルギー比率の関連は有意であった(P<0.0001)。

さらに、対象患者を炭水化物のエネルギー比率で5つの群(45%未満、45%以上50%未満、50%以上55%未満、55%以上60%未満、60%以上)に分けてHbA1c値との関連をみたところ、炭水化物のエネルギー比率が45%から60%に増加するとHbA1c値の有意な上昇と関連することが示唆された。

以上の結果から、研究グループは「日本人の2型糖尿病患者が良好な血糖コントロールを保つためには炭水化物の取り過ぎを避け、炭水化物のエネルギー比率を60%未満に抑えることが必要な可能性がある。しかし、今回の研究では炭水化物のエネルギー比率をどこまで下げるべきなのかは示されなかった」と結論づけている。(HealthDay News 2018年8月27日)

Abstract/Full Text
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/jdi.12903

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4.1.1

甘いものを食べるのを日中に限るとメタボ予防に有効か 名古屋大の研究チームがラット実験で確認

甘いものを食べるのを日中の時間帯に限ると、メタボリック症候群の予防につながる可能性のあることを、名古屋大学大学院生命農学研究科准教授の小田裕昭氏らの研究グループがラットを用いた実験で突き止めた。時間帯に関係なく砂糖(ショ糖)を摂取するのに比べて、日中の活動時間帯に限ると脂肪肝や脂質異常症になりにくいことが分かったという。詳細は「PLOS ONE」8月15日オンライン版に掲載された。

砂糖の取り過ぎは、食べ過ぎや運動不足と同様にメタボリック症候群のリスク因子だとされている。世界保健機関(WHO)は砂糖の摂取量を1日約24g、小さじ6杯分程度に抑えることを推奨している。中でも、砂糖や異性化糖(果糖ブドウ糖液糖)を加えた加糖飲料はメタボリック症候群の原因になるとして、WHOは加糖飲料への課税などで消費量を減らすよう各国に呼び掛けている。

研究グループはこれまで、体内時計の調節には光よりも食事のタイミングが重要な役割を果たすという時間栄養学に着目した実験から、昼夜を問わず食事を取ると高コレステロール血症が引き起こされることを既に報告している。研究グループは今回、砂糖の摂取時間を活動時間帯に制限すれば過剰摂取による脂質代謝異常を改善できるとする仮説を立てた。そこで、与えられた餌の約80%を活動期に食べる夜行性ラットを用いて、活動時間帯のみに砂糖の餌を与える実験を行った。

実験では、ラットにでんぷんまたは砂糖の餌を与え、それぞれを自由な時間帯に食べられるグループと活動時間帯に限って食べられるグループに分け、摂取開始から4週間後の肝臓内や血中に蓄積した脂肪量を調べた。その結果、餌の摂取量は同じであったが、砂糖を自由な時間に摂取できたグループに比べて、活動時間帯に限って摂取したグループでは肝臓内や血中の脂肪量が少ないことが分かった。

こうした結果を踏まえ、研究グループは「甘いものの摂取には一種の習慣性がある。砂糖の取り過ぎは身体に悪いと理解していても実際に食べる量を減らすのは難しいが、今回の結果から、甘いものを食べるのを日中に限ることで取り過ぎによる悪影響を避けられる可能性が考えられる」と話している。(HealthDay News 2018年8月27日)

Abstract/Full Text
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0201261

Press Release
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20180816_agr.pdf

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4HDN国内ニュース8月20日配信2

2型糖尿病リスクの評価に簡便な体力テストが有用か 握力とバランス感覚が重要な指標に、東北大

握力と片足バランスという簡便に測定できる体力テストの成績で、日本人の2型糖尿病の発症リスクを評価できる可能性があると、東北大学大学院運動学分野講師の門間陽樹氏らの研究グループが「Journal of Epidemiology」7月28日オンライン版に発表した。これらの体力テストは従来の全身持久力テストよりも簡便に行えることから、糖尿病スクリーニングの指標として有用性が高いと考えられるという。

定期的な運動は、2型糖尿病の管理だけでなく予防にも有効なことが一般的に認められている。運動を行うと身体の適応能力により体力が向上することがよく知られており、これまでの研究で全身持久力が高いほど2型糖尿病の発症リスクは低いことが報告されている。しかし、2型糖尿病のスクリーニングに全身持久力テストを導入することはコストや手間を考えると現実的ではない。そこで、研究グループは、2型糖尿病リスクの評価に適した、より簡便な体力テストの指標を探るため、糖尿病を発症していない成人を対象に観察研究を実施した。

研究グループは、新潟県労働衛生医学協会の健診データを用いて、体力テストを2回以上行った糖尿病を発症していない成人2万1,802人を対象に、最大で6年間追跡して解析した。対象者の年齢は20~92歳で、女性が6,649人だった。体力テストには、筋力を評価する「握力」と下半身のパワーを評価する「垂直飛び」、バランス感覚を評価する「閉眼片足立ち」のほか、「立位体前屈」(柔軟性)や「全身反応時間」(反射神経)、「仰臥位足上げ」(筋持久力)が含まれた。対象者をこれらの成績で4つの群に分けて、糖尿病の新規発症との関連を調べた。

中央値で5年の追跡期間において、972人が新たに糖尿病を発症した。解析の結果、体重当たりの握力の成績が悪いほど2型糖尿病リスクが高いことが分かった(最も握力が高い群と比較した、他の3つの群における2型糖尿病発症のオッズ比は1.16~1.56)。また、閉眼片足立ちの成績も2型糖尿病リスクと有意に関連していた(同じくオッズ比は1.03~1.49)。

さらに、垂直飛びと立位体前屈の成績についても2型糖尿病リスクとの関連が認められたが、BMIで調整後の解析ではこれらの関連は有意ではなくなった。仰臥位足上げと筋持久力については、2型糖尿病リスクとの関連は認められなかった。

以上の結果を踏まえて、研究グループは「今回の研究から、簡便に測定できる握力の成績で2型糖尿病リスクを評価できる上に、バランス能力と2型糖尿病リスクとの関連も初めて明らかになった。これらの体力テストの成績は独立して2型糖尿病の発症に関与すると考えられ、今後のより詳細な検討が期待される」と話している。(HealthDay News 2018年8月20日)

Abstract/Full Text
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jea/advpub/0/advpub_JE20170280/_article/-char/ja

Press Release
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2018/07/press-20180730-test.html

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4HDN国内ニュース8月20日配信1

前高血圧症は動脈硬化症の独立したリスク因子か 未治療の日本人2型糖尿病患者を解析

日本人2型糖尿病患者では、収縮期血圧(SBP)値による前高血圧症(pre-hypertension)は、アテローム性動脈硬化症の独立したリスク因子である可能性のあることが、島根大学内科学第一講師の金沢一平氏らの研究グループの検討で分かった。研究の詳細は「PLOS ONE」7月20日オンライン版に掲載された。

2型糖尿病患者の心血管疾患(CVD)リスクを低減するには、血糖コントロールだけでなく血圧や脂質などを含めた包括的な介入が必要とされる。しかし、未治療の日本人患者において、軽度の高血圧である前高血圧症がCVDリスクに及ぼす影響については十分に検討されていない。研究グループは今回、未治療の2型糖尿病患者を対象に、動脈硬化症の指標に頸動脈内膜中膜厚(IMT)を用いて、IMT値と前高血圧症および高血圧との関連を調べる横断研究を行った。

対象は、2004~2013年に同大学病院を受診した2型糖尿病患者のうち、CVDや脳卒中の既往、肝機能または腎機能障害がなく、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症および動脈硬化症の治療薬の服用歴がない患者179人。対象患者には高解像度B-モード超音波検査を実施してIMTを評価した。

年齢や糖尿病の罹病期間、BMI、HbA1c値など複数の動脈硬化リスク因子で調整した解析により、SBP値は最大IMT値と平均IMT値、プラークスコアのいずれとも有意な正の関連を示すことが分かった。さらに、アテローム性動脈硬化症(最大IMT値の平均値が1.8mm以上と定義)を検出するために有用なSBPのカットオフ値は133.5mmHgであることも明らかになった。一方で、拡張期血圧(DBP)値は動脈硬化症の検出には有用な指標ではなかった。

さらに、対象患者を正常血圧(SBP 119mmHg以下)、前高血圧症(同120~139mmHg)、高血圧(同140mmHg以上)の3つの群に分けて、複数因子で調整して解析した結果、高血圧を有する患者群(オッズ比7.29、P=0.003)だけでなく、前高血圧症を有する患者群(同3.45、P=0.033)においても動脈硬化症リスクが有意に上昇していた。

研究グループは、今回の研究は横断研究であるという限界に触れつつも、「未治療の日本人2型糖尿病患者では、前高血圧症はアテローム性動脈硬化症の独立したリスク因子である可能性が示された。2型糖尿病患者では、前高血圧症の血圧レベルであってもSBP値を管理することが動脈硬化症の予防に重要だと考えられる」と述べている。(HealthDay News 2018年8月20日)

Abstract/Full Text
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0201055

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