4HDN国内ニュース10月16日配信2

震災後に増加する糖尿病リスク、余命短縮に大きく影響 福島県立医大の調査

2011年に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原発事故は日本国民、中でも被災地住民の生活や健康に多大な影響を及ぼした。このほど福島県立医科大学健康リスクコミュニケーション学講座の村上道夫氏らの研究グループが行った調査で、震災後に増加する糖尿病により余命が縮まるリスクは、原発事故後の放射線被曝に関連するがんによるものと比べて30倍以上に上ることが明らかにされた。

避難生活や活動制限などで生活環境や就労状居などが大きく変わることを余儀なくされた被災地域では、糖尿病や肥満を始めとする生活習慣病のリスクが増加しているとの報告が相次いでいる。同氏らは「糖尿病はがんや全死亡リスクを高め、余命の短縮に大きく影響する。糖尿病を含めた生活習慣病全般への早急な対策が必要だ」と強調している。詳細は「PLOS ONE」9月28日オンライン版に掲載された。

村上氏らの研究グループは今回、福島第一原子力発電所の北10~40kmと35~50kmに位置する南相馬市と相馬市の住民を対象に、損失余命の指標を用いて原発事故に関連した放射線被曝によるがんと震災後に増加した糖尿病による余命が縮まるリスクを比較した。

その結果、生涯にわたって放射線に曝露したことによるがん関連の損失余命は両市の全住民平均で0.0069年、40歳代~70歳代の住民に限ると0.0024年であったのに対し、震災後10年間で増加する糖尿病の発症を反映した糖尿病関連の損失余命はそれぞれ0.026~0.041年、0.050~0.080年であることが分かった。

このことから、村上氏らは「放射線被曝によるがんと比べて、糖尿病により余命が縮まるリスクは全ての住民で5.9倍、40歳代から70歳代の住民では33倍にも上ることが明らかにされた」と結論。住民の食生活を改善し、運動習慣を促すような施策に行政レベルで力を入れ、生活習慣病の予防に注力する必要があることを強調している。(HealthDay News 2017年10月16日)

Abstract/Full Text
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0185259

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4HDN国内ニュース10月16日配信1

空腹時血糖異常と腹部肥満は糖尿病の強力な危険因子 日本人の成人男女で解析

日本人の成人男女はメタボリック症候群の危険因子の数が増えるほど将来、糖尿病になりやすく、特に空腹時血糖異常(IFG)があるとリスクはさらに高まる可能性のあることが医薬基盤・健康・栄養研究所(東京都)栄養疫学・食育研究部の黒谷佳代氏らの研究で分かった。「Journal of Epidemiology」9月号に掲載されたこの研究では、保有する危険因子に腹部肥満が含まれると、危険因子の数は同じでも糖尿病リスクはより高まることも明らかにされた。

これまで欧米で行われた小規模研究では、メタボリック症候群を構成する危険因子のうちIFGと腹部肥満はその他の因子よりも糖尿病リスクと強く関連することが報告されている。黒谷氏らは今回、日本の12企業で働く会社員10万人を対象とした職域多施設研究(Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study;J-ECOH Study)のデータを用いて、メタボリック症候群を構成する危険因子の数やその組み合わせと糖尿病リスクとの関連をIFGの有無別に調べる観察研究を行った。

対象は、2008~2013年に定期健診を受診した11企業で働く会社員5万5,271人(うち男性が4万7,160人)。メタボリック症候群を構成する危険因子は(1)ウエスト周囲長(男性90cm以上、女性80cm以上)、(2)中性脂肪150mg/dL以上または脂質異常症治療薬を服用、(3)HDL-コレステロール値が男性40mg/dL未満、女性50mg/dL未満、(4)血圧が130mmHgまたは85mmgHg以上あるいは降圧薬を服用、(5)空腹時血糖値が100mg/dL以上とし、(5)の空腹時血糖値が100~125mg/dLの場合をIFGと定義した。

追跡期間中(中央値で4.95年)、3,183人が糖尿病を発症した。解析の結果、空腹時血糖値が正常な対象者では、危険因子がない場合と比べて糖尿病リスクは1個では2.0倍、2個では4.3倍、3個では7.0倍、4個では10.0倍にそれぞれ増加した。また、IFGがあると糖尿病リスクはさらに高まり、IFGのみのでも12.7倍、IFGに加えて危険因子が1個増えると17.6倍、+2個で23.8倍、+3個で33.9倍、+4個で40.7倍にまでリスクが増加することも分かった。

さらに、危険因子(IFG、腹部肥満、高血圧、脂質異常症)の組み合わせ別に糖尿病リスクを比べたところ、危険因子に腹部肥満が含まれると、保有する危険因子の数がたとえ同じであってもさらに糖尿病リスクは増加することも明らかにされた。

以上の結果から、黒谷氏らは「メタボリック症候群の危険因子の数やIFGの有無で将来の糖尿病リスクを予測できる可能性がある。また、保有する危険因子の数や血糖コントール状況が同じでも、腹部肥満があるかどうかで糖尿病リスクは変わってくることも分かった」と結論づけている。(HealthDay News 2017年10月16日)

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http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S091750401730103X?via%3Dihub

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4HDN国内ニュース10月10日配信2

適度に魚を食べるとうつ病になりにくい? 多目的コホート研究から

魚や貝などの魚介類を1日に110gほど食べる人は、食べる習慣のない人よりもうつ病になりにくい可能性があることが、国立がん研究センターなどが進める多目的コホート研究(JPHC Study)で明らかにされた。100gの目安は鮭が1切れ、いわしだと1尾。エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサペンタ塩酸(DPA)などのオメガ3(n-3)系脂肪酸による影響が考えられるという。詳細は「Translational Psychiatry」9月26日オンライン版に掲載された。

これまで欧米を中心とした研究で、魚、特に青魚に多く含まれるオメガ3系脂肪酸の摂取はうつ病の発症リスク低下と関連することが報告されている。しかし、研究グループによると、日本人が参加した研究は限られており、また、精神科の医師が厳格にうつ病を診断した研究はほとんど行われていなかった。そこで、研究グループは今回、JPHC研究に参加した一般住民を対象に、魚介類とオメガ3系脂肪酸の摂取量と精神科医により診断されたうつ病との関連を調べた。

対象は、1990年に40~59歳だった長野県内の住民1万2,219人のうち、1995年と2000年に食物摂取頻度を尋ねるアンケートに回答し、2014~2015年の「こころの検診」に参加した1,181人。アンケートでは、サケ・マス、カツオ・マグロ、アジ・イワシ、魚卵、イカ、タコ、エビなどのほか、アサリ・シジミといった貝類、かまぼこなどの加工食品などの摂取頻度を調べた。

その結果、参加者を魚介類の1日の摂取量で4つの群に等分に分けてうつ病の発症リスクを比較したところ、1日57g(中央値)と最も少なかった群と比べて2番目に多かった群(中央値で111g/日)でうつ病リスクが半減し(オッズ比0.44、95%信頼区間0.23~0.84)、その他の群でも約20~30%ほどリスクが低減していることが分かった。

また、オメガ3系脂肪酸の種類別〔α-リノレン酸、EPA、DPA、ドコサヘキサエン酸(DHA)〕の摂取量でも同様に4つの群に分けてうつ病リスクを比べたところ、EPAは最も少なかった群(200mg/日)と比べて3番目に多かった群(307mg/日)で、DPAは最も少なかった群(67mg/日)と比べて2番目に多かった群(123mg/日)でリスクが半減していた(それぞれのオッズ比0.54、0.30~0.99、同0.42、0.22~0.85)。

ただし、EPA、DPAはいずれも摂取量が一定量を上回るとこうしたうつ病リスクの低減効果は弱まっていた。一方、α-リノレン酸とDHAの摂取量とうつ病リスクとの間には明らかな関連は認められなかった。

これらの結果から、研究グループは「魚介類やオメガ3系脂肪酸は単に摂取量が多いほどうつ病リスクが下がるのではなく、適度に摂取するとリスクは下がるが、ある一定量を超えるとその影響は弱まる可能性がある」と指摘している。こうした結果が得られた理由については不明としつつ、「魚介類は炒めて食べる人が多いとする報告もあり、サラダ油に含まれる、炎症惹起に働くオメガ6(n-6)系多価不飽和脂肪酸の摂取量が増えてオメガ3系脂肪酸の効果が打ち消されたのではないか」との考えを示している。(HealthDay News 2017年10月10日)

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http://www.nature.com/tp/journal/v7/n9/full/tp2017206a.html?foxtrotcallback=true

Press Release
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/7983.html

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4HDN国内ニュース10月10日配信1

心臓周囲の脂肪蓄積と血清シスタチンC値の上昇が関連 日本人2型糖尿病患者を解析、岩手医大の研究グループ

2型糖尿病患者では、心臓周囲の脂肪蓄積と腎機能マーカーとして知られる血清シスタチンC値の上昇が関連し、これらは心血管代謝リスクの上昇をもたらす可能性があると岩手医科大学糖尿病・代謝内科教授の石垣泰氏らが「PLOS ONE」9月18日オンライン版に発表した。心臓周囲の脂肪蓄積とシスタチンC値の上昇は独立した心血管リスク因子だと考えられるという。

心臓周囲に蓄積した脂肪(epicardial adipose tissue;EAT)は動脈硬化の進展と関連し、内臓脂肪や肥満、高血圧、糖尿病とは独立した心血管リスク因子だと考えられているが、その詳細な役割は明らかにされていない。石垣氏らは今回、2型糖尿病患者を対象に、EAT面積の増大と関連する臨床パラメータを調べる横断研究を行った。

対象は、2014年1月~2016年7月に同大学病院に入院し、心臓のマルチスライスCT(MDCT;複数のX線照射装置を備えた装置)画像を撮影した2型糖尿病患者208人。心臓MDCT画像を用いてEAT組織の面積を測り、血液検査や尿検査で測定した動脈硬化に関与するさまざまな臨床パラメータとの関連を調べた。

その結果、EATの面積は年齢、BMI、内臓脂肪面積、血清中のレプチン(脂肪細胞から分泌されるホルモン)、シスタチンC(腎機能マーカー)、C-ペプチド(インスリン分泌能の指標)の測定値と正の関連を示した。その一方で、血清アディポネクチン値と推算糸球体濾過量(eGFR)値、肝脾CT値の比(liver-to-spleen ratio)とは負の関連を示しており、これまでの研究報告と同様に、EATの蓄積はメタボリック症候群の臨床パラメータと関連することが分かった。

また、重回帰分析を行ったところ、EAT面積と独立して有意に関連する臨床パラメータとして血清中のシスタチンC値、レプチン値とBMI、年齢が浮かび上がった。そこで、シスタチンCを同じく腎機能マーカーとして知られるeGFRと置き換えて解析したところ、eGFRとEAT面積との間には有意な関連は認められず、複数の因子を調整した解析でも血清シスタチンC値はEATの面積と有意に関連することが分かった。

石垣氏らは、今回の研究はこれらの関連性を示したに過ぎないとしつつも、「心臓周囲の脂肪蓄積と血清シスタチンC値の上昇は独立した心血管リスク因子である可能性がある」と結論。「これらの強い関連性から、2型糖尿病患者では心臓周囲に脂肪が蓄積するとシスタチンCの分泌が促され、心血管代謝リスクの上昇がもたらされる可能性が考えられる」と述べている。(HealthDay News 2017年10月10日)

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http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0184723

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4HDN国内ニュース10月2日配信2

糖尿病患者1000万人の大台に、予備軍含め2000万人と推計 厚労省「国民健康・栄養調査」

糖尿病患者とその予備軍は、2016年にはいずれも約1000万人に上ることが厚生労働省の国民健康・栄養調査で分かった。糖尿病患者数が1000万人の大台を記録したのは、1997年の調査開始以来初めて。厚労省は高齢化や特定健診(メタボ健診)による影響と分析しているが、糖尿病に関連した国内の医療費は年間で1兆円を超えており、国や地方自治体レベルでの対策強化が求められる。

本調査は、厚労省が健康増進法に基づいて毎年実施しているもの。2016年は全国から抽出した約2万4,000世帯を対象に行われ、身長や体重、腹囲など毎年の基本項目に加えて約1万1,000人の成人男女を対象に血液検査を実施。測定したHbA1c値を基に糖尿病が「強く疑われる(HbA1c値が6.5%以上または糖尿病治療の有無に「有」と回答)」または「可能性を否定できない(同6.0%以上6.5%未満)」か否かを判定し、全国データに当てはめて患者および予備軍の数を推計した。

調査の結果、糖尿病患者は1997年の約690万人から増え続け、2016年には前回(2012年)調査の950万人を上回る1000万人と推計された。その割合は全体で12.1%、男性では16.3%、女性では9.3%であった。糖尿病患者のうち76.6%は治療を受けており(男性78.7%、女性74.1%)、その割合には増加傾向がみられたが、働き盛りの男性(40~49歳)では51.5%と他の年齢よりも低いといった課題も浮き彫りになった。

また、糖尿病の可能性を否定できない予備軍は前々回(2007年)の1320万人をピークに減少し続けているが、2016年も1000万人を超えており、糖尿病患者およびその予備軍は合わせて2000万人に上ると推計された。

さらに、体格(BMI)と生活習慣状況を調べ、都道府県別に年齢調整を行った上でそれぞれのデータを4等分に分けて上位群(上位25%)と下位群(下位25%)を比較したところ、「BMI」、「野菜や食塩の摂取量」、「歩数」、「男性の喫煙習慣の割合」で有意な差がみられ、地域格差の存在も明らかにされた。

例えば、BMI(適正体重は18.5~25未満、25以上は肥満)が最も高いのは男性が高知(25.1)、女性が福島(23.9)、低いのはそれぞれ新潟(23.1)と福岡(21.8)であった。

また、1日当たりの野菜摂取量(厚労省の推奨では350g)は男女ともに長野県(各352g、335g)が最も多く、男性では愛知県(229g)、女性では大阪府(227g)で少なかった。食塩摂取量(男性8.0g/日、女性7.0g/日)は男女ともに沖縄(各9.1g、8.0g)で最も少なかった(多いのは男性が宮城;11.9g、女性が長野;10.1g)。さらに、1日の平均歩数は男性で最も多い大阪(8,762歩)と女性の神奈川(7,795歩)と比べて最も低い高知(男女それぞれ5,647歩、5,840歩)との間に約3,000歩の開きがみられた。(HealthDay News 2017年10月2日)

Press Release
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177189.html

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4HDN国内ニュース10月2日配信1

太っても食欲が止まらない・・・原因酵素を同定 肥満治療への応用に期待、基礎生物学研

太っても食欲が止まらない原因となる酵素を突き止めたと、基礎生物学研究所(愛知県)統合神経生物学研究部門の野田昌晴氏らの研究グループが発表した。食欲は通常、脂肪細胞から分泌されるホルモン(レプチン)がコントロールしているが、肥満になると脳の摂食中枢で「RPTPJ」と呼ばれる酵素の発現量が増え、レプチンの作用を弱めていることがマウスを用いた実験で分かった。この酵素の働きの阻害は糖尿病や肥満の新しい治療標的となる可能性があるという。詳細は「Scientific Reports」9月14日オンライン版に掲載された。

一般に、肥満がない人の食欲は、脂肪細胞から分泌されるレプチンというホルモンが脳の摂食中枢に働きかけることで抑えられている。しかし、肥満になると脂肪の増加に伴ってレプチンの分泌量が増えるにもかかわらず、この働きが弱まる「レプチン抵抗性」の状態になることが知られているが、どのようなメカニズムでレプチンが効きにくくなるのかは明らかにされていなかった。

野田氏らの研究グループは今回、これまでさまざまな生理機能の研究を進めてきたRPTP(受容体様タンパク質チロシン脱リン酸化酵素)と呼ばれる酵素群のうち、2015年にインスリン受容体を脱リン酸化し、その働きを抑えていることを見出した「RPTPJ」に着目。この酵素の遺伝子を欠損したマウスと正常なマウスに高脂肪食を12週間与えて観察したところ、RPTPJがないマウスは正常なマウスと比べて食べる量が少なく、体重も抑えられていたほか、全身の脂肪量が約4割少ないことも分かった。

また、高脂肪食を2カ月間与えたマウスでは、レプチン抵抗性とともに、摂食中枢でRPTPJの発現量が増えていることも分かった。さらに、高脂肪食を14週間にわたり与えたマウスにレプチンを投与したところ、正常なマウスではレプチン抵抗性が引き起こされていて食べる量や体重は減らなかったが、RPTPJがないマウスではいずれも大きく減少し、レプチン抵抗性は生じていないことが明らかになった。

以上の結果を踏まえて、野田氏らは「RPTPJの働きを阻害する薬剤の開発は、糖尿病だけでなく肥満の新しい治療につながる可能性がある」と期待を示している。(HealthDay News 2017年10月2日)

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https://www.nature.com/articles/s41598-017-12070-7

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4HDN国内ニュース9月25日配信2

血糖・血圧・脂質の同時強化介入が大血管合併症を抑制 J-DOIT3、EASD 2017で発表

糖尿病患者の血糖・血圧・脂質の管理指標がより厳格なものへと見直しが進むかもしれない-。約2,500人の糖尿病患者を対象とした大規模臨床試験(J-DOIT3研究)で、これらの管理指標を現行よりも厳格に設定すると、2型糖尿病患者の心筋梗塞や脳卒中といった大血管合併症リスクの低減につながる可能性があることが分かった。血糖・血圧・脂質を同時に強化介入することで大血管合併症を減らせることを大規模な研究で示したのは世界初。今後、国内外の糖尿病診療指針に影響を与えるものと注目される。

研究結果は、東京大学病院糖尿病・代謝内科教授の門脇 孝氏と国立国際医療研究センター研究所糖尿病研究センターのセンター長を務める植木浩二郎氏らが第53回欧州糖尿病学会(EASD 2017、9月11~15日、ポルトガル・リスボン)で発表し、詳細は「Lancet Diabetes & Endocrinology」にも掲載される予定だ。

J-DOIT3(Japan Diabetes Optimal Integrated Treatment study for 3 major risk factors of cardiovascular diseases)研究は、糖尿病に伴う心筋梗塞や脳卒中などの大血管合併症の発症や進行を抑制する介入法を見出すため、2006年に厚生労働省の研究事業の一環として開始された臨床試験。全国81の施設から2,542人の大血管合併症のリスクが高い2型糖尿病患者が参加した。

対象の2型糖尿病患者を、現行のガイドラインに沿った治療を行う従来療法群または血糖・血圧・脂質の管理指標を厳格に設定して強化介入を行う強化療法群にランダムに割り付けて、平均で8.5年間追跡した。現行の管理指標は、合併症予防のためのHbA1c値は7.0%未満、血圧は130/80mmHg未満、LDL-コレステロール(LDL-C)値は120mg/dL(冠動脈疾患の既往がない場合)であるのに対し、強化療法群ではそれぞれ6.2%、120/75mmHg、80mg/dLの目標達成を目指した。主要評価項目は心筋梗塞、冠血行再建術、脳卒中、脳血管血行再建術、死亡と定義した。

追跡期間中の治療状況をみると、強化療法群と従来治療群ではそれぞれ平均HbA1c値は6.8%、7.2%、平均血圧値は123/71mmHg、129/74mmHg、平均LDL-C値は85mg/dL、104mg/dLであった。

解析の結果、主要評価項目の発症率は、従来療法群と比べて強化療法群では有意ではないものの19%抑制されたほか、患者登録時の喫煙状況などの危険因子を調整した解析では、強化療法群で24%有意に抑制されていた(P=0.042)。

また、事後解析によると、総死亡および冠動脈イベントの発生率には両群間で有意な差はみられなかったが、脳血管イベント(脳卒中および脳血管血行再建術)の発生率は強化療法群で58%有意に抑制されていた(P=0.002)。なお、細小血管合併症のうち、腎症や網膜症の発症や進展に関しては強化療法群で有意に抑制されたものの(それぞれ32%;P<0.001、14%;P=0.046)、下肢の切断などについては両群間で有意差はみられなかった。

両氏らの研究グループによると、今回の強化療法群では心筋梗塞や脳梗塞による死亡例は1件もみられなかったほか、10年以上前に日本行われた同様の小規模な臨床試験よりもこれらのイベント発生率には50%以上の低下がみられた。このことから、両氏らは「現行のガイドラインによる治療法でも心筋梗塞や脳梗塞は減少しているが、血糖・血圧・脂質をより厳格かつ総合的に介入を行うことで大血管合併症の発症をさらに抑えられるのではないか」と述べており、国内外の糖尿病診療指針も厳格な治療を目指す方向で見直しが進む可能性があるとの見解を示している。(HealthDay News 2017年9月25日)

Press Release
http://www.h.u-tokyo.ac.jp/vcms_lf/release_20170915.pdf

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4HDN国内ニュース9月25日配信1

低出生体重の女性は糖尿病になりやすい? 成人後に肥満がなくてもリスクは有意に増加、日本人看護師調査

低出生体重で生まれた女性は、成人後の肥満度(BMI)にかかわらず糖尿病になりやすい可能性があることを、国立がん研究センターがん対策情報センターの片野田耕太氏らが発表した。たとえ成人後のBMIが低めの正常値(18.5~20.9)であっても、出生体重が2,500g未満だった女性は3,000~3,500g未満だった女性に比べて糖尿病を発症するリスクが5倍近くに上るという。詳細は「Journal of Epidemiology」9月号に掲載された。

出生体重は成人後に発症する糖尿病の重要な決定因子であると考えられているが、成人期のBMIによる影響は明らかにされていない。片野田氏らは日本の女性看護職員を対象とした疫学研究、日本ナースヘルス研究(Japan Nurses’ Health Study;JNHS)のデータを用いて、成人期のBMIを考慮した上で出生体重と成人発症糖尿病との関連を調べる観察研究を行った。

対象はJNHSに参加した女性看護師2万6,949人。30歳未満、妊婦、30歳未満で糖尿病を発症した女性は解析から除外した。対象女性には2001~2007年のベースライン時に自記式質問紙による調査を行い、糖尿病の既往歴、出生児の体重に加えて、母親の妊娠期間、成人後(現在の)BMI、両親の糖尿病既往歴について尋ねた。

その結果、年齢やBMI、両親の糖尿病既往歴を調整した解析によると、出生体重が低い女性ほど成人後に糖尿病を発症するリスクが高まっており、出生体重が100g増えるごとに糖尿病を発症するリスクは7%低下していた(オッズ比0.93、95%信頼区間0.90~0.96)。なお、出生体重を妊娠期間のパーセンタイルに置き換えても同様の結果が得られた。

また、対象女性を現在のBMIで5つの群(18.5~20.9、21.0~22.9、23.0~24.9、25.0~26.9、27.0以上)に層別化して解析したところ、成人期に過体重~肥満(BMI 25.0以上)の女性では出生体重にかかわらず糖尿病リスクは高まっていたが、BMIが低めの正常値の女性では、出生体重が低いほど糖尿病になりやすく、2,500g未満だった女性は3,000~3,500g未満だった女性に比べて糖尿病の発症リスクは4.75倍に上っていた。

以上の結果を踏まえ、片野田氏らは「出生体重は成人後の糖尿病発症に影響を及ぼす可能性がある」とし、成人後に肥満がなくても出生体重が低い女性では糖尿病リスクが高まる点に留意すべきだとアドバイスしている。(HealthDay News 2017年9月25日)

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http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0917504017301065?via%3Dihub

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食事からマグネシウムを多く摂ると心筋梗塞になりにくい? 多目的コホート研究から

魚や果物、野菜などのマグネシウムを多く含む食品をよく食べる人ほど、心筋梗塞などの虚血性心疾患を起こしにくい可能性があることを、国立がん研究センターと国立循環器病研究センターらの共同研究グループが発表した。食事からのマグネシウム摂取量と心血管疾患の発症リスクの関連をアジア人で調べたのは初めて。マグネシウムが不足すると血圧の上昇や脂質異常、動脈硬化の進展などがもたらされるため、摂取量を増やすと虚血性心疾患の予防につながる可能性があるという。詳細は「Clinical Nutrition」8月12日オンライン版に掲載された。

これまで欧米の研究で、栄養素の1つ、ミネラルの中でもカリウム、カルシウム、マグネシウムを多く摂取すると心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患の予防につながることが報告されているが、アジア人を対象とした検討はほとんどなされていなかった。そこで研究グループは今回、多目的コホート研究(JPHC Study)に参加した一般住民を対象に、食事からのマグネシウム摂取量とこれらの疾患の発症リスクとの関連について約15年間の追跡調査を行った。

対象は、1995年および1998年の時点で心血管疾患やがんの既往がない45~74歳の一般住民8万5,293人。追跡開始時に行った138項目の食物摂取頻度調査のデータに基づき食事からのマグネシウム摂取量を推計し、摂取量で5つの群(摂取量が低い群からQ1~Q5)に等分に分けて脳卒中と虚血性心疾患の発症率を2009年および2010年まで追跡した。

その結果、追跡期間中に脳卒中(脳梗塞および出血性脳卒中)が4,110件、虚血性心疾患が1,283件起こっていた。解析したところ、虚血性心疾患の発症リスクは男女ともにマグネシウムの摂取量が多いほど低く、摂取量が最も低い群(Q1)と比べたリスクは、男性では2番目に多い群(Q4)で24%、最も多い群(Q5)で23%低く、女性では3番目に多い群(Q3)で39%、2番目に多い群(Q4)で34%、最も多い群(Q5)で36%低下していた(男性のQ1対Q5以外は有意差あり;P<0.05)。

また、女性では虚血性心疾患と脳卒中を合わせた「全ての循環器疾患」の発症リスクについても、マグネシウムの摂取量が3番目に多い群(Q3)、Q4、Q5でそれぞれ20%、16%、29%有意に低いことも分かった。一方で、マグネシウムの摂取量と脳卒中全体の発症リスクとの間には関連はみられず、脳梗塞と出血性脳卒中の病型別に解析をしても同様の結果が得られた。

研究グループは、マグネシウム以外のミネラル(ナトリウム、カルシウム、カリウム)の摂取量を調整した解析では、男性ではこれらの結果に影響はみられなかったのに対し、女性では摂取量と虚血性心疾患の発症リスクとの関連は弱まったとしている。しかし、「マグネシウムが不足すると血圧上昇や代謝異常、動脈硬化の進行などの心血管疾患リスクを押し上げる原因となるため、マグネシウムの摂取量を増やすとこれらの予防につながる可能性がある」として、介入研究などで今後検証が進むことが期待されると述べている。(HealthDay News 2017年9月19日)

Abstract
http://www.clinicalnutritionjournal.com/article/S0261-5614(17)30274-1/abstract

Press Release
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/7963.html

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4HDN国内ニュース9月19日配信1

血中アディポネクチン濃度の上昇が骨折の予測因子に 福岡県糖尿病患者を対象とした大規模疫学研究を解析

閉経後女性を含む2型糖尿病患者では、血中アディポネクチン濃度の上昇に伴い、骨折全体のリスクだけでなく骨粗鬆症性骨折を来すリスクも高まる可能性のあることが、白十字病院副院長・糖尿病センター長の岩瀬正典氏らの研究で明らかにされた。糖尿病患者における血中アディポネクチン濃度と骨折リスクとの関連を大規模なコホート研究で検証したのは今回が初めて。高アディポネクチン血症による骨粗鬆症性骨折リスクへの影響も示された。詳細は「Diabetologia」10月号に掲載された。

脂肪細胞から分泌されるホルモンのアディポネクチンはインスリン抵抗性の改善に働くことが知られているが、アディポネクチンとその受容体はヒトの骨芽細胞にも発現するため骨代謝にも大きな影響を及ぼすと考えられている。これまで糖尿病がない男性では、血中アディポネクチン濃度の上昇は骨折リスクの増加と関連することが報告されているが、2型糖尿病患者では十分に検討されていなかった。

そこで、岩瀬氏らは今回、大規模な前向き疫学調査である福岡県糖尿病患者データベース研究(Fukuoka Diabetes Registry;FDR)のデータを用いて、血中アディポネクチン濃度と骨折リスク(全ての骨折および骨粗鬆症性骨折)との関連を調べた。

対象は、2008年4月~2010年10月に同県内の糖尿病専門施設に通院する外来糖尿病患者5,131人のうち、1型糖尿病患者などを除き、骨折の発生を追跡し得た4,869人。このうち男性が2,754人で、女性のうち1,951人は閉経後女性であった。平均年齢は65歳、平均罹病期間は15.4年であった。

その結果、中央値で5.3年(追跡率は97.6%)の追跡期間中に682人がいずれかの骨折を来し、このうち277人では骨粗鬆症性骨折が認められた。解析の結果、(対数変換した)血中アディポネクチン濃度が1標準偏差(SD)増加するごとに閉経後女性では全ての骨折リスクが1.27倍、骨粗鬆症性骨折リスクが1.35倍に増え、男性ではそれぞれ1.22倍、1.40倍となることが分かった(いずれのリスクも年齢調整ハザード比)。

また、閉経後女性と男性における骨折のリスク因子を調べたところ、両者の骨粗鬆症性骨折の有意なリスク因子として高アディポネクチン血症(血中アディポネクチン濃度が20μg/mL以上)が浮かび上がった。高アディポネクチン血症を伴う閉経後女性では骨粗鬆症性骨折リスクは1.72倍に、男性では2.19倍にそれぞれ高まっており、そのリスクの程度は70歳以上の高齢者や女性と同程度であった。

以上の結果を踏まえ、岩瀬氏らは、2型糖尿病患者の血中アディポネクチン濃度を測定することで、将来、骨折を来すリスクが高いかどうかを予測できる可能性があるとしている。(HealthDay News 2017年9月19日)

Abstract
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00125-017-4369-1

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