2HDN糖尿病ニュース7月12日配信1

働き過ぎの女性は2型糖尿病リスクが高い?

長時間の残業などの過重労働は、さまざまな健康リスクを高めることが知られている。今回、新たな研究で、労働時間が週45時間以上の女性は、週35~40時間の女性に比べて2型糖尿病の発症リスクが上昇する可能性が示された。一方で、男性ではこうした関連はみられなかった。この結果について、研究者らは、女性は男性よりも家事や育児など家庭の仕事に費やす時間が長くなりがちなことが影響した可能性を指摘している。詳細は「BMJ Open Diabetes Research and Care」7月2日オンライン版に掲載された。

2型糖尿病の患者数は、世界的に増加傾向が続いており、2030年までに4億3900万人に達するものと推計されている。糖尿病は心臓病や脳卒中などの重大なリスク因子であり、その原因として主に肥満や運動不足、遺伝要因などが挙げられている。

今回の研究は、カナダ職業衛生研究所のPeter Smith氏らによるもの。2003年のカナダ地域保健調査に参加したオンタリオ州に在住する35~74歳の労働者7,065人を対象に12年間追跡し、労働時間と2型糖尿病発症の関連について調べた。

追跡期間中に10人に1人が糖尿病を発症した。年齢や婚姻状況、座りがちな仕事やシフト勤務かどうかなどの複数の因子で調整して解析した結果、男性では労働時間が長くても2型糖尿病リスクの上昇は認められなかった。一方で、女性では、2型糖尿病リスクは労働時間が週35~40時間の場合に比べて、週45時間以上の場合には1.63倍であることが分かった。なお、喫煙習慣や余暇の身体活動度、飲酒習慣、BMIで調整して解析すると、こうした関連はわずかに弱まったという。

論文の最終著者であるSmith氏は、今回はこれらの因果関係が証明された訳ではないと強調しつつ、「2型糖尿病などの慢性疾患の発症には職場環境の影響も大きいことを理解するのは重要だ。特に働く女性は、仕事以外にも家事や育児に追われて、テレビを見ながらくつろいだり、運動する時間が十分に取れない人も多いと思われる」と話す。また、同氏は長時間労働によりストレス反応が生じて、ホルモンバランスが崩れたり、インスリン抵抗性が引き起こされる可能性を指摘している。

専門家の一人で米モンテフィオーレ医療センター臨床糖尿病センター長のJoel Zonszein氏は「家族に対する責任や義務、家事を含めた全体の仕事量のほか、睡眠時間やストレス度など多くの点で男女の差は大きく、このことが今回の結果につながった可能性がある」との見方を示している。(HealthDay News 2018年7月2日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/misc-diabetes-news-181/working-overtime-could-raise-women-s-diabetes-risk-735393.html

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「尿中糖鎖」が2型糖尿病患者の腎予後予測に有用か 岡山大など

尿中の糖鎖排泄量が、2型糖尿病患者の腎機能低下を予測する指標として有用な可能性があることを、岡山大学大学院腎・免疫・内分泌代謝内科学教授の和田淳氏と三瀬広記氏らの研究グループが突き止めた。糖尿病患者の腎機能の悪化に、尿中の糖鎖が関係することを報告した研究は世界で初めて。和田氏らは「たった1滴の尿を用いるだけで、従来よりも正確に2型糖尿病患者の腎機能悪化を予測できれば、腎不全への進展や透析を導入する患者を減らせる可能性がある」と話している。詳細は「Diabetes Care」6月21日オンライン版に掲載された。

糖鎖とは細胞の表面にある糖が鎖状につながった生体高分子のことで、近年はアレルギー疾患やがん、関節リウマチ、認知症などのさまざまな疾患への関与が報告されつつある。しかし、糖鎖の構造は複雑で測定が難しく、糖尿病や腎臓病における糖鎖の研究は進んでいなかった。

研究グループは今回、共同研究者の株式会社グライコテクニカが開発した「レクチンアレイ」と呼ばれる糖鎖解析技術を採用。1滴の尿(20μL)を用いるだけで尿中の複数の糖鎖量を短期間で測定できるようになった。レクチンアレイは、45種類のレクチンが固定されたチップの上にラベル処理した尿をかけると、尿中糖鎖がそれぞれに対応したレクチンに結合することで、尿中糖鎖を測定できる仕組みだという。

そこで、研究グループは、岡山県内8施設の2型糖尿病患者675人を対象に、レクチンアレイを用いて尿中の糖鎖排泄量を測定する前向きコホート研究を実施。評価項目はベースライン時からの推算糸球体濾過量(eGFR)が30%以上低下、または末期腎不全による透析導入と定義した。対象患者の平均年齢は63歳、男性61%、平均eGFR値は71.4±17.1mL/分/1.73m2、尿中アルブミン排泄量の中央値は17.3mg/gCr(四分位7.8~71.1)であった。中央値で4.0年の追跡期間中に63人の患者が評価項目を発症した。

単変量だけでなく、ベースライン時のアルブミン尿やeGFRで調整した多変量Cox回帰モデルにおいても、SNA、RCA120、DBA、ABA、Jacalin、ACAの6種類のレクチンが認識する糖鎖の尿中排泄量は評価項目の発症と有意に関連することが分かった。SNA、RCA120、DBAに結合する特異的糖鎖はそれぞれSiaα2-6Gal/GalNAc、Galβ1-4GlcNAc、GalNAcα1-3GalNAcであり、ABA、Jacalin、ACAに共通する特異的結合糖鎖はGalβ1-3GalNAcであった。また、これら6種類の尿中の糖鎖排泄量を、ベースライン時のアルブミン尿やeGFRなどで構成したモデルに加えると評価項目の予測能は有意に向上することも明らかになった。

以上の結果から、研究グループは「2型糖尿病患者の腎予後の予測には、尿中糖鎖の測定が有用な可能性が示された。尿中の糖鎖排泄量は腎組織における糖鎖や糖鎖修飾の違いを反映している可能性があり、糖尿病腎症の進展における新しいメカニズムになり得る。そのため、尿中糖鎖のさらなる研究が糖尿病腎症における新たな治療標的になると期待される」と結論づけている。(HealthDay News 2018年7月9日)

Abstract/Full Text
http://care.diabetesjournals.org/content/early/2018/06/04/dc18-0030.long

Press Release
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id547.html

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4.1.1

高齢者のメタボに残存歯の本数と食べる速さが関連か 愛知学院大の研究グループ

日本人の高齢者では、残存歯の本数と食べる速さ、歯間ブラシやデンタルフロスなどの歯間清掃用具を使う頻度がメタボリック症候群と関連する可能性のあることが、愛知学院大学歯学部口腔衛生学教授の嶋﨑義浩氏らの研究グループの検討で分かった。同氏らは「高齢になっても歯の本数を保ち、ゆっくりと食べることがメタボリック症候群の予防に重要だと思われる」と話している。詳細は「Journal of Epidemiology」6月16日オンライン版に掲載された。

これまで多くの研究で、歯周病や残存歯の本数などで評価する口腔内の健康状態はメタボリック症候群と関連することが報告されている。これらの報告の多くは中年期の成人を対象としたものが多いことから、研究グループは今回、高齢者を対象に、歯周病や残存歯の本数、生活習慣因子(喫煙や飲酒の習慣、運動習慣、食べる速さ、口腔衛生習慣)とメタボリック症候群との関連を調べる観察研究を実施した。

研究グループは、三重県における75歳および80歳の高齢者2,379人(うち男性960 人)から得た一般健診と歯科健診の横断データを用いて解析した。健診時のウエスト周囲長のデータが得られなかったため、メタボリック症候群の判定にはBMIを代用し、中心性肥満(BMI 25以上)、中性脂肪高値、HDL-コレステロール低値、血圧高値、高血糖のうち3つ以上に該当する場合をメタボリック症候群と判定した。

対象者を残存歯の本数で3つの群(20~28本、10~19本、0~9本)に分けて解析した結果、メタボリック症候群のリスクは残存歯が最も多い群に比べて、10~19本の群では1.23倍、0~9本の群では1.54倍と、残存歯の本数が少ない群ほどリスクは高いことが分かった。

また、生活習慣因子のうち、食べる速さが速いほどメタボリック症候群のリスクが高く(遅い群に比べて速い群で2.06倍)、歯間ブラシなどの歯間清掃用具を毎日使う人は、全く使わない人に比べてメタボリック症候群のリスクが0.71倍と低いことも明らかになった。

さらに、残存歯の本数と食べる速さを組み合わせた解析を行った結果、残存歯が20~28本でゆっくり食べる群に比べて、残存歯が0~9本で食べる速さが速い群ではメタボリック症候群のリスクが2.48倍と最も高かった。なお、この研究では歯周病とメタボリック症候群との間に関連はみられなかった。

これらの結果から、研究グループは「高齢者では、残存歯の本数と食べる速さ、歯間衛生用具を使う頻度がメタボリック症候群と関連する可能性が示された。特に残存歯が少なく食べる速さが速い人はメタボリック症候群に注意する必要がある」と結論。一方で、これらの関連については、今後さらなる研究でその背景にある機序などを確かめる必要があるとしている。(HealthDay News 2018年7月9日)

Abstract/Full Text
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jea/advpub/0/advpub_JE20170210/_article/-char/en

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低用量アスピリンにがん予防効果みられず――日本人2型糖尿病患者で検討

日本人の2型糖尿病患者は低用量のアスピリンを長期にわたり服用しても、服用しなかった場合とがんの罹患率には差がみられない可能性があることが、奈良県立医科大学循環器内科学教授の斎藤能彦氏らによるJPAD研究グループの検討で分かった。ただし、65歳未満の糖尿病患者に限ると低用量アスピリンによるがん予防効果が示唆されたという。詳細は「Diabetes Care」6月16日オンライン版に掲載された。

研究グループは、2型糖尿病患者2,536人を対象に、低用量アスピリンによる動脈硬化性疾患の一次予防効果を検証したJPAD研究の登録患者を、2008年の試験終了時からさらに2015年まで追跡するJPAD2研究を実施。同時に追跡したがん発症に関するデータを解析した。(HealthDay News 2018年7月2日)

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余暇の座位時間長いとがんや糖尿病、CVDによる死亡リスク上昇――米研究

テレビ視聴などの余暇の座位時間が長いと全死亡やがん、糖尿病、心血管疾患(CVD)などで死亡するリスクが上昇する可能性を示す研究結果が「American Journal of Epidemiology」6月26日オンライン版に掲載された。

米国がん協会(ACS)のAlpha V. Patel氏らは、CPS-II Nutrition Cohortの登録時に重大な慢性疾患のない男女12万7,554人のデータを解析した。1993年から21年間の追跡期間中に4万8,784人が死亡した。解析の結果、余暇の座位時間が長い人(1日6時間以上)は、1日3時間未満の人と比べて全死亡、CVD、がん、糖尿病、腎疾患、自殺、COPD、誤嚥性肺炎、消化器疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病などによる死亡リスクが上昇した。(HealthDay News 2018年6月29日)

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Close-up Of Patient Hands Measuring Glucose Level Blood Test With Glucometer

2型糖尿病の血糖管理に人工膵臓が有用か――ADA 2018

自動注入インスリンポンプと持続血糖測定器(CGM)を組み合わせた「人工膵臓」は、入院中の2型糖尿病患者における血糖管理に有用とする研究結果が米国糖尿病学会(ADA 2018、6月22~26日、米オーランド)で発表され、論文が「New England Journal of Medicine」6月25日オンライン版に掲載された。

英ケンブリッジ大学代謝研究所のRoman Hovorka氏らは、インスリン治療を要する入院中の成人2型糖尿病患者136人を対象に、人工膵臓システム群(70人)またはインスリン皮下投与の対照群(66人)にランダムに割り付けて比較検討した。その結果、対照群と比べて人工膵臓群では入院中の血糖値が目標範囲内を示す時間の割合が高く、平均血糖値も有意に低かった。なお、両群ともに重症の低血糖は認められなかった。(HealthDay News 2018年6月26日)

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遺伝的リスクと生活習慣は糖尿病とCVDの独立した予測因子――英国バイオバンク研究

遺伝的リスクと生活習慣は糖尿病と心血管疾患(CVD)の新規発症の独立した予測因子だとする研究結果が「JAMA Cardiology」6月27日オンライン版に掲載された。

フローニンゲン大学(オランダ)のM. Abdullah Said氏らは、英国バイオバンク研究から得た33万9,003人のデータを用いて、対象者の遺伝的リスクを低、中、高に分けた上で、生活習慣とCVDや2型糖尿病リスクとの関連を調べた。解析の結果、遺伝的リスクと生活習慣はこれらの疾患の新規発症の独立した予測因子であった。遺伝的リスクが低く理想的な生活習慣の群と比べて、遺伝子的リスクが高い群では、不健康な生活習慣は冠動脈疾患リスク4.54倍、心房細動リスク5.41倍、高血圧リスク4.68倍、脳卒中リスク2.26倍、糖尿病リスク15.46倍と関連した。(HealthDay News 2018年6月28日)

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妊娠中の2型糖尿病と1型糖尿病、妊娠糖尿病が子どもの自閉症リスクと関連――米研究

妊娠中に母親が2型糖尿病または1型糖尿病、妊娠糖尿病(GDM)だった子どもは、自閉症スペクトラム障害(ASD)リスクが上昇する可能性を示す研究結果が米国糖尿病学会(ADA 2018、6月22~26日、米オーランド)で発表され、論文が「Journal of the American Medical Association(JAMA)」6月23日オンライン版に掲載された。

米カイザー・パーマネンテ南カリフォルニアのAnny H. Xiang氏らは、1995~2012年に妊娠28~44週で生まれた41万9,425人の出生児を対象に、後ろ向きに追跡して解析した。その結果、妊娠中に母親が糖尿病でなかった場合に比べて、母親が1型糖尿病だった子どものASDリスクは2.36倍、2型糖尿病では1.45倍、妊娠26週以前および26週以降のGDMでは各1.30倍、0.99倍であった。(HealthDay News 2018年6月26日)

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2HDN糖尿病ニュース7月5日配信2

イオン液体利用の薬物送達で「経口インスリン」実現の可能性

多くの糖尿病患者にとって、1日数回のインスリン注射は痛みを伴い、治療を続ける上で大きな負担となっている。今回、米ハーバード大学の研究グループはラットの実験で、インスリンを経口投与する新しい方法を開発したと「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」6月25日オンライン版に発表した。インスリンの薬物送達にイオン液体を利用した結果、インスリンの経口投与はラットの血糖値を有意に低下させ、その状態をしばらく維持できたことが確認されたという。

経口インスリン開発には多くの障壁が立ちはだかっている。インスリンは胃の消化作用で壊れやすく、胃酸を逃れたとしても分子が大きいインスリンは腸壁を通過できないとされているためだ。

そこで研究グループは、インスリンが腸壁を通過できる方法として、室温で液体として存在する塩(えん)であるイオン液体に着目。コリンとゲラネート(CAGE)のイオン液体にインスリンを混ぜて、このインスリン-イオン液体をラットの空腸に直接投与したところ、インスリンはイオン液体の助けで大腸壁を通過し、血液中に入ることが確認された。体重1kg当たり3~10単位の低用量でも、ラットの血糖値は少なくとも12時間は有意に低下した状態が保たれていた。

さらに、研究グループは、このインスリン-イオン液体が胃を無事に通過して小腸で溶けるように、経口投与可能なカプセル剤を設計した。ラットに、このカプセル剤(体重1kg当たり10単位)を経口投与したところ、血糖値は最大で45%低下し、その状態がしばらく維持されることが分かった。

論文の最終著者で同大学生物工学教授のSamir Mitragotri氏は、経口インスリンの利点として注射剤よりも常温保存しやすい点を挙げる。現状のインスリン製剤は常温で約28日間保存できるが、この経口インスリンは少なくとも常温で2カ月間、冷蔵では4カ月間保存できるという。また、インスリンの過量投与は低血糖をもたらす危険性があるが、同氏は、今回の経口インスリンは放出されるまでに時間を要するため低血糖リスクも少ないと指摘している。

この経口インスリンには用量設定やきちんと薬剤が血液中に送達されるのか、ヒトでも効果を発揮するのかなどの数々の問題がある。Mitragotri氏は、さらなる研究の必要性を認めながらも、「うまくいけば3~5年のうちに臨床試験に進めるのではないか」と期待を示し、「ラットの実験では、この方法を用いると経口インスリンを腸内まで無事に届けることができた。これは非侵襲的で患者に優しい治療法になるだろう」と話している。

なお、経口インスリン製剤の価格は今のところ不明だが、イオン液体やカプセルのコーティング材は高価なものではないため、既存のインスリン製剤とあまり変わらない価格になることが予想されるという。

米モンテフィオーレ医療センター臨床糖尿病センターのセンター長を務めるJoel Zonszein氏は「インスリンの新しい薬物送達システムに関する研究は、大いに歓迎される。今回のラットの実験で得られた結果は、過去のものよりも実現の可能性が高い印象を持った。ただし、インスリンの放出は変動が大きいため、経口薬が実際に利用できるようになるかどうかは不明だ」としている。(HealthDay News 2018年6月25日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/insulin-news-414/will-the-future-be-needle-free-for-diabetics-735144.html

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2HDN糖尿病ニュース7月5日配信1

2型糖尿病の血糖管理に人工膵臓が有用か

自動注入インスリンポンプと持続血糖測定器(CGM)を組み合わせた「人工膵臓」は、入院中の2型糖尿病患者における血糖コントロールに有用とする研究結果が米国糖尿病学会(ADA 2018、6月22~26日、米オーランド)で発表され、論文が「New England Journal of Medicine」6月25日オンライン版に掲載された。

入院中の2型糖尿病患者は血糖コントロールが不良だと入院期間が延長し、合併症や死亡のリスクが高まるとされている。英ケンブリッジ大学代謝研究所のRoman Hovorka氏らは、近年、1型糖尿病患者を対象に実用化が進む人工膵臓システムに着目。一般病棟に入院し、インスリン治療を必要とする2型糖尿病患者を対象に、クローズドループ型の人工膵臓システムの有用性を検証するオープンラベルデザインのランダム化比較試験を実施した。

この研究では、英国およびスイスの2カ所の大学病院に入院した成人の2型糖尿病患者136人を対象に、人工膵臓システムを使用する群(70人)または従来のインスリン皮下注射を行う対照群(66人)にランダムに割り付けて、治療開始から15日後または退院時までに血糖値が目標範囲内(100~180mg/dL)を示した時間の割合を比較した。

その結果、血糖値が目標範囲内を示した時間の割合の平均値は、人工膵臓群の65.8±16.8%に対し、対照群では41.5±16.9%と両群間に有意差がみられた(P<0.001)。また、人工膵臓群では対照群と比べて平均血糖値も有意に低いことが分かった(154mg/dL対188mg/dL、P<0.001)。なお、血糖値が54mg/dL未満の低血糖を示した時間の割合には両群間で差はみられず、いずれの群でも重症の低血糖を来した症例は認められなかった。

これらの結果から、Hovorka氏は「インスリン治療を必要とする2型糖尿病の入院患者において、人工膵臓システムは従来のインスリン皮下投与よりも血糖コントロールに優れ、低血糖リスクを高めないことが分かった」と結論づけている。ただし、この研究では2型糖尿病患者が退院後もインスリンポンプとCGMの両方を使い続ける意思があるかどうかは調べていないという。

米国では、入院患者の約4人に1人が糖尿病を有すると推計されている。入院中の糖尿病の管理は併存疾患、食生活や薬物療法の変化などの多くの要因による影響を受けるため、看護師などの医療スタッフは患者の状態の変化により注意を払う必要が生じる。しかし、Hovorka氏によると、人工膵臓はCGMで測定した血糖値に基づきインスリン投与量をコンピューターで自動制御する仕組みになっており、医療スタッフの煩雑な作業を自動化することができるという。

Hovorka氏は今後、医療費削減の観点も含めて、2型糖尿病患者を対象とした人工膵臓の大規模な試験を実施し、外来治療における有効性も検討する必要があると指摘している。一方で、専門家の一人で米モンテフィオーレ医療センター臨床糖尿病センターのセンター長を務めるJoel Zonszein氏は、人工膵臓システムは高価なため、近い将来に入院中の2型糖尿病患者が適用となる可能性は低いとの見方を示している。(HealthDay News 2018年6月26日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/type-ii-diabetes-news-183/artificial-pancreas-helps-hospitalized-type-2-diabetics-735175.html

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