1HDN8月20日「パッケージニュース」No.1

下痢で10人に1人が死を思いつめた経験、過敏性腸症候群の患者調査

下痢に苦しむ過敏性腸症候群(IBS)患者の10人に1人は、苦しさのあまり死にたいとまで思いつめていることが、ヨーテボリ大学(スウェーデン)の研究チームが実施したオンライン調査から明らかになった。7カ国のIBS患者と医師を対象としたこの調査から、IBSを抱える患者は身体面だけでなく精神面の負担が極めて大きいと感じていることが浮き彫りになったほか、IBSという疾患に対する認識に医師とずれがあると考えていることも分かった。詳細は「UEG Journal」7月9日オンライン版に掲載された。

世界では、成人人口の約11%がIBSに罹患していると推計されている。IBSでは腹痛を伴う下痢や便秘といった症状が現れるが、患者の約3分の1は下痢と腹痛を繰り返す下痢型のIBSに分類されるという。

研究チームはまず、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、スペインおよび英国の下痢型のIBS患者513人(平均年齢40.9歳、女性が70%)を対象に、IBSに関するオンライン調査を実施した。その結果、IBS患者の4人に1人(25%)が「IBSのせいで生活を楽しめない」と回答し、10人に1人(11%)が「症状が重いときには死にたいと思う」と回答していた。患者の37%は、いつ、どこでIBS症状が現れるかを常に気にしており、20%は仕事に支障を来していると回答していた。

最も苦痛に感じる症状は「急な下痢」(27%)だった。患者は月に平均18日間は疲労感や無気力感を抱いていた。また、ほぼ半数(49%)は症状を予防するためなら治療を毎日、生涯にわたって続けてもよいと回答しており、46%は症状を改善するためなら「何でも試したい」と答えていた。

さらに、患者の3分の1(32%)は、医師がIBSを深刻な疾患だと考えていないと感じていた。一方で、679人の医師を対象に実施した調査では、3分の2(70%)は患者自身へのサポートが重要だと回答し、73%はIBS治療においてQOL(生活の質)の改善を重視していた。

調査を実施した同大学消化器病学准教授のHans Törnblom氏は「IBSは難治性で複雑な疾患であり、IBSを持病とする患者は精神的にも身体的にもつらい状況にある。そのため、IBSの治療には症状の緩和といった身体的側面だけでなく、心理面や精神面をサポートすることが重要になる」と話している。

米レノックス・ヒル病院で炎症性腸疾患プログラムのディレクターを務めるArun Swaminath氏は専門家の立場から、「下痢が重症にもかかわらず、対象患者の39%が消化器専門医の診察を受けたことがないという結果は予想外だった。対象患者の40%以上が大腸内視鏡検査を受けたことがないと回答した理由もこれで説明がつく」と話している。

このような結果を受けて、Törnblom氏は「IBS患者の多くは医師の診察を受けていない上に、治療を受けていてもその治療法に強い不満を抱いている点に注意する必要がある」と指摘している。その上で、「IBSの治療は難しく、複雑であることは医療従事者も理解している。今回の結果は、医師と患者のコミュニケーションを向上させることが、患者の転帰を改善するのに不可欠であることを示している」と述べている。(HealthDay News 2018年8月8日)

https://consumer.healthday.com/gastrointestinal-information-15/diarrhea-health-news-186/severe-diarrhea-can-send-ibs-patients-over-the-edge-736531.html

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1HDN8月20日「パッケージニュース」No.2

喘息の未就学児の親は治療の備えが不十分、米調査

喘息の未就学児を持つ親のうち、自宅での治療に備えているのは約半数に過ぎないことが、新たな調査から明らかになった。論文著者の一人である米ジョンズ・ホプキンス大学医学部准教授のMichelle Eakin氏は「喘息発作時にきちんと対応できないことは救急受診の増加につながる可能性が高い」と懸念を示している。研究の詳細は「Pediatrics」8月7日オンライン版に掲載された。

米国では、喘息は子どもに最もよくみられる慢性疾患の一つとされている。喘息の子どもの割合は黒人の16%に対し、白人では7%であり、喘息は子どもの医療格差の主な要因にもなっている。喘息になると特に夜間に咳の発作が起こったり、喘鳴や息切れ、胸が締め付けられるような症状が生じ、重症になると命に関わることもある。喘息の治療薬には発作を和らげる薬と、吸入ステロイド薬などの長期にわたって症状を管理する薬の2種類がある。

今回の研究は、米ボルチモアの未就学児を対象とした教育プログラムと共同で、地方都市に住む世帯収入が低い家庭を対象に実施したもの。2~6歳(平均4歳)の子ども288人の保護者を対象に、喘息治療に関する対面調査を自宅で2時間かけて行った。92%の家庭がアフリカ系米国人で、子どもの約3分の2にコントロール不良の喘息があった。また、保護者のほとんど(92%)は子どもの親で、40%は高等学校を卒業しておらず、3分の1は大学に通ったことがあるか大学を卒業していた。

Eakin氏らの研究チームは、子どもの保護者に、喘息の治療薬について、「すぐに使用できる(手の届く場所にある)」「使用期限が切れていない」「残量を示すカウンター表示がある」「発作治療薬または長期管理薬のどちらかを知っている」「薬の使い方を知っている」という5つの質問項目を尋ね、治療の備えが十分かどうかを調べた。

その結果、対象とした子どものうち277人(96%)は発作治療薬を使用していたが、自宅に薬があったのは79%で、5つの基準を全て満たしていた保護者は60%であることが分かった。また、長期管理薬を必要とした161人の子どもについても、自宅に薬があったのは79%で、5つの基準を全て満たしていた保護者は49%にとどまっていた。

Eakin氏は、ほとんどの子どもは州の医療保険に加入していたことから、「今回の結果に医療費の問題が影響した可能性は低く、喘息に関する教育不足が主な原因ではないか」と指摘している。専門家の一人で米セントジョン病院アレルギー・免疫科部長のJennifer Appleyard氏は「この問題は地方都市のアフリカ系米国人の家庭に限ったものではなく、あらゆる年齢層の喘息の子どもを持つ家庭に当てはまるものだ」と強調し、患者やその家族が疾患自体やその管理法を理解すれば遵守率は向上するが、そのためには時間と医療資源の投入が必要だと付け加えている。(HealthDay News 2018年8月8日)

https://consumer.healthday.com/respiratory-and-allergy-information-2/asthma-news-47/preschoolers-parents-may-be-unprepared-to-treat-asthma-736528.html

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1HDN8月20日「パッケージニュース」No.3

精子に良いのはブリーフよりもトランクス?

精子に良いのはブリーフか、それともトランクスか―。長い間、論争の的になっていたこの問題について検討した最大規模の研究の結果が、「Human Reproduction」8月8日オンライン版に発表された。米ハーバード大学T. H.チャン公衆衛生大学院内科准教授のJorge Chavarro氏らが実施した研究から、ブリーフを着けている男性よりもトランクスを着けている男性の方が精液中の精子の数が多く、精子濃度も高いことが明らかになったという。

Chavarro氏らは今回、2000~2017年に米マサチューセッツ総合病院の不妊治療センターを受診した18~56歳の男性656人(年齢中央値35.5歳)を対象に、普段から着用している下着のタイプの違いが精巣機能に与える影響について検討した。対象者には精液と血液の検体を提供してもらったほか、質問票を用いて過去3カ月間に最もよく着用していた下着のタイプを尋ねた。

その結果、対象者の53%はトランクスを、残る47%はブリーフやビキニといった身体によりフィットするタイプの下着を日常的に着用していた。また、トランクス派の男性では、ブリーフなどのきつめの下着を頻繁に着用している男性と比べて精子濃度が25%高く、精子の総数は17%多く、運動精子濃度も33%高いことが分かった。

このように、下着のタイプによって精子の数や濃度などに違いが認められた要因について、Chavarro氏は「精子形成には温度が強く影響する。きつめの下着を着用すると、睾丸と腹部の距離が縮まって温度が上がるため、睾丸で精子が形成されにくくなるのかもしれない」と推測している。ただし、ブリーフなどのトランクス以外の下着を着用している男性でも平均的な精子の数は正常範囲内であったことから、同氏は「この知見は不妊治療に取り組んでいる男性にとっては有用かもしれないが、ほとんどの男性にはこの差はたいした問題にはならないだろう」と話している。

また、今回の研究では精子の形成を促す卵胞刺激ホルモン(FSH)の値はブリーフなどのきつめの下着派の男性と比べてトランクス派の男性で14%低いことも分かった。この点について、Chavarro氏は「きつめの下着を着用することで低下した精子産生能を補う代償的な反応として、FSH値が上昇するのではないか」と考察している。ただ、FSH値が上昇しても、きつめの下着派の男性の精子数はトランクス派の男性に追いついていないことから、「もしFSH値が上昇しなければ、きつめの下着を着けている男性ではさらに大幅に精子数が減少していたかもしれない」と指摘している。

一方、今回の研究報告を受け、米エモリー不妊治療センターのJennifer Kawwass氏は、男性に対して「精子の数が減ることを恐れて急いでトランクスを買いに走る必要はない」と呼び掛けている。同氏は、今回の研究はブリーフ着用と不妊に因果関係があることを証明したものではなく、このような精子数の差は不妊の原因であるのかは不明だとしている。さらに、同氏は、研究では不妊治療を求めた男性を対象としていた点に言及し、この結果を全ての男性に当てはめることはできないのではとの見方を示している。(HealthDay News 2018年8月8日)

https://consumer.healthday.com/infertility-information-22/infertility-news-412/boxers-vs-briefs-and-your-chances-of-becoming-a-dad-736586.html

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1HDN8月20日「パッケージニュース」No.4

HPVワクチンは推奨年齢以降のキャッチアップ接種も有効

米国では11~12歳の女児に対してヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種が推奨されているが、推奨年齢でワクチンを接種しなかった14~20歳の女児や女性に対する「キャッチアップ接種」の有効性を示した研究結果が「The Lancet Child & Adolescent Health」8月7日オンライン版に発表された。キャッチアップ接種は13~26歳のうちに行うことが推奨されているが、この研究では初回接種が21歳以降だった場合には有意な効果は認められなかった。専門家らは「HPVワクチンは推奨年齢での接種率向上を目指した上で、キャッチアップ接種もできるだけ若いうちにすべきだ」と主張している。

この研究は、米カイザー・パーマネンテ研究部門のMichael Silverberg氏らが実施したもの。同氏らは、4価HPVワクチンのキャッチアップ接種による子宮頸がんの前がん病変リスクの低減効果について検討するため、カイザー・パーマネンテ・北カリフォルニアの患者データを用いてコホート内症例対照研究を行った。

対象は、米国で4価HPVワクチンが導入された2006年の時点で26歳以下だった女性のうち、1995年1月~2014年6月に子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)分類でグレード2以上(CIN2+)の病変が発見された4,357人(症例群)と、年齢を一致させたCIN2+の病変がない2万1,773人(対照群)。なお、症例群のうち1,849人はCIN分類でグレード3以上(CIN3+)であり、その対照群は9,242人だった。

解析の結果、14歳以降でもHPVワクチンを1回以上接種すると、CIN2+およびCIN3+の病変の予防効果が認められた。また、HPVワクチンによるこれらの病変の予防効果は、初回接種が14~17歳または18~20歳で、かつ計3回以上接種した場合に最も高いことも分かった。一方、初回接種が21歳以降だった場合には、ワクチン接種によるこれらの病変の有意な予防効果は認められなかった。

以上を踏まえ、Silverberg氏は「HPVワクチンはできるだけ低年齢のうちに接種した方が予防効果は高いことが示されたが、21歳以降に接種した場合の有効性は明らかにされなかった。今後の研究では、導入されて間もない9価HPVワクチンを使用した場合など、異なる条件下で21~26歳の女性にHPVワクチンを接種した場合の有効性を評価する必要がある」と話している。

また、米アラバマ大学のSarah Dilley氏らは同誌の付随論評で、今回の結果はこれまでの研究と一致していると指摘しつつ、「HPVワクチンの接種は11~12歳の女児を優先すべきだが、思春期のできるだけ早い時期の接種率向上を目指す取り組みも必要だ」と話している。また、同氏らは「米国ではHPVワクチンの接種率が低いため、キャッチアップ接種が重要であることに変わりはない」と強調。「26歳までのキャッチアップ接種の有効性を示した前向き研究の報告があることから、こうした接種を止めるか否かを判断するには、さらなるデータが必要だ」との見解を示している。(HealthDay News 2018年8月8日)

https://consumer.healthday.com/sexual-health-information-32/human-papillomavirus-hpv-news-756/catch-up-hpv-shots-work-for-teen-girls-736523.html

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1HDN8月16日「パッケージニュース」No.1

てんかんの妊婦、葉酸摂取が児の言語発達遅延に有効か

妊娠中に抗てんかん薬の服用を続ける女性患者は、妊娠前から葉酸を摂取することで生まれた子どもの言語発達に遅れが出るリスクが半減できる可能性のあることが、ノルウェーの新たな研究で示された。詳細は「Neurology」8月1日オンライン版に掲載された。

てんかん発作は母体だけでなく胎児にも危険をもたらす可能性があるため、妊娠中でも抗てんかん薬の治療を継続することが重要になる。しかし、妊娠中に抗てんかん薬を服用すると、生まれた子どもの言語発達に遅れが出ることが懸念されている。ベルゲン大学(ノルウェー)のElisabeth Synnøve Nilsen Husebye氏らは今回、妊娠中に抗てんかん薬を服用した母親から生まれた子ども335人と、てんかんのない母親から生まれた子ども10万4,222人を対象に、妊娠中の葉酸摂取と子どもの言語発達との関連を調べた。

その結果、妊娠前から妊娠初期にかけて母親が葉酸を摂取していなかった子どもでは、生後18カ月の時点で言語発達遅延がある割合は、母親にてんかんがある場合には34%だったのに対し、母親にてんかんがない場合では11%であった。3歳の時点では、それぞれ24%と6%の子どもに言語発達遅延が認められた。

一方で、母親が葉酸を摂取していた子どもでは、生後18カ月の時点で言語発達遅延がある割合は、母親にてんかんがある場合には17%、てんかんがない場合には11%であった。こうした葉酸の保護効果は、てんかんがない母親に比べて、てんかんを持つ母親から生まれた子どもでより強くみられることも明らかになった。

これらの結果から、Husebye氏は「母親の胎内で抗てんかん薬に曝された子どもが、生後18カ月の時点で言語発達遅延を来すリスクは、葉酸を摂取することで半減することが分かった」と結論づけている。その上で、「抗てんかん薬の多くは葉酸代謝との相互作用があるため、この結果は世界中のてんかんを持つ女性にとって有意義なものになるだろう」と述べている。

専門家の一人で米ハンチントン病院産婦人科部長のMitchell Kramer氏は「一般的に妊婦には葉酸をサプリメントなどで補充することが推奨されているが、抗てんかん薬を服用する女性の場合は、特に葉酸摂取が重要になると思われる」と話している。

同じく専門家の米ノースウェル・ヘルスのFred Lado氏は、この研究は因果関係を証明したものではないとしながらも、「妊娠中の葉酸補充により、抗てんかん薬による子どもの神経管欠損症などの先天性疾患リスクが低減することが既に広く認められている。また、一般に推奨される用量であれば、葉酸補充によるリスクはみられないようだ」と説明している。さらに、今回の結果は、葉酸補充のベネフィットが子どもの出生後の発達にも影響することを示した新たなエビデンスになるものだと付け加えている。(HealthDay News 2018年8月1日)

https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/epilepsy-news-235/folic-acid-supplements-in-pregnancy-help-kids-of-women-with-epilepsy-736269.html

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1HDN8月16日「パッケージニュース」No.2

肥満者はインフルエンザを周りにうつす期間が長い?

肥満の人はインフルエンザウイルスに感染すると、肥満のない人に比べて合併症リスクが高いことが知られているが、肥満はウイルスの感染力にも影響を及ぼすようだ。「Journal of Infectious Diseases」8月2日オンライン版に掲載された研究から、インフルエンザに罹患した肥満のある患者は、肥満のない患者に比べてウイルスを排出する期間が長い可能性のあることが示された。

これまでの疫学研究で、肥満者がインフルエンザウイルスに感染すると重症化しやすく、特に高齢者では死亡リスクが上昇することが報告されている。米ミシガン大学公衆衛生学部のAubree Gordon氏らは今回、中米ニカラグアの320世帯、約1,800人の住民を対象に、2015年から2017年にわたるインフルエンザ流行シーズンの家族内伝播に関するデータを収集し、分析した。

その結果、インフルエンザに罹患した肥満の成人患者では、肥満のない患者に比べてA型インフルエンザウイルスを排出する期間が42%長いことが分かった。肥満の有無によるウイルス排出期間の差は、軽症あるいは症状がない場合にはさらに広がり、肥満患者では肥満のない患者に比べてA型インフルエンザウイルスを排出する期間は約2倍であった。

一方で、症状が比較的軽く、大流行(パンデミック)を起こしにくいB型インフルエンザウイルスでは、こうした関連は認められなかった。さらに、5~17歳の小児から思春期の若者では、肥満とインフルエンザウイルスを排出する期間の長さは関連しなかった。

これらの結果から、Gordon氏は「今回の結果は、肥満はインフルエンザの重症度だけでなく、その感染力にも影響することを示したエビデンスとして初めてのものだ」と話している。また、同氏らによると、肥満がインフルエンザの感染リスクや重症度、感染性を増大させる背景には、肥満による慢性的な炎症が亢進すると呼吸困難を引き起こし、必要とする酸素量が増えるといった要因が考えられるという。

米セントジュード小児研究病院のStacey Schultz-Cherry氏は同誌の付随論評で、「今回の研究から、特に過体重や肥満の人ではインフルエンザの感染予防や新たな治療法の開発が重要であることが示唆された」と強調している。しかし、肥満者はインフルエンザワクチンが効きにくいとする報告もあり、予防や治療の強化には困難を伴うとも指摘する。その上で、「インフルエンザの万能ワクチンが開発されれば、感染の予防効果が上がると期待されるが、肥満患者のウイルス排出期間を短縮できるかどうかには疑問が残る」と、同氏は付け加えている。(HealthDay News 2018年8月2日)

https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/flu-news-314/steer-clear-of-obese-friends-with-the-flu-736391.html

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1HDN8月16日「パッケージニュース」No.3

アルコール消毒が効かない危険な耐性菌が増加?

病院では感染を防ぐために、擦り込み式のアルコールベースのジェルや液体の消毒剤が広く使用されている。しかし、こうしたアルコール消毒剤が効きにくい危険な細菌が増えていることを示唆する研究結果を、メルボルン大学(オーストラリア)の分子微生物学者であるTimothy Stinear氏らが「Science Translational Medicine」8月1日号に発表した。

この細菌はエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)と呼ばれる腸内細菌の一種で、さまざまな抗菌薬への耐性を獲得し、医療関連感染の主な原因となっている。専門家の一人で米ジョンズ・ホプキンス医療安全センターのAmesh Adalja氏は「エンテロコッカス・フェシウムは血流感染から尿路感染まで幅広い感染症をもたらす。米疾病対策センター(CDC)の推計では、バンコマイシン耐性のエンテロコッカス・フェシウムの感染による死亡者数は米国だけで年間1,000人を超える」と話している。

Stinear 氏らは今回、1997~2015年にメルボルンの2カ所の病院で採取したエンテロコッカス・フェシウムの139のサンプルを用いて、濃度70%のイソプロパノール(アルコール)の消毒剤に曝して消毒効果を調べた。その結果、2004年よりも前に採取された菌と比べて、2009年以降に採取された菌は消毒剤に耐性を示す割合が高かった。

次に、Stinear 氏らは、さまざまな菌株のエンテロコッカス・フェシウムをマウスが入ったケージの床に付着させた後に、アルコール消毒剤で拭うという実験を行った。その結果、消毒剤に耐性がある菌は生き残り、ケージの中のマウスの腸内に定着していることが分かった。

さらに、アルコール消毒剤が効かないエンテロコッカス・フェシウムの遺伝子解析から、細胞内代謝に関連する複数の遺伝子変異が認められた。Stinear 氏らによれば、これらの遺伝子変異がエンテロコッカス・フェシウムの細胞膜のアルコール溶剤に対する耐性を強めた可能性が考えられるという。

Stinear 氏は「オーストラリアの病院では、この20年でアルコールベースの手指消毒剤を用いる頻度は10倍になるなど、アルコール消毒を中心とした院内感染コントロールが厳格に行われるようになった」と説明している。今回の結果を踏まえ、こうした環境の変化に適応するためにエンテロコッカス・フェシウムも変化したのではとの見方を示している。

Adalja氏も「エンテロコッカス属の細菌は厳しい環境下でも生き延びるために巧みに進化する。そのため、アルコール消毒剤に耐性を示すようになったこと自体に驚きはない」と話している。しかし、アルコール消毒剤は院内感染予防に重要な役割を果たしており、アルコールに耐性を示す菌が増えているのは極めて重大な問題だとし、アルコール消毒剤に代わる消毒剤や洗浄方法を探す必要性を指摘している。

一方、Stinear氏は、現時点で取りうる対策として、より高濃度のアルコール消毒剤を用いて念入りに手指を消毒するように助言。病院のスタッフは十分な量の消毒剤で、時間をかけて手指を隈なく消毒し、細菌やウイルスを死滅させるようにすべきだと呼び掛けている。(HealthDay News 2018年8月1日)

https://consumer.healthday.com/general-health-information-16/hygiene-health-news-396/germs-gaining-resistance-to-hand-gels-in-hospitals-736404.html

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1HDN8月16日「パッケージニュース」No.4

Google Glassで自閉症児の社会的スキルが向上

他人の表情から感情を識別するスマートフォンアプリと眼鏡型デバイスの「Google Glass」を組み合わせて使用することで、自閉症児の社会的スキルが向上する可能性を示した予備的研究の結果が「npj Digital Medicine」8月2日オンライン版に発表された。研究を実施した米スタンフォード大学医学部准教授のDennis Wall氏らによると、このアプリとGoogle Glassを用いたゲーム感覚のセッションを受けた自閉症児では社会的スキルの評価スコアが向上し、アイコンタクトを取る回数も増えたという。

カリフォルニア州サンホセ在住のドンジ・カレンバインさんの9歳になる息子のアレックス君は、この研究の参加者の一人だ。アレックス君にもGoogle Glassを使用するようになってから大きな変化が現れた。自閉症児は他人の表情を読み取ることが苦手とされているが、研究開始から2~3週間後には他人の顔を見て表情を読み取ろうとするようになったという。カレンバインさんは、研究に参加してから、それまでアレックス君が抱いていた不安感がなくなり、周りを認識できるようになったと話す。

自閉症を持つ子どもは、他人の表情や身振りから感情を読み取るのが難しく、アイコンタクトを取ったり、社会的な交流を持つことなどが難しい。Wall氏によると、早期に治療を行えば自閉症があっても他人の感情を理解できるようになる場合もあるが、専門家が足りないため治療できる時期を逃してしまう子どもも多いという。

そこで、専門家の手を借りずとも他人の表情を読み取る能力を高めるためにWall氏らが開発したのが今回のアプリだ。このアプリは、Google Glassに装備した小さなカメラで捉えた相手の顔の画像データから、「幸福」「悲しみ」「怒り」「嫌悪」「驚き」「恐怖」「無表情」「軽蔑」の8種類の感情を識別する。その結果をリアルタイムで眼鏡に装備したスピーカーを通じて音声で伝えるか、小さなスクリーンに表情を表した顔文字を表示するという仕組みになっている。

このアプリの有効性を検証するためにWall氏らが実施した研究では、アレックス君を含む3~17歳の14人の自閉症児に、自宅で6週間にわたってアプリとGoogle Glassを1回20分以上、週に3回以上使用してもらった。

その結果、試験終了時には14人中12人の子どもでアイコンタクトを取る回数が増えた。また、両親が対人応答性尺度(SRS-2)で評価した社会的スキルのスコアも平均で7.14ポイント改善していた。さらに、14人中6人で自閉症の重症度が改善し、このうち4人は重度から中等度に、1人は中等度から軽度になり、1人は軽度から正常と判断されるまで症状が改善していた。

この報告を受け、自閉症の啓発団体であるAutism Speaks代表のThomas Frazier氏は「この新しい技術はリアルタイムでフィードバックが得られるという点で、自閉症児の社会的スキル向上を目指した治療を一変させる可能性がある。また、大人やセラピストなどが常に付き添う必要もないため、自閉症児の自立心が高まるだろう」と話し、大きな期待を寄せている。(HealthDay News 2018年8月2日)

https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/autism-news-51/google-glass-helps-kids-with-autism-navigate-emotions-of-others-736413.html

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1HDN8月9日「パッケージニュース」No.1

検査キットの郵送で大腸がん検診の受診率が向上

大腸がんの早期発見には便潜血検査などによる検診を受診し、適切なフォローアップを受ける必要があるが、その受診率は十分に高いとはいえない。今回、米ノースカロライナ大学包括的がんセンターのAlison Brenner氏らがメディケイド(低所得者向け公的医療保険)加入者を対象に行った新たな研究から、がん検診の案内書だけでなく便潜血検査キットも同送すると、案内書だけを郵送した場合に比べて検診受診率が向上することが示唆された。詳細は「Cancer」7月13日オンライン版に掲載された。

Brenner氏によると、大腸がんは予防できる疾患として、行政レベルで受診率向上を目指したさまざまな対策が進められている。しかし、米国での検診受診率は63%程度にとどまっており、中でも低所得者層など社会的に弱い立場にいる人では低い傾向にあるという。また、同氏らは、医療保険加入者の中でもメディケイド加入者の受診率は特に低いことを報告している。

今回の研究は、ノースカロライナ州のメディケイド加入者のうち、大腸がん検診を受けていない成人2,144人を対象としたもの。参加者をがん検診の案内書と一緒に免疫学的便潜血検査(fecal immunochemical testing;FIT)キットを郵送する群(1,071人)と案内書だけを郵送する群(1,073人)にランダムに割り付けて、検診受診率を比較検討した。前者のうち便を採取して返送した参加者には検査結果が通知され、結果が陽性だった場合には、後日、大腸内視鏡検査が案内されるようになっている。

その結果、検査キットを受け取った群では21.1%が便潜血検査を受けたのに対し、案内書だけを受け取った群では12.3%に過ぎなかった。また、郵送された便潜血検査を受けた参加者のうち18人に異常がみられ、このうち15人が大腸内視鏡検査が必要と判定された。実際に10人が大腸内視鏡検査を受け、1人に異常(大腸がん)が認められたという。

こうした結果について、Brenner氏は「同州のメディケイド加入者の多くは障害を抱えていることからも、大腸がん検診などの検査をできる限り簡便に、継続的に受けられる環境を整備することはきわめて重要だ。検査を受けるのに多少の障壁があっても、実際には目の前に検査キットがあれば検査を行うようになるだろう」と話している。(HealthDay News 2018年7月31日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/colon-cancer-news-96/to-boost-colon-cancer-screening-use-the-mail-735913.html

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1HDN8月9日「パッケージニュース」No.2

「カフェインの減量効果」は本当か?

減量したいなら、カフェインには頼らない方がよいようだ。カフェインを摂取するとその後の食欲は一時的に抑えられるが、こうした効果は長続きしない可能性のあることが、新たな研究で示された。研究の詳細は「Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics」7月19日オンライン版に掲載された。

研究を行った米ニューヨーク州立大学バッファロー校運動・栄養科学部のLeah Panek-Shirley氏によると、食欲を抑えて効率的に減量できると謳うダイエット用のサプリメントには、カフェインが添加されていることが多いという。そこで、同氏らは今回、カフェイン摂取による食欲や食事量への影響を調べる研究を行った。

この研究は、18~50歳の健康な成人50人(男性21人)を対象としたもの。参加者には、少量のカフェインを加えた飲料を摂取してから30分後にブッフェ形式の朝食を取る実験に計3回参加してもらった。

3回の実験では、カフェイン含有量を「0mg/kg(プラセボ)」「1mg/kg」または「3mg/kg」にランダムな順番で変え、その含有量については、対象者だけでなく実験を行う研究者にも分からないようにした。対象者にはその後、就寝するまでの食欲の変化と食事内容を記録してもらった。なお、カフェイン1mg/kgと3mg/kgはそれぞれ、コーヒー約120mLおよび約240mLに含まれるカフェイン量に相当するという。

その結果、1mg/kgのカフェインを摂取すると、カフェインを摂取しなかった場合や3mg/kgのカフェインを摂取した場合に比べて朝食の食事量が10%(エネルギー量で70kcal)減少することが分かった。しかし、こうした効果は長続きせず、その後の食事量は増え、1日でみると朝食で減らした分は相殺されていることも分かった。

また、空腹感にはカフェインの摂取量で大きな差はみられなかった。さらに、カフェイン摂取が食事量や食欲に及ぼす影響は、BMIによる影響を受けないことも示された。

こうした結果を踏まえ、Panek-Shirley氏は「これまでの研究で、カフェインは基礎代謝を上げたり、食欲を抑えるように働く脳内化学物質に影響を及ぼしたりする可能性が示唆されている。また、疫学研究から日常的にカフェインを摂取している人は、そうでない人に比べてBMIが低いことも示されている」と、同誌のニュースリリースで述べている。

また、論文の共著者の一人で同大学公衆栄養学部教授のCarol DeNysschen氏は「この研究は、減量するには良い食習慣を続けることが重要で、根拠のないダイエット法を鵜呑みにしないことの大切さを再認識させるものだ」と話している。(HealthDay News 2018年7月31日)

https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/caffeine-health-news-89/caffeine-not-a-dieter-s-friend-735968.html

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