1HDN6月21日「パッケージニュース」No. 1

魚油サプリは乳児の心臓にも良い可能性

魚などに多く含まれるオメガ3系脂肪酸は、成人の心臓病リスクの低減に効果的とされているが、乳児の心臓にも良い影響を与える可能性のあることが、オーストラリアの新しい研究で示された。魚油サプリメントを生後6カ月までに摂取すると、5歳時点の腹囲(ウエスト周囲長)などの心臓病のリスク因子が改善したという。詳細は「Pediatrics」6月8日オンライン版に掲載された。

ロイヤル・パース病院(オーストラリア)のValene See氏らは、西オーストラリア州の州都パースで登録した妊婦から出生した新生児420人を対象に、オメガ3系脂肪酸のサプリメント(650mg)を摂取する群またはオリーブ油を含んだプラセボを摂取する群にランダムに割り付けて、生後6カ月まで毎日摂取させた。なお、母親はいずれもアレルギーの既往があり、魚の摂取量が少なかったという。

その後、子どもが5歳になった時点で、オメガ3系脂肪酸を摂取した群のうち165人、プラセボを摂取した群のうち157人で血液検査を実施し、腹囲を測定した。解析の結果、オメガ3系脂肪酸を摂取した群では、プラセボ群と比べて腹囲が約1cm小さいことが分かった。また、オメガ3系脂肪酸摂取群の男児ではインスリンの血中濃度が21%低く、インスリン抵抗性が22%低いことも明らかになった。

米国心臓協会(AHA)によると、腹囲の大きさは心臓病のリスク因子とされている。また、インスリンの血中濃度の上昇や、十分な量のインスリンが分泌されているにもかかわらず血糖値が下がらない状態を指すインスリン抵抗性は、2型糖尿病の発症に深く関与するとされている。

米ニューヨーク大学(NYU)ウィンスロップ病院で小児糖尿病プログラムの責任者を務めるSiham Accacha氏は今回の研究をレビューし、「オメガ3系脂肪酸の摂取は腹囲を減らすのに有用であるようだが、その効果が長期にわたって続くかどうかは現時点では分からない」と話している。また、男児だけでインスリン抵抗性の改善がみられた理由も不明だと、同氏は付け加えている。

登録栄養士の資格を持つ同大学ランゴン医療センターのSamantha Heller氏は、同じく専門家の立場から「オメガ3系脂肪酸は胎児の脳や眼の発達にも重要で、魚などの健康的な食品を好む味覚の形成にも役立つとされる。そのため、乳児期や幼児期からオメガ3系脂肪酸を摂取するのは良い選択かもしれない」とコメントしている。

一方で、同氏は、今回対象とした母親は妊娠中の魚の摂取量が少なかったことが結果に影響した可能性もあることを指摘している。また、Accacha氏は、子どもが10歳以降になってもオメガ3系脂肪酸の効果が続くかどうかが分かれば興味深いと話している。(HealthDay News 2018年6月8日)

https://consumer.healthday.com/kids-health-information-23/misc-kid-s-health-news-435/fish-oil-may-protect-the-youngest-hearts-734674.html

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1HDN6月21日「パッケージニュース」No. 2

1日3杯以上のコーヒーで肝臓に保護効果

コーヒー好きには朗報かもしれない。コーヒーを1日3杯以上飲むと肝疾患を予防できる可能性のあることが、新たな研究で示された。1日に3杯以上のコーヒーを習慣的に飲んでいる人は、全く飲まない人と比べて肝疾患による入院リスクが有意に低減したという。研究の詳細は、米国栄養学会(Nutrition 2018、6月9~12日、米ボストン)で発表された。

米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のEmily Hu氏らは、アテローム性動脈硬化症に関する前向きコホート研究であるARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)研究のデータを用いて、コーヒーの摂取量と肝疾患に関連した入院や死亡リスクとの関連を調べた。対象は、同研究に参加した45~64歳の男女1万4,208人。1日当たりのコーヒーの摂取量は、1987~1989年および1993~1995年の追跡調査時に実施した食物摂取頻度調査票の回答から評価した。

その結果、参加者は小さめのカップ(約240mL)で1日当たり平均2杯弱のコーヒーを摂取していた。また、中央値で24年間の追跡期間中に肝疾患関連の入院は833件発生し、同じく中央値で26年間に238人が肝疾患関連で死亡した。

解析の結果、人種や所得、健康状態や食事内容で調整後も、コーヒーを1日3杯以上摂取すると肝疾患に関連した入院リスクは有意に21%低下することが分かった。一方で、1日3杯以上のコーヒー摂取と肝疾患による死亡リスクとの間には有意な関連はみられなかった。

以上の結果から、Hu氏は「適度な量のコーヒーを飲むことは、肝疾患リスクの低減と関連することが分かった。コーヒーの摂取は肝臓に有害ではないとするこれまでの説を裏付けるものだ」とコメントしている。

米ノースウェル・ヘルス、サンドラ・アトラス・バス肝疾患センターのDavid Bernstein氏は「これまでに計43万人以上を対象とした複数の大規模研究で、コーヒーを摂取すると、特に過食や飲酒の習慣がある人で肝硬変のリスクが有意に低減することが報告されており、今回の結果は目新しいものではない」と話す。しかし、Hu氏らの研究は、近年集積しつつあるコーヒー摂取が肝疾患の進行リスクの低減に有効とするエビデンスを支持するものだと付け加えている。

なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものと見なす必要がある。(HealthDay News 2018年6月11日)

https://consumer.healthday.com/diseases-and-conditions-information-37/liver-disease-news-447/coffee-may-do-your-liver-good-734631.html

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1HDN6月21日「パッケージニュース」No. 3

新たな遺伝子検査で前立腺がんリスクの予測能が向上

英がん研究所(ICR)などの国際共同研究グループは、前立腺がんを発症するリスクが高い男性をより正確に特定できる遺伝子検査を開発したと「Nature Genetics」6月11日オンライン版に発表した。この検査は、これまでに報告されている100カ所以上の前立腺がんの感受性遺伝子座に加え、新たに同定された63カ所を組み合わせて生涯に前立腺がんを発症するリスクを評価するというもの。研究グループは、従来の検査と比べて前立腺がんの予測能が向上したとしている。

これまでのゲノムワイド関連解析(GWAS)などでは100カ所以上の前立腺がん感受性遺伝子座が同定されている。研究グループは今回、Oncoarrayと呼ばれる遺伝子解析法を用いて、約8万人の前立腺がん患者と約6万人の前立腺がんがない男性を対象に、遺伝子中の50万以上の一塩基多型(SNP)の違いを調べた。その結果、新たに63カ所の前立腺がん感受性遺伝子座を同定できたという。

次に、研究グループは、今回新たに同定した感受性遺伝子座をこれまでに報告されているものと組み合わせて、新たな遺伝子検査を開発した。研究グループによると、この検査法では平均的な男性と比べて生涯の前立腺がんの発症リスクが5.7倍である高リスク者(リスクが上位1パーセンタイルに入る男性)を特定できるという。

ICR教授のRosalind Eeles氏は「数多くの男性の遺伝子をこれまで以上に詳細に調べることで、前立腺がんリスクを高める遺伝的要因について新たな情報を得ることができた。また、150カ所以上もの遺伝子座から得られた情報を組み合わせることで、男性の生まれ持った前立腺がんリスクを読み取れるようになった」と、ICRのプレスリリースで説明している。

なお、今回の研究結果を踏まえ、Eeles氏らはこの遺伝子検査を用いて、前立腺がんの遺伝的リスクが高い男性を検出し、前立腺がんの予防や治療により発症リスクを低減できるかどうかを検討する小規模な研究を行いたいとしている。(HealthDay News 2018年6月11日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/prostate-cancer-news-106/new-dna-test-may-predict-prostate-cancer-risk-734759.html

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1HDN6月21日「パッケージニュース」No. 4

抗レトロウイルス療法でHIV感染者のがんリスク減

HIV感染者はがんを発症するリスクが高いことが知られているが、抗レトロウイルス療法(ART)でウイルス量を長期間にわたって抑制すれば、がんリスクを低減できる可能性のあることが、米スタンフォード大学医学部のLesley Park氏らによる研究から明らかになった。この研究結果は「Annals of Internal Medicine」6月12日オンライン版に掲載された。

HIV感染者は「AIDS指標悪性腫瘍(AIDS-defining cancers ; ADC)」と呼ばれる特定のがんと、いくつかの「非AIDS指標悪性腫瘍(non-AIDS-defining cancers ; NADC)」を発症するリスクが高いことが知られている。ADCにはカポジ肉腫や非ホジキンリンパ腫、浸潤性子宮頸がんなどが含まれ、HIV患者がこれらのいずれかを発症するとAIDSと診断される。一方、NADCには肺がんや喉頭がん、メラノーマ(悪性黒色腫)、白血病などがあり、これらはAIDSの診断指標とはならないがHIV感染者では特に発症率が高いとされている。

HIV感染者に対する治療の主軸となるのはARTだが、これまでの研究から、ARTでウイルスの増殖を長期間にわたって抑制すると一部のがんのリスクが低減することが報告されていた。しかし、長期間にわたるウイルス量の抑制が全体的ながんリスクに及ぼす影響について検討した研究は限られていたという。

そこでPark氏らは今回、退役軍人コホート研究に参加したHIV感染者4万2,441人と、人口学的な背景因子を一致させたHIV非感染者10万4,712人を対象に、1999年から2015年までのがん発症率を比較検討した。

その結果、HIV非感染者と比べて、がんリスクはウイルス量を抑制できていなかったHIV感染者で最も高く〔罹患率比(RR)2.35〕、リスクの上昇幅はウイルス量を短期間(2年以内)抑制できたHIV感染者ではより低く(同1.99)、2年以上の長期間にわたってウイルス量を抑制できたHIV感染者で最も低かった(同1.52)。

以上の結果を踏まえ、Park氏らは「今回の結果は、感染症を専門とする医師や高齢になったHIV患者を診療する機会がある内科医にとって有用な情報となるだろう」との見解を示している。(HealthDay News 2018年6月11日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/cervical-cancer-news-95/antiviral-treatments-reduce-cancer-risk-for-hiv-patients-734639.html

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1HDN6月18日「パッケージニュース」No. 1

SNS上の楽しい経験はうつ病リスクを低減しない?

ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などのソーシャルメディア上でネガティブな発言に接する経験が多い人は、うつ病になりやすい可能性のあることが、米国の約1,200人の大学生を対象とした調査で明らかになった。一方で、オンライン上で楽しい経験をしても、うつ病のリスクはほとんど低減しないことも示されたという。詳細は「Depression and Anxiety」6月6日号に掲載された。

今回の調査の対象は、2016年に、米ウエストバージニア大学に通う18~30歳の学生1,179人。平均年齢は20歳で、女性が62%、白人が72%を占め、約半数が独身だった。参加者には、ソーシャルメディア上でポジティブあるいはネガティブな発言や情報に接する頻度を尋ねた上で、質問票の回答から抑うつ症状の有無を評価した。なお、研究者らによれば、一般にソーシャルメディアを利用する人の約83%はこの年齢層が占めるという。

その結果、ソーシャルメディア上でネガティブな発言に接する経験の頻度が10%増えると抑うつ症状が現れるリスクは有意に上昇することがわかった(調整オッズ比は1.20、95%信頼区間1.11~1.31)。一方、ポジティブで楽しい経験の頻度が10%増えても、抑うつ症状が現れるリスクは4%減る程度にとどまっていた。

研究を行った米ピッツバーグ大学メディア・テクノロジー・健康研究センターのBrian Primack氏は「ネガティブな経験がうつ病につながることは当然で、これはソーシャルメディアに限ったことではない。ただ、ポジティブな経験による影響力はネガティブな経験によるものを上回ると予想していたため、楽しい経験をしてもうつ病リスクはそれほど低減しないという結果には驚かされた」と話す。

また、この結果についてPrimack氏は、ネガティブな出来事はポジティブなものよりも脳に多大な印象を与える「ネガティブバイアス」が影響した可能性を指摘している。「いいね!」や大げさな誕生日のお祝いメッセージなど一見、肯定的な情報があふれかえるオンライン上の架空の世界では、特にこうしたネガティブバイアスに陥りやすいという。

さらに、同氏は「既に抑うつ状態にある人はオンライン上の発言や情報を否定的に捉えやすい」と指摘する。個人の性格や精神状態も重要で、普段から疎外感を感じている人はこうした悪循環に陥りやすいとしている。

では、うつ病のリスクを下げるには、どのような対策が考えられるのか? Primack氏は、ソーシャルメディアの使用を控える以外に、精神科医に相談してオンライン上のネガティブな経験からの回復力を養うことを挙げている。

専門家の一人で米コロンビア大学医療センター精神科教授のPhilip Muskin氏も「ある一部の性格的な特性や障害を持つ人は些細な出来事にも敏感で、過剰に反応してしまうことがある」として、ソーシャルメディアを使用していて否定的な感情を抱くことが増えてきたら、心理療法を試してみることを勧めている。(HealthDay News 2018年6月7日)

https://consumer.healthday.com/health-technology-information-18/misc-computer-health-news-150/snubbed-on-social-media-your-depression-risk-may-rise-734668.html

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1HDN6月18日「パッケージニュース」No. 2

湿度が高くてもインフルエンザウイルスの感染力は弱まらない?

インフルエンザウイルスは湿度が高いほど生存率は低下すると広く考えられているが、高湿度の環境下でもウイルスの感染力は弱まらない可能性のあることが新しい研究で示唆された。研究グループは、咳やくしゃみにより空気中に飛び散った気道の分泌物などがインフルエンザウイルスの保護に働くためではないかと指摘している。詳細は「Journal of Infectious Diseases」6月7日オンライン版に掲載された。

論文著者の一人で米ピッツバーグ大学医学部微生物学・分子遺伝学のSeema Lakdawala氏は「この結果は、特にパンデミック発生時に感染の拡大を阻止する対策を検討する際に役立つだろう」と話している。

インフルエンザウイルスの主な感染経路は、感染した人から咳などで飛び散った飛沫を吸い込んでしまうことによる飛沫感染だと考えられている。しかし、感染が成立するには飛沫に含まれるウイルスの感染力が維持されている必要がある。研究グループは今回、インフルエンザウイルスの感染力と湿度の関係に着目して実験を行った。

Lakdawala氏らはまず、相対湿度を一定に維持しながら空気中に液体の微粒子(エアロゾル)を安定して浮遊させることができる回転式の金属ドラムを作製した。次に、ヒトの気道分泌物のサンプルと2009年のパンデミックインフルエンザA(H1N1)ウイルス株の混合物をエアロゾル化して、このドラム内に噴霧した。同氏らによると、ドラム内の環境は、インフルエンザに罹患した人と同じ部屋で過ごす条件に近いものだという。

その次に、Lakdawala氏らは、ウイルスが外に拡散されないように金属ドラムに特殊なフィルターを取り付けた。その上で、室内の空気が外気と入れ替わるのに要する時間と同じ1時間、ドラムを回転させた。

7段階の湿度(23%、33%、43%、55%、75%、85%および98%)でこの実験を繰り返した結果、インフルエンザウイルスはどの相対湿度でも感染力が弱まらないことが明らかになった。「少なくとも一般的な住宅では、室内の空気が外気と入れ替わる1時間のうちは咳などで飛散した気道の分泌物がウイルスを保護している可能性が考えられる」と、Lakdawala氏は述べている。

論文の共著者で米バージニア工科大学社会環境工学科のLinsey Marr氏は、過去の研究グループの検討でインフルエンザウイルスは湿度が低い方が生存率は高いことが示唆されており、冬期にインフルエンザが流行する理由になると考えていたという。そのため、「この結果には驚かされた」とした上で、ウイルスが咳による飛沫や空気中の微粒子の中で浮遊している間に、どのような変化が生じているのかを改めて検討する必要があるとしている。

研究グループは今回の結果を踏まえて、インフルエンザの流行期には自宅や職場の空気をこまめに入れ替え、循環する空気を紫外線照射で殺菌する機能を備えた空気清浄機を活用し、ドアノブやキーボード、電話、机などを定期的に消毒するようアドバイスしている。(HealthDay News 2018年6月7日)

https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/flu-news-314/humidity-won-t-hamper-spread-of-flu-virus-734600.html

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1HDN6月18日「パッケージニュース」No. 3

消化器内視鏡検査後の感染リスクは予想以上に高い?

大腸内視鏡検査や食道、胃、十二指腸の内視鏡検査(上部消化管内視鏡検査)は、一般に考えられているほど安全ではないかもしれない-。消化器内視鏡検査後には大腸菌(Escherichia coli)やクレブシエラ属などの細菌に感染するリスクは予想以上に高いことが、米ジョンズ・ホプキンス大学消化器病学・肝臓病学のSusan Hutfless氏らの研究で示された。2014年にこれらの検査を日帰りで受けた患者のデータを分析した結果、検査後に救急治療や緊急入院が必要となった感染症の発症率は、これまで考えられていたよりも大幅に高いことが分かったという。詳細は「Gut」5月18日オンライン版に掲載された。

米国では、大腸内視鏡検査の実施件数は年間で1500万件を超え、上部消化管内視鏡検査の実施件数も約700万件に上る。Hutfless氏らは今回、2014年の保険請求データベースを用いて、米国6州(カリフォルニア州、フロリダ州、ジョージア州、ネブラスカ州、ニューヨーク州、バーモント州)の日帰り手術施設(Ambulatory Surgery Center)で実施された大腸内視鏡検査と上部消化管内視鏡検査のデータを収集し、検査後7日以内および30日以内の救急治療や緊急入院を必要とする感染症の発症率を調べた。

その結果、検査後7日以内の感染症の発症率は、スクリーニング目的の大腸内視鏡検査で1,000件当たり1.1件、スクリーニング以外の目的で実施された大腸内視鏡検査では同1.6件、上部消化管内視鏡検査では同3.0件だった。Hutfless氏によると、こうした消化器内視鏡検査後の感染症の発症率は、これまで100万件当たり1件前後であると考えられていたという。

また、今回の研究では、これらの検査を実施する前に入院歴があった患者では特に感染リスクが高いことも分かった。例えば、検査前30日以内の入院歴がある場合、検査後1カ月以内の感染症による入院率は、大腸内視鏡検査を受けた患者では1,000人当たり約45人と高く、上部消化管内視鏡検査を受けた患者では1,000人当たり約59人とより高かった。

以上の結果を踏まえ、Hutfless氏は「患者は通常、一般的な消化器内視鏡検査は安全だと説明されるが、実際にはこれらの検査後の感染症の発症率は予想以上に高く、施設によってばらつきが大きいことも分かった」と結論。「日帰り手術施設の多くは厳格な感染対策ガイドラインを守っているにもかかわらず、検査後の感染症の発症率が予想の100倍を超える施設もあった」と付け加えている。

米国で40年ほど前から普及し始めた日帰り手術施設は、その利便性やコストが削減できるといった利点から、ここ20年ほどで人気が高まっている。ただ、これらの施設では医療記録データを救急部門と共有できていない場合も多く、感染症の有無までは把握しきれていないのが実情だ。Hutfless氏は、このことが感染症対策が進まない理由の一つではないかと指摘する。また、今回の結果から、「これらの消化器内視鏡検査は感染リスクを伴うことを知っておくべきだ」と同氏は強調している。(HealthDay News 2018年6月6日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/colonoscopy-news-140/colonoscopies-endoscopies-carry-greater-infection-risk-than-thought-study-734499.html

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1HDN6月18日「パッケージニュース」No. 4

開発中のHIVワクチン、臨床試験も視野に

開発中のHIVワクチンによって、数多くのヒト免疫不全ウイルス(HIV)株を中和する抗体を誘導したとする研究結果が「Nature Medicine」6月4日オンライン版に発表された。この研究はマウスやモルモット、サルを用いた動物実験の段階だが、この結果を受け、2019年後半にもヒトを対象とした同ワクチンの臨床試験が開始される見込みだという。

今回の研究は、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)ワクチン研究センターのPeter Kwong氏らが実施したもの。NIAIDのプレスリリースによると、同氏らの研究では、まず数多くのウイルス株を中和する強力なHIV抗体を同定し、次に抗体が結合するHIVタンパク質の断片(エピトープ)の構造に基づいたワクチンによってこれらの抗体を誘導する、というアプローチが取られた。

このエピトープはHIV融合ペプチド(fusion peptide)と呼ばれるもので、研究グループは2016年にもHIVワクチンの標的としてHIV融合ペプチドが有望であることを報告している。この融合ペプチドはHIVの表面にあるスパイク(突起)の一部で、ウイルスがヒトの細胞内に侵入する際に利用する。Kwong氏らによると、ほとんどのHIV株が同一の構造の融合ペプチドを有しており、融合ペプチドを基盤とするHIVワクチンは特に有望な可能性があるという。

今回の研究では、融合ペプチドの構造に基づきさまざまな抗体を作製し、マウスの実験でHIVの中和抗体の誘導に最も有効な抗体を同定した。また、効果を高めるために、この抗体にHIVのスパイクのレプリカを組み合わせてワクチンを作製した。次に、マウスの実験で代表的な208のHIV株に対するワクチンの効果を検証した結果、これらの31%が中和されたことが分かったという。

論文発表に際し、NIAID長官のAnthony Fauci氏はプレスリリースで「(研究グループは)HIVウイルスの構造に関する深い知識を生かして、ウイルスに脆弱な部分があることを見出し、強力な効果を発揮し得る新たなワクチンを設計した」と研究を評価。その上で「この卓越した研究は、安全で有効なHIVワクチンの開発に向けた取り組みを前進させる重要な成果だ」とコメントしている。

なお、Kwong氏らは現在、注射回数を減らしても今回の研究と同程度の効果が得られるようにワクチンの効果を高めるなど、ヒトを対象とした臨床試験での応用を目指してワクチンの改良に取り組んでいるという。(HealthDay News 2018年6月6日)

https://consumer.healthday.com/aids-information-1/aids-and-hiv-sexually-transmitted-diseases-news-607/human-trials-set-for-experimental-hiv-vaccine-734558.html

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Young woman in bed suffering from cancer. Thoughtful woman battling with tumor looking out of window. Young patient with blue headscarf recovery in hospital on bed.

大腸がん化学療法の費用、米とカナダで2倍の開き

米国とカナダの国境を挟んで隣接する2つの州で、切除不能な大腸がんの化学療法の費用には2倍の開きがあることが、米フレッド・ハッチンソンがん研究センターのVeena Shankaran氏らの研究で分かった。大腸がんの初期に行う化学療法の費用は、患者一人当たり、月平均でカナダのブリティッシュコロンビア州では6,195ドル(約68万円)だったのに対し、米国のワシントン州では1万2,345ドル(約136万円)に上った。一方で、これらの州では患者の予後に大きな差はみられなかったという。研究の詳細は、米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018、6月1~5日、米シカゴ)で報告される。

Shankaran氏らは今回、医療制度が大きく異なる米国とカナダにおいて、性別や年齢などの構成や人口密度、所得、教育レベルなどの人口統計学的な特性が類似するこれら2つの州に着目。保険請求データを用いて、両州の切除不能な大腸がん患者を対象に、化学療法の実施頻度や治療内容、費用、予後(全生存期間)などを比較検討した。

解析対象とした切除不能な大腸がん患者は、カナダの1,622人と米国の575人で、平均年齢はブリティッシュコロンビア州の方が高く(66歳対60歳)、化学療法を受ける患者の割合はワシントン州の方が高かった(79%対68%)。これらの差について、研究を率いた同センターのTodd Yezefski氏は「前者については、米国でメディケアを受給する患者が解析に含まれていないこと、後者については、米国の患者の方が比較的若かったことが影響したと考えられる」と説明している。

解析の結果、化学療法の費用には2つの州で2倍の開きがみられた。化学療法の治療内容についてもやや差がみられたが、いずれの治療法も臨床試験などで有効性は同程度であることが証明されていた。このことは予後の結果からも裏付けられ、化学療法を受けた患者の全生存期間(中央値)は、ワシントン州では21.4カ月、ブリティッシュコロンビア州では22.1カ月と2つの州で差はみられなかった。なお、化学療法を受けていない場合の全生存期間は中央値でそれぞれ5.4カ月、6.3カ月であった。

Shankaran氏は、米国に比べてカナダで化学療法の費用が低かった結果は「驚くものではない」述べ、その理由として、カナダでは単一支払者制度(国民皆保険制度)が採用されていること、米国では全体的に薬価が高い傾向があることを挙げている。同氏らは、研究の次の段階として、画像検査や入院、外科手術といった他のがん治療のコストを米国とカナダで比較する予定だ。同氏は「今回の結果は、政策立案者が薬価の上昇に対処する新しい施策を考える際に活用できるだろう」と期待を示している。

なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものと見なす必要がある。(HealthDay News 2018年6月1日)

https://consumer.healthday.com/public-health-information-30/health-cost-news-348/cancer-care-twice-as-costly-in-u-s-versus-canada-734426.html

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African American patient explaining issues to Asian doctor using tablet

遺伝子検査でより多くの乳がん患者が化学療法を回避できる

「Oncotype(オンコタイプ)DX」と呼ばれる遺伝子検査で乳がんの術後補助療法の有益性を判定すると、リンパ節転移がないホルモン受容体(ER)陽性の早期乳がん患者の多くが化学療法を回避できる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。オンコタイプDX検査で再発リスクが中間リスクとされた女性では、化学療法の効果判定の精度に課題があったが、今回、こうした女性でも十分に効果判定できることが示された。詳細は、米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018、6月1~5日、米シカゴ)で報告され、「New England Journal of Medicine」6月3日オンライン版に同時掲載された。

オンコタイプDX検査は、腫瘍組織の21遺伝子の発現を調べて乳がんの性質を分析するもので、10年以内にがんが再発する可能性と術後補助化学療法の治療効果を予測できる。検査では再発の可能性が0~100のスコアで表され、「低リスク(スコア10以下)」の場合はホルモン療法のみで治療でき、「高リスク(同26以上)」の場合は化学療法を加えると治療効果が期待できることを示す。しかし、これまで「中間リスク(同11~25)」の場合については化学療法の有益性は正確に評価できなかった。

研究では、リンパ節転移陰性かつER陽性HER2陰性乳がん患者を対象に、オンコタイプDX検査の有用性を検証した大規模臨床試験(TAILORx試験)に参加した女性1万273人のうち、再発リスクが中間リスク(11~25)だった6,711人(69%)で解析を行った。対象女性をホルモン療法+化学療法併用群またはホルモン療法単独群にランダムに割り付けて平均で約9年間の追跡を行った。

その結果、9年後の浸潤性疾患のない生存率(Invasive Disease Free Survival)および遠隔無再発生存率、無再発生存率、全生存率はいずれも両群間で差はみられず、化学療法を追加するベネフィットは認められなかった。ただし、50歳以下の女性で再発リスクスコアが16~25の場合は化学療法の有益性がある程度みられた。

なお、別の解析によると、ホルモン療法単独による乳がんの進行抑制効果は、再発リスクスコアが10以下の女性で最も高かったほか、スコアが26以上の女性では化学療法を併用しても13%に転移がみられた。

研究を率いた米アルベルト・アインシュタインがんセンターのJoseph Sparano氏は「乳がん患者全体の約半数を今回対象としたタイプの乳がんが占めている。オンコタイプDX検査により、このうち約7割が化学療法を安全に回避できるだろう」と述べている。また、同氏らは「今回対象とした乳がんでは、50歳を超える女性は再発リスクスコアが26未満であれば化学療法は不要だ。一方で、50歳以下の女性ではスコアが16未満であれば化学療法は不要になる」と結論づけている。

専門家の一人で米レノックス・ヒル病院腫瘍外科部門長のStephanie Bernik氏は「再発リスクが中間の乳がん患者では、これまで化学療法の有益性の判定は難しかった。今回の結果を受け、今後は不要な化学療法や副作用の問題を回避できるようになるだろう」と期待を示している。(HealthDay News 2018年6月3日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/breast-cancer-news-94/gene-test-may-allow-many-with-early-breast-cancer-to-avoid-chemo-734489.html

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