4.1.1

家庭血圧計の測定値、7割に誤差 ―カナダ調査

健康管理のために家庭血圧計を使用している高齢者は珍しくないが、その測定値の約7割に5mmHg以上の誤差があったとするカナダの小規模研究の結果が「American Journal of Hypertension」7月号に掲載された。

アルバータ大学(カナダ)のJennifer Ringrose氏率いる研究チームは今回、オシロメトリック法の家庭血圧計を自宅に保有し、上腕の周囲長が25~43cmで収縮期血圧(SBP)80~220mmHg、拡張期血圧(DBP)50~120mmHgの患者85人(平均年齢66.4歳)を対象に研究を実施。家庭血圧計で測定した血圧値と、訓練を受けた測定者がゴールドスタンダードである水銀式血圧計で測定した血圧値を比較した。

その結果、家庭血圧計による測定値の69%で5mmHg以上の誤差があり、10mmHg以上の誤差も29%で認められた。Ringrose氏は「血圧値が不正確であることによって、健康に深刻な影響が及ぶ可能性がある」と指摘。その上で、「監視と高血圧治療によってそうした状況は回避できる。また、われわれは家庭血圧計の測定値が正確であるかどうかを確認しておく必要がある」と述べている。

糖尿病および糖尿病に関連した心疾患リスクを専門とする米ノースウェル・ヘルス・サウスサイド病院のRobert Courgi氏も、「家庭血圧計の精度が上がれば高血圧治療が成功する確率がさらに高くなるはずだ」との見方を示している。

しかし、既に家庭血圧計を購入して使用している場合、それは無駄ではない。Ringrose氏によると、「家庭血圧計の測定値を血圧管理の主な指標とする場合は、その前にクリニックでの測定値と比べておく」「複数回の測定値に基づいて治療を決定する」ことなどによって、家庭血圧計による誤差を最小限にとどめることができるという。「家庭血圧計は患者自身に血圧を管理する力を持たせるツールとなるだけでなく、医師が患者の全般的な状態を把握する上で極めて有用だ」と同氏は強調している。

この研究結果について、米スタテン・アイランド大学病院の脳卒中専門医であるYasir El-Sherif氏は「患者に血圧を毎日記録するよう求める医師は多いことを考慮すると、興味深く、臨床的にも意味がある。小規模な研究であるため結論を導き出すことはできないが、懸念すべき結果だ」とコメントしている。

なお、同氏も家庭血圧計の使用者に対するアドバイスとして、1度はクリニックに家庭血圧計を持参し、クリニックで手動式で測定された血圧値と比べ、精度を確認するよう勧めている。(HealthDay News 2017年6月14日)

https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/high-blood-pressure-health-news-358/home-blood-pressure-monitors-wrong-7-of-10-times-study-723533.html

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Brown English Bulldog shaking off water

米国でイヌのインフルエンザが流行中

感染力が極めて強いイヌのインフルエンザが、米国のイヌの間で広がっている。米コーネル大学獣医学部ウイルス学教授のColin Parrish氏によると、このH3N2型イヌインフルエンザは鳥類からイヌに伝播したもので、2005年にアジアで確認され、おそらく2015年に韓国から持ち込まれたイヌによって米国でも感染が拡大した。なお、このウイルスはイヌからヒトには感染しないと考えられている。

米国獣医師会(AVMA)前会長のJoe Kinnarney氏によると、このウイルスに接触したイヌの約80%がインフルエンザを発症するという。このウイルスは米国内ではシカゴで最初に確認され、その後中西部の他の地域に拡大し、最近はフロリダ州、ジョージア州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、テキサス州でも流行がみられる。

このウイルス株は2004年にイヌの間で流行したウイルス株よりも感染力が強く、同大学ウイルス学教授のEdward Dubovi氏は「アジアのイヌを救済しようする団体が、適切な検疫を受けずに米国にイヌを持ち込み続ければ、今後も米国内でのイヌインフルエンザの発生が繰り返されるだろう」と指摘している。

イヌのインフルエンザは、イヌの集まる場所、例えば保護施設やドッグホテル、ドッグランなどで感染が広がる。また、人間がウイルスに感染したイヌに触れた後、別のイヌに触れることで伝播する場合もある。症状はヒトのインフルエンザによく似ており、咳、発熱、体調の悪化などがみられる。飼っている犬がインフルエンザを発症したら獣医の診察を受けさせるべきだが、治療薬は存在しないため、水分補給や栄養補給、輸液などの対症療法が行われる。

Parrish氏によると、一定の効果が期待できるワクチンもある。60~80%で予防効果が得られるとされており、接種しておけば感染しても軽症で済む。ただし、十分な効果を得るためには数週間の間隔をあけて2回接種する必要がある。室内で飼い、他のイヌと接触する機会がなければワクチン接種は不要だと考えられるが、ドッグショーや預かり施設などに連れて行くなら、ウイルス感染のリスクが高まるため接種すべきだと、専門家らは勧めている。

なお、ヒトのインフルエンザと同様に、イヌもインフルエンザを発症すると死ぬことがあり、特に高齢または幼齢のイヌ、他の疾患があるイヌはリスクが高い。「細菌性肺炎を併発すると特に重篤化しやすい。ブルドッグやシェパードなど一部の犬種は重度の肺感染症を発症しやすいことで知られる」とDubovi氏は話す。インフルエンザの症状は通常1週間ほど続くが、その後さらに1週間前後にわたって咳が残ることもある。また、このウイルス株はネコにも感染することが報告されていると、Parrish氏は話している。(HealthDay News 2017年6月14日)

https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/flu-news-314/it-s-a-tough-flu-season-hellip-for-dogs-723648.html

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1-1 HDN6月19日「今日のニュース」No.1

製薬企業から医師への金品はがん治療薬の選択を左右するのか

製薬企業から食事を提供されたり、旅費や講演料などを受け取ったりしたことがある腫瘍医は、その企業が製造するがん治療薬を処方する確率が高いことが、米ノースカロライナ大学のAaron Mitchell氏らによる研究で明らかになった。この研究結果は米国臨床腫瘍学会(ASCO 2017、6月2~6日、シカゴ)で報告された。

これまでにも、製薬企業から金品を受け取った医師は、安価なジェネリック薬よりもブランド薬を選ぶ傾向が強いことが報告されていた。ただ、がん治療薬は高価で毒性が強いため、医師がどの治療薬を選択するかが特に重要だといえる。

そこでMitchell氏らは今回、米国で3種類の治療薬の選択肢がある腎細胞がんと慢性骨髄性白血病に焦点を当て、処方内容と製薬企業から医師への10ドル以上の金品提供に関するデータを調べた。なお、提供された金品は食事代、旅費・宿泊費、講演料、顧問料などの「一般費」と「研究費」の2種類に分類した。

その結果、製薬企業から一般費を受け取ったことがある医師では、受け取ったことがない医師と比べて、同じ企業が製造する治療薬を選択する確率が腎細胞がん治療では78%、慢性骨髄性白血病では29%高かった。なお、製薬企業から提供された一般費の平均額は、腎細胞がんの治療に当たった医師では566ドル(約6万2,900円)、慢性骨髄性白血病の治療に当たった医師では166ドル(約1万8,400円)だった。

一方、製薬企業から医師に提供された研究費の平均額は、腎細胞がんの治療に当たった医師で3万3,000ドル(約367万円)、慢性骨髄性白血病の治療に当たった医師で18万6,000ドル(約2070万円)だった。興味深いことに、腎細胞がんの治療薬の選択には研究費の提供が影響していることが示されたが、提供された研究費がより多額であった慢性骨髄性白血病の治療に当たった医師では、研究費を受け取ったことによる治療薬の選択への影響は認められなかった。

米コロンビア大学ハーバート・アーヴィング総合がんセンターのDawn Hershman氏は、「3種類の治療薬から1剤を選択しなければならない場合、製薬企業から提供された研究費により実施した臨床試験で使用経験がある薬剤を選ぶのは不思議ではない」と指摘。Mitchell氏も「研究費と比べて少額な金品であったとしても、何かを受け取ることで製薬企業との関係が生まれ、その企業の薬剤を使用する方が情報を得られやすく安心だと感じられるのではないか」としている。

一方で、Mitchell氏は医師が少額の金品による影響を過小評価しがちであることを指摘。「周りの医師は金品を受け取ることによる影響を受けているかもしれないが、自分は影響されていないと考える医師は多い」と述べている。また、Hershman氏は患者自身がさまざまな治療選択肢について学び、医師とともに治療を選択する必要があると強調している。

学会発表された研究結果は査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2017年6月6日)

https://consumer.healthday.com/general-health-information-16/doctor-news-206/can-drug-company-perks-sway-cancer-docs-prescriptions-723353.html

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8.3.1

低脂肪乳製品の日常的な摂取でパーキンソン病リスク上昇か

低脂肪の牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品を摂取することは健康的だと考えられているが、これらを日常的に摂取することでパーキンソン病の発症リスクがわずかに上昇する可能性が、米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生学部のKatherine Hughes氏らによる研究で示唆され、「Neurology」6月8日オンライン版に掲載された。

Hughes氏らは今回、米国の男女の医療従事者12万9,346人を24~26年追跡した2件の前向きコホート研究のデータを分析した。これらの研究では4年ごとに食物摂取頻度調査が実施され、追跡期間中に1,036人がパーキンソン病を発症していた。

分析の結果、低脂肪乳製品を1日3サービング以上(低脂肪乳でコップ3杯以上に相当)摂取していた人では、1サービング未満しか摂取しなかった人に比べてパーキンソン病を発症するリスクが34%高かった。また、乳製品の中でも牛乳のみに限定して分析した結果、低脂肪乳または脱脂乳を1サービング以上摂取していた人では1サービング未満の人に比べて同リスクが39%高かった。 一方で、全乳などの高脂肪乳製品の摂取量は、同リスクの上昇と関連していなかった。

ただし、Hughes氏らは本研究で認められたリスクを広い視野でとらえる必要があると強調。「低脂肪乳製品を1日3サービング以上摂取していた5,830人のうち、追跡期間中にパーキンソン病を発症したのは1%(60人)、1日1サービング未満であった7万7,864人のうち同疾患を発症したのは0.6%(483人)であり、発症リスクそのものは低かったことに留意すべきだ」としている。

また、同氏らは「この研究は観察研究であるため、因果関係が明らかになったわけではない」と説明し、乳製品の摂取と疾患リスクの両方に関与する第3の因子がリスクを高めている可能性もあるとの見方を示している。例えば、尿酸値が高めだとパーキンソン病リスクが低いことが指摘されているが、乳に含まれる蛋白質が尿酸値を低下させるとの報告があり、その尿酸排出作用が関与している可能性があるという。他にも、農薬などによる乳製品の汚染が影響する可能性も示唆している。

一方、なぜ全乳などの高脂肪乳製品ではパーキンソン病リスクとの関連が認められなかったのかについては「明確な要因は不明」としているが、高脂肪乳製品に含まれている飽和脂肪酸が尿酸値の維持に役立っている可能性があるとの見方を示している。

米国パーキンソン病財団のJames Beck氏は、「骨の健康を維持するためにも乳製品から十分なカルシウムを摂取することは重要」として、急に食事を変えることは勧めていない。なお、この研究は米国立衛生研究所(NIH)および米国防総省の支援により実施された。(HealthDay News 2017年6月8日)

https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/parkinson-s-news-526/does-a-low-fat-dairy-habit-boost-parkinson-s-risk-723503.html

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E-Health concept with hand pressing a button on blurred abstract background

症状を報告するオンラインツールでがん患者の生存期間が延長

化学療法を受けている進行がん患者にタブレット端末などを用いてオンラインで症状を医師などに報告してもらうツールを導入した結果、全生存期間(OS)が延長したとするランダム化比較試験の成績が明らかになった。この知見は米国臨床腫瘍学会(ASCO 2017、6月2~6日、シカゴ)で発表された。

試験を実施した米ノースカロライナ大学ラインバーガー総合がんセンター教授のEthan Basch氏らは「ツールによって患者に症状が現れてから医療チームが対応するまでの時間を短縮できたことが生存期間の延長につながったのではないか」との見方を示している。

Basch氏によると、化学療法を受ける患者には重い症状が現れることが少なくないが、医師や看護師はその一部しか把握していないのが現状だという。ASCO次期会長のBruce Johnson氏も「症状があっても医師には連絡せず、次回の受診日まで我慢してしまう患者は多い」と指摘。しかし、進行がん患者の症状の悪化はがん増悪の前兆であるため、医師は症状に注意を向けることでがんの進行を抑え、患者の余命延長につなげられる可能性があるとしている。

今回の試験では、タブレット端末などを利用して化学療法を受けている患者によくみられる12の症状(食欲減退、呼吸困難、疲労、ほてり、悪心、疼痛など)の有無や程度について患者が医療チームにリアルタイムで報告できるコミュニケーションツール“Symptom Tracking and Reporting(STAR)”の有効性が検証された。泌尿器がんや婦人科がん、乳がん、肺がんなどの進行がん患者766人を、このツールを定期的に使用する群と通常の治療を受ける群にランダムに割り付けた。

その結果、OSは通常治療群の26.0カ月に対してツールを利用した群では31.2カ月と、約5カ月延長することが示されたという。この結果について、Basch氏は「わずかな差と捉える向きもあるかもしれないが、これは転移がんを標的とするさまざまな分子標的治療薬を上回る効果といえる」と説明している。

なお、Basch氏らによる以前の研究では、このツールを使用することでがん患者のQOLが向上し、救急部門の受診や入院が減少したほか、忍容性が低下することなく化学療法を受けられる期間が延長したという。

Johnson氏は「この技術は患者と医療チームの双方に利益をもたらす。コミュニケーションが円滑になることで医師は疑わしい症状にタイムリーに対応できる可能性が高まる」と期待を寄せている。

学会発表された研究結果は査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2017年6月4日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/mis-cancer-news-102/reporting-symptoms-online-to-docs-helps-cancer-patients-live-longer-723214.html

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Female patient undergoing scan at mammography machine with male doctor supervisor. Happy hospital scene.

政府助成のがん臨床試験の成果で米国人の生存期間が300万年延長

公的資金により実施された臨床試験の成果として、がん患者の生存期間が大幅に延長したことが、新たな米国の調査で明らかになった。

米国立がん研究所(NCI)が支援する臨床試験ネットワークSWOGには、これまで20万人以上の患者が被験者として参加した。これらの臨床試験の結果、14種類の新たながん治療薬が承認され、がんの標準治療には100以上の変更が加えられた。これらにより延長した生存期間を合わせると、2015年の1年間で334万年に達することが分かった。米国政府が助成費用を125ドル(約1万3,800円)かけるごとに、生存期間が1年延びた計算になるという。

研究を率いた米フレッド・ハッチンソンがん研究センターのJoseph Unger氏は、「政府助成の臨床試験で確立された治療法により、多くのがん患者の生存期間が延長した。比較的低い費用で高い効果を得ており、納税者にとって大きな価値のある結果だ」と述べている。

同氏らはSWOGのデータベースから、1956~2016年に実施されたがんの新薬や新治療に関連する193件の第3相試験を特定し、分析した。23種類の薬剤の試験で、計1万2,361人の患者の全生存期間に劇的な改善が認められた。これらの試験は肺がん、乳がん、皮膚がん、前立腺がんのほか、白血病やリンパ腫、骨髄腫などの血液がんを含む多くのがん種を対象としていた。

さらに今回の研究では、実験的治療が後に標準治療となり、その効果が5年間持続したと仮定して統計モデルを作成。米国政府のデータを用いて、新治療により生存期間が延長される患者数およびその年数を推定した。

その結果、臨床試験への被験者の参加およびその成果により、劇的な生存期間の延長が得られたことが明らかにされた。全ての患者が新治療を受けているわけではないことを考慮し、効果が持続する期間を3年間に短縮しても、臨床試験により少なくとも200万年の生存期間の延長が得られたという。

SWOG共同研究グループ長のCharles Blanke氏は、「時間は最もかけがえのないものであり、がん患者に家族と過ごす時間を少しでも多く与えられるということは大きな成果だ。最も控えめに見積もった200万年という数字でも、今年がんで死亡すると推定される60万人の米国人に、1人につき約3年の余命を与えたことになる。これは政府助成のがん研究から得られた利益として極めて大きいといえる」と述べている。

この知見は「JAMA Oncology」オンライン版に6月5日掲載され、米国臨床腫瘍学会(ASCO 2017、6月2~6日、シカゴ)でも発表された。(HealthDay News 2017年6月6日)

https://consumer.healthday.com/clinical-trials-information-35/clinical-trials-news-136/publicly-funded-cancer-trials-gained-americans-3-million-more-years-723354.html

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Nurse Visiting Senior Male Patient At Home

降圧薬は1種類よりも「低用量を2種類以上」が良い?

複数の種類の降圧薬を低用量ずつ組み合わせて使用した方が、1種類の降圧薬を標準用量で使用するよりも降圧効果が優れている可能性が、ジョージ・グローバルヘルス研究所(オーストラリア)のAnthony Rodgers氏らによる研究で示された。

同氏らは今回、過去に発表された研究データを合わせて分析する「メタ解析」を実施した。解析対象は、42件のランダム化比較試験(RCT)に参加した成人の高血圧患者2万284人。アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)、サイアザイド系利尿薬、カルシウム拮抗薬など、さまざまな種類の降圧薬が使用されていた。

解析の結果、2種類の降圧薬を低用量(標準用量の4分の1)ずつ用いた併用治療による降圧効果は、標準用量の単剤治療と同程度であることが示された。また、低用量の降圧薬を併用する場合、薬剤の種類が増えるほど降圧効果が高まることも分かった。4種類の降圧薬を低用量ずつ用いた併用治療では、標準用量の単剤治療と比べて収縮期血圧(SBP)が22.4mmHg、拡張期血圧(DBP)が13.1mmHg低下することを示したRCTも1件あった。

一方、有害事象に関しては、低用量を1種類あるいは2種類用いた治療の方が標準用量を1種類用いた治療よりも頻度が低かった。ただ、低用量を4種類用いた場合については十分な情報が得られなかったとしている。

降圧薬はいずれも単独では効果が不十分な場合が多く、高用量になると副作用が問題となることも珍しくない。今回の研究結果を踏まえ、Rodgers氏らは「低用量でも複数の種類の降圧薬を併用することで、大きな効果を得ることができるのではないか」と結論づけている。

今回の研究には関与していない循環器専門医である米ワシントン大学(シアトル)のEugene Yang氏は、この結果について「異なる種類の降圧薬を併用することで、相乗効果が生まれるようだ」との見方を示している。ただし、同氏は解析に含まれたRCTの追跡期間は最長でも2週間であったことなどを指摘。より大規模な長期の研究を実施する必要があるとしている。

さらに同氏は研究の弱点として、解析に含まれたRCTのほとんどが17年以上前に完了した試験であることも指摘。この他、複数の論文著者が製薬企業から資金援助を受けていることなどについても言及している。

この研究結果は「Hypertension」オンライン版に6月5日掲載された。(2017年6月5日)

https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/high-blood-pressure-health-news-358/moving-toward-a-better-blood-pressure-pill-723343.html

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1-1 HDN6月12日「今日のニュース」No.2

特定の遺伝子変異を標的とするがん治療薬、臨床試験で有望な成績

トロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)融合蛋白質を選択的に阻害するがん治療薬larotrectinib(国内未承認)が、年齢やがんの種類にかかわらず有効である可能性が同薬の臨床試験で示された。

同薬による効果が期待できるTRK融合遺伝子の異常がある患者は極めて少ないため「万能薬」とは呼べないが、研究を率いた米メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター(ニューヨーク市)のDavid Hyman氏は「TRK融合遺伝子陽性のがん患者にこれほど奏効した治療はこれまでなかった」と述べている。

TRK融合遺伝子の異常が認められる患者の割合は、大腸がんや乳がん、肺がんなどの一般的ながんでは0.5~1%程度だが、唾液腺がんや小児にみられる乳がんの一種、乳児の肉腫など特定のまれながんでは極めて高いという。

今回報告されたのは、TRK融合遺伝子の異常が認められる大腸がん、甲状腺がん、メラノーマ、肺がん、乳がん、膵がん、肉腫など17種類のがん患者55人(うち12人は小児)を対象とした臨床試験の中間解析結果。現在も50人を対象に追跡が継続されているという。

中間解析によると、全体の76%では治療の奏効(30%以上のがん退縮)が認められた。また、この結果が報告された時点の治療奏効期間は最長で25カ月だった。なお、頻度が最も高い有害事象は疲労とめまいだったが、Hyman 氏は「患者の生活の質(QOL)は良好に保たれていた」としている。

今回の臨床試験には関与していない米マウントサイナイ・アイカーン医科大学(ニューヨーク市)のWilliam Oh氏は、「新たな治療薬で奏効率が76%に達したとの報告に心を躍らせている。しかも、治療への反応が持続してみられ、奏効期間は1年を超えていた。これは侵襲性の高い一部のがんの治療において有望な結果といえる」とコメントしている。

がんの発生部位を問わず、特定の遺伝子異常を有するがんの治療薬としては、ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)が先行する。同薬は5月24日、米国食品医薬品局(FDA)により共通のバイオマーカーに基づく全ての固形がんの治療薬として承認されている。

なお、FDAは昨年、larotrectinibを「ブレークスルー・セラピー」に指定し、承認審査の迅速化を図っている。Hayman氏は、「larotrectinibが承認された場合は、がんの種類にかかわらず進行がん患者に対してTRK融合遺伝子の検査を実施すべきだ」と主張している。これに対し、米シティ・オブ・ホープ(カリフォルニア)のSumanta Kumar Pal氏は、「まれながんであれば早期に検査する意味はあるかもしれないが、一般的ながん患者にはまず標準治療を行い、奏効しない場合にのみTRK融合遺伝子の検査を実施するのが妥当だ」との見解を示している。

この試験結果は、米シカゴで6月2~6日に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2017)で発表された。学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2017年6月3日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/mis-cancer-news-102/experimental-gene-targeted-drug-hits-cancer-where-it-lives-723331.html

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他人の体調はにおいで分かる?

人間がにおいと見た目から他人の病気を感知し、避けようとする能力は、これまで考えられていた以上に優れていることが新たな研究で示唆された。

この研究ではボランティア22人を対象として、害のない細菌の毒素を注射し、倦怠感や痛み、発熱などの症状を誘発した。それぞれの被験者について、毒素の注射により症状のあるとき(病気群)と生理食塩水のみを注射したとき(健康群)の写真を撮影し、体臭を採取した。

別の30人に病気群または健康群の写真を見せ、体臭を嗅がせながら、脳の働きを調べるfMRI検査を実施した。さらに、これらの2群のうちどちらが体調が悪そうにみえるか、魅力的だと感じるか、交流したいかについて回答してもらった。

その結果、免疫システムを人工的に活性化させた体調の悪い人よりも、健康な人の方が、魅力的で交流したいと回答される可能性が有意に高いことが分かった。さらに、人間の脳は複数の感覚器から健康状態に関する微弱なシグナルを獲得し、統合する能力に長けていたという。

研究を実施したカロリンスカ研究所(スウェーデン)のMats Olsson氏らは、「常識的に考えると、このように免疫システムを助ける行動パターンは存在するはずだと思うだろう。ただし、親しい人が病気になった場合は、必ずしも回避行動が適用されるとは限らない」と指摘している。

「例えば、鼻水が出ている相手にキスできるという人はほとんど存在しないだろうが、それが自分の子どもとなれば話は別だ。つまり、親しい相手の場合、病気のシグナルはむしろ思いやり行動を強化すると考えられる。今回の研究で、われわれは脳が予想以上にこのようなシグナルに敏感であることを明らかにした」と、同氏は結論づけている。

この研究は「Proceedings of the National Academy of Sciences」オンライン版に5月22日に掲載された。(HealthDay News 2017年5月30日)

https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/misc-infections-news-411/can-people-sniff-out-illness-in-others-723123.html

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1-1 HDN6月8日「今日のニュース」No.2

他の治療が効かないC型肝炎患者に新しい配合剤が有望

他の治療が奏効しなかったC型肝炎患者に対し、3種類の強力な直接作用型抗ウイルス薬(DAA)であるソホスブビル、velpatasvir、voxilaprevirを含有する配合剤がほぼ100%有効である可能性が示された。

今回の研究を率いたサン・ジョセフ病院(フランス)のMarc Bourliere氏は、「現在、C型肝炎には非常に優れた治療法があり、患者の90%以上は治癒が可能だ。そのため再発率は低いが、それでも世界的にみれば再発患者数は多い」と話している。

新しい配合剤は、他のDAA治療が奏効しなかった患者に対する治療として開発されている。ちなみに、同剤を初回治療として用いた場合は、通常治療に比べて優越性を認められなかったことが他の研究で報告されている。

これらの研究は同剤の製造元であるGilead Sciences社の支援を受けており、米国食品医薬品局(FDA)が管理し、承認プロセスが進められている。ただし、この薬剤は高額なものとなる可能性が高い。同社が2014年に発表したC型肝炎の配合剤であるハーボニーは、米国では1錠1,000ドル(約11万円)以上で、1コース12週間の治療で9万4,500ドル(約1039万円)の費用がかかるとされる。

米国疾病管理予防センター(CDC)によると、肝炎はウイルス感染などが原因で肝臓に炎症を生じる疾患。その原因の1つであるC型肝炎ウイルスは、主に感染者の血液が非感染者の体内に入ることによって感染する。感染した時点では症状がないため気づかない人も多いが、慢性C型肝炎となると肝障害、肝不全、肝がん、死亡に至ることもある。C型肝炎は肝硬変や肝がんの主要な原因だとされている。

今回報告されたのは、2件の第3相試験。第一の試験ではC型肝炎ジェノタイプ1型を保有する患者300人を対象として、ソホスブビル、velpatasvir、voxilaprevirを含有する配合剤またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けた。さらに、他のジェノタイプの114人にも配合剤を投与した。その結果、配合剤群の96%に治療反応が認められたのに対し、プラセボ群では治療反応がみられた患者はいなかった。

第二の試験では、C型肝炎ジェノタイプ1、2、3型の患者に3剤の配合剤(163人)またはソホスブビルとvelpatasvir(151人)のいずれかを投与した。さらにジェノタイプ4型の患者19人に3剤の配合剤を投与した。12週間の治療の結果、配合剤群の98%に治療反応が認められ、ソホスブビルとvelpatasvirを投与した群では90%に治療反応がみられた。副作用は頭痛、疲労感、下痢、吐き気が特に多くみられたが、副作用のために治療を中止した患者は1%未満であった。

この報告は、「New England Journal of Medicine」6月1日号に掲載された。(HealthDay News 2017年5月31日)

https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/hepatitis-news-373/new-combo-pill-offers-hope-to-hepatitis-c-patients-who-fail-other-treatment-723205.html

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