Subway train speeding up, Boston.

通勤通学時の騒音で難聴に?

トロント大学(カナダ)などの研究グループがトロント市街地で実施した騒音調査から、通勤や通学で地下鉄やバスなどの公共交通機関や自転車などを利用する人は、日常的に基準値を超えるレベルの騒音にさらされていることが明らかになった。同グループは「騒音が原因で難聴になる可能性がある」として、対策を呼び掛けている。詳細は「Journal of Otolaryngology — Head & Neck Surgery」11月23日オンライン版に掲載された。

騒音調査は2016年4月から8月にかけて平日の午前7時から午後7時までトロント市街地で実施した。装着型の騒音計を用いて地下鉄や路面電車、バスの車内およびプラットホームのほか、自動車や自転車の利用時の騒音レベルを測定した。測定回数は計210回だった。

その結果、騒音レベルは路面電車(車内とプラットホームでの測定値の平均)の71.5デシベルに対して地下鉄(同)で79.8デシベル、バス(同)で78.1デシベルと高いことが分かった。また、自動車の車内と比べて地下鉄のプラットホームの方が騒音レベルの平均値が高いことも明らかになった(76.8デシベル対80.9デシベル)。

さらに、測定ごとの最も大きな騒音を「ピーク騒音」とした場合、地下鉄で測定されたピーク騒音の19.9%が114デシベルを、路面電車で測定されたピーク騒音の20%が120デシベルを超えていた。バスのプラットホームではピーク騒音の85%が114デシベルを超え、54%が120デシベルを超えていた。このほか、自転車利用者がさらされているピーク騒音は全て117デシベルを超え、このうち85%が120デシベル超の騒音だった。

なお、米国環境保護庁(EPA)は難聴リスクをもたらす騒音レベルの基準を114デシベルで4秒以上、117デシベルで2秒以上、120デシベルで1秒以上としている。今回の研究を実施した同大学耳鼻咽喉科頭頸部外科のVincent Lin氏らは「われわれの研究は騒音にさらされると難聴になるという因果関係を明らかにしたものではないが、トロントの交通機関で測定されたピーク騒音はEPAの基準値を超えていた」と指摘する。

Lin氏によると、短時間であっても大きな騒音にさらされることで、それよりも小さな騒音に長期的にさらされる場合と同程度の有害な影響がもたらされることが分かっている。また、慢性的な過度の騒音への曝露は抑うつや不安、慢性疾患などのリスクを上昇させるなど、全身に影響することも明らかになりつつあるという。こうしたことから、同氏は「今後、公共スペースや公共交通機関を設計する際には騒音による健康リスクについても考慮すべきだ」と強調している。(HealthDay News 2017年12月4日)

https://consumer.healthday.com/respiratory-and-allergy-information-2/ear-nose-and-throat-health-news-221/noisy-commutes-could-cause-long-lasting-damage-728839.html

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4.1.1

難治性てんかんに食事療法が有効、2件の研究で明らかに

薬物治療が奏効しない難治性てんかんの小児患者に対し、ケトン食療法と呼ばれる食事療法を実施したところ、発作症状が軽減したとする2件の研究結果が米国てんかん学会(AES 2017、12月1~5日、米ワシントンD.C.)で発表された。AESはプレスリリースで「小児てんかん患者の約5人に1人は薬で発作をコントロールできないのが現状。これらの研究結果はそうした薬剤抵抗性てんかんの患者に希望をもたらす研究結果だ」と紹介している。

ケトン食療法とは糖質を減らし、脂肪を増やす食事療法で、脳内でのエネルギーの使われ方を変化させ、てんかん発作を抑える効果があると考えられている。標準的なケトン食療法では、食事中の脂肪に対する糖質およびたんぱく質の比率が3~4:1となるように厳密に管理することが求められる。脂肪は主にクリーム、バター、ナッツや種子のオイルから摂取する。ケトン食用の食品を除けば、一般的なクッキーやキャンディーなどの菓子類は食べられない。パンや米、イモ類、パスタなどの炭水化物も制限の対象となる。

今回報告された一つ目の研究は、米デル・チルドレンズメディカルセンター・オブ・セントラルテキサスのDave Clarke氏らが生後8カ月~20歳の薬剤抵抗性てんかん患者210人を対象に実施したもの。このうち150人が迷走神経刺激法(VNS)、44人が脳梁離断術と呼ばれる外科手術、98人がケトン食療法を受けた。その結果、50%以上の発作軽減がみられた患者の割合は、VNS群で52%、外科手術群で54%、ケトン食療法群で63%だった。

一方、二つ目の研究ではマクマスター大学(カナダ)のRajesh RamachandranNair氏らが生後5カ月~16歳の薬剤抵抗性てんかん患者40人を対象に比較的緩やかなケトン食療法について検討した。従来のケトン食療法は短期入院により集中的に実施されるが、この研究では脂肪の割合を低め(脂肪に対する糖質およびたんぱく質の比率を0.67~1:1)に設定したケトン食療法を開始。これによって発作がコントロールできるようになった場合には同じ比率のケトン食療法を継続し、効果がみられない場合には2~3週間ごとに脂肪の割合を徐々に高めた。

その結果、6カ月後に約半数の患者で50%以上の発作の低減が認められ、完全に発作がみられなくなった患者も6人(15%)いた。最終的なケトン食療法の脂肪に対する糖質およびたんぱく質の比率は平均で1.5~2:1だった。

AESのスポークスパーソンであるJames Wheless氏は「てんかん治療では薬物治療が主軸となるが、ケトン食療法も極めて効果の高い治療選択肢となりうる」とコメントしている。

ただし、全ての患者で食事療法の効果が得られるわけではない。同氏によると、6週間試せばその患者にケトン食療法が有効かどうかを見極めることができるという。

学会発表された知見は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2017年12月5日)

https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/epilepsy-news-235/diet-may-help-fight-epilepsy-when-meds-fail-729024.html

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1-1 HDN12月11日「今日のニュース」No.1

米俳優の訴訟で話題のMRI用造影剤、有害性認められず

米国では11月初旬、「MRI検査で使用したガドリニウムを含む造影剤が原因で、妻が重篤な状態に陥った」として俳優のチャック・ノリスが妻とともに訴訟を起こしたことが報じられ、その安全性をめぐって懸念が広がっている。しかし、ガドリニウム造影剤による脳神経への影響は認められなかったとする最新研究の結果が北米放射線学会(RSNA 2017、11月26日~12月1日、米シカゴ)で発表された。

ガドリニウムはMRI検査用の造影剤に含まれている重金属の一種で、通常、静脈投与される。今回の研究を実施した米メイヨー・クリニックのRobert McDonald氏によると、ガドリニウムは1988年以降、長年にわたって使用され、これまでの使用回数は累計で約4億回と推定されているという。

しかし近年、脳内に微量のガドリニウムが蓄積する可能性があるとの報告があったことなどから、米食品医薬品局(FDA)は2017年9月にガドリニウムを使用した造影剤の製品ラベルに、脳など複数の器官にガドリニウムが蓄積する可能性があるとの警告を追記するよう指示した。

ノリスの妻はMRI検査の後、脱力感や疲労感、疼痛発作、灼熱感などに苦しんだとされている。しかし、実際に脳などに蓄積したガドリニウムは健康に悪影響を与えるのだろうか?

McDonald氏らは今回、メイヨー・クリニック加齢研究(MCSA)と呼ばれる前向きコホート研究に登録された50~90歳の正常な認知機能の男女4,261人(平均年齢71.9歳)のデータを用いて、ガドリニウムを含有するMRI用造影剤の使用による神経学的機能および神経認知機能への影響について検討した。

対象者の25.6%(1,092人)にガドリニウム造影剤の使用経験が1回以上あった。使用経験者の使用回数の中央値は2回で、初めてガドリニウム造影剤を使用した日からベースライン時までの期間は中央値で5.6年だった。

年齢や性、教育レベル、ベースライン時の神経認知機能などで調整して解析した結果、ガドリニウム造影剤の使用は認知機能の低下や認知症、神経心理学的能力の低下あるいは運動能力の低下に関連していなかった。また、ガドリニウム造影剤が認知機能の低下を速めたり、認知症への進行を速めたりするとのエビデンスも得られなかった。

今回の研究結果を踏まえ、McDonald氏は「一般的に使用されている用量のガドリニウム造影剤であれば、仮に脳内に蓄積したとしても有害な影響をもたらすとのエビデンスはないことが分かった」としている。

一方、米ケースウエスタンリザーブ大学放射線科准教授のVikas Gulani氏は「今回の研究ではガドリニウムの脳内での蓄積による害は認められなかったが、他の神経学的問題を引き起こす可能性は否定できない」と話す。同氏は「造影剤はMRIによってがんや心疾患、肝疾患などを正確に診断するために重要なものであり、リスクとベネフィットのバランスが大切だ」と強調するとともに、「造影剤を使わずにMRIを実施できる場合には使用を回避すべきだ」と助言している。

なお、学会発表された研究は査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2017年11月29日)

https://consumer.healthday.com/health-technology-information-18/mri-scan-news-455/chuck-norris-says-mri-dye-harmed-wife-s-brain-but-study-finds-no-link-728906.html

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4.1.1

アンピシリン耐性菌は臨床導入前から存在していた?

ペニシリン系抗菌薬の一つであるアンピシリンに対する耐性菌は、同薬がヒトの感染症治療に使用されるようになった1960年代よりも前から存在していたことが、パスツール研究所(フランス)のFrancois-Xavier Weill氏らによる研究で明らかになった。詳細は「The Lancet Infectious Diseases」11月29日オンライン版に掲載された。

アンピシリンは広域スペクトルのペニシリン系抗菌薬で、英国では1961年に感染症の治療薬として発売されて以降、尿路感染症や中耳炎、肺炎、淋病などの治療に使用されてきた。しかし、同国では発売のわずか数年後(1962~1964年)にアンピシリンに耐性を示す細菌(S. Typhimurium)の感染が広がった。

今回、Weill氏らは1911~1969年に欧州、アジア、アフリカ、アメリカの各地域における31カ国でヒト、動物、食品、家畜の餌から分離された288のS. Typhimurium株のアンピシリンに対する感受性の検査を実施。また、全ゲノムシークエンス解析を行い、アンピシリンに対する耐性獲得のメカニズムを特定した。

その結果、ヒトから採取された分離株の約4%で多様なアンピシリン耐性遺伝子が同定された。また、ヒトの感染症治療にアンピシリンが使用されるようになる前の1959~1960年にフランスやチュニジアでヒトから採取された分離株において、アンピシリン耐性に関連する遺伝子(blaTEM-1)が認められた。

Weill氏によると、北米や欧州では1950年代から1960年代にかけて、家畜の餌に低用量のペニシリン(主に狭域スペクトルのペニシリン系抗菌薬であるベンジルペニシリン)が添加されていた。同氏は「今回の研究では直接的な因果関係を明らかにすることはできなかった」としながらも、「病気の治療以外の目的で家畜にペニシリン系抗菌薬を投与していたことが、1950年代後半の耐性菌の出現につながった可能性がある」との見方を示している。

さらに、同氏は同誌のニュースリリースで「この研究結果は農場の土壌や排水、肥料などに残留する抗菌薬が、考えられていた以上に耐性菌の拡大に影響していることを示唆している」と指摘。「細菌には国境はない。世界レベルでヒトだけでなく動物における耐性菌の監視と調査を実施すべきだ」と強調している。

ヒトに重篤な感染症をもたらす細菌の多くは、アンピシリンなどの抗菌薬に対する耐性を獲得している。耐性菌による世界の死亡者数(年間)は2050年には1000万人を超えると予測されている。こうした問題を背景に、世界保健機関(WHO)は最近、健康な家畜への日常的な抗菌薬の使用を中止するよう呼び掛けている。(HealthDay News 2017年11月30日)

https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/antibiotics-news-30/resistance-to-popular-antibiotic-likely-began-years-before-human-use-728879.html

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Male Patient Having Consultation With Doctor In Office

患者の満足度が一気に低下するのはどんなとき?

ひと昔前まで、患者は医師の助言であれば仮に歓迎できない内容であっても受け入れるのが当たり前だった。しかし近年、患者は注文の多い医療サービスの消費者となり、要望に応じない医師に対して不満を示すようになりつつあるようだ。特に、新たな薬剤の処方や専門医など他の医師への紹介を要求して断られた場合に患者の満足度が一気に低下することが、米国の家庭医を受診した患者を対象とした研究で示された。詳細は「JAMA Internal Medicine」11月27日オンライン版に掲載された。

この研究は米カリフォルニア大学デービス校(UCD)のAnthony Jerant氏らが実施したもの。同大学傘下のクリニックの家庭医56人を受診した患者1,141人(平均年齢45.6歳、女性68.4%)に、受診ごとに医師に対する満足度を評価してもらった。受診件数は計1,319件だった。

その結果、全受診の68.0%(1,319件中897件)で患者から何らかの要求が示され、医師は全ての要求の85.2%に応じていた。要求内容で多かったのは臨床検査の実施(34.0%)、他の医師への紹介(21.1%)、鎮痛薬(20.5%)や新たな薬剤(鎮痛薬や抗菌薬を除く、20.5%)の処方だった。

どのような要求が断られると患者の満足度が低下するのかについて分析したところ、他の医師への紹介または新たな薬剤を要求して断られた場合に満足度が最も低下し、要求を受け入れられた場合と比べて満足度スコアのパーセンタイル値が平均で約20ポイント低いことが示された。また、鎮痛薬や臨床検査を要求して断られた場合も平均で約10ポイント低下することが分かった。

Jerant氏は「医師にとって最大の問題は、患者の満足度スコアが医師の賃金に直結するケースが増えていることだ」と指摘。「実際はそれほど役に立たないと分かっていても、患者の要求に従って鎮痛薬を処方したり検査を行ったりしてしまう医師は少なくないだろう。われわれは、患者の満足度スコアを反映させた報酬のあり方について再考すべきだ」としている。

米国内科学会(ACP)臨床プログラムのCynthia Smith氏は「最近はテレビで新薬の情報を得たり、自分の症状についてインターネットで調べた上で受診する患者が多い。例えば、いとこに脳腫瘍患者がいる頭痛患者の場合、頭痛についてインターネットで検索した時に画像検査で脳腫瘍を発見できるという情報を得れば、その検査を要求するのは不思議ではない」と話す。

なお、今回の研究では抗菌薬の処方の要求は少なく(8.1%)、またこの要求に応じてもらえなくても満足度スコアは低下しないばかりかわずかに上昇することが示された。この点について、Jerant氏は「抗菌薬の不適切な処方に起因した耐性菌の増加といった問題がようやく認知されてきたことが背景にあるのではないか」と考察。「これは希望の持てる結果であり、鎮痛薬の問題についても広く周知されれば状況は変わってくる可能性もある」と期待を寄せている。

また、Jerant氏とSmith氏はともに「医師は患者とのコミュニケーション能力を向上させる必要がある」と強調。Smith氏は「薬や検査を求める患者の背景にある気持ちを探り、理解する必要がある」としている。一方、Jerant氏は医師に対し、「患者の要求を全面的に否定するのではなく、お互いの妥協点を見出すよう心掛けるとよい」と助言。患者の不安を認めた上で、正直に「この薬や検査は治療には役立たないと考えている」と伝え、しばらく様子を見ることを提案する“watchful waiting(注意深い経過観察)”のアプローチが有望だとして、今後、臨床試験でこのアプローチの効果を検証したいとの意向を示している。(HealthDay News 2017年11月28日)

https://consumer.healthday.com/general-health-information-16/doctor-news-206/patients-react-poorly-when-docs-say-no-728871.html

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Unhealthy man blowing his nose into a tissue

季節性アレルギー性鼻炎の薬物療法に新ガイドライン

多くの人を悩ませる季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)のベストな治療法に関する新たなガイドラインが発表された。米国の2学会が合同で策定したもので、「Annals of Internal Medicine」11月28日オンライン版に掲載された。新ガイドラインでは12歳以上の季節性アレルギー性鼻炎患者に対し、ステロイド点鼻薬を主軸とした治療が推奨されている。

このガイドラインはアレルギー性疾患や喘息、免疫疾患を専門とする米国の2学会(AAAAIおよびACAAI)の作業部会が策定した。主な推奨内容は以下の通り。

(1)12歳以上の患者に対する初期療法では、ステロイド点鼻薬と抗ヒスタミン薬の併用療法ではなくステロイド点鼻薬の単剤治療から開始する
(2)15歳以上の患者に対する初期療法では、ロイコトリエン受容体拮抗薬よりもステロイド点鼻薬の使用が勧められる
(3)12歳以上で中等症~重症の患者に対する初期療法では、ステロイド点鼻薬と抗ヒスタミン薬の点鼻薬の併用療法を患者に勧めてもよい

AAAAIによると、ステロイド点鼻薬には市販薬もあるため入手しやすく、月当たりの薬代も15~20ドル(約1,700円~2,200円)程度と比較的安価だ。しかし、専門家がこの薬剤を推奨している最大の理由は、季節性アレルギー性鼻炎の初期療法で使用する薬剤として、他のどの種類の薬剤よりも有効性が高いからだという。

また、米ノースウェル・ヘルスのアレルギー・免疫の専門医であるPunita Ponda氏は、副作用が比較的少ないこともステロイド点鼻薬の利点として挙げている。ただし、同氏は「ステロイド点鼻薬は完璧な薬ではない。鼻の痒みや乾燥、鼻血などの副作用の可能性もある」とした上で、「適切な方法で噴霧すればこれらの副作用は軽減されるため、医師に噴霧方法を教えてもらうとよい」と助言している。

なお、新ガイドラインは12歳以上の患者を対象とした治療に関するものであるため、12歳未満の小児患者に対する治療指針は示されていないが、Ponda氏は「ステロイド薬による成長への影響を懸念する声があり、また噴霧器の使用が難しい場合もあるため、12歳未満の患者にはステロイド点鼻薬よりも経口抗ヒスタミン薬の方が有用である可能性がある」との見解を示している。

一方、米ニューヨーク大学(NYU)ウィンスロップ病院のLuz Fonacier氏は「ステロイド点鼻薬が奏効しない患者には、抗ヒスタミン薬の経口薬や点鼻薬のほか、ロイコトリエン受容体拮抗薬が症状の軽減に役立つ場合もある」としている。

さらにPonda氏は、ステロイド点鼻薬にこうした薬剤を上乗せしてもアレルギー症状をコントロールできない場合には、アレルゲン免疫療法(allergy shot)も選択肢の一つとなると紹介。この治療法は通常、週1回のペースで6カ月間にわたってアレルゲンを注射し、その後は月1回の注射を3~5年続けるというもので、「患者にとっては相当の覚悟が必要ではあるが、根治が望める唯一の治療法だ」と説明している。(HealthDay News 2017年11月28日)

https://consumer.healthday.com/respiratory-and-allergy-information-2/misc-allergy-news-17/sniffing-out-the-best-allergy-treatment-728835.html

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4.1.1

赤ワインで「リラックス」、蒸留酒で「攻撃的」に?

酒を飲んでどんな気分になるかは、飲んだ酒の種類によって左右されるという研究結果が「BMJ Open」11月21日オンライン版に掲載された。英国の研究グループが21カ国の約3万人を対象とした調査データを分析した結果、赤ワインやビールはリラックスした気分をもたらす一方、蒸留酒は攻撃的な気分や涙もろさにつながりやすいことが分かったという。

この研究を実施したのは英パブリックヘルス・ウェールズNHSトラストのMark Bellis氏ら。アルコールや薬物に関する世界的な調査であるGlobal Drug Survey(世界ドラッグ調査)のデータを分析した。今回の結果を踏まえ、Bellis氏は「アルコールによる情緒への悪影響を知ることは重要だ」と話している。

対象は、2015年11月~2016年1月に実施された調査に協力した21カ国の18~34歳の男女のうち、調査時点から遡って1年間にビール、赤および白ワイン、蒸留酒の4種類を全て飲んだことがあり、自宅および自宅外でよく飲む飲み物としてこれらの中から1種類を挙げた2万9,836人。調査では、これらのアルコール飲料を飲んだ時に(1)活力がみなぎる、(2)リラックスする、(3)セクシーな気分になる、(4)自信が増す―といったポジティブな気分、あるいは(5)疲れる、(6)攻撃的になる、(7)気分が悪くなる、(8)落ち着かない、(9)涙もろくなる―といったネガティブな気分を経験するかどうかについて聞いた。なお、蒸留酒にはウイスキーやブランデー、ジン、テキーラなどさまざまな種類があるが、蒸留酒の種類に関するデータは含まれていない。

その結果、「飲んだ時に攻撃的な気分になる」との回答率が29.8%と最も高かったのが蒸留酒だった。これに対し、赤ワインを飲んで攻撃的な気分になると回答した人の割合は7.1%だった。

また、リラックス効果が最も高かったのは赤ワインで、回答者の52.8%が「赤ワインを飲んだ時にリラックスする」と回答していた。ビールについても約半数の回答者が「リラックスする」としていた。

一方、蒸留酒は攻撃的な気分だけでなく、気分の悪さ、落ち着きのなさ、涙もろさをもたらしやすいことも分かった。ただし、赤ワインにもネガティブな作用はあり、「飲んだ時、疲れた気分になる」と回答した人が最も多かったのは赤ワインだった。

Bellis氏は「アルコール濃度の違いを考えれば、酒の種類によって脳や情緒への作用が異なるのは当然である」とした上で、「蒸留酒は早いペースで飲まれることが多く、アルコール濃度も高いため、短時間で気分に刺激を与える一方、それ以外のアルコール飲料は食事とともにゆっくり飲まれることが多い。こうしたことが今回の研究結果に影響しているのではないか」との見方を示している。

アルコールの作用には男女差もみられ、男性よりも女性の方がアルコールによってポジティブあるいはネガティブな感情を抱きやすい傾向が認められた。しかし「攻撃的な気分」だけは例外で、飲酒した時にこのような気分になる確率は女性よりも男性の方が高かった。

さらに、アルコール依存症患者は飲酒によってポジティブな気分になる確率が高いことも示された。例えば、飲酒した時に活力がみなぎると回答した人の割合は、依存症でない人の5倍であった。ただし、アルコール依存症患者では飲酒した時に攻撃的な気分や疲れなどネガティブな気分を味わう確率も高かった。

「自分の酔い方に問題があると感じる場合は、飲む酒を蒸留酒からビールや赤ワインに変えるのも場合によっては有効である」とBellis氏は助言する。ペースを守って飲み、アルコール度数の低い酒やノンアルコール飲料を選ぶのもよいという。ただし、アルコール依存症の人の場合は1杯飲めば抑制できなくなる可能性が高いため注意が必要だと専門家は呼び掛けている。(HealthDay News 2017年11月22日)

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Sperm and Egg

大気汚染で精子の質が低下する可能性

大気汚染が男性の不妊の原因となる可能性があることが、台湾人男性を対象とした研究で示された。この研究では微小粒子状物質PM2.5への曝露によって精子の形態異常がもたらされ、精子の質が低下することが示唆されたという。詳細は「Occupational & Environmental Medicine」11月21日オンライン版に掲載された。

研究を率いた香港中文大学公衆衛生・一次医療学部のXiang Qian Lao氏は「大気汚染は精子の形状およびサイズの異常と有意に関連していた。したがって、大気汚染は相当数のカップルに不妊をもたらしている可能性がある」としている。ただし、同氏は「この研究は観察研究であるため、大気汚染が原因で精子の質が低下するという因果関係を示したものではない」と強調している。

Lao氏らは今回、2001~2014年に検診を受けた15~49歳の台湾人男性6,475人(平均年齢31.9歳)のデータを分析した。この検診では精子の質(総数、形状、サイズ、運動率)も評価していた。PM2.5への曝露レベルは、対象者の居住地により3カ月単位で2年にわたって評価した。

その結果、喫煙、飲酒、年齢、体重などの影響を考慮しても、PM2.5への曝露と精子の形態異常との間に関連が認められ、2年間のPM2.5濃度(平均)が5μg/m3増えるごとに正常な形態の精子が1.29%減少し、正常な形態の精子の割合が下位10%になるリスクが26%増大した。

一方、PM2.5への曝露は精子濃度の上昇に関連することも分かった。これについて、Lao氏らは「身体が精子の質の低下を克服しようとする代償的な反応ではないか」との見方を示している。

大気汚染が精子に影響を及ぼす正確な機序は明らかにされていないが、PM2.5には精子損傷との関連が認められている重金属や多環芳香族炭化水素類などの物質が含まれているという。Lao氏は「PM2.5による大気汚染は世界に広がっているため、多くの男性が影響を受けている可能性がある」と指摘し、精子の質を改善するためにも世界的な大気汚染への対策が求められると主張している。

米レノックス・ヒル病院のTomer Singer氏によると、数十年前から精子の濃度および運動率の低下や形態異常の増加が認められていたが、原因を突き止めるのが困難だったという。米ノースウェルヘルスのManish Vira氏は「この研究は大気汚染と精子の異常との関連を裏付ける強いエビデンスとなる」と述べる一方、「このような影響がみられるのは大気が極度に汚染された地域に限定されるものと考えられる」としている。(HealthDay News 2017年11月22日)

https://consumer.healthday.com/environmental-health-information-12/environment-health-news-233/smoggy-air-may-spawn-weaker-sperm-728719.html

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4.1.1

「砂糖に心疾患やがんのリスク」業界団体がデータ隠蔽か

砂糖の主成分であるショ糖が心疾患や膀胱がんのリスクを高める可能性を示唆した約50年前の研究結果を、米国の砂糖の業界団体が隠蔽し続けてきたと指摘する論文が「PLOS Biology」11月21日オンライン版に掲載された。内部文書の分析に基づきこの論文を執筆した米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のStanton Glantz氏らは「喫煙の害を示す研究結果を大手たばこ企業がもみ消した事例と共通した問題だ」としている。

Glantz氏らは今回、1967~1971年に砂糖研究財団(Sugar Research Foundation ; SRF、現・砂糖協会)による資金提供を受け英バーミンガム大学の研究者らが実施した「プロジェクト259」と呼ばれる研究に関する内部文書を分析した結果を発表した。この研究では、ラットにショ糖とでんぷんのいずれかが多く含まれた餌を与えたところ、ショ糖を与えたラットではでんぷんを与えたラットと比べ、心疾患リスクと強く関連するトリグリセライド値(中性脂肪)が上昇し、当時から膀胱がんとの関連が指摘されていたβ-グルクロニダーゼと呼ばれる酵素の値も上昇する可能性が示唆された。

しかし、研究者らがこれらの予備データをSRFに提示したところ、研究を続けるための資金提供が打ち切られてしまったという。また、この予備データはその後公表されることはなかった。

「研究者たちは砂糖の有害性を示唆するデータを彼ら(SRFの関係者)に示し、『研究を終わらせるにはあと数週間必要だ』と説明した。ところが彼らはデータを見て『その必要はない』と回答し、全てをなかったことにした」とGlantz氏は話す。同氏は「この研究データは砂糖の取り過ぎと心血管リスクとの関連について解明を進める一助となったはずだが、業界団体はそれを求めていなかった」との見方を示している。

なお、プロジェクト259が実施された当時、米食品医薬品局(FDA)は砂糖の含有量が多い食品に対して規制を強化するかどうかを検討中であった。論文の筆頭著者であるUCSF のCristin Kearns氏は「この結果が公になっていれば、砂糖はもっと厳しく監視されていた可能性がある」としている。

一方、今回Glantz氏らがまとめた論文について、砂糖協会は「プロジェクト259は進捗が大幅に遅れ、予算も超過していた」と説明。「砂糖協会は設立当初から一貫して科学研究と技術革新を尊重してきた。現在も消費者の食習慣における砂糖の役割について理解を深めるための研究支援に尽力している」としている。

米レノックス・ヒル病院で減量プログラムを実施しているSharon Zarabi氏は、Glantz氏らの報告を受け「われわれが何を食べるべきかを示す政府のガイドラインが、食品業界のロビイストによって左右されている実態が明らかになった」とコメント。特定の食品の摂取を支持する研究の多くが業界の資金援助によるものであることを指摘している。(HealthDay News 2017年11月21日)

https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/sugar-health-news-644/report-industry-hid-decades-old-study-showing-sugar-s-unhealthy-effects-728729.html

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4.1.1

一般的な肩の手術、偽手術を上回る効果認められず

肩の痛みに対して実施されている一般的な手術の有効性に疑問を投げかけるランダム化比較試験(RCT)の結果が「The Lancet」11月20日オンライン版に掲載された。肩甲骨の一部である肩峰の痛みが続いている患者を対象に関節鏡視下肩峰下除圧術を実施しても、手術を実施しない場合を上回る症状の緩和はみられなかったという。

肩の痛みは仕事や家事などに支障をもたらし、深刻な問題となりうる。米国では肩の痛みによる受診件数は年間450万件に上る。肩の痛みの約7割は肩峰の痛みが原因とされているが、その治療法の一つとして広がっているのが関節鏡視下肩峰下除圧術だ。これは、関節鏡と呼ばれる内視鏡を皮膚にあけた小さな穴から挿入し、関節の内部を確認しながら肩峰を削って関節内の摩擦や引っ掛かり(インピンジメント)を軽減するというもの。英国ではその実施件数は2000年の2,523件から2010年には2万1,355件に増加したという。

今回報告されたRCTは、この手術の有効性について検証するために英オックスフォード大学教授のAndrew Carr氏らが英国内の32施設で実施した。試験では、理学療法やステロイド注射などの非外科的治療を受けても肩峰の痛みが3カ月以上続いており、回旋筋腱板の腱の接触が認められる患者313人(平均年齢53歳、女性が50%)を(1)関節鏡視下肩峰下除圧術群(以下、手術群)、(2)偽手術群、(3)経過観察のみの群―の3群にランダムに割り付けた。偽手術群では関節鏡を用いて関節の内部を確認するが、手術は行わなかった。

試験開始から6カ月後および12カ月後には患者に肩の症状(痛みと機能)の程度を0~48点(点数が高いほど症状が軽い)で評価してもらった。

その結果、6カ月後および12カ月後のいずれの時点においても、経過観察群を含む全ての群で肩の症状が改善していた。6カ月後の症状の評価スコア(平均)は手術群で32.7点、偽手術群では34.2点で、両群間に有意差はなかった。一方、経過観察群の評価スコアは29.4点で、手術群および偽手術群と比べると有意に低かったが、実際の症状に明らかな差はなかった。
Carr氏は同誌のプレスリリースで「関節鏡視下肩峰下除圧術は肩の痛みを訴える患者の症状を緩和し、有害事象や合併症のリスクは低いと信じられ、30年以上にわたって実施されてきた。しかし、今回のわれわれの試験から、全く治療をしない場合と比べればわずかに効果がある可能性はあるが、偽の手術を上回るベネフィットはないことが分かった」と説明している。

この試験結果に対し、ラドバウド大学医療センター(オランダ)のBerend Schreurs氏は、同誌の付随論評で「信頼に足る研究グループによる今回の報告が、今後の日常診療に変化をもたらすことを期待している。合併症リスクが低くても得られるメリットがなければ高額な外科手術を実施すべきではない」としている。(HealthDay News 2017年11月21日)

https://consumer.healthday.com/health-technology-information-18/orthomolecular-medicine-512/is-a-common-shoulder-surgery-useless-728701.html

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