Young dad and his two sons playing video games

一部のテレビゲームで脳の灰白質が萎縮?

アクション型のテレビゲームをプレイする人の一部で、脳の灰白質と呼ばれる部分の萎縮が認められたとする研究結果が「Molecular Psychiatry」8月8日オンライン版に掲載された。ただ、同研究ではゲームをプレイする際の脳の働かせ方やゲームの種類によっては灰白質の容積が増加することも分かったという。

これまでに、テレビゲームには注意力や短期記憶力を向上させる利点があるとの研究結果が報告されていたが、今回の研究からは、こうしたゲームによる効果を得るには代償を伴う可能性が示唆された。

この研究は、18~30歳の男女約100人を対象にモントリオール大学(カナダ)のGregory West氏らのグループが実施したもの。参加者にはゲームの熟練プレーヤーと未経験者が含まれていた。

参加者には、一人称視点で3次元(3D)マップを移動して敵を攻撃するファーストパーソン・シューティングゲーム(FPS)または三人称視点でプレイするサードパーソン・シューティングゲーム(TPS)である「コールオブデューティ」や「バトルフィールド」、「キルゾーン」などのゲーム、あるいは3Dプラットフォームでプレイする「スーパーマリオ」シリーズのゲームを90時間プレイしてもらい、MRI検査を実施して脳の海馬と呼ばれる空間や物事の記憶を司る領域への影響を評価した。

その結果、「空間的戦略(spatial strategies)」に基づいてゲームをプレイしていた人には、海馬における灰白質の容積の増加が認められた。それに対し、「反応学習(response learning)」に基づいてゲームをプレイしていた人では、灰白質の容積が縮小していたという。West氏らによると、空間的戦略では頭の中に地図を描いて地形を理解するのに対し、反応学習では単に左右に曲がる場所を覚える感覚でゲームを進めるという。

さらに、プレイ時の脳の働かせ方によって差がみられるだけでなく、「スーパーマリオ」シリーズのゲームをプレイした群では、海馬だけでなく嗅内皮質と呼ばれる脳領域の容積も増加することが示唆された。

この結果を踏まえ、研究グループの一員でマギル大学(カナダ)准教授のVeronique Bohbot氏は「ゲームをプレイする人が誰でも精神疾患を発症するわけではないが、海馬の灰白質が萎縮した人は統合失調症や心的外傷後ストレス障害(PTSD)、うつ病、アルツハイマー病などのリスクが高いことが分かっている」と説明している。

一方、米ステッソン大学のChris Ferguson氏は、今回のようなテレビゲームによる脳への影響に関する研究には問題点があると指摘。「脳にはさまざまな領域があるが、その一部にたまたま認められた差を研究者が大袈裟に取り上げ、その原因はテレビゲームにあるとしている場合もあるのではないか」としている。その上で、同氏は「脳の研究を全体的に見ると、テレビゲームは安全であることが示されている。暴力的なゲームであっても脳に短期的あるいは長期的な悪影響を及ぼすとの報告はなく、脳の変化が実際の行動に関連することを示した研究もほとんどない」と説明している。

なお、West氏は「成人がシューティングゲームをプレイする時間は週2~3時間以内とすべき」と助言しているが、Ferguson氏は「ゲームによりストレスが軽減され、問題解決能力が向上することを示す研究もある。オフラインでの人付き合いや運動、仕事や学校、家族、十分な睡眠の時間を確保し、ゲーム以外の時間とのバランスを維持できれば、テレビゲームによる脳への有害な影響はない」としている。(HealthDay News 2017年8月7日)

https://consumer.healthday.com/kids-health-information-23/video-game-health-news-786/can-video-game-playing-cost-you-gray-matter-725310.html

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Young girl using her mobile at night on the couch

インスタの写真がうつ病診断の手掛かりに

写真や動画を共有するソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のインスタグラムに投稿される写真の中に、投稿者がうつ病であるかどうかを予測する手掛かりがあることが新たな研究で示された。研究を率いた米ハーバード大学のAndrew Reece氏によると、投稿写真をスキャンしてうつ病の徴候を検知するコンピュータプログラムを用いることで、7割の確率でうつ病を正確に診断できたという。

Reece氏は今回、米バーモント大学教授のChristopher Danforth氏と共同で、インスタグラムの投稿内容や精神疾患の病歴について研究グループと情報共有することに同意したユーザー166人の投稿写真4万3,950点を分析。機械学習のプログラムを用いることで投稿写真の特徴からうつ病を予測するモデルを開発した。

その結果、166人のうち71人にうつ病の既往があったが、健康なユーザーの写真と比べてうつ病のユーザーの写真は青みが強く、明度や彩度は低い傾向が認められた。また、画像を加工する場合、うつ病のユーザーはモノトーンに変えるフィルタ(Inkwell)を好むのに対し、健康なユーザーは暖色系の明るい色味に変えるフィルタ(Valencia)を好む傾向があることも分かった。

Reece氏は「膨大なデータから微妙なパターンを見つけ出す作業は、人間よりもコンピュータの方が得意だ。今回の研究結果からは、うつ病の人は文字通り暗く色彩のないレンズを通して世界を見ていることが示唆された」と説明している。

また、過去の研究でプライマリケア医がうつ病を正確に診断する割合は約42%と報告されているが、今回の研究ではインスタグラムの投稿写真を用いたコンピュータプログラムによるうつ病の検出率は70%に達し、プライマリケア医を上回ることが示された。ただし、Reece氏らは「(コンピュータプログラムを用いた)この方法は、医師による診断と競合するのではなく、あくまでも医師の診断を補助する方法として位置づけられるのではないか」と話している。

米マウントサイナイ病院精神科のIgor Galynker氏によると、うつ病の人が暗く薄い色を好むことは、過去の研究で明らかにされているという。「沈んだ気分のことをブルーと表現し、赤い色は情熱と関連づけられるのには理由がある」と、同氏は説明している。

なお、Reece氏らは今回の研究は予備的なものであり、使用したプログラムには追加の調整が必要だとしているが、Galynker氏は「この方法は自殺の抑止などにも効果が期待できるのではないか」と話している。ただ、この方法にはプライバシーに関する厄介な問題もつきまとう。今回の研究では当初500人以上の被験者が集められたが、多くはSNSのデータ共有に同意せず、研究への参加には至らなかったという。

この研究結果は「EPJ Data Science」8月7日オンライン版に掲載された。(HealthDay News 2017年8月8日)

https://consumer.healthday.com/mental-health-information-25/depression-news-176/instagram-photos-may-offer-snapshot-of-mental-health-725355.html

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4.1.1

日によって血圧値が大きく変動する人は認知症リスクが高い?

血圧値が測定した日によって大きく異なる人は、認知症を発症するリスクが高い可能性が、60歳以上の日本人約1,600人を対象とした新たな研究で示された。日ごとの血圧値の変動幅が大きな人では、血圧値が安定している人と比べて認知症リスクが2倍超となることが分かったという。

この研究は、九州大学大学院医学研究院精神病態医学の小原知之氏らが実施したもの。福岡県久山町の疫学調査「久山町研究」に登録されている地域住民のうち、60歳以上で認知症のない男女1,674人を2007年から2012年まで5年間追跡した。対象者には高血圧患者も含まれており、約40%が降圧薬を使用していた。

対象者は研究開始時に28日間(中央値)にわたって毎朝3回、家庭血圧計で血圧を測定した。小原氏らは今回、3回の測定値の平均値をその日の血圧値として変動係数を求め、日ごとの血圧値〔収縮期血圧(SBP)値および拡張期血圧(DBP)値〕の変動幅の大きさと、認知症リスクとの関係について調べた。

その結果、追跡期間中に194人が認知症を発症し、そのうち47人が血管性認知症、134人がアルツハイマー病だった。日ごとのSBP値の変動幅を「最も大きい」から「最も小さい」まで4段階に分けたところ、変動幅が最も大きい人のグループでは、最も小さい人のグループと比べて全体的な認知症のリスクが2.27倍、血管性認知症のリスクが2.79倍、アルツハイマー病のリスクが2.22倍になることが示された。

また、日ごとの血圧値の変動幅が大きいことによる認知症リスクの上昇は、高血圧患者だけでなく正常血圧の人でも認められた。小原氏は、今回の研究結果で最も重要なのは「日本の一般的な高齢者において、日ごとの血圧値の変動幅が大きいことは、認知症発症のリスク因子であることが示された点だ」と説明。ただし、この研究は観察研究であるため、小原氏は「血圧の変動幅が大きいことが原因で認知症を発症することが示されたわけではない」と注意を促している。その上で「もし血圧値の変動幅が大きければ、それを安定化させることが認知症の予防に役立つ可能性はある」との見方を示している。

この研究結果を受け、米ウェイル・コーネル医科大学のCostantino Iadecola氏は「(小原氏らのグループは)研究に家庭血圧計を使用することで、血圧の変動幅と認知症リスクとの関連を明確に示すことができた」と評価。「血圧の変動幅を小さくする対策を講じれば、脳の血管の健康を維持できるかもしれない」との考えを示し、そのタイミングについて「高齢になってからではなく、認知機能の低下が始まる中年期から手を打つことが望ましい」と話している。

その一方でIadecola氏は、小原氏らの研究論文に関する論評で、血圧値は測定時の体調や使用している薬剤による影響を受けやすく、降圧薬の飲み忘れなどで変動が生じる場合もあるなど、研究には複数の限界があることを指摘。「今後、より大規模かつ多様な集団で今回の研究結果を検証する必要がある」としている。

この研究の詳細は「Circulation」8月8日号に掲載されている。(HealthDay News 2017年8月7日)

https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/high-blood-pressure-health-news-358/blood-pressure-fluctuations-tied-to-dementia-risk-in-study-725351.html

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4.1.1

肺炎球菌ワクチン導入で小児の急性中耳炎が減少

米国では2000年に結合型肺炎球菌ワクチン(PCV)が導入されたが、それ以降、小児の急性中耳炎が大幅に減少したことが米ロチェスター総合病院研究所のMichaele Pichichero氏らの研究で明らかになった。しかし、同研究では肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)以外の起因菌による急性中耳炎の割合が増えていることも示されたという。

Pichichero氏らは今回、米国におけるPCV導入前後の小児の急性中耳炎の頻度や特徴などについて調べるため、615人の小児を2006年から2016年までの10年間にわたって追跡した。急性中耳炎は、全ての診断例で鼓室穿刺を行い、中耳の貯留液を採取して微生物学的検査を実施して確定診断を行った。

その結果、1歳までに急性中耳炎に1回以上罹患した小児の割合は23%、3回以上罹患した小児の割合は3.6%であることが分かった。また、3歳までに1回以上罹患した小児の割合は60%、3回以上罹患した小児の割合は24%だった。

なお、Pichichero氏らによると、1989年には3歳までに急性中耳炎に1回以上罹患した小児の割合は80%を超え、3回以上罹患した小児の割合も40%を上回っていたことが報告されているという。このことから、同氏らは「これ以降、小児の急性中耳炎の頻度は大幅に低下したと考えられる」との見方を示している。

しかし、追跡期間中に肺炎球菌による急性中耳炎の頻度は低下した一方で、肺炎球菌の代わりにインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)やモラキセラ菌(Moraxella catarrhalis)による急性中耳炎の割合が高まっていることも今回の研究で明らかになった。

Pichichero氏は「これほど劇的な急性中耳炎の減少は予測していなかった。ただ、主な起因菌の種類が変化したことへの対策を講じなければ、急性中耳炎は再び増加に転じてしまう可能性がある」と指摘。インフルエンザ菌やモラキセラ菌による急性中耳炎は、現在米国で第一選択薬として位置づけられている抗菌薬のアモキシシリンによる効果が期待できないとして、注意を呼び掛けている。なお、同氏らは最近、同薬の代わりにアモキシシリンとクラブラン酸の配合剤を使用するか、同薬へのアレルギーの既往がある場合にはセフジニルを使用するようになったと話している。

さらに同氏らは、小児の急性中耳炎が減少した要因として、PCV導入だけでなく米国での急性中耳炎の診断基準が厳格化されたことによる影響も考えられると指摘している。

一方、今回の研究では小児の急性中耳炎のリスク因子についても検討したが、以前の研究結果と同様、「保育施設の利用」「中耳炎の家族歴」「男児」「白人」「生後6カ月までの中耳炎罹患」がリスクの上昇に関連することが示されたという。

米クリスチアーナ・ケア・ヘルスシステムの小児科医であるStephen Eppes氏は、PCV導入によって急性中耳炎が減少したことは「現代の公衆衛生における最大の成功例の1つ」と評価。「減少の要因は複数あるが、最大の要因はワクチンの導入だと考えられる。ワクチンの効果は髄膜炎や敗血症、その他の肺炎球菌による感染症の減少にまで及んでいる」と話している。

この研究結果は「Pediatrics」8月7日オンライン版に掲載された。(HealthDay News 2017年8月7日)

https://consumer.healthday.com/kids-health-information-23/ear-infection-news-222/decline-in-kids-ear-infections-linked-to-pneumococcal-vaccine-725278.html

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33077

脳卒中後の抗血小板薬による出血リスクを予測する10の因子

脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)の患者に再発予防のために投与される抗血小板薬には出血リスクがある。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのNina Hilkens氏らは、過去に発表された6件の臨床試験のデータに基づき脳梗塞やTIA患者の出血リスクを予測する10の因子を特定し、抗血小板薬による出血リスクを評価するモデルを開発した。

脳梗塞やTIAを経験した患者の多くは、再発予防のために血栓ができにくくする抗血小板薬などの抗血栓薬を使用する。しかし、抗血栓薬には出血リスクがあり、出血が起こると障害や死亡に至る可能性もある。

そこでHilkens氏らは今回、再発予防のために抗血小板療法を受けている脳梗塞やTIAを経験した患者の出血リスクを予測するモデルを開発するため、抗血小板薬の臨床試験6件に参加した計4万3,112人のデータを統合して解析した。このうち1,530人で大出血イベント(頭蓋内出血または出血による死亡、入院、障害)が発生し、大出血リスクは最初の1年間で1.9%、3年間では4.6%であることが分かった。

大出血リスクの予測因子は(1)男性、(2)喫煙、(3)抗血小板薬の種類(ジピリダモールとの併用の有無を問わないアスピリンの使用、あるいはアスピリン+クロピドグレルの使用)、(4) 中等度以上の障害(modified Rankin Scale3以上)、(5)脳卒中の既往、(6)高血圧、(7)低BMI、(8)高齢、(9)アジア系人種、(10)糖尿病―の10因子で、最も強いリスク予測因子は年齢であることが分かった。

大出血リスクはリスク因子がない45~55歳の患者では2%だったが、複数のリスク因子がある75~85歳では10%超と、年齢によって大きな開きがあった。解析対象の4万3,112人の大出血リスクを今回開発されたモデルにより評価した結果、2万3,678人が「低リスク」に、1万6,621人が「中等度リスク」に、2,813人が「高リスク」に分類された。

今回、加齢に伴い出血リスクが上昇することが分かったが、この結果についてHilkens氏は「脳梗塞やTIAの高齢患者が増えていることを踏まえると注目すべきもの。脳卒中の約30%は80歳以上の患者で発症している」と説明している。また、「このモデルは大出血リスクが高い患者を特定するには有用だが、抗血小板薬の選択における指針とすることは想定していない」と強調。「抗血小板療法では、常に出血リスクと脳卒中再発リスクとのバランスを考慮する必要がある」としている。

この研究結果は「Neurology」8月2日オンライン版に掲載された。(HealthDay News 2017年8月2日)

https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/heart-stroke-related-stroke-353/10-factors-to-predict-bleeding-risk-in-stroke-survivors-725072.html

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1-1 HDN8月10日「今日のニュース」No.2

ヒト受精卵の遺伝子変異の修復に成功

ヒトの受精卵から、心疾患の原因となる遺伝子変異を除去する実験が成功したことが報告された。米オレゴン健康科学大学(OHSU)のPaula Amato氏らによる研究で、遺伝性の肥大型心筋症を持つ男性の精子と健康な女性の卵子から作製した受精卵に対し、遺伝子編集技術を用いて遺伝子変異の除去を試みたところ、72%の確率で正常な遺伝子に修復できたという。この報告は「Nature」8月2日オンライン版に掲載された。

遺伝性の肥大型心筋症は500人に1人にみられ、心不全や心臓突然死のリスクが高く、若いアスリートの突然死の原因としても知られる。この疾患はMYBPC3という原因遺伝子の正常なコピーと変異したコピーを1つずつ受け継ぐことで発症し、患者の子どもは50%の確率でその遺伝子変異を受け継ぐことになる。今回の結果は、遺伝形式が同じ他の疾患(嚢胞性線維症やBRCA遺伝子変異によるがん症候群など)にも応用できる可能性があるという。

今回の研究では、特定の遺伝子配列を標的として切り取る技術を用いて、ヒト受精卵の中でMYPBC3遺伝子の変異したコピーを「破壊」した。その結果、受精卵の中でDNA修復プロセスが活性化し、遺伝子の正常なコピーを鋳型に用いて破壊されたコピーを修復することが分かった。これにより受精卵は2つの正常なコピーを持つ胚になった。この胚を女性の子宮内に移植すれば肥大型心筋症のリスクのない子どもが生まれ、さらにその子孫でもリスクは生じないと考えられるという。

なお、修復された胚では全ての細胞が2つの正常なコピーを持つことが確認された。また、標的とするMYPBC3変異遺伝子以外の遺伝子を意図せずに変化させてしまう「オフターゲット効果」は確認されなかった。

遺伝子の破壊には、CRISPR-Cas9と呼ばれる技術が用いられた。この手法では、遺伝子技術を用いて変異した遺伝子の中のDNA配列に狙いを定め、Cas9という酵素を分子でできたハサミのように用いて標的の配列を切り取る。今回の治療法を検証するために、肥大型心筋症の男性の精子と12人の健康な若年女性の卵子を用いて受精卵が作製された。

米国心臓協会(AHA)スポークスパーソンである米ケンタッキー大学のDonna Arnett氏は「CRISPR-Cas9はこれまで、遺伝子変異が及ぼす影響を解明するための実験用ツールとして用いられてきた」と説明し、「この研究は類を見ないものだが、将来的に単一遺伝子疾患の治癒につながる可能性のある有望な結果が得られた」とコメントしている。

Amato氏は「受精卵の遺伝子を修復する今回の方法は安全と考えられる。これにより次世代に遺伝性疾患が伝播することを防げる可能性がある」と話しており、この処置を着床前遺伝子診断と併用すれば、遺伝的に健康な胚を作製することで体外受精(IVF)の効率と成功率を向上できる可能性があると述べている。

本研究の上席著者であるOHSU胚細胞・遺伝子療法センターのShoukhrat Mitalipov氏は、「今後の研究ではまず安全性の確認と効率の向上に注力し、その後ヒトでの試験へと進み、修復した胚を用いた妊娠の成立を目指したい」と話す。米国では生殖細胞の遺伝子組換えに関連する臨床試験は認められておらず、公的な助成も得られないが、「こうした治療が法的に認められている国で試験が実施される可能性はある」と同氏は述べている。(HealthDay News 2017年8月2日)

https://consumer.healthday.com/health-technology-information-18/genetics-news-334/geneticists-repair-mutation-in-human-embryo-725214.html

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Close-up of a man vaping an electronic cigarette

電子たばこの普及が禁煙率の上昇に寄与?

米国での禁煙率の上昇には電子たばこの普及が寄与した可能性があるとの研究結果が「BMJ」7月26日オンライン版に掲載された。同国では2010年頃から電子たばこの使用が急速に拡大したが、米国民の喫煙調査データを調べた結果、同時期に禁煙率が上昇していることが分かったという。

米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)家庭医学・公衆衛生学のShu-Hong Zhu氏らは今回の研究で、米国民を対象とした人口動態調査の一環で3~4年ごとに実施されている喫煙調査(CPS-TUS)のデータを使用し、禁煙率と電子たばこの使用との関連について検討した。

2014~2015年に実施された同調査の回答者約16万人のうち喫煙経験が全くない人は約10万人、喫煙者は約2万2,500人、「最近(過去1年以内に)禁煙した」と回答した人は2,136人だった。このうち「最近禁煙した」と回答した人の49%に電子たばこの使用経験があったという。

Zhu氏らが分析した結果、電子たばこ使用者は非使用者に比べ、禁煙を試みた経験がある割合が高く(65%対40%)、3カ月以上の禁煙に成功した割合も高かった(8%対5%)。なお、同氏によると1%の禁煙率増加は喫煙者約35万人が禁煙したことに相当するという。

さらに、集団レベルでの全体的な禁煙率は、2010~2011年調査時の4.5%から2014~2015年調査時には5.6%に上昇していた。

米国では電子たばこの使用は2010年から2014年までに急速に拡大したが、同時期に禁煙率が上昇していることになる。専門家の間では、電子たばこは「喫煙の入り口」となるとして否定的な見方がある一方で、禁煙のツールとして期待する声もあり、見解が一致していない。

今回の研究結果について、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の禁煙センター長であるSteven Schroeder氏は「電子たばこの使用者が増加し、同時に禁煙に成功する人も増え、成人の喫煙率が低下しているという状況を明らかにしたに過ぎないが、説得力はある」と評価。また、Zhu氏やSchroeder氏は「電子たばこは完全に安全とはいえないが、通常のたばこと比べれば害が少ない可能性がある」との見方を示しており、Schroeder氏は「もし米国の4000万人の喫煙者が電子たばこに切り替えれば、米国民の健康は向上する。推奨されている方法で禁煙できないなら、電子たばこの使用を考えてもよいのではないか」と話している。

また、米ミシガン大学公衆衛生学教授のKenneth Warner氏も、今回の研究結果を歓迎している専門家の1人だ。同氏は「米国では電子たばこによる若者への影響や成人の健康被害ばかりが注目されている。しかし、他の方法で禁煙できなかった人に電子たばこの使用を積極的に勧めている英国のアプローチを、米国でも受け入れる必要がある」と主張している。(HealthDay News 2017年7月26日)

https://consumer.healthday.com/mental-health-information-25/effexor-news-225/more-e-cigarettes-fewer-tobacco-smokers-724974.html

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米FDA、たばこのニコチン量の規制を検討

米食品医薬品局(FDA)は、たばこのニコチン含有量を依存性の生じないレベルまで減らす方針を発表した。また、ニコチンパッチやニコチンガムなどのニコチンを含有する禁煙補助薬の安全性を高める取り組みを進めていくことも明らかにした。一方で、昨年発表したシガー(葉巻)と電子たばこの規制についてはそれぞれ2021年、2022年まで施行を延期する。この延期についてFDA長官のScott Gottlieb氏は「十分な時間をかけて規制基準の妥当性を検証するためだ」と説明している。

FDAの新たな方針は、「若者の気を引く」フレーバーに対する規制も必要との見解を示している。米ノースウェル・ヘルスたばこ規制センターのPatricia Folan氏は、FDAがティーンの喫煙に注目したことを称賛し、「メントールなどのフレーバーがもたらす害に対処することは若者の喫煙を減らす重要な一歩だ」と述べている。FDAは「喫煙者の多くは10歳代で喫煙を始めていることが過去の研究で分かっており、その最初の段階で阻止したい」としている。

一方、FDAが電子たばことシガーに関する規制措置の施行を延期したことについて、米国肺協会(ALA)のErika Sward氏は「若者に対し有害な影響をもたらす」と警鐘を鳴らしている。これに対しGottlieb氏は「FDAの方針で最も重要な点は、紙巻きたばこのニコチン量を減らす規制を進めることだ」と述べ、「たばこの依存性をなくせば、喫煙者を紙巻きたばこから害の少ない製品へと移行させるためにバランスのとれたアプローチを取ることができる」と説明している。

若者の喫煙阻止キャンペーン(Campaign for Tobacco-Free Kids)代表のMatt Myers氏は、FDAの方針は革新的だが、失速する可能性があると懸念する。「Gottlieb氏の構想は、喫煙による死亡や疾患を低減するためにこれまでFDAが取ってきたアプローチの中では最も包括的なものだ。しかし、実際にたばこ業界に低ニコチンたばこを作らせるまでには長い期間がかかるだろう。低ニコチンたばこに認められている問題(本数が増える、深く吸い込むようになるなど)も考慮しなくてはならない」と同氏は指摘する。

FDAは、電子たばこやニコチンガムなどのニコチン含有製品の安全性を高める方法を明らかにしていきたいとの考えを示している。FDAたばこ製品センターのMitch Zeller氏は「新たな技術がもたらすベネフィットと潜在的なリスクを徹底的に追究する必要がある。その研究結果は、疾患や死亡の主原因となっている紙巻きたばこの対策にも反映されるだろう」と述べている。(HealthDay News 2017年7月28日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/cigarette-smoking-tobacco-health-news-665/fda-looks-to-reduce-nicotine-in-cigarettes-725045.html

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肥満でも人工関節置換術前の減量は必須ではない?

変形した膝関節や股関節を人工関節と入れ替える人工関節全置換術を予定している肥満患者は、手術前に減量するよう助言されることが多い。しかし、減量しないで手術を受けたとしても、手術による関節の疼痛の軽減効果は適正体重の患者と同程度であることが新たな研究で示された。詳細は「Journal of Bone and Joint Surgery」7月9日号に掲載された。

研究論文の筆頭著者である米マサチューセッツ大学のWenjun Li氏は、この結果を踏まえ「高度の肥満患者でも人工関節全置換術を受けるベネフィットは大きい」と強調。「できる限り減量はした方が良いが、関節の痛みに苦しむ高度の肥満がある患者にとって、運動に取り組むのは簡単なことではない。また、減量に長期間かかり、その間に関節の状態がさらに悪化してしまう場合もある。早期に手術を受けることができれば、機能が回復し、肥満にも対処できるようになる」と説明している。

Li氏らは今回、2011年5月~2013年3月に米国内で人工股関節全置換術を受けた2,040人(平均年齢65歳、14%が高度または病的肥満)と人工膝関節全置換術を受けた2,964人(平均年齢69歳、25%が高度または病的肥満)について、術前および術後の機能や関節の疼痛の評価スコアを調べた。患者は体格指数(BMI)を指標として(1)高度または病的肥満、(2)肥満、(3)過体重、(4)適正体重またはそれ以下―に分類した。

その結果、肥満度が高度になるほど術前の疼痛レベルが高かったが、手術から6カ月後までに得られる疼痛の軽減効果は増大することが示された。患者が高度または病的肥満であっても、適正体重であっても、手術から6カ月後の平均疼痛スコアは同程度だった。また、人工膝関節全置換術を受けた患者では、手術による機能の改善効果も肥満患者と適正体重の患者との間に差はないことが示された。

なお、これまでに肥満患者では術後の感染リスクがわずかに高いことが報告されているという。しかし、Li氏らは「肥満であることだけを理由に人工関節全置換術を回避すべきではない」と結論。共同研究者で同大学整形外科・リハビリテーション科教授のPatricia Franklin氏は「今回、肥満患者でも術後かなり疼痛が軽減され、機能も改善することが分かった。手術のベネフィットはリスクを上回ることを患者も知っておくべきだ」と話している。(HealthDay News 2017年7月24日)

https://consumer.healthday.com/bone-and-joint-information-4/artificial-knees-news-45/obese-don-t-have-to-lose-weight-before-joint-replacement-study-724794.html

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1-1 HDN8月3日「今日のニュース」No.2

陰茎の包皮内の細菌が男性のHIV感染リスクに関連

割礼(包皮切除)を受けていない異性愛者の男性では、陰茎の包皮内に生息する細菌がHIV感染リスクの上昇に関連している可能性のあることが初めて明らかにされ、研究報告が「mBio」7月25日号に掲載された。アフリカ人男性を対象とした今回の研究では、陰茎の包皮に覆われた部分の微生物叢(微生物の集まり)のうち、特定の4種類の細菌がHIV感染リスクに関連し、これらの細菌の量が10倍に増えるとリスクは最大で63%上昇することが示されたという。

研究の筆頭著者である米ジョージ・ワシントン大学ミルケン公衆衛生大学院のCindy Liu氏は、「これらの細菌は嫌気性菌と呼ばれるもので、包皮の下など酸素の少ない環境で繁殖しやすい。今回の知見は、こうした細菌を減らすことによりHIV感染を防ぐといった新たな対策に生かせる可能性がある」と説明する。

世界保健機関(WHO)は、男性の割礼は異性愛者の男性のHIV感染リスクを低減するのに役立つ可能性があるとしている。ただし、HIV予防のために割礼をすることは、HIV感染率が高く異性愛者間の新規感染が多い地域で、特に男性の割礼が一般的でない地域に限って推奨している。

今回の研究では、ウガンダのラカイという町に住む割礼を受けていない男性180人以上を対象として、陰茎の包皮内(亀頭冠)をスワブでぬぐって検体を採取し、生息している微生物の種類や量について分析した。その後2年間で対象者のうち46人がHIVに感染したが、他の要因を考慮した解析の結果、4種類の嫌気性菌の量が多かった男性ではHIVに感染するリスクが有意に高く、これらの細菌が10倍に増えると感染リスクが54~63%高まることが分かった。

なお、これらの嫌気性菌の存在下では、特定の生化学物質(サイトカイン)の産生も増大することも分かった。Liu氏らは、これらのサイトカインによって炎症が生じ、免疫細胞が集まってくるためにHIV感染リスクが上昇すると推測。「免疫細胞は通常は感染症を撃退してくれるものだが、HIVが侵入したときには大きな弱点となる。つまりこの場合、嫌気性菌の増殖に伴って免疫細胞の数が増えることは、HIVに対して餌を与えるようなものだ」と説明している。

Liu氏は、今回の研究はHIV感染率の高い地域に暮らす異性愛者の男性のみを対象にしたものだと強調し、「同性愛者の男性はコンドームを用いないアナルセックスにより感染することが多いと考えられるため、この知見は米国のゲイコミュニティには当てはまらない」と指摘している。一方、異性愛者の男性に対しては「割礼を受けずに陰茎の包皮下の微生物叢を変化させる有効な方法は現時点では分かっていない」と、同氏は話している。

米国HIV医学協会(HIVMA)前会長で米カイザー・パーマネンテのMichael Horberg氏は、今回の研究報告について「HIVが蔓延する地域では割礼が重要な予防策だということが明確に示された」とコメント。割礼を受けていない男性がリスクを減らすには、まずはコンドームを使用することだが、それに加えて「理論的には、陰茎を清潔に保つことが有用と考えられる。例えば包皮の内側をよく洗い、包皮を戻す前に十分に乾燥させることだ」と説明している。(HealthDay News 2017年7月25日)

https://consumer.healthday.com/men-s-health-information-24/men-s-problems-health-news-469/bacteria-may-explain-why-uncircumcised-face-higher-hiv-risk-724837.html

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