1HDN5月21日「パッケージニュース」No. 1

自閉症児の行動療法に役立つロボットが登場

人型ロボットは自閉症の幼い子どもが他人と向き合うのに一役買うかもしれない。Nao(「ナウ」と読む)と名付けられた教育用人型ロボットを行動療法に併用した結果、ロボットを使用しなかった場合に比べてソーシャルスキルの大幅な向上が認められたとオランダの研究グループが報告した。この研究は、国際自閉症研究学会(INSAR 2018、5月9~12日、オランダ、ロッテルダム)で発表された。

自閉症の子どもは社交性や共感性に乏しく、他人と目を合わせてコミュニケーションを取ることが難しい。また、笑顔やしかめっ面といった表情から社会的手掛かり(social cue)を得ることが苦手で、自分を表現するのにも困難を伴う。このような子どもには、機軸行動訓練(PRT)と呼ばれる指導法が数十年前から用いられている。これは、遊びを通して自閉症児に、社会的に望ましい行動を学びたいという意欲を高めてもらおうという行動療法の一種である。

今回の研究では、PRT単独と比べて、ロボットを併用したPRTが、自閉症児により持続的な影響を与えるかどうかを調べた。NaoはフランスのAldebaran Robotics社が製造する身長60cmの人型ロボットである。Naoは歩行や会話、ダンスができ、子どもたちとコミュニケーションを取ることで、人の表情を読み取ったり、適切なアイコンタクトをとったりする能力を向上させるように支援し、子どもが課題に成功するとハイタッチまでしてくれる。

研究では、自閉症児を対象にセラピストが週1回、計20回のセッションで、ロボットを用いて物や行動を要求する、助けを求める、質問をするなどのスキルの向上を目的とした7段階9種類のゲームを行った。セッション終了から3カ月後、ソーシャルスキルに関する質問表を用いて、親に子どもの自閉症の症状を判定してもらった。その結果、PRT単独または標準的な指導を受けた子どもに比べて、ロボット教育を受けた子どもの方が自閉症症状が軽減したことが分かった。

研究を率いたラドバウド大学医療センター(オランダ)のIris Smeekens氏によると、一般に子どもは皆ロボットと遊ぶのが大好きだが、自閉症児は特にロボットによく反応することが、先行研究により分かっているという。「自閉症児は興味があることを繰り返し聞きたがる傾向があり、親や教師では対応し切れないことがあるが、ロボットはこうした子どもにも対応できる。また、ロボットは人間に比べて反応が単純で、行動が予測できるため、多くの子どもの興味を引くようだ」と同氏は説明する。専門家の一人で米自閉症科学財団(ASF)のAlycia Halladay氏は「行動療法とロボットを併用した今回の研究は有望なものである」と述べている。

Smeekens氏も「今回の結果は有望」としつつも、次のステップは、実際にロボットが臨床に導入される前に、さらに多くの施設で長期にわたるロボット教育の有用性を追跡するとともに、一人ひとりの子どもに適した治療を提供できるよう、ゲームの内容や難易度のレベルを調節できるようにしていくことだと述べている。

学会発表された研究は、論文審査のある医学雑誌に掲載されるまでは予備的なものと見なす必要がある。(HealthDay News 2018年5月9日)

https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/autism-news-51/meet-nao-the-robot-that-helps-treat-kids-with-autism-733731.html

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1HDN5月21日「パッケージニュース」No. 2

「禁煙」の部屋でもたばこ煙残留物が蓄積

誰もたばこを吸わない部屋にも有害なたばこの煙の残留物が潜む可能性があることが報告された。米ドレクセル大学の研究者らが行った新しい研究により、誰もいない禁煙の教室内でも、空気中にたばこの煙の残留物(副流煙残留物)に関連する微粒子が多く浮遊していることが明らかになった。こうした残留物から有害物質を吸入することは「三次喫煙(third-hand smoke)」と呼ばれている。この研究の報告は「Science Advances」5月9日オンライン版に掲載された。

同大学環境工学科准教授のPeter DeCarlo氏らは、機械的に換気が行われている屋内の大学の教室において、大気中に浮遊する汚染物質などの粒子(エアロゾル)の組成を、質量分光分析計を用いて屋外および屋内の大気測定を4分ごと交互に行い、それぞれのエアロゾルの化学組成を比較した。大気中の成分を分離した結果、空気中に浮遊する微粒子の約30%が副流煙残留物に関連するものであることが分かった。

DeCarlo氏によると、副流煙残留物によりヒトにどれほどの健康被害があるのかは分かっていないが、動物の研究ではこの残留物への曝露が健康に悪影響を及ぼすことが明らかにされているという。禁煙エリアであっても、煙の粒子が換気装置を通して、あるいは衣類によって運ばれて壁や家具に付着する。これらは除去が難しく、何年にもわたり有害な化学物質を放出し続けることがあると、同氏は説明する。電子たばこでも同様の結果が得られることが考えられるとDeCarlo氏は述べ、「禁煙環境でも副流煙残留物への曝露が全くないわけではないことを知っておく必要がある」と警告している。

米国肺協会(ALA)のNorman Edelman氏は、「長い間、受動喫煙(second-hand smoke)の危険性について多くの人が懐疑的であったが、その後の研究が受動喫煙の有害性を証明した。そして今、われわれは三次喫煙と直面している」と述べている。また、「副流煙残留物は、喘息患者など一部の人々にとっては明らかに危険であるが、残る疑問は、一般の人々にとっても危険であるかどうかである」と、同氏は指摘している。

米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)産業環境医学准教授のSuzaynn Schick氏は「注目すべき点は、ドレクセル大学が20年以上も禁煙であることだ」と述べる。「今回の研究は、わずかな量のたばこの煙でも室内の空気の質に大きな影響を及ぼすことを示す新たな証拠となるものだ。禁煙政策の強化や、禁煙を試みる喫煙者の包括的な支援が公衆衛生上、人々の健康を守る重要な手段となる」と、同氏は述べている。(HealthDay News 2018年5月9日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/smoking-cessation-news-628/smoke-free-rooms-still-loaded-with-smoke-residues-study-finds-733748.html

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1HDN5月21日「パッケージニュース」No. 3

圧迫骨折の骨セメント注入療法、効果に疑問符

脊椎圧迫骨折に対する治療法として広く実施されている、経皮的椎体形成術(PVP)の効果に疑問符を投げかけるランダム化二重盲検比較試験(VERTOS IV試験)の結果が「BMJ」5月9日オンライン版に発表された。

PVPとは圧迫骨折の痛みを軽減するために経皮的に骨セメントを穿刺して椎体に注入する手術法で、即効性が高く侵襲性が低いとされている。しかし、この試験では、PVPを実施しても偽手術を上回る疼痛緩和効果が認められなかったという。

試験を実施したエリザベス-トゥウェーステーデン病院(オランダ)のPaul Lohle氏らによると、骨粗鬆症が原因の骨折が最も高頻度に発生するのは脊椎で、こうした骨折は骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折と呼ばれる。脊椎圧迫骨折があると、骨の変形や呼吸器系の問題がみられ、身長が縮む場合もある。PVPは骨折した部位を安定させ、疼痛を緩和するために骨セメントを骨折部位に注入する治療法だが、これまでのPVPに関する研究では一致した結果が得られておらず、有効性やリスク、費用対効果の観点からPVPに否定的な見解もあった。

そこで、Lohle氏らは今回、2011~2015年にオランダの病院4施設で急性の骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折に伴う疼痛に対するPVPの効果を偽手術と比較検討する試験を実施した。参加者1,280人の中から、50歳以上で1~3カ所の圧迫骨折があり、Visual Analogue Scale (VAS)で評価した疼痛スコアが5以上であった骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折患者180人のうち、91人をPVP群、89人を偽手術群にランダムに割り付けた。なお、両群ともに局所麻酔を実施した。

主要評価項目は術後1日目、1週間後、1および3、6、12カ月後の疼痛スコアの変化量とし、ベースラインから1.5ポイント低下した場合を「臨床的に意義のある疼痛の緩和」と定義した。副次評価項目は12カ月間の障害やQOL(生活の質)に関する評価スコアの変化量の群間差とした。

その結果、PVP群と偽手術群のいずれにおいても、術後の全ての評価時点でベースライン時と比べた疼痛スコアの有意な改善が認められた。しかし、12カ月間の追跡期間における疼痛スコアの変化量については、PVP群と偽手術群との間に有意差はなかった。また、障害やQOLの評価スコアについては両群ともに有意な変化は認められなかった。鎮痛薬の使用量は両群ともに全ての評価時点でベースライン時から減少していた。有害事象はPVP群で2件発生し、1件は呼吸不全、もう1件は血管迷走神経反応だった。

以上の結果を踏まえ、Lohle氏らは「今回の試験では、骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折患者の疼痛に対する標準的な治療法としてPVPを実施することを支持する結果は得られなかった」と同誌のプレスリリースで説明している。

一方、この試験の報告を受け、米スタテン・アイランド大学病院の整形外科医であるQusai Hammouri氏は「質が高く、優れた手法で実施された素晴らしい研究だ。この研究によって、医師はPVPによる疼痛管理について有用な情報を得ることができるだろう」と称賛している。ただし、同氏は「腰が曲がった高齢者の姿勢が改善するなど、PVPによる姿勢への効果を含めた長期的な有効性については今回の研究では明らかにされていない」として、さらなる研究が必要だとの見解を示している。

また、米レノックス・ヒル病院の整形外科医であるNathaniel Tindel 氏は、PVPの実施例で報告されている合併症の中には深刻な例もあり、致死的な合併症が発生する可能性も否定できないと指摘。「PVPによる治療を検討している患者は、PVPの効果には限界があること、合併症の可能性があることを十分理解しておく必要がある」と強調している。(HealthDay News 2018年5月10日)

https://consumer.healthday.com/bone-and-joint-information-4/fracture-health-news-322/more-doubt-cast-on-surgery-for-spinal-compression-fractures-733717.html

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1HDN5月21日「パッケージニュース」No. 4

妊娠初期に出血続くと低体重児リスク増大か

妊婦の4人に1人は妊娠13週まで(妊娠第1三半期)に腟からの出血を経験するとの報告があり、妊娠初期の出血は珍しいものではない。しかし、妊娠初期に出血が1日を超えて続くと新生児の出生時体重に影響する可能性があるという研究結果が「Obstetrics & Gynecology」5月7日オンライン版に発表された。

米ユニス・ケネディ・シュライバー国立小児保健・人間発達研究所のKatherine Grantz氏らは、健康的な生活を送っている低リスクで肥満のない女性を前向きに追跡したコホート研究に参加した2,307人を対象に、妊娠第1三半期の出血と胎児の成長パターンとの関連について検討した。対象女性には、妊娠10~13週の登録時に出血の有無や持続期間を報告してもらい、参加者を持続期間[0日(出血なし)、1日以内、1日超]で分けて解析した。胎児の成長パターンは妊娠中に最大で6回測定した胎児の生体測定値と推定体重に基づき特定した。

研究に参加した女性のうち410人(17.8%)で第1三半期に出血した経験があり、このうち出血持続期間が1日以内は176人、1日超は234人だった。母体の年齢、体重、身長、経産回数、民族および人種、新生児の性別で調整して解析した結果、妊娠第1三半期に1日超の出血を経験した女性では、出血を全く経験しなかった女性と比べて妊娠34~39週に測定した胎児の腹囲が小さく、妊娠35~39週における胎児の推定体重も68~107g低く、出生時の平均体重は88g低かった。また、在胎週数に対して体重が基準よりも低い新生児の割合は、出血しなかった女性で8.5%(148人)、第1三半期に出血が続いた期間が1日以内だった女性で5.7%(9人)、1日超だった女性で15.7%(33人)だった。

Grantz氏らによると、妊娠初期に1日を超える出血を経験した女性でみられた新生児の出生時体重の低下幅はわずかなもので、妊娠中の喫煙による影響と同程度だという。また、出血の重症度の違いによる影響は認められず、「軽度の出血であっても、2日以上続いた場合は胎児の成長の遅さに関連していた」と同氏は説明している。なお、このような関連が認められた要因については明確には分かっていないが、同氏らは胎盤機能不全に起因している可能性があるとみているという。

ただし、この研究は因果関係を証明したものではない。また、「妊娠初期に2日以上続く出血を経験しても、パニックになる必要はない」と専門家らは強調している。その一人で、米ハンティントン病院の産婦人科医であるMitchell Kramer氏は「この研究で示された程度の体重の低下であれば、有害な影響はない」としている。

また、米レノックス・ヒル病院産婦人科のJennifer Wu氏もKramer氏に同意し、「妊娠初期の出血と出生時体重の低下の関連が長期的に見ても重要なのか否かについては、今後さらなる研究で検討する必要がある」と指摘している。ただし、Kramer氏は「短期間の出血が深刻なアウトカムと関連していないという点には安心したが、出血が長期間続く場合には、詳細に調べる必要がある」と話している。(HealthDay News 2018年5月10日)

https://consumer.healthday.com/pregnancy-information-29/pregnancy-news-543/more-than-1-day-of-first-trimester-bleeding-ups-odds-for-smaller-baby-733770.html

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1HDN5月17日「パッケージニュース」No. 1

同時多発テロのビル崩壊現場の救助隊員にがんリスク増大

2001年の米同時多発テロが起こったときに世界貿易センター(WTC)ビル崩壊現場で対応にあたった救助隊員の多くは、今や自らが生き残るための私的な闘いと向き合っている。ビル崩壊現場で救助活動をしたニューヨーク市消防署員は、今後10年間でほかのニューヨーク市民に比べて高い割合でがんを発症し得ることが二つの新しい研究で明らかにされた。2報とも「JAMA Oncology」の4月26日オンライン版に掲載された。

両方の研究に携わったニューヨーク市消防局(FDNY)世界貿易センター健康プログラムのRachel Zeig-Owens氏は、「当時崩壊現場で対応した人たちを対象に、少なくとも今後15~20年はがんスクリーニングを継続する必要がある」と述べている。WTCビルが崩壊したとき、現場の人々は空気中に浮遊する重金属、炭化水素、アスベストをはじめ、多数の発がん性物質を含めた毒素に曝された。「ビル一棟分が中にあった全ての物とともに粉々に砕かれ、その粉塵が降る中で呼吸をしているところを想像してみてほしい」と同氏は語る。

まず、一つ目の研究では、同時多発テロから20年の間に、WTCビル崩壊現場で救助や復旧の作業にあたり粉塵に曝露した集団1万4,474人に、新たに2,960例ががんを発症すると推定された。白人男性の集団1万2,374人に限定したサブグループ解析では、シミュレーションに用いたニューヨーク市の人口統計グループよりも高い発症率を示し、予測される症例数が大幅に増加していた(2,714例対2,596例)。特に前立腺がんや甲状腺がん、メラノーマ(悪性黒色腫)のリスクが高く、一方で肺がんや大腸がん、腎がんは低いことが分かった。診断後、最初の年にがん治療にかかる費用の推定は、20年間で2億3500万を超えると算出された。「一般的には診断されてから1年目の治療費が最も高額となるため、今回の解析は初年に焦点を当てた」と同氏は説明している。

次に、米メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのOla Landgren氏らによる研究では、2001年9月11日から2017年7月までの間に多発性骨髄腫と診断された16人の消防士について調査した結果、発症年齢の中央値(57歳)が一般集団よりも10~15年若く、一般の人々に比べて悪性度の高い生物学的な特徴が認められた。今後の発症を予測するため、WTCのビル崩壊現場にいた781人の消防士から採取した血液を分析し、多発性骨髄腫の前兆とされるMGUS(意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症)の有無を調べた。その結果、MGUSの比率は毒素に曝露していないミネソタ州の人々の集団の約2倍であった。

米国がん協会(ACS)のOtis Brawley氏は「このがんリスク上昇のどこまでがWTCの現場対応に起因するものかは、正確にはわからない」と話す。「消防士はもともと平均よりもがんの発症率が高いため、影響を正しく評価するのは困難である」と同氏は指摘し、「WTCで現場対応した集団を、シカゴ、フィラデルフィア、ボストン、デトロイトなどの消防士と比較してみたい」と述べている。Zeig-Owens氏によると、WTCのビル崩壊現場で活動していない消防士との比較を行う追跡研究も進められているという。(HealthDay News 2018年4月26日)

https://consumer.healthday.com/cancer-information-5/mis-cancer-news-102/many-ground-zero-rescue-workers-battling-cancer-years-later-733328.html

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1HDN5月17日「パッケージニュース」No. 2

車中泊で肺塞栓による突然死も―熊本地震の避難者

日本で2016年4月に発生した熊本地震では、多くの被災者が避難を余儀なくされ、車中泊をする人も多くみられた。今回新たな研究で、車中で長時間を過ごした人は、脚を動かさずに座り続けることにより下肢の静脈にできた血栓が肺の静脈を詰まらせて肺塞栓を引き起こし、突然死するリスクがあることが報告された。この研究は「Canadian Journal of Cardiology」3月3日オンライン版に掲載された。

座った姿勢のままで長時間を過ごすと血栓リスクが上昇することは、以前からよく知られている。長時間のフライトで座りっぱなしの状態が続くと肺塞栓症が生じることがあるため「エコノミークラス症候群」とも呼ばれている。

熊本地震では夜間の余震が多発したため、多くの人は自宅に戻ることを恐れて避難することを選んだ。公共の避難所に行く人もいたが、自家用車の中で一夜を過ごす人も多かった。そこで、熊本地震血栓塞栓症予防(KEEP)プロジェクトの研究者らは、車中泊が健康に与える影響を調べるため、同県内の医療機関21施設を対象にアンケート調査を実施した。

その結果、避難した人々の間で下肢の血栓発症が「流行」していたことが明らかになった。この調査によれば、51人の避難者が静脈血栓塞栓症(VTE)で入院し、このうち42人(82.4%)が車中泊をしていた。また、35人は肺塞栓症を合併していた。

研究者らは、この知見はVTEのリスクと予防法についてもっと周知する必要があることを示すものだと指摘する。研究の代表者である熊本大学の掃本誠治客員教授は「車中泊によるVTEリスクについて専門の医療チームが啓発活動を行い、メディアが血栓のリスクについて大きく報道することで避難所の知識が広まれば、VTEによる犠牲者を減らせる可能性がある」と述べている。

同誌の編集長のStanley Nattel氏は「これは窮屈な姿勢で動かずに長時間過ごすリスクをまざまざと示した実例である」と述べ、今回の報告は「飛行機に乗る際や車中で長時間過ごすことを余儀なくされる場合は、定期的に立ち上がって歩き回らなければならないことを再認識させてくれた」と話している。(HealthDay News 2018年5月3日)

https://consumer.healthday.com/circulatory-system-information-7/deep-vein-thrombosis-news-736/further-signs-that-too-much-sitting-can-raise-clot-risk-733511.html

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1HDN5月17日「パッケージニュース」No. 3

健康な人の細菌を皮膚に移植、アトピー治療に有望

健康な人の皮膚上に常在している有用な細菌を採取して患者の皮膚に移植するという治療が、アトピー性皮膚炎(湿疹)の画期的な治療法となり得ることが、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のIan Myles氏らによる第I相/II相試験から明らかになった。この治療を受けたアトピー性皮膚炎患者では、皮疹などの症状が改善し、ステロイド外用薬の使用量を減らすことができたという。この研究結果は「JCI Insight」5月3日オンライン版に掲載された。

アトピー性皮膚炎は、QOL(生活の質)の低下、医療費の増加、喘息やアレルギー性鼻炎、食物アレルギーの発症リスク増加に関連する炎症性皮膚疾患である。その原因は明確には分かっていないが、皮膚常在菌や微生物が群集する微生物叢が、重要な役割を果たしていると考えられている。

今回の研究に先立ちMyles氏らが実施したマウスおよび細菌培養モデルを用いた前臨床研究では、健康な人から採取した皮膚常在菌Roseomonas mucosa(R. mucosa)の移植によってアトピー性皮膚炎の症状が改善した。一方で、アトピー性皮膚炎患者の皮膚から採取したR. mucosaを移植すると、症状は変わらないか、悪化したという。そこでMyles氏らは、ヒトを対象にこの治療法の安全性と有効性を検証するため、NIAIDの助成を受けて今回の研究を実施した。

Myles氏らはまず、アトピー性皮膚炎の成人患者10人に、R. mucosaを加えたショ糖水溶液を1週間に2回、6週間にわたって肘の内側と患者が選んだ皮膚の部位に噴霧してもらった。次に、9~14歳の小児患者には症状の出ている全ての部位に、1週間に2回、12週間にわたってこの水溶液を使用してもらい、その後は使用頻度を1日おきに増やし、4週間にわたって続けてもらった。R. mucosaは健康な人の皮膚から単離し、注意深く制御された実験室で培養した細菌株を使用した。また、試験に参加した患者は、ステロイド外用薬やほかの薬剤を含む通常の治療を続けるよう指示された。

その結果、成人患者10人中6人、また小児患者5人中4人で試験終了時に症状の重症度が50%以上軽減し、一部の患者では治療をやめた4週間後にステロイド外用薬の使用量を減量できた症例もあった。副作用や合併症の報告はなかった。

また、今回の研究で、スキンケア製品の多くに含まれるパラベンと呼ばれる防腐剤や保湿剤のいくつかがR. mucosaの成長を阻害することも分かった。このことから、特定のスキンケア製品を使用するとアトピー性皮膚炎が悪化し、皮膚の微生物叢に基づく治療法の有効性に影響を及ぼす恐れがあることを同氏らは指摘している。

今回の研究結果について、専門家の一人で米レノックス・ヒル病院の皮膚科医であるMichele Green氏は「将来、数多くのアトピー性皮膚炎患者に新たな治療を提供できる可能性を秘めた結果だ」と高く評価。また、「最も素晴らしいのは、皮膚の細菌叢そのものを通じて(アトピー性皮膚炎を)治癒に導くことができるかもしれないという点だ」と話している。

また、NIAID所長のAnthony Fauci氏は「現行の治療法は症状の管理には役立つが、1日に何回も薬剤を塗布する必要があるため、時間的な負担が大きく治療費が高額になることもまれではない。アトピー性皮膚炎の治療選択肢を広げるためにも、安価で使用頻度も少なくて済む新たな治療法が求められる」と話している。(HealthDay News 2018年5月3日)

https://consumer.healthday.com/diseases-and-conditions-information-37/eczema-news-618/skin-s-good-bacteria-may-be-promising-weapon-against-eczema-733506.html

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1HDN5月17日「パッケージニュース」No. 4

「低気温+PM2.5」で女性の心臓突然死リスク倍増

健康な女性が、気温が低い日に大気汚染物質である微小粒子状物質(PM2.5)に曝露すると、心臓突然死(SCD)のリスクが2倍以上に高まることを示した研究結果が米国不整脈学会の年次集会(Heart Rhythm 2018、5月9~12日、米ボストン)で発表された。この研究では、PM2.5に曝露するだけでもSCDリスクは上昇するが、特に気温が華氏55度(摂氏約13度)を下回るとPM2.5への曝露による同リスクが急激に上昇することが示されたという。

この研究は、米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のJaime Hart氏らが実施したものである。Hart氏らは米国の女性看護師を対象としたコホート研究(Nurses’ Health Study;NHS)の参加者11万2,061人を対象に、1999~2011年のデータを分析した。1日当たりのPM2.5への曝露量と平均気温は参加者の自宅住所に基づき調べ、SCDが発生した日のPM2.5への曝露量をSCDが発生していない同じ曜日の日の曝露量と比較した。

追跡期間中にSCDは221件発生していた。解析の結果、PM2.5の曝露量が増加するにつれてSCDリスクが22%上昇することが分かったが、さらに気温が摂氏13度を下回った日にPM2.5に曝露すると、SCDリスクは約2.6倍になることが示された。また、摂氏3.8度以下でPM2.5に曝露するとSCDリスクは約2倍になった。一方、摂氏13度以上ではSCDリスクの上昇は認められなかった。

Hart氏によると、女性が既に心疾患を有していたかどうかはこの結果には影響していないとみられ、年齢や体重、喫煙習慣といった要因もSCDリスクには関与していないとしている。なお、今回の研究はPM2.5とSCDとの関連性を見つけるためにデザインされたもので、低気温とSCDリスクとの因果関係は明らかになっていないという。

また、今回の研究では対象となった女性11万2,061人のうち追跡期間中にSCDに至ったのはわずか221人であったとして、Hart氏は「パニックに陥る必要はない。集団レベルでは問題になるが、実際に個人がSCDに至るリスクは極めて低い」と説明している。

一方で、同氏は今回の研究ではPM2.5の曝露量が米環境保護庁(EPA)の基準値(35g/m3)を下回るレベルでもSCDリスクの上昇が認められたことから、「現行の基準では安全性が不十分だと考えられる」と指摘している。

今回の研究には関与していない米ニューヨーク大学ウィンスロップ病院循環器科長のKevin Marzo氏は「低気温と大気汚染という2つの条件が重なることで炎症レベルがより高まるほか、寒いと血管が収縮するため、十分な血液が供給されなくなる可能性が考えられる」と考察。これらの条件が重なることで「健康な女性であっても最悪の事態がもたらされる可能性はある」としている。

なお、今回の研究は女性のみを対象としたものだったが、Hart氏は「男性でも同様の結果が得られる可能性が高い」との見方を示している。ただし、学会で発表された知見は、論文審査のある医学雑誌に掲載されるまでは予備的なものと見なされる。(HealthDay News 2018年5月8日)

https://consumer.healthday.com/respiratory-and-allergy-information-2/air-pollution-health-news-540/chilly-smoggy-days-may-be-hazardous-for-some-women-s-hearts-733691.html

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1HDN5月14日「パッケージニュース」No. 1

落雷で脳深部刺激装置が停止した事例の報告

脳深部刺激療法は、進行したパーキンソン病やその他の運動性疾患に対する確立した治療法である。しかし、近くで発生した落雷により植込み型装置の電源が切れてしまうという事例がヨーロッパで1件報告された。論文著者の一人であるリュブリャナ大学(スロベニア)のDusan Flisar氏は「雷雨はよくある自然現象であるため、今回の事例は落雷の危険性に目を向けさせるものである」と述べている。この論文は「Journal of Neurosurgery」5月1日オンライン版に掲載された。

この電池式の機器は神経刺激装置、脳深部刺激装置、植込み型パルス発生器(IPG)などと呼ばれ、パーキンソン病などの運動障害のほか、一部の精神障害の治療に用いられる。IPGは一般に上胸部の筋肉または皮膚の下に植え込まれ、そこから治療標的となる脳領域に電気パルスを送るが、これまでの研究から、IPGは職場や自宅、病院で電気機器から発生する電磁場により影響を受けることが分かっている。今回の事例は、新たに落雷がIPGの機能に影響を及ぼす可能性を示すものである。

研究グループによると、この現象を経験した66歳の女性は頸部ジストニア(痛みを伴う不随意の筋収縮が起こる疾患)の治療のため脳深部刺激装置を植え込み、5年間使用していたが、あるとき女性の自宅の電気回路網を落雷が直撃した。その際、家にあったテレビやエアコンなどは黒焦げになり壊れたという。雷雨が収まった1時間後、女性はジストニアによる振戦が再発していることに気づいた。

IPGの患者用コントローラーを確認すると警告が表示されていたため、クリニックへ持って行くと電源が切れていることが分かった。幸いIPGは壊れておらず女性にも神経学的傷害はなかった。装置の電源を入れると振戦はほぼ消失し、頸部ジストニアの症状は改善したという。

このような報告はまだ1件のみだが、「(IPGを使用する)患者にはアーク溶接設備、発電機、変電所、アマチュア無線アンテナ、送電線、工業用炉、誘導加熱器、抵抗溶接機、送電塔などの強い電磁場の発生源となる環境を避けるよう、定期的に警告していく必要がある」とFlisar氏らは指摘している。

専門家の一人で米レノックス・ヒル病院のGayatri Devi氏は「旧型の心臓ペースメーカーや脳のシャント術(brain shunt)など、その他の植込み型装置もMRIなどによる強い磁場に曝露すると機能不全を起こすことがある。しかし、最近の装置にはMRIの影響はないようだ」と話している。(HealthDay News 2018年5月1日)

https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/neurology-news-496/nearby-lightning-shut-down-a-woman-s-brain-implant-733378.html

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1HDN5月14日「パッケージニュース」No. 2

食事内容で閉経時期が変わる?

食事の内容が女性の閉経の時期を左右する可能性があることが、新たな英国の研究で示された。精製炭水化物の摂取量が多い人は閉経が早く始まる傾向があり、青魚や豆類を多く取る人は閉経が遅いことが分かったという。3万5,000人以上の中年期の女性を対象に食事とがんの関連性を調査しているUK Women’s Cohort Studyの参加者で、自然閉経を経験した女性を調べた今回の研究結果は、「Journal of Epidemiology & Community Health」4月30日にオンライン版に掲載された。

今回の研究では、英イングランドとスコットランド、ウェールズに住む40~65歳の女性を対象に、食物摂取頻度調査票を用いて217種類の食品の摂取パターンを調べた。自然閉経の定義は、少なくとも12カ月連続して月経周期が停止している状態とした。約1万4,000人の女性を4年間追跡した結果、914人が自然閉経を迎えた。閉経開始の年齢は平均で51歳であったが、白米やパスタなどの精製炭水化物の摂取量が1日あたり1人前増えるごとに閉経が1.5年早まった。一方、青魚と豆類の摂取量が増えるごとにそれぞれ3.3年および0.9年閉経が遅くなり、ビタミンB6と亜鉛の摂取も閉経を遅らせることが分かった。

こうした関連がみられる理由は分かっていないが、「精製炭水化物はインスリン抵抗性の主な原因の一つとなる。血液中のインスリン値が高いと性ホルモンの活性が阻害され、エストロゲン値が上昇する。いずれも月経周期を加速させ、早期閉経につながる」と研究著者である英リーズ大学食品科学食物栄養科栄養疫学グループのYashvee Dunneram氏は説明する。だたし因果関係は不明であり、これまでの研究からは、早期閉経によってリスクが上昇する疾患もあれば、低減する疾患もあることが分かっている。

また、研究ではベジタリアンの女性は肉類をよく食べる女性に比べ、閉経が約1年早かったが、その一方で肉類をよく食べる女性でもポテトチップスやプレッツェル、ピーナッツなどのスナック類をよく食べる人は、そうでない人に比べて閉経が2年早いことも明らかになった。しかし、食品と閉経の関係を詳しく分類するには、さらに研究を重ねる必要があるとDunneram氏は述べている。

米ワシントン大学セントルイス校のConnie Diekman氏は「閉経年齢には遺伝の影響もあり、食品は一つの因子にすぎない」と話す一方、今回の研究は「動物性タンパク質から植物性のタンパク質を中心とした食事へ切り替えることが健康全般のために重要である理由を示すものだ」と述べている。米テキサス大学サウスウエスタン医学センターのLona Sandon氏もこれに同意し、女性は健康のためにも魚や豆類の摂取量を増やす方がよいと助言している。(HealthDay News 2018年4月30日)

https://consumer.healthday.com/women-s-health-information-34/menopause-and-postmenopause-news-472/what-foods-can-hasten-or-delay-menopause-733441.html

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