1HDN7月17日「パッケージニュース」No.1

米国人が補聴器を使わない理由

米国では、耳が聞こえづらくなっても、高価だからという理由で補聴器を使わない人が多いことが、新たな研究で明らかになった。補聴器を装着するのを恥ずかしいと感じる人も多かったという。「The Gerontologist」5月21日オンライン版に掲載された論文の筆頭著者で米ミシガン大学家庭医学のMichael McKee氏は「理由が何であれ、聴力の低下(難聴)をそのまま放置すると心理面や身体面、認知機能に大きな影響を及ぼし、失業にもつながりやすい」とその影響力の大きさを指摘している。

McKee氏らは今回、米国の健康と退職に関する調査(Health and Retirement Study;HRS)に参加した聴力の低下がみられる55歳以上の男女3万5,572人を対象に、補聴器の使用実態を調べた。このうち21人では対面調査を実施して詳しく話を聞いた。

その結果、全ての対象者のうち、補聴器を使用している人は約3分の1にとどまっていた。80歳代では57%が補聴器を使用していたが、50歳代後半では15%に過ぎなかった。また、補聴器を使わない理由には、「費用が高い」「保険が適用されない」「見栄や恥ずかしさ」といった回答のほかにも、「かかりつけ医の関心が薄い」「信頼できる聴覚訓練士がいない」などが挙げられた。

補聴器の使用率には人種差もみられ、白人(40%)に比べて黒人(18%)やヒスパニック系(21%)で低かった。また、大学教育を受けた人では45%以上が補聴器を使用していたが、高校を卒業していない人では29%に満たなかった。さらに、所得が最も低い層では、最も高い層に比べて補聴器の使用率は4分の1程度と低かった。一方で、退役軍人では補聴器を購入する際に補助が出る場合が多いことが影響したのか、55~64歳における補聴器の使用率は退役軍人でない人の2倍に上っていた。

米国では、補聴器の自己負担額は2,000~7,000ドル(約23万~79万円)であり、メディケア(65歳以上の人や身体障害者などを対象とする公的医療保険制度)を始めとするほとんどの医療保険は適用されていない。なお、米国では、聴力の低下がみられる人の割合は50歳代では30%ほどだが、60歳代では45%、70歳代では70%、80歳代では90%と加齢に伴って上昇するとされている。

米国聴覚学会(AAA)会長のJackie Clark氏は、専門家の立場から「補聴器の使用を阻む障壁は、費用だけではない」と指摘。その理由は複雑で、米国社会の文化的背景も影響しているのではとの見方を示す。また、同氏によれば、聴覚の研究は第二次世界大戦後、多くの退役軍人が爆弾の影響で聴力障害を負って帰還したのが始まりで、その歴史は比較的浅いという。同氏は「補聴器が広く受け入れられるためには保険で費用をカバーするほかに、補聴器の有用性について広く理解してもらうことが重要だ」と強調し、有名人が装着する姿を見せることも、補聴器は格好悪いものではないことをアピールする一つの手段になるのではないかと話している。(HealthDay News 2018年7月5日)

https://consumer.healthday.com/health-technology-information-18/hearing-aid-news-350/cost-keeps-many-americans-from-getting-hearing-aids-735320.html

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1HDN7月17日「パッケージニュース」No.4

アルツハイマー病の進行抑制にアスピリンが有効か

アスピリンを服用するとアルツハイマー病の進行を抑制できる可能性のあることが、米ラッシュ医科大学神経学のKalipada Pahan氏らのマウスを用いた実験で示唆された。アルツハイマー病には脳内のアミロイドβ(Aβ)と呼ばれるタンパク質の蓄積が関与していると考えられているが、低用量アスピリンは脳内に蓄積したAβの除去に役立つ可能性があることが示されたという。研究の詳細は「The Journal of Neuroscience」7月2日オンライン版に掲載された。

アルツハイマー病の原因はいまだ解明されていないが、毒性があるAβが脳内に蓄積してアミロイドプラークを形成することがその一因と考えられている。そのため、アルツハイマー病の進行を遅らせるための手段として、脳内のAβ除去を担う細胞機構を活性化させる方法が注目されている。

Pahan氏らはまず、マウスの脳細胞を用いた実験で、アスピリンはPPAR(ペルオキシソーム増殖剤活性化レセプター)αと呼ばれる遺伝子発現の調節因子を活性化することで、脳内のAβ除去に重要な調整役(マスターレギュレーター)を担う転写因子EB(TFEB)の発現量を増やし、Aβ除去に関わるリソソームの合成を高めることを突き止めた。

さらに、アルツハイマー病のモデルマウスに低用量アスピリンを1カ月にわたり経口投与して調べた結果、アスピリンはPPARαを介した作用によりアミロイドプラークの除去に働くことが分かったという。

以上の結果を踏まえ、Pahan氏は「世界で最も汎用されている一般用医薬品の一つであるアスピリンには、鎮痛や心血管疾患予防以外にもアルツハイマー病などの認知症に関連した疾患への新たな治療効果が期待できる可能性が示された」と結論づけている。

動物実験の結果は必ずしもヒトで応用できるわけではなく、Pahan氏もアスピリンの認知症への治療効果についてはさらなる研究が必要であることを強調している。しかし、同氏は「今回の研究によってアミロイドプラークが除去される機序の解明を進めることができた。このことは、アルツハイマー病の進行を抑制する薬剤を開発する上で重要だ」と話している。

米国では65歳以上の男女の10人中1人がアルツハイマー病患者だとする推定もある。アルツハイマー病の治療薬として米食品医薬品局(FDA)に承認されている薬剤は数種類しかなく、これらの薬剤の効果も限定的なのが現状である。(HealthDay News 2018年7月5日)

https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/alzheimer-s-news-20/could-aspirin-help-keep-alzheimer-s-away-735510.html

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Selective focus on the word "diabetes". Many more word photos in my portfolio...

糖尿病とがん、歯周病、認知症との関連は? 日本人対象の研究をシステマティックレビュー

糖尿病の合併症には、三大合併症(網膜症と腎症、神経障害)が広く知られているが、最近ではがんや歯周病、骨折、認知症、うつ病などが新たな合併症として注目されている。国立国際医療研究センター病院糖尿病情報センター長の大杉満氏と田中宏和氏、井花庸子氏らの研究グループは、日本人を対象に、これらの新たな糖尿病合併症の発症率や有病率を調べた研究のシステマティックレビューを実施。がんと糖尿病との関連を示す強いエビデンスはあるが、その他の疾患については糖尿病の影響は十分に検証されていないことを明らかにした。詳細は「Journal of Epidemiology」6月23日オンライン版に掲載された。

研究グループは今回、日本人の集団を対象に、がんや歯周病、骨折、認知機能障害および認知症、うつ病と糖尿病との関連を検討した研究のシステマティックレビューを実施。PubMedなどのデータベースを用いて、2016年12月までに公表された、これらの新たな糖尿病合併症の発症率と有病率をそれぞれ比較した統合解析やコホート研究、症例対照研究、横断研究の計33件の論文を抽出した。このうち、がんに関する論文は17件、歯周病または骨折はそれぞれ5件、認知機能障害は4件、うつ病は2件であった。

システマティックレビューの結果、がんに関しては多目的コホート(JPHC)研究など質の高い研究を含めて8件のコホート研究のデータを統合して解析が実施されており、糖尿病は全てのがんや大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、胆管がんのリスク上昇と関連し、その他のメタ解析でも男女ともに糖尿病は全てのがんのリスク上昇と関連することが報告されていた。

一方で、その他の4つの疾患に関しては、研究の数が限られており、前向きコホート研究はうつ病では1件もなく、その他の疾患でも1件ずつしかみられないなど、糖尿病との関連を検証するのに十分なエビデンスは得られなかった。

以上の結果から、研究グループは「日本では、がんと糖尿病との関連を示す比較的、質の高いエビデンスがそろっているが、歯周病や骨折、認知症、うつ病の発症率や有病率に対する糖尿病の影響は十分に検証されていないことが分かった。今後、質の高い数多くの研究が実施されることに期待したい」と結論づけている。(HealthDay News 2018年7月17日)

Abstract/Full Text
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jea/advpub/0/advpub_JE20170155/_article

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1HDN7月9日「パッケージニュース」No.3

白内障手術で高齢ドライバーの交通事故が減少か

50万人以上のカナダの高齢者を対象とした研究から、白内障の高齢ドライバーが手術を受けると交通事故のリスクが9%低下することが分かった。リスクの低下度はわずかではあるが、研究を実施したケンジントン・アイ・インスティテュート (カナダ)のMatthew Schlenker氏らは「白内障手術による視機能の改善は、自動車運転に伴う交通事故のリスク低下と関連することが示された」と説明している。この研究結果は「JAMA Ophthalmology」6月28日オンライン版に発表された。

Schlenker氏らによれば、米国人の60~70%が生涯で白内障を発症する。唯一の治療法は手術で、米国では年間300万件以上の白内障手術が実施されているという。

Schlenker氏らは今回、白内障手術と高齢ドライバーの交通事故の発生率との関連について検討するため、2006~2016年に白内障手術を受けたオンタリオ州における65歳以上の住民55万9,546人(平均年齢76歳、女性58%)の医療データと運転記録を調べた。1人当たりの観察期間は5年間とし、白内障手術を受ける直前の6カ月間よりも以前の期間をベースライン期間、手術を受けた後を術後期間と定義した。なお、ベースライン期間は平均で約3.5年だった。

その結果、患者1,000人年当たりの交通事故の発生率はベースライン期間の2.36件から術後1年間には2.14件に減少し、白内障手術の実施後には交通事故リスクが0.9%低下したことが分かった。また、75歳超の高齢者に限るとリスクの低下度は14%とより大きかった。さらに、年間に1件の交通事故を回避するのに必要な白内障手術は4,564件であることが推定されたという。

ただし、こうした白内障手術による交通事故の低減効果は、高齢者が自動車を運転している場合に限られ、同乗者や歩行者だった場合には認められなかった。

この研究は因果関係を証明したものではないが、専門家らは「納得できる結果だ」と評価している。その一人で米ノースウェル・ヘルスの眼科医であるMatthew Gorski氏は、白内障では視界がかすむ、光を眩しく感じる、薄暗く見える、夜間に物が見えにくくなるといった症状が高頻度にみられることから、これらの症状は高齢ドライバーの安全性に大きく影響するのではとの見方を示している。

その上で、Gorski氏は「高齢者はこの研究結果から、視力になんらかの変化があれば眼科医の検査を受ける必要があることを再認識するはずだ。また、この結果は、40歳を超えたら年1回の眼科検診を受けることの重要性を改めて示している」と話している。別の専門家で米レノックス・ヒル病院のMark Fromer氏は「この研究は、高齢者が白内障手術を受けて視力が改善すると、交通事故が減るだけでなく社会経済的な負担の軽減にもつながる可能性を示している」とコメントしている。(HealthDay News 2018年6月28日)

https://consumer.healthday.com/eye-care-information-13/cataracts-health-news-116/cataract-surgery-tied-to-fewer-car-crashes-for-seniors-735287.html

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4.1.1

高齢者のメタボに残存歯の本数と食べる速さが関連か 愛知学院大の研究グループ

日本人の高齢者では、残存歯の本数と食べる速さ、歯間ブラシやデンタルフロスなどの歯間清掃用具を使う頻度がメタボリック症候群と関連する可能性のあることが、愛知学院大学歯学部口腔衛生学教授の嶋﨑義浩氏らの研究グループの検討で分かった。同氏らは「高齢になっても歯の本数を保ち、ゆっくりと食べることがメタボリック症候群の予防に重要だと思われる」と話している。詳細は「Journal of Epidemiology」6月16日オンライン版に掲載された。

これまで多くの研究で、歯周病や残存歯の本数などで評価する口腔内の健康状態はメタボリック症候群と関連することが報告されている。これらの報告の多くは中年期の成人を対象としたものが多いことから、研究グループは今回、高齢者を対象に、歯周病や残存歯の本数、生活習慣因子(喫煙や飲酒の習慣、運動習慣、食べる速さ、口腔衛生習慣)とメタボリック症候群との関連を調べる観察研究を実施した。

研究グループは、三重県における75歳および80歳の高齢者2,379人(うち男性960 人)から得た一般健診と歯科健診の横断データを用いて解析した。健診時のウエスト周囲長のデータが得られなかったため、メタボリック症候群の判定にはBMIを代用し、中心性肥満(BMI 25以上)、中性脂肪高値、HDL-コレステロール低値、血圧高値、高血糖のうち3つ以上に該当する場合をメタボリック症候群と判定した。

対象者を残存歯の本数で3つの群(20~28本、10~19本、0~9本)に分けて解析した結果、メタボリック症候群のリスクは残存歯が最も多い群に比べて、10~19本の群では1.23倍、0~9本の群では1.54倍と、残存歯の本数が少ない群ほどリスクは高いことが分かった。

また、生活習慣因子のうち、食べる速さが速いほどメタボリック症候群のリスクが高く(遅い群に比べて速い群で2.06倍)、歯間ブラシなどの歯間清掃用具を毎日使う人は、全く使わない人に比べてメタボリック症候群のリスクが0.71倍と低いことも明らかになった。

さらに、残存歯の本数と食べる速さを組み合わせた解析を行った結果、残存歯が20~28本でゆっくり食べる群に比べて、残存歯が0~9本で食べる速さが速い群ではメタボリック症候群のリスクが2.48倍と最も高かった。なお、この研究では歯周病とメタボリック症候群との間に関連はみられなかった。

これらの結果から、研究グループは「高齢者では、残存歯の本数と食べる速さ、歯間衛生用具を使う頻度がメタボリック症候群と関連する可能性が示された。特に残存歯が少なく食べる速さが速い人はメタボリック症候群に注意する必要がある」と結論。一方で、これらの関連については、今後さらなる研究でその背景にある機序などを確かめる必要があるとしている。(HealthDay News 2018年7月9日)

Abstract/Full Text
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jea/advpub/0/advpub_JE20170210/_article/-char/en

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1HDN7月2日「パッケージニュース」No.3

アルツハイマー病にヘルペスウイルスが関与か

アルツハイマー病の発症に2種類のヒトヘルペスウイルス(HHV)が関与している可能性を示した研究結果が「Neuron」6月21日オンライン版に発表された。研究を実施した米マウントサイナイ・アイカーン医科大学のJoel Dudley氏らによると、アルツハイマー病患者の脳では、そうでない人の脳と比べてヒトヘルペスウイルス6A(HHV-6A)とヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)が約2倍に増加していることが分かったという。また、これらのウイルスは、アルツハイマー病のリスクを高める遺伝子と相互に作用することも示された。

HHV-6(HHV-6AとHHV-6B)やHHV-7は、ほとんどの人が主に乳幼児期に感染する身近なウイルスで、特にHHV-6は乳児期の突発性発疹の原因となることが知られている。また、これらのウイルスは単純ヘルペスウイルスや水痘・帯状疱疹ウイルス、エプスタイン・バー(EB)ウイルスなど他のヘルペスウイルスと同様に、感染後には体内で休眠状態となり、その後、ある時点で再活性化する可能性がある。

同氏によれば、これらのウイルスは特に神経毒性が強く、アルツハイマー病以外のさまざまな神経疾患との関連が認められているが、誰もが曝されるこれらのウイルスの働きは十分に解明されていなかったという。

Dudley氏らは今回の研究で、まず、アルツハイマー病患者とアルツハイマー病ではない対照群から死亡後に採取した600以上の脳組織を用いて遺伝子解析を実施し、データを比較した。その結果、HHV-6AとHHV-7の遺伝子はアルツハイマー病のリスクを高める遺伝子の活性化あるいは抑制に働き、複雑に相互に影響し合っている可能性があることを突き止めた。

さらに、同氏らは米メイヨー・クリニックとラッシュ・アルツハイマー病センターで採取した約800の脳組織を用いて遺伝子解析を実施した。その結果、アルツハイマー病患者の脳ではHHV-6AとHHV-7が増加していることが明らかになり、最初の結果を再現できたとしている。

Dudley氏は「今回の結果は、アルツハイマー病の原因解明につながる可能性があるほか、免疫系を標的とした新たな治療法の開発に向けた足掛かりとなるだろう」と期待を示している。

専門家の一人で米アルツハイマー病協会のKeith Fargo氏も「アルツハイマー病に細菌やウイルスが関与する可能性はこれまでにも指摘されてきたが、今回の研究でその説の信頼性は高まった」と指摘。「もしアルツハイマー病の発症にウイルスなどが関与しているのであれば、抗ウイルス療法や免疫療法を新たに開発できるかもしれない」と話しているが、これらの関連についてはさらなる研究が必要だと付け加えている。(HealthDay News 2018年6月21日)

https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/alzheimer-s-news-20/could-herpes-virus-play-a-role-in-alzheimer-s-735077.html

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1HDN6月25日「パッケージニュース」No.2

「50歳で血圧高め」は認知症のリスク因子か

50歳の時点で収縮期血圧(SBP)値が130mmHg以上だった人は、血圧が低かった人と比べて、後に認知症を発症するリスクが高い可能性のあることが新たな研究で示された。論文の筆頭著者で国立保健医学研究所(フランス)のJessica Abell氏は「このことは、正常高値血圧(SBP 130~139mmHg)であっても脳に悪影響を及ぼす可能性があることを示唆している」と述べている。詳細は「European Heart Journal」6月12日オンライン版に掲載された。

各国の診療ガイドラインでは従来、高血圧の定義はSBP/拡張期血圧(DBP)値140/90mmHg以上が採用されてきた。しかし、正常高値血圧でも心筋梗塞や脳卒中、心不全、腎不全のリスクが2倍とする最新のエビデンスに基づき、2017年に米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)は診断基準を130/80mmHgに引き下げている。一方で、欧州高血圧学会(ESH)のガイドラインでは、診断基準は従来通り140/90mmHgに据え置かれている。

今回の研究では、Whitehall IIコホート研究に参加した英国の公務員8,639人(女性32.5%)を対象に、1985年から2003年の間に血圧を6年ごとに計4回測定し、2017年まで認知症の発症を追跡して血圧と認知症の発症との関連を調べた。今回は特に50歳、60歳および70歳時点の血圧に焦点を当てて解析したという。

その結果、社会人口学的な因子などさまざまな因子で調整した解析でも、50歳時点でSBP値が130mmHg以上だった人は、130mmHg未満だった人と比べてその後に認知症を発症するリスクが1.38倍であることが分かった。一方で、60歳および70歳時点のSBP値とDBP値はいずれの年齢でも認知症リスクと関連しないことも明らかになった。さらに、平均年齢で45歳と61歳の間にSBP値が130mmHg以上だった期間が長いほど認知症リスクは上昇することも示された。

Abell氏によると、高血圧は一過性脳虚血発作(TIA)や脳白質の損傷、脳への血流不足などを引き起こす可能性が指摘されているという。また、この結果から、中年期の早くから血圧が高い状態が続くほど認知症リスクは高まることが示唆されたことから、「健康寿命を延ばすには中年期の血圧を正常に保つことが重要だ」と同氏は強調している。

専門家の一人で米アルツハイマー病協会のHeather Snyder氏は、この結果は脳と心臓の健康は直接関係するとした既存の報告を裏付けるもので、「認知症予防のためにこの結果をどう生かしていくべきか、真剣に考えるべきだ」とコメントしている。一方で、米マウントサイナイ医療センターのSam Gandy氏によると、一定の年齢を過ぎると血圧を下げても認知症を予防できない可能性が示されており、「血圧が高い状態が長期間続いた人は身体がその状態に慣れており、血圧を下げるとかえって認知機能に悪影響が出る可能性がある」と話している。(HealthDay News 2018年6月13日)

https://consumer.healthday.com/cardiovascular-health-information-20/high-blood-pressure-health-news-358/high-blood-pressure-in-your-50s-may-set-stage-for-dementia-734794.html

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2HDN糖尿病ニュース6月21日配信1

海馬の石灰化に「糖尿病」と「喫煙」が関連か

喫煙習慣がある人や糖尿病患者では、記憶の形成や学習に重要な役割を担う脳の海馬が石灰化するリスクが高まる可能性のあることが、ユトレヒト大学医療センター(オランダ)の研究チームの検討で分かった。一方で、海馬の石灰化の有無やその程度は認知機能とは関連しない可能性も示された。研究の詳細は「Radiology」6月12日オンライン版に掲載された。

この研究は、2009~2015年に、オランダの一般病院のメモリークリニック(物忘れ外来)を受診した1,991人(45~96歳、平均年齢は78歳)を後ろ向きに追跡したもの。頭部CT検査で脳の海馬の石灰化を評価し、認知機能検査や心血管リスク因子(高血圧と糖尿病、脂質異常症、喫煙習慣)の評価も行って海馬の石灰化に関連する因子と石灰化が認知機能と関連するかどうかを検討した。

解析の結果、対象患者の19.1%(380人)で海馬の石灰化が認められた。また、海馬の石灰化には、糖尿病と喫煙習慣、加齢の3つの因子が有意に関連することが分かった(1年ごとのオッズ比はそれぞれ1.50、1.49、1.05)。一方で、この石灰化の有無や程度と認知機能との間には関連はみられなかったという。

研究を主導した同大学老年医学のEsther J.M. de Brouwer氏は「認知症の中でも最も多いアルツハイマー型認知症では、脳の海馬が萎縮していくことが知られている。しかし、驚くべきことに、今回の研究では海馬の石灰化は認知機能と関連しないとする結果が得られた」と話す。この理由として同氏は、海馬にはいくつもの層があり、石灰化しても記憶の貯蔵に重要な部位には影響しない可能性があることや、今回は対象者が全て物忘れ外来を受診した患者であったことを挙げている。

今回の結果からは、糖尿病や喫煙習慣で海馬が石灰化するとは結論づけられないが、de Brouwer氏は「これらの間には強い関連があることが示唆される」と指摘する。同氏は、最近の組織学的な研究では、海馬の石灰化は脳心血管疾患の徴候の一つである可能性が示されているとし、「喫煙や糖尿病はこれらの疾患のリスク因子であることから、喫煙や糖尿病が海馬の石灰化のリスク因子であっても不思議ではない」と話している。(HealthDay News 2018年6月12日)

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4HDN国内ニュース6月18日配信2

短い教育歴や生活習慣病は認知症のリスク因子か 日本人対象の症例対照研究で検討、富山大

日本人では、短い教育歴や糖尿病などの生活習慣病は認知症のリスク因子である可能性のあることが、富山大学大学院疫学・健康政策学教授の関根道和氏と中堀伸枝氏らの研究グループが実施した地域住民を対象とした症例対照研究により明らかとなった。詳細は「BMC Geriatrics」4月27日オンライン版に掲載された。

欧米の研究では、教育歴や職歴などの社会経済的因子と認知症リスクの関連が明らかになっている。また、社会経済的地位が低いと認知症リスクが上昇するという関係には、生活習慣因子や糖尿病などの生活習慣病が介在すると考えられている。

研究グループは、2014年に実施された富山県認知症高齢者実態調査のデータを用いて分析を行った。同調査は、同県在住の65歳以上の高齢者1,537人を無作為に抽出し、同意が得られた1,303人(回答率84.8%)を対象としたもの。今回の研究では、認知症患者137人と認知症のない1,039人(対照群)を対象に、病歴や生活習慣に関する因子(喫煙歴、飲酒習慣など)、社会経済的因子(教育歴および職歴)と認知症との関係を調べた。

年齢と性を調整して教育歴と認知症の発症リスクとの関係をロジスティック回帰分析で検討したところ、教育歴が短い(6年以下)人では、教育歴が長い(10年以上)人と比べて認知症リスクは3.27倍であった。さらに、生活習慣因子や病歴、職歴で調整して解析すると、認知症リスクは3.23~3.56倍に上昇したと、研究グループは報告している。

また、認知症リスクの上昇と有意に関連する因子として男性、高齢(85歳以上)、習慣的な飲酒習慣、糖尿病やパーキンソン病、脳卒中、狭心症および心血管疾患の既往歴が挙げられた。認知症リスクは、糖尿病があると2.03倍、脳卒中の既往があると2.59倍、狭心症や心筋梗塞の既往があると1.81倍であった。

さらに、今回の研究では、教育歴および職歴と、喫煙や飲酒などの生活習慣因子および生活習慣病との関係は認められず、社会経済的地位の低さと認知症リスクの関係に対する生活習慣病の媒介効果は最小限にとどまることが示された。

これらの結果から、研究グループは「生活習慣病は教育歴とは独立した認知症のリスクであると考えられ、認知症予防には糖尿病や心筋梗塞などの生活習慣病の管理が重要になると思われる」と話している。(HealthDay News 2018年6月18日)

Abstract/Full Text
https://bmcgeriatr.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12877-018-0791-6

Press Release
https://www.u-toyama.ac.jp/outline/publicity/pdf/2018/20180523.pdf

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4HDN国内ニュース6月18日配信

生活習慣病とADL低下は認知症リスク因子の可能性 日本人の大規模オンライン調査結果

国立精神・神経医療研究センター(NCNP)などの研究グループが実施した大規模調査から、「風呂に入る」「洋服を着る」などの日常生活動作(ADL)に支障が出ることと、糖尿病やがんの既往、抑うつ、慢性的な痛み、聴力の損失は認知症のリスク因子である可能性のあることが分かった。研究を率いたNCNP脳病態統合イメージングセンターのセンター長を務める松田博史氏は「認知症の予防には、日常生活レベルを保つために社会活動に積極的に参加すること、そして生活習慣病の予防や治療を適切に行うことが不可欠だ」と話している。詳細は「PLOS ONE」5月17日オンライン版に掲載された。

2015年の厚生労働省の発表によると、日本の認知症患者数は2025年までに700万人を突破すると推計され、早急な対策が求められている。一方で、認知症、中でもアルツハイマー病(AD)の根治薬の開発が困難を極める中、軽度認知障害(MCI)や早期ADの患者を対象とした臨床試験を行うためにも効率的な患者の登録方法の確立が求められている。

こうした背景の中、2016年7月に、日本医療研究開発機構(AMED)の支援により、NCNPなどは認知症の発症予防を目指したインターネット健常者登録システム(IROOP)の運用を開始した。認知症予防を目的に、公的機関が主導して40歳以上の健康な男女を対象に数万人規模のインターネット登録システムを運用するのは日本で初めて。研究グループは今回、IROOPの登録者を対象に、認知機能の低下と関連する因子について調べた。

対象は、2017年8月までに初回の全ての質問票に回答し、10単語記憶検査を完了した1,038人(平均年齢59.0±10.4歳、男性400人)と追跡時に行った質問票に回答し、2回目の10単語記憶検査を完了した353人(同60.2±10.0歳、男性139人)。質問票では健康状態全般や気分、QOL(生活の質)、睡眠習慣、食習慣、病歴、現在抱えている疾患などについて尋ね、10単語記憶検査から得られた記憶機能の指数(memory performance index;MPI)と関連する質問項目を調べた。

ステップワイズ重回帰分析の結果、「風呂に入る」「洋服を着る」「スケジュールを立てる」などのADLの支障度とそれに伴う気分の落ち込み、意欲の低下が認知機能の低下と関連する因子であることが分かった。さらに、糖尿病やがん、頭部外傷の既往、慢性的な痛み、聴力を失うことが認知症のリスク因子として浮かび上がった。

これらの結果から、研究グループは「日常生活が難しくなると自宅に引きこもりがちになるため、社会活動への参加は認知症予防につながると考えられる。また、認知症にならないためには、糖尿病などの生活習慣病の予防が重要であることも示された」と結論づけている。IROOPでは今後も半年ごとにアンケートを実施したり認知機能検査を無料で提供し、データ分析も行う予定だという。(HealthDay News 2018年6月18日)

Abstract/Full Text
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0197466

Press Release
https://www.ncnp.go.jp/press/release.html?no=414

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