世界13カ国にわたる多施設の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者データを統合して解析した結果から、COVID-19に見られる神経学的症状の特徴が報告された。また入院中の神経学的症状の発症と、院内死亡リスクが有意に相関することが分かった。研究結果の詳細は米ピッツバーグ大学のSherry Hsiang-Yi Chou氏らにより、「JAMA Network Open」に5月11日、論文発表された。. COVID-19患者にさまざまな神経学的症状が好発することは既に知られているが、それらの発症頻度や発症した場合の生命予後への影響は不明。Chou氏らはこの点について、欧州神経医学会(EAN)のレジストリなど3件のCOVID-19関連神経学的症状に関する多国籍コホート研究のデータを統合して検討した。それらのコホート研究には、4大陸13カ国28施設、計3,744人の患者データが含まれていた。. 検討の結果、解析対象の82%に当たる3,083人に、何らかの神経学的症状が記録されていた。自覚症状としては、頭痛(37%)や嗅覚・味覚障害(26%)が多く見られた。一方、他覚所見や神経系疾患としては、急性脳症の49%が多く、昏睡17%、脳卒中6%と続いた。髄膜炎・脳炎の報告は0.5%にとどまっていた。. 3件のコホート研究の中で登録者数が最大(3,055人)の研究データの解析から、神経学的症状を呈した患者は院内死亡リスクが高いことが明らかになった。具体的には、年齢、性別、人種/民族、地域を調整後、他覚所見や神経系疾患の見られた患者の院内死亡の調整オッズ比(aOR)は5.99(95%信頼区間4.33~8.28)だった。なお、神経学的自覚症状に関しては、頭痛がaOR0.33(同0.24~0.44)と、院内死亡リスクの低下と関連していた。嗅覚・味覚障害はaOR0.81(同0.62~1.07)で非有意だった。. 続いて3件のコホートのデータを統合して前記同様の交絡因子で調整後、入院中に神経学的症状を新たに発症するリスクと関連する因子を検討。その結果、高齢(10歳ごとにaOR1.41、同1.34~1.48)、男性(aOR1.53、同1.30~1.82)、およびCOVID-19罹患以前から存在する神経学的症状(aOR2.23、同1.80~2.75)が有意な因子として抽出された。. これらの結果を基に著者らは、「COVID-19入院患者の多くが神経学的症状を呈しているという実態が明らかになった。さらに入院中に神経学的症状が見られた場合や、中でも神経系疾患を発症した場合は特に院内死亡率が上昇すると考えられる」と結論付けている。また、神経学的症状はCOVID-19の治療終了後にも遷延しやすいことに関連して、「パンデミック終息後にも、数百万人ものサバイバーがわれわれの助けを必要とするのではないか。それらの患者が直面している症状や健康上の問題の特定とその対処法の確立には、このさき数年間に及ぶ研究が必要だろう」と述べている。. なお、2名の著者が製薬・医療機器企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2021年5月13日).https://consumer.healthday.com/neurologic-manifest….Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
世界13カ国にわたる多施設の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者データを統合して解析した結果から、COVID-19に見られる神経学的症状の特徴が報告された。また入院中の神経学的症状の発症と、院内死亡リスクが有意に相関することが分かった。研究結果の詳細は米ピッツバーグ大学のSherry Hsiang-Yi Chou氏らにより、「JAMA Network Open」に5月11日、論文発表された。. COVID-19患者にさまざまな神経学的症状が好発することは既に知られているが、それらの発症頻度や発症した場合の生命予後への影響は不明。Chou氏らはこの点について、欧州神経医学会(EAN)のレジストリなど3件のCOVID-19関連神経学的症状に関する多国籍コホート研究のデータを統合して検討した。それらのコホート研究には、4大陸13カ国28施設、計3,744人の患者データが含まれていた。. 検討の結果、解析対象の82%に当たる3,083人に、何らかの神経学的症状が記録されていた。自覚症状としては、頭痛(37%)や嗅覚・味覚障害(26%)が多く見られた。一方、他覚所見や神経系疾患としては、急性脳症の49%が多く、昏睡17%、脳卒中6%と続いた。髄膜炎・脳炎の報告は0.5%にとどまっていた。. 3件のコホート研究の中で登録者数が最大(3,055人)の研究データの解析から、神経学的症状を呈した患者は院内死亡リスクが高いことが明らかになった。具体的には、年齢、性別、人種/民族、地域を調整後、他覚所見や神経系疾患の見られた患者の院内死亡の調整オッズ比(aOR)は5.99(95%信頼区間4.33~8.28)だった。なお、神経学的自覚症状に関しては、頭痛がaOR0.33(同0.24~0.44)と、院内死亡リスクの低下と関連していた。嗅覚・味覚障害はaOR0.81(同0.62~1.07)で非有意だった。. 続いて3件のコホートのデータを統合して前記同様の交絡因子で調整後、入院中に神経学的症状を新たに発症するリスクと関連する因子を検討。その結果、高齢(10歳ごとにaOR1.41、同1.34~1.48)、男性(aOR1.53、同1.30~1.82)、およびCOVID-19罹患以前から存在する神経学的症状(aOR2.23、同1.80~2.75)が有意な因子として抽出された。. これらの結果を基に著者らは、「COVID-19入院患者の多くが神経学的症状を呈しているという実態が明らかになった。さらに入院中に神経学的症状が見られた場合や、中でも神経系疾患を発症した場合は特に院内死亡率が上昇すると考えられる」と結論付けている。また、神経学的症状はCOVID-19の治療終了後にも遷延しやすいことに関連して、「パンデミック終息後にも、数百万人ものサバイバーがわれわれの助けを必要とするのではないか。それらの患者が直面している症状や健康上の問題の特定とその対処法の確立には、このさき数年間に及ぶ研究が必要だろう」と述べている。. なお、2名の著者が製薬・医療機器企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2021年5月13日).https://consumer.healthday.com/neurologic-manifest….Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.