ニコチンを含む電子タバコの吸引によって血栓形成のリスクが有意に上昇し、血圧や心拍数も上昇するというデータが、欧州呼吸器学会(ERS2021、9月5~8日、オンライン開催)で発表された。ヘルシンボルグ病院(スウェーデン)の臨床医で、カロリンスカ研究所(同)の研究者であるGustaf Lyytinen氏らが行った二重盲検無作為化クロスオーバー試験の結果であり、「ニコチンを含む電子タバコは従来型のタバコと同様に、長期間の利用によって心臓発作や脳卒中のリスクを高める可能性がある」と同氏は懸念を表している。. Lyytinen氏らの研究の対象は、喫煙以外のリスク因子のない18~45歳の健康な22人の成人。ニコチンを含む電子タバコと含まない電子タバコを30回吸引してもらい、吸引前と吸引15分後、60分後に採血をして、血栓形成能解析システムにより血栓のできやすさを評価した。両条件の試行には1週間以上のウォッシュアウト期間を設けた。. その結果、ニコチンを含む電子タバコでは、吸引15分後に血栓形成能が23%有意に上昇することが明らかになった。60分後の血栓形成能は、吸入前の値と同レベルに戻っていた。同時に測定した心拍数は66bpmから73bpmに増加し、また平均血圧は吸入前の108mmHgから117mmHgに上昇していた。さらに、レーザーイメージング技術を用いて評価した血管拡張能も、吸引30分後に有意に低下することが分かった。. これらの変化は、ニコチンを含まない電子タバコの吸引後には認められなかった。この結果についてLyytinen氏は、「ニコチンはアドレナリンなどのホルモン分泌を刺激することが知られており、それによって血栓ができる確率を高める可能性がある」との考察を加えている。. 米レノックス・ヒル病院の呼吸器専門医であるLen Horovitz氏は、この新たな研究発表を驚くことなく受け止めている。同氏は、「従来型のタバコか電子タバコかにかかわらず、ニコチンは心臓発作や脳卒中を引き起こす可能性があり、電子タバコが従来型のタバコより安全だと考えるべきではない」としている。. 米ノースウェル・ヘルスで喫煙関連医療を統括しているPatricia Folan氏も、「電子タバコの吸引は無害とはほど遠い」と、Horovitz氏に同意。同氏によると、「多くの電子タバコが特に新たな規制を受けることなく市場に投入された」といい、「喫煙者の禁煙を支援する上で電子タバコが安全かつ有効なのかという点について、まだ何もエビデンスを得られていない」という。. またFolan氏は、電子タバコが禁煙の妨げとなるとも指摘している。「電子タバコの吸引が禁煙の一助になると考えている喫煙者もいるかもしれない。しかしそのような試みをする喫煙者は、しばしば従来型のタバコと電子タバコ両方のデュアルユーザー(二重使用者)になってしまい、禁煙は成功しない」とのことだ。. なお、学会発表された研究結果は、一般に査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2021年9月7日).https://consumer.healthday.com/sb-9-7-vaping-raise….Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
ニコチンを含む電子タバコの吸引によって血栓形成のリスクが有意に上昇し、血圧や心拍数も上昇するというデータが、欧州呼吸器学会(ERS2021、9月5~8日、オンライン開催)で発表された。ヘルシンボルグ病院(スウェーデン)の臨床医で、カロリンスカ研究所(同)の研究者であるGustaf Lyytinen氏らが行った二重盲検無作為化クロスオーバー試験の結果であり、「ニコチンを含む電子タバコは従来型のタバコと同様に、長期間の利用によって心臓発作や脳卒中のリスクを高める可能性がある」と同氏は懸念を表している。. Lyytinen氏らの研究の対象は、喫煙以外のリスク因子のない18~45歳の健康な22人の成人。ニコチンを含む電子タバコと含まない電子タバコを30回吸引してもらい、吸引前と吸引15分後、60分後に採血をして、血栓形成能解析システムにより血栓のできやすさを評価した。両条件の試行には1週間以上のウォッシュアウト期間を設けた。. その結果、ニコチンを含む電子タバコでは、吸引15分後に血栓形成能が23%有意に上昇することが明らかになった。60分後の血栓形成能は、吸入前の値と同レベルに戻っていた。同時に測定した心拍数は66bpmから73bpmに増加し、また平均血圧は吸入前の108mmHgから117mmHgに上昇していた。さらに、レーザーイメージング技術を用いて評価した血管拡張能も、吸引30分後に有意に低下することが分かった。. これらの変化は、ニコチンを含まない電子タバコの吸引後には認められなかった。この結果についてLyytinen氏は、「ニコチンはアドレナリンなどのホルモン分泌を刺激することが知られており、それによって血栓ができる確率を高める可能性がある」との考察を加えている。. 米レノックス・ヒル病院の呼吸器専門医であるLen Horovitz氏は、この新たな研究発表を驚くことなく受け止めている。同氏は、「従来型のタバコか電子タバコかにかかわらず、ニコチンは心臓発作や脳卒中を引き起こす可能性があり、電子タバコが従来型のタバコより安全だと考えるべきではない」としている。. 米ノースウェル・ヘルスで喫煙関連医療を統括しているPatricia Folan氏も、「電子タバコの吸引は無害とはほど遠い」と、Horovitz氏に同意。同氏によると、「多くの電子タバコが特に新たな規制を受けることなく市場に投入された」といい、「喫煙者の禁煙を支援する上で電子タバコが安全かつ有効なのかという点について、まだ何もエビデンスを得られていない」という。. またFolan氏は、電子タバコが禁煙の妨げとなるとも指摘している。「電子タバコの吸引が禁煙の一助になると考えている喫煙者もいるかもしれない。しかしそのような試みをする喫煙者は、しばしば従来型のタバコと電子タバコ両方のデュアルユーザー(二重使用者)になってしまい、禁煙は成功しない」とのことだ。. なお、学会発表された研究結果は、一般に査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2021年9月7日).https://consumer.healthday.com/sb-9-7-vaping-raise….Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.