2型糖尿病の「寛解」に関するコンセンサスレポートがまとめられた。薬物療法中止後3カ月以上、HbA1c6.5%未満が維持されている場合を寛解と定義するとしている。米オレゴン健康科学大学のMatthew C. Riddle氏らによる論文が、「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」に8月30日掲載された。糖尿病の早期診断や治療の進歩により、2型糖尿病の寛解が増加していると考えられる。しかしこれまでは、どのような状態を寛解とするかについてのコンセンサスがなく、寛解達成状況の把握や長期予後との関連などの研究において支障となっていた。この状況に対して、国際的な専門家グループが米国糖尿病学会(ADA)によって招集され検討が行われ、その結論がコンセンサスレポートとして発表された。レポートの作成にかかわったメンバーには、米国内分泌学会、欧州糖尿病学会、英国糖尿病学会などからの代表が含まれている。コンセンサスレポートの主な内容は以下の通り。2型糖尿病患者の糖代謝がほぼ正常なレベルに改善し、それが持続している状態を表す用語としては、「寛解(remission)」が使われるべきである。寛解とは、薬物療法を行っていない状態で少なくとも3カ月間、HbA1c6.5%未満が持続している状態と定義する。血糖管理状態を把握する上でHbA1cの信頼性が不十分と判断されるケースでは、連続血糖測定(CGM)の結果から計算された空腹時血糖値126mg/dL未満、またはHbA1c6.5%未満を代替基準として用いる。寛解に至った後、その状態が維持されているかを確認するため、糖尿病の潜在的な合併症に対して日常的に推奨される検査とともに、少なくとも年に一度は検査を施行する必要がある。このほか、生活習慣への介入による効果発現には時間を要すること、および血糖管理状態の改善がHbA1cの低下として現れるまでにタイムラグがあることから、介入開始後6カ月以上経過していることも、寛解の判定に必要としている。Riddle氏は今回のコンセンサスレポート作成について、「これらの内容は、2型糖尿病が寛解した患者の診察を続けている臨床医に対してのわれわれからの提案である。われわれはまた、寛解の予測因子や寛解後の予後などの臨床上の疑問や満たされていないニーズについても話し合った」と述べている。臨床上の疑問の具体的な例として論文には、寛解中の血糖以外の血管障害リスク因子への介入をどのように行うか、あるいは、糖尿病前症から糖尿病への移行を遅延させるエビデンスがあるメトホルミンを用いるべきか、などが挙げられている。なお、数人の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2021年9月7日)https://consumer.healthday.com/consensus-statement….Abstract/Full Text.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
2型糖尿病の「寛解」に関するコンセンサスレポートがまとめられた。薬物療法中止後3カ月以上、HbA1c6.5%未満が維持されている場合を寛解と定義するとしている。米オレゴン健康科学大学のMatthew C. Riddle氏らによる論文が、「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」に8月30日掲載された。糖尿病の早期診断や治療の進歩により、2型糖尿病の寛解が増加していると考えられる。しかしこれまでは、どのような状態を寛解とするかについてのコンセンサスがなく、寛解達成状況の把握や長期予後との関連などの研究において支障となっていた。この状況に対して、国際的な専門家グループが米国糖尿病学会(ADA)によって招集され検討が行われ、その結論がコンセンサスレポートとして発表された。レポートの作成にかかわったメンバーには、米国内分泌学会、欧州糖尿病学会、英国糖尿病学会などからの代表が含まれている。コンセンサスレポートの主な内容は以下の通り。2型糖尿病患者の糖代謝がほぼ正常なレベルに改善し、それが持続している状態を表す用語としては、「寛解(remission)」が使われるべきである。寛解とは、薬物療法を行っていない状態で少なくとも3カ月間、HbA1c6.5%未満が持続している状態と定義する。血糖管理状態を把握する上でHbA1cの信頼性が不十分と判断されるケースでは、連続血糖測定(CGM)の結果から計算された空腹時血糖値126mg/dL未満、またはHbA1c6.5%未満を代替基準として用いる。寛解に至った後、その状態が維持されているかを確認するため、糖尿病の潜在的な合併症に対して日常的に推奨される検査とともに、少なくとも年に一度は検査を施行する必要がある。このほか、生活習慣への介入による効果発現には時間を要すること、および血糖管理状態の改善がHbA1cの低下として現れるまでにタイムラグがあることから、介入開始後6カ月以上経過していることも、寛解の判定に必要としている。Riddle氏は今回のコンセンサスレポート作成について、「これらの内容は、2型糖尿病が寛解した患者の診察を続けている臨床医に対してのわれわれからの提案である。われわれはまた、寛解の予測因子や寛解後の予後などの臨床上の疑問や満たされていないニーズについても話し合った」と述べている。臨床上の疑問の具体的な例として論文には、寛解中の血糖以外の血管障害リスク因子への介入をどのように行うか、あるいは、糖尿病前症から糖尿病への移行を遅延させるエビデンスがあるメトホルミンを用いるべきか、などが挙げられている。なお、数人の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2021年9月7日)https://consumer.healthday.com/consensus-statement….Abstract/Full Text.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock