乾癬と心血管疾患(CVD)が因果関係にある可能性を示した研究結果が、「Frontiers in Immunology」に6月29日掲載された。.乾癬患者ではCVDリスクの高いことが、これまで数多くの観察研究で示されてきた。しかし、そうした研究の多くでは交絡因子の調整が不十分であり、乾癬が直接的な原因となってCVDリスクが上昇しているのか否かについては明確になっていない。そこで、浙江大学(中国)医学院附属第二医院のNing Gao氏らは今回、ゲノム情報を用いた操作変数法を利用して、この因果関係を調べた。.Gao氏らはまず、ヨーロッパ系の人々の乾癬に関するゲノムワイド関連解析(GWAS)の要約統計量をFinnGenから入手した(症例4,510人、対照21万2,242人)。次に、アウトカムとした、心不全(HF;症例4万7,309人、対照93万14人)、心房細動(AF;症例6万5,446人、対照52万2,744人)、心筋梗塞(MI;症例6万801人、対照12万3,504人)、心臓弁膜症(VHD;症例1,606人、対照35万9,588人)、脳主幹動脈閉塞症(LAS;症例4,373人)、心原性脳塞栓症(CES;症例9,006人)、小血管病変による脳卒中(SVS;症例5,386人)の7種類のCVDについても、それぞれのGWASデータを得た。その上で乾癬と有意(P<5×10−8)に関連する一塩基多型(SNP)を選び出し、これらを操作変数とした逆分散加重(IVW)法によるメンデルランダム化(MR)解析により、乾癬とCVDの潜在的な因果関係を調べた。.固定効果IVW法によるMR解析の結果、乾癬患者では対照に比べてHF〔オッズ比(OR)1.04、95%信頼区間(CI)1.01〜1.06、P=2.72E−03〕、AF(同1.04、1.02〜1.07、P=2.12E−04)、MI(同1.07、1.01〜1.12、P=1.00E−02)、VHD(同1.001、1.000〜1.002、P=1.85E−03)、LAS(同1.11、1.05〜1.17、P=1.07E−04)の有病率が有意に高かった。CESとSVSの有病率については、乾癬患者と対照の間で有意差は認められなかった(CES:同1.03、0.98〜1.07、P=2.70E−01、SVS:同1.00、0.95〜1.07、P=8.80E−01)。感度分析(コクランのQ検定、MR-Egger法、Leave-one-out感度分析)で検討した水平多面性と不均一性に対するエビデンスは弱く、固定効果IVW法によるMR解析により得られた結果の安定性が確認された。.著者らは、「この研究結果は、乾癬とCVDとの間の潜在的な因果関係に関するエビデンスとなるものだ。観察研究からのエビデンスと併せて考察すると、乾癬患者に対しては、早期に心血管リスクの評価と予防を進めるべきであり、それにより個々の患者に応じた治療をできる限り速やかに導入することも可能になるだろう」と結論付けている。(HealthDay News 2022年8月11日).https://consumer.healthday.com/causal-link-suggested-for-psoriasis-cardiovascular-disease-2657839717.html.Abstract/Full Text