統合失調症患者の左背外側前頭前野に対し非侵襲的脳刺激(non-invasive brain stimulation;NIBS)を与えると、陰性症状の重症度の有意な改善が得られるとするシステマティックレビューとネットワークメタアナリシスの結果が、「JAMA Psychiatry」に6月22日掲載された。.亜洲大学(台湾)のPing-Tao Tseng氏らは、論文データベースを用いて統合失調症とNIBSに関するランダム化比較試験(RCT)を検索し、陰性症状に対するさまざまなNIBSの有効性と受容性(アクセプタビリティ)をシステマティックレビューとネットワークメタアナリシスで比較検討した。解析の対象として、最終的に2,211人(平均年齢38.7歳、女性が占める割合の平均30.6%)の対象者から成る48件のRCTが選出された。.各RCTからNIBS後の陰性症状の変化と受容性(ドロップアウト率)を抽出し、連続データは標準化平均差(SMD)と95%信頼区間(CI)で、カテゴリカルデータはオッズ比(OR)と95%CIで、それぞれ要約した。ペアワイズメタアナリシスとネットワークメタアナリシスの手順は全て、それぞれランダム効果モデルとfrequentist modelを用いて行った。ネットワークメタアナリシスでの直接比較および間接比較には、一般化線形混合モデルを用いた。着目したアウトカムに対するNIBSの有効性の確率をSUCRA(surface under the cumulative ranking curve)を計算してランク付けした。.その結果、対側の脳領域に対する他の抑制性の刺激プロトコルの有無にかかわらず、左背外側前頭前野に対する、以下に挙げる興奮性NIBSは、シャム刺激と比べて、陰性症状の重症度の有意な改善と関連することが明らかになった。SMDは、ハイデフィニション(高精細度)経頭蓋ランダムノイズ刺激(hd-tRNS)で−2.19(95%CI −3.36〜−1.02)、断続的なシータバースト刺激(iTBS)で−1.32(同−1.88〜−0.76)、F3Fp1が陽極の経頭蓋陽極直流電気刺激(a-tDCS)とF4Fp2が陰極の経頭蓋陰極直流電気刺激(c-tDCS)の組合せで−1.29(同−2.27~−0.31)、F3が陽極のa-tDCSとFp2が陰極のc-tDCSの組合せで−1.28(同−2.55〜−0.02)、高周波反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)で−0.43(同−0.68〜−0.18)、超高周波rTMSで−0.45(同−0.79〜−0.12)だった。受容性については、シャム刺激群と比べて有意差が認められた興奮性NIBSはなかった。SUCRAの結果では、有効性の確率が最も高かったのはhd-tRNS(SUCRA 2.4)で、iTBS(同12.4)、F3Fp1が陽極のa-tDCSとF4Fp2が陰極のc-tDCSの組合せ(同15.7)がそれに続いた。.著者らは、「今回の結果をきっかけとし、今後、NIBSと統合失調症の陰性症状との関連を、シャム刺激を対照として検討する、追跡期間をさらに長くした大規模RCTが実施されることになるかもしれない」と述べている。(HealthDay News 2022年9月20日).https://consumer.healthday.com/excitatory-nibs-protocols-beneficial-in-schizophrenia-2658278007.html.Abstract/Full Texthttps://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry/article-abstract/2793707.Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
統合失調症患者の左背外側前頭前野に対し非侵襲的脳刺激(non-invasive brain stimulation;NIBS)を与えると、陰性症状の重症度の有意な改善が得られるとするシステマティックレビューとネットワークメタアナリシスの結果が、「JAMA Psychiatry」に6月22日掲載された。.亜洲大学(台湾)のPing-Tao Tseng氏らは、論文データベースを用いて統合失調症とNIBSに関するランダム化比較試験(RCT)を検索し、陰性症状に対するさまざまなNIBSの有効性と受容性(アクセプタビリティ)をシステマティックレビューとネットワークメタアナリシスで比較検討した。解析の対象として、最終的に2,211人(平均年齢38.7歳、女性が占める割合の平均30.6%)の対象者から成る48件のRCTが選出された。.各RCTからNIBS後の陰性症状の変化と受容性(ドロップアウト率)を抽出し、連続データは標準化平均差(SMD)と95%信頼区間(CI)で、カテゴリカルデータはオッズ比(OR)と95%CIで、それぞれ要約した。ペアワイズメタアナリシスとネットワークメタアナリシスの手順は全て、それぞれランダム効果モデルとfrequentist modelを用いて行った。ネットワークメタアナリシスでの直接比較および間接比較には、一般化線形混合モデルを用いた。着目したアウトカムに対するNIBSの有効性の確率をSUCRA(surface under the cumulative ranking curve)を計算してランク付けした。.その結果、対側の脳領域に対する他の抑制性の刺激プロトコルの有無にかかわらず、左背外側前頭前野に対する、以下に挙げる興奮性NIBSは、シャム刺激と比べて、陰性症状の重症度の有意な改善と関連することが明らかになった。SMDは、ハイデフィニション(高精細度)経頭蓋ランダムノイズ刺激(hd-tRNS)で−2.19(95%CI −3.36〜−1.02)、断続的なシータバースト刺激(iTBS)で−1.32(同−1.88〜−0.76)、F3Fp1が陽極の経頭蓋陽極直流電気刺激(a-tDCS)とF4Fp2が陰極の経頭蓋陰極直流電気刺激(c-tDCS)の組合せで−1.29(同−2.27~−0.31)、F3が陽極のa-tDCSとFp2が陰極のc-tDCSの組合せで−1.28(同−2.55〜−0.02)、高周波反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)で−0.43(同−0.68〜−0.18)、超高周波rTMSで−0.45(同−0.79〜−0.12)だった。受容性については、シャム刺激群と比べて有意差が認められた興奮性NIBSはなかった。SUCRAの結果では、有効性の確率が最も高かったのはhd-tRNS(SUCRA 2.4)で、iTBS(同12.4)、F3Fp1が陽極のa-tDCSとF4Fp2が陰極のc-tDCSの組合せ(同15.7)がそれに続いた。.著者らは、「今回の結果をきっかけとし、今後、NIBSと統合失調症の陰性症状との関連を、シャム刺激を対照として検討する、追跡期間をさらに長くした大規模RCTが実施されることになるかもしれない」と述べている。(HealthDay News 2022年9月20日).https://consumer.healthday.com/excitatory-nibs-protocols-beneficial-in-schizophrenia-2658278007.html.Abstract/Full Texthttps://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry/article-abstract/2793707.Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock