米国におけるlong COVIDの実態が報告された。重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染既往者の15%がlong COVIDに該当するという。また、年齢や性別、教育歴、居住地域などがlong COVIDリスクに関連のあることも報告された。米マサチューセッツ総合病院のRoy H. Perlis氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に10月27日掲載された。.Perlis氏らの研究は、全米50州とコロンビア特別区の住民を対象とする大規模なインターネット調査「COVID States Project」のデータを用いて行われた。Long COVIDは、PCR検査または抗原検査でSARS-CoV-2陽性とされたことを自己申告し、かつCOVID-19発症から2カ月を超えて何らかの症状を有することと定義した。.解析対象者数は1万6,091人で、平均年齢は40.5±15.2歳、女性62.6%であり、71.0%が白人で、アジア人は5.1%含まれていた。全体の2,359人(14.7%)がlong COVIDに該当した。人口構成で調整すると、米国成人のlong COVID有病率は1.7%であり、SARS-CoV-2感染既往者の13.9%が該当すると計算された。.社会人口統計学的因子を調整後のロジスティック回帰モデルにて、long COVIDのリスクと有意な関連のある因子として、年齢や性別、所得水準などが浮かび上がった。具体的には以下の通り。.まず年齢に関しては、40歳以上で10歳高齢であるごとにオッズ比(OR)1.15(95%信頼区間1.12~1.19)であり、性別では女性〔OR1.91(同1.73~2.13)〕のリスクが高かった。人種/民族では、アジア人を基準として、白人〔OR1.70(1.32~2.23)〕、ヒスパニック〔OR1.42(1.07~1.91)〕はリスクが高く、黒人はリスクに有意差がなかった〔OR1.08(0.80~1.48)〕。.このほか、教育歴〔高卒以下に対して大卒はOR0.67(0.56~0.79)〕、居住地域〔地方に対して都市はOR0.74(0.64~0.86)〕、収入〔2万5,000ドル未満に対して7万5,000~15万ドル未満はOR0.80(0.69~0.91)、15万ドル以上ではOR0.76(0.62~0.93)〕との有意な関連も認められた。また、COVID-19罹患前にワクチンの初回接種を完了していた人は、OR0.72(0.60~0.86)と有意に低リスクだった。.Long COVID該当者での有訴者率の高い症状は、倦怠感(52.2%)、嗅覚障害(43.7%)、ブレインフォグ(40.4%)、呼吸困難(39.7%)、頭痛(33.6%)、睡眠障害(30.0%)などだった。また、以下の症状については有訴者率に有意な性差が観察され、いずれも女性に多く見られた。嗅覚障害、ブレインフォグ、記憶力低下、睡眠障害、不安(以上はP<0.001)、頭痛(P=0.003)、めまい(P=0.004)、倦怠感(P=0.008)。.著者らは、「本研究によりlong COVIDの有病率の高さが明らかになった。とくに高齢者と女性でそのリスクが高い。一方でワクチン接種がlong COVIDリスクを抑制する可能性が示唆された」と述べている。(HealthDay News 2022年10月28日).https://consumer.healthday.com/long-covid-prevalent-in-u-s-adults-with-prior-covid-19-infection-2658512934.html.Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
米国におけるlong COVIDの実態が報告された。重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染既往者の15%がlong COVIDに該当するという。また、年齢や性別、教育歴、居住地域などがlong COVIDリスクに関連のあることも報告された。米マサチューセッツ総合病院のRoy H. Perlis氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に10月27日掲載された。.Perlis氏らの研究は、全米50州とコロンビア特別区の住民を対象とする大規模なインターネット調査「COVID States Project」のデータを用いて行われた。Long COVIDは、PCR検査または抗原検査でSARS-CoV-2陽性とされたことを自己申告し、かつCOVID-19発症から2カ月を超えて何らかの症状を有することと定義した。.解析対象者数は1万6,091人で、平均年齢は40.5±15.2歳、女性62.6%であり、71.0%が白人で、アジア人は5.1%含まれていた。全体の2,359人(14.7%)がlong COVIDに該当した。人口構成で調整すると、米国成人のlong COVID有病率は1.7%であり、SARS-CoV-2感染既往者の13.9%が該当すると計算された。.社会人口統計学的因子を調整後のロジスティック回帰モデルにて、long COVIDのリスクと有意な関連のある因子として、年齢や性別、所得水準などが浮かび上がった。具体的には以下の通り。.まず年齢に関しては、40歳以上で10歳高齢であるごとにオッズ比(OR)1.15(95%信頼区間1.12~1.19)であり、性別では女性〔OR1.91(同1.73~2.13)〕のリスクが高かった。人種/民族では、アジア人を基準として、白人〔OR1.70(1.32~2.23)〕、ヒスパニック〔OR1.42(1.07~1.91)〕はリスクが高く、黒人はリスクに有意差がなかった〔OR1.08(0.80~1.48)〕。.このほか、教育歴〔高卒以下に対して大卒はOR0.67(0.56~0.79)〕、居住地域〔地方に対して都市はOR0.74(0.64~0.86)〕、収入〔2万5,000ドル未満に対して7万5,000~15万ドル未満はOR0.80(0.69~0.91)、15万ドル以上ではOR0.76(0.62~0.93)〕との有意な関連も認められた。また、COVID-19罹患前にワクチンの初回接種を完了していた人は、OR0.72(0.60~0.86)と有意に低リスクだった。.Long COVID該当者での有訴者率の高い症状は、倦怠感(52.2%)、嗅覚障害(43.7%)、ブレインフォグ(40.4%)、呼吸困難(39.7%)、頭痛(33.6%)、睡眠障害(30.0%)などだった。また、以下の症状については有訴者率に有意な性差が観察され、いずれも女性に多く見られた。嗅覚障害、ブレインフォグ、記憶力低下、睡眠障害、不安(以上はP<0.001)、頭痛(P=0.003)、めまい(P=0.004)、倦怠感(P=0.008)。.著者らは、「本研究によりlong COVIDの有病率の高さが明らかになった。とくに高齢者と女性でそのリスクが高い。一方でワクチン接種がlong COVIDリスクを抑制する可能性が示唆された」と述べている。(HealthDay News 2022年10月28日).https://consumer.healthday.com/long-covid-prevalent-in-u-s-adults-with-prior-covid-19-infection-2658512934.html.Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock