保護者の抑うつ症状の好転と、その子どもの喘息症状の改善は有意に関連し、かつ、両者には子どもの抑うつ症状の重症度が影響を与えているという研究結果が、「Journal of Allergy and Clinical Immunology」1月号に掲載された。.米テキサス大学サウスウエスタン医療センターのE. Sherwood Brown氏らは、大うつ病性障害を有する保護者205人(平均年齢38.6歳、女性98%)と、持続型の喘息を有する7~17歳のその子ども205人(平均年齢11.9歳、女児54.1%)を対象に、保護者がうつ病の寛解状態にあった期間の割合が、子どもの喘息症状改善の予測因子となり得るか否かを検討した。.対象者を4週ごとに52週にわたり観察し、17項目のハミルトンうつ病評価尺度(HRSD)を用いて保護者の抑うつ症状を評価した。子どもの喘息の評価には、喘息コントロールテスト(ACT)とその小児版(cACT)およびスパイロメトリーを用い、抑うつ症状の評価には小児抑うつ尺度(CDI)を用いた。cACT/ACT、CDI、予測1秒量に対する%(%EFV1.0)の変化を被説明変数とし、保護者が寛解状態にあった期間の割合(HRSDスコア≦7)に加え、保護者の年齢、人種、教育レベル、子どもの性別および年齢などを説明変数として、線形回帰分析を実施した。また、マルチレベル媒介分析により、子どもの抑うつ症状と服薬アドヒアランスが保護者の抑うつ症状と子どもの喘息症状とを媒介するか否かを調べた。.線形回帰分析の結果、保護者が寛解状態にあった期間の割合は、cACT/ACT、CDIおよび%EFV1.0それぞれの改善と有意に関連していた。また、マルチレベル媒介分析の結果、子どものCDIスコアは、保護者のHRSDスコアと子どもの喘息コントロールスコアのいずれも有意に媒介していたが、服薬アドヒアランスの媒介は有意ではなかった。.著者らは、「今回の結果から、保護者のうつ病は、その子どもの抑うつ症状をある程度介することで喘息コントロールを悪化させる可能性がある」と結論付けている。その上で、「今回の結果は臨床的に意義のあるもので、子どもの喘息症状を改善する目的で、保護者のうつ病とその子どものうつ病はいずれも治療対象となり得ると考えられる」と述べている。.なおBrown氏は、製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2022年11月7日).https://consumer.healthday.com/physician-s-briefing-asthma-2658586223.html.Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock