新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック中に、13~18歳の女性の摂食障害の診断件数が2倍以上に増加したとする報告が、「JAMA Network Open」に5月22日、レターとして掲載された。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院およびハーバード大学医学大学院のLoreen Straub氏らの研究によるもの。.この研究は、民間医療保険の請求データベースを利用した横断研究として実施された。2018年1月~2022年3月に受療行動のあった6~18歳の患者のうち、不安障害、注意欠陥多動障害(ADHD)、うつ病、摂食障害というメンタルヘルス(MH)疾患の占める割合の変化を、年齢と性別で層別化した上で、期間を以下の三つに区切って比較検討した。パンデミック以前の2018年1月~2020年3月、多くの学校で学校閉鎖が行われていたパンデミック初期の2020年4~9月、学校が再開され始めた2020年10月~2022年3月。.月当たりの6~18歳の患者数は平均約170万人であり、このうち平均44万722人(25.3±0.6%)が6~12歳女児、41万373人(23.6±0.6%)が13~18歳女子、46万1,331人(26.5±0.6%)が6~12歳男児、42万6,358人(24.5±0.7%)が13~18歳男子で占められていた。.13~18歳の女子ではパンデミック中に、検討対象とした前記の4種類のMH疾患の全てについて、その割合の有意な増加が観察された。また、MH疾患の診断はパンデミック以前から増加傾向にあったが、パンデミックとともに、うつ病を除く3疾患はその増加速度が有意に上昇していた。中でも最も顕著な変化は、摂食障害で認められた。2020年3月には1,065人(0.26%)であったものが、2020年10月には1,399人(0.36%)、2022年3月には2,058人(0.56%)を占め、約2倍以上に増加していた。.13~18歳の男子でも摂食障害の増加が観察されたが、2020年3月は114人(0.03%)、2022年3月は234人(0.06%)であり、絶対数は女子より少なかった。また、13~18歳の男子では、摂食障害以外の3疾患は、パンデミック前から有意な増加が認められなかった。.6~12歳の小児については、13~18歳に比べADHDを除きMH疾患の診断件数が少なかったが、摂食障害の有病率は13~18歳の群と同様の傾向が観察された。具体的には、女児では月当たり115人(0.03%)から189人(0.05%)に増加し、男児でも65人(0.01%)から118人(0.03%)に増加していた。.著者らは、「これらのデータは、COVID-19パンデミックとともに、思春期から青年期の女性のMH疾患の増加が加速していることを示している。社会的孤立やソーシャルメディアへの依存が増えていることの、根本的な要因を明らかにする緊急性が高まっているのではないか」と述べている。.なお、1人の著者が製薬企業との金銭的関係の存在を明らかにしている。(HealthDay News 2023年5月25日).https://consumer.healthday.com/physician-s-briefing-pandemic-adolescents-2660399017.html.Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック中に、13~18歳の女性の摂食障害の診断件数が2倍以上に増加したとする報告が、「JAMA Network Open」に5月22日、レターとして掲載された。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院およびハーバード大学医学大学院のLoreen Straub氏らの研究によるもの。.この研究は、民間医療保険の請求データベースを利用した横断研究として実施された。2018年1月~2022年3月に受療行動のあった6~18歳の患者のうち、不安障害、注意欠陥多動障害(ADHD)、うつ病、摂食障害というメンタルヘルス(MH)疾患の占める割合の変化を、年齢と性別で層別化した上で、期間を以下の三つに区切って比較検討した。パンデミック以前の2018年1月~2020年3月、多くの学校で学校閉鎖が行われていたパンデミック初期の2020年4~9月、学校が再開され始めた2020年10月~2022年3月。.月当たりの6~18歳の患者数は平均約170万人であり、このうち平均44万722人(25.3±0.6%)が6~12歳女児、41万373人(23.6±0.6%)が13~18歳女子、46万1,331人(26.5±0.6%)が6~12歳男児、42万6,358人(24.5±0.7%)が13~18歳男子で占められていた。.13~18歳の女子ではパンデミック中に、検討対象とした前記の4種類のMH疾患の全てについて、その割合の有意な増加が観察された。また、MH疾患の診断はパンデミック以前から増加傾向にあったが、パンデミックとともに、うつ病を除く3疾患はその増加速度が有意に上昇していた。中でも最も顕著な変化は、摂食障害で認められた。2020年3月には1,065人(0.26%)であったものが、2020年10月には1,399人(0.36%)、2022年3月には2,058人(0.56%)を占め、約2倍以上に増加していた。.13~18歳の男子でも摂食障害の増加が観察されたが、2020年3月は114人(0.03%)、2022年3月は234人(0.06%)であり、絶対数は女子より少なかった。また、13~18歳の男子では、摂食障害以外の3疾患は、パンデミック前から有意な増加が認められなかった。.6~12歳の小児については、13~18歳に比べADHDを除きMH疾患の診断件数が少なかったが、摂食障害の有病率は13~18歳の群と同様の傾向が観察された。具体的には、女児では月当たり115人(0.03%)から189人(0.05%)に増加し、男児でも65人(0.01%)から118人(0.03%)に増加していた。.著者らは、「これらのデータは、COVID-19パンデミックとともに、思春期から青年期の女性のMH疾患の増加が加速していることを示している。社会的孤立やソーシャルメディアへの依存が増えていることの、根本的な要因を明らかにする緊急性が高まっているのではないか」と述べている。.なお、1人の著者が製薬企業との金銭的関係の存在を明らかにしている。(HealthDay News 2023年5月25日).https://consumer.healthday.com/physician-s-briefing-pandemic-adolescents-2660399017.html.Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock