小児がんの成人サバイバーでは、記憶障害の晩期発症リスクが高いとの研究結果が「JAMA Network Open」に5月31日掲載された。.米セントジュード小児研究病院のNicholas S. Phillips氏らは、年齢を重ねた成人小児がん生存者が、彼らのきょうだい(232人)と比較して、神経認知障害の新規発症をより多く報告するかどうかを評価した。解析は、Childhood Cancer Survivor Studyに参加し、1970~1986年に小児がんの診断を受けた2,375人を対象とした。ベースライン時(診断から23.4年後)および追跡調査時(診断から35.0年後)の間に発症した神経認知障害を評価した。.解析の結果、ベースライン時に記憶障害が認められなかった生存者における追跡調査時の記憶障害の発症率は、きょうだいよりも高かった〔きょうだい7.8%、化学療法のみで治療された急性リンパ性白血病(ALL)の生存者14.0%、頭蓋照射(CRT)を受けたALLの生存者25.8%、中枢神経系(CNS)腫瘍の生存者34.7%、ホジキンリンパ腫の生存者16.6%〕。記憶障害の発症リスクは、CNS腫瘍の生存者ではCRTの施行と関連し(相対リスク1.97)、CRTを受けていないALLの生存者ではアルキル化剤の累積投与量8,000mg/m2以上と関連していた(同2.80)。.著者らは「これらの知見は、小児がんの成人サバイバーは、年齢とともに神経認知障害を新たに発症するリスクが高いこと、また、このような新たに発症する障害は、将来の神経認知機能低下、ひいては認知症の指標となり得ることを示唆している」と述べている。(HealthDay News 2023年6月2日).https://consumer.healthday.com/physician-s-briefing-aya-2660718470.html.Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
小児がんの成人サバイバーでは、記憶障害の晩期発症リスクが高いとの研究結果が「JAMA Network Open」に5月31日掲載された。.米セントジュード小児研究病院のNicholas S. Phillips氏らは、年齢を重ねた成人小児がん生存者が、彼らのきょうだい(232人)と比較して、神経認知障害の新規発症をより多く報告するかどうかを評価した。解析は、Childhood Cancer Survivor Studyに参加し、1970~1986年に小児がんの診断を受けた2,375人を対象とした。ベースライン時(診断から23.4年後)および追跡調査時(診断から35.0年後)の間に発症した神経認知障害を評価した。.解析の結果、ベースライン時に記憶障害が認められなかった生存者における追跡調査時の記憶障害の発症率は、きょうだいよりも高かった〔きょうだい7.8%、化学療法のみで治療された急性リンパ性白血病(ALL)の生存者14.0%、頭蓋照射(CRT)を受けたALLの生存者25.8%、中枢神経系(CNS)腫瘍の生存者34.7%、ホジキンリンパ腫の生存者16.6%〕。記憶障害の発症リスクは、CNS腫瘍の生存者ではCRTの施行と関連し(相対リスク1.97)、CRTを受けていないALLの生存者ではアルキル化剤の累積投与量8,000mg/m2以上と関連していた(同2.80)。.著者らは「これらの知見は、小児がんの成人サバイバーは、年齢とともに神経認知障害を新たに発症するリスクが高いこと、また、このような新たに発症する障害は、将来の神経認知機能低下、ひいては認知症の指標となり得ることを示唆している」と述べている。(HealthDay News 2023年6月2日).https://consumer.healthday.com/physician-s-briefing-aya-2660718470.html.Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock