若年者における前糖尿病から2型糖尿病への進展には肥満が関与していることが、「Journal of the Endocrine Society」に10月12日掲載された論文で報告された。一方で、前糖尿病の段階からメトホルミンを服用していた者では、2型糖尿病への進展速度が遅いことも分かった。.米ヴァンダービルト大学医学部のNatasha Belsky氏らは、同大学医療センター小児前糖尿病クリニックを2015年5月17日から2022年8月30日までの間に受診した18歳以下の前糖尿病患者552人を対象に、後ろ向きチャートレビューを実施。前糖尿病から2型糖尿病へと進展するリスク因子の同定を試みた。空腹時血糖値100mg/dL以上、随時血糖値150mg/dL以上またはHbA1c値5.9%以上の基準を満たした者を対象とし、初診時に1型糖尿病または2型糖尿病だった者は除外した。連続変数にはStudent t検定、カテゴリー変数にはフィッシャーの正確確率検定やχ2検定を用い、多変量解析としてCox回帰モデルを使用した。.追跡期間2.4±1.5年の間に6.5%(552人中36人)が2型糖尿病へと移行した。2型糖尿病へと移行した者は、移行しなかった者と比べて、初診時のBMI(38.6±6.5kg/m2対34.2±8.4kg/m2、P=0.002)、HbA1c値(6.0±0.3%対5.7±0.3%、P<0.001)、食後2時間血糖値(141±28mg/dL対114±29mg/dL、P<0.001)、C-ペプチド(4.8±2.1ng/mL対3.6±2.0ng/mL、P=0.001)がそれぞれ高かったが、空腹時血糖値には有意差は見られなかった(94±13mg/dL対92±9mg/dL、P=0.26)。.多変量解析から、男性〔ハザード比(HR)2.4、95%信頼区間(CI)1.2~4.7、P=0.01〕、初診時のHbA1c値(0.1%増加ごとのHR 1.3、95%CI 1.2~1.5、P<0.001)、食後2時間血糖値(10mg/dL増加ごとのHR 1.2、95%CI 1.0~1.3、P=0.01)は、いずれも2型糖尿病の予測因子だった。2型糖尿病へ進展した者は、BMIが初診時と比べて平均4.2kg/m2増加していた一方で、処方されたメトホルミンをきちんと服用していた者(6人)では、そうではない者(30人)と比べて2型糖尿病への進展は遅かった(43±21カ月対26±16カ月、P=0.016)。.著者らは、「前糖尿病の若年者を7年間追跡した結果、6.5%が2型糖尿病へ進展した。われわれの研究から、どうすれば進展リスクの高い患者を抽出できるのかが明らかになり、また、メトホルミンの服用や肥満を防ぐことで、2型糖尿病への進展を阻止できる可能性も示された」と述べている。.なお、1人の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2023年10月18日).https://www.healthday.com/healthpro-news/conditions/physician-s-briefing-prediabetes-2665972998.html.Copyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
若年者における前糖尿病から2型糖尿病への進展には肥満が関与していることが、「Journal of the Endocrine Society」に10月12日掲載された論文で報告された。一方で、前糖尿病の段階からメトホルミンを服用していた者では、2型糖尿病への進展速度が遅いことも分かった。.米ヴァンダービルト大学医学部のNatasha Belsky氏らは、同大学医療センター小児前糖尿病クリニックを2015年5月17日から2022年8月30日までの間に受診した18歳以下の前糖尿病患者552人を対象に、後ろ向きチャートレビューを実施。前糖尿病から2型糖尿病へと進展するリスク因子の同定を試みた。空腹時血糖値100mg/dL以上、随時血糖値150mg/dL以上またはHbA1c値5.9%以上の基準を満たした者を対象とし、初診時に1型糖尿病または2型糖尿病だった者は除外した。連続変数にはStudent t検定、カテゴリー変数にはフィッシャーの正確確率検定やχ2検定を用い、多変量解析としてCox回帰モデルを使用した。.追跡期間2.4±1.5年の間に6.5%(552人中36人)が2型糖尿病へと移行した。2型糖尿病へと移行した者は、移行しなかった者と比べて、初診時のBMI(38.6±6.5kg/m2対34.2±8.4kg/m2、P=0.002)、HbA1c値(6.0±0.3%対5.7±0.3%、P<0.001)、食後2時間血糖値(141±28mg/dL対114±29mg/dL、P<0.001)、C-ペプチド(4.8±2.1ng/mL対3.6±2.0ng/mL、P=0.001)がそれぞれ高かったが、空腹時血糖値には有意差は見られなかった(94±13mg/dL対92±9mg/dL、P=0.26)。.多変量解析から、男性〔ハザード比(HR)2.4、95%信頼区間(CI)1.2~4.7、P=0.01〕、初診時のHbA1c値(0.1%増加ごとのHR 1.3、95%CI 1.2~1.5、P<0.001)、食後2時間血糖値(10mg/dL増加ごとのHR 1.2、95%CI 1.0~1.3、P=0.01)は、いずれも2型糖尿病の予測因子だった。2型糖尿病へ進展した者は、BMIが初診時と比べて平均4.2kg/m2増加していた一方で、処方されたメトホルミンをきちんと服用していた者(6人)では、そうではない者(30人)と比べて2型糖尿病への進展は遅かった(43±21カ月対26±16カ月、P=0.016)。.著者らは、「前糖尿病の若年者を7年間追跡した結果、6.5%が2型糖尿病へ進展した。われわれの研究から、どうすれば進展リスクの高い患者を抽出できるのかが明らかになり、また、メトホルミンの服用や肥満を防ぐことで、2型糖尿病への進展を阻止できる可能性も示された」と述べている。.なお、1人の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2023年10月18日).https://www.healthday.com/healthpro-news/conditions/physician-s-briefing-prediabetes-2665972998.html.Copyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock