妊婦に妊娠28週前後で百日咳ワクチンを接種すると、生まれた児は生後8カ月まで百日咳菌に感染するリスクが低下するという結果が、「Pediatrics」に10月9日掲載された。.オーストラリアでは、2018年7月から、妊娠28週前後の妊婦への百日咳ワクチンが、全国予防接種計画の予算から接種されるようになった。しかし、妊婦のワクチン接種については、児が百日咳ワクチンを受けた際、母体由来の抗体が免疫反応に干渉する可能性も指摘されている。.カーティン大学(オーストラリア)のAnnette K. Regan氏らは、母子27万9,418組を対象とした住民ベースのコホート研究を実施し、妊婦が百日咳ワクチンを接種した場合に、生まれた児が百日咳に罹患するリスクがどの程度低下するのか(ワクチン有効性)、また、妊婦のワクチン接種が児の百日咳含有ワクチンの1回から3回接種の有効性に影響を与えるか否かを調べた。なお、オーストラリアでは、百日咳を含む6種混合ワクチンが生後2、4、6カ月で接種される。ワクチン有効性は、Cox比例ハザードモデルで諸因子を調整して得られた百日咳罹患のハザード比に基づいて推定した。.その結果、51.7%の母親が妊娠中に百日咳ワクチンを接種していた(このうち妊娠28週から31週での接種が28.7%)。ワクチン有効性は、生後2カ月未満の児で70.4%(95%信頼区間50.5~82.3%)だったが、3~4カ月では65.7%(同41.8~79.8%)、5~6カ月では61.6%(同37.5~76.4%)、7~8カ月では43.3%(同6.8~65.6%)と次第に低下し、8カ月以降では有意ではなくなった。一方で、母親がワクチンを接種した児では、母親が接種していない児と比べ、児が受けた3回のワクチン有効性はいずれもやや低かったが(1回目:62.5%対71.2%、P=0.32;2回目:83.2%対83.6%、P=0.46;3回目:76.5%対92.9%、P=0.002)、3回目の百日咳の感染率自体には有意差はなかった(ハザード比0.70、95%信頼区間0.61~3.39)。.著者らは、「乳児期は、百日咳菌感染と感染による死亡に関して最も危険な時期であるが、妊娠28週前後の妊婦に対して百日咳ワクチンを接種することで、生後8カ月までの児における百日咳の罹患リスクを低減できることが、今回の研究から分かった。児が受けたワクチンの有効性はやや落ちるものの、これは妊婦への接種を支持する知見である」と述べている。(HealthDay News 2023年10月10日).https://www.healthday.com/healthpro-news/pulmonology/physician-s-briefing-pertussis-2665828672.html.Copyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
妊婦に妊娠28週前後で百日咳ワクチンを接種すると、生まれた児は生後8カ月まで百日咳菌に感染するリスクが低下するという結果が、「Pediatrics」に10月9日掲載された。.オーストラリアでは、2018年7月から、妊娠28週前後の妊婦への百日咳ワクチンが、全国予防接種計画の予算から接種されるようになった。しかし、妊婦のワクチン接種については、児が百日咳ワクチンを受けた際、母体由来の抗体が免疫反応に干渉する可能性も指摘されている。.カーティン大学(オーストラリア)のAnnette K. Regan氏らは、母子27万9,418組を対象とした住民ベースのコホート研究を実施し、妊婦が百日咳ワクチンを接種した場合に、生まれた児が百日咳に罹患するリスクがどの程度低下するのか(ワクチン有効性)、また、妊婦のワクチン接種が児の百日咳含有ワクチンの1回から3回接種の有効性に影響を与えるか否かを調べた。なお、オーストラリアでは、百日咳を含む6種混合ワクチンが生後2、4、6カ月で接種される。ワクチン有効性は、Cox比例ハザードモデルで諸因子を調整して得られた百日咳罹患のハザード比に基づいて推定した。.その結果、51.7%の母親が妊娠中に百日咳ワクチンを接種していた(このうち妊娠28週から31週での接種が28.7%)。ワクチン有効性は、生後2カ月未満の児で70.4%(95%信頼区間50.5~82.3%)だったが、3~4カ月では65.7%(同41.8~79.8%)、5~6カ月では61.6%(同37.5~76.4%)、7~8カ月では43.3%(同6.8~65.6%)と次第に低下し、8カ月以降では有意ではなくなった。一方で、母親がワクチンを接種した児では、母親が接種していない児と比べ、児が受けた3回のワクチン有効性はいずれもやや低かったが(1回目:62.5%対71.2%、P=0.32;2回目:83.2%対83.6%、P=0.46;3回目:76.5%対92.9%、P=0.002)、3回目の百日咳の感染率自体には有意差はなかった(ハザード比0.70、95%信頼区間0.61~3.39)。.著者らは、「乳児期は、百日咳菌感染と感染による死亡に関して最も危険な時期であるが、妊娠28週前後の妊婦に対して百日咳ワクチンを接種することで、生後8カ月までの児における百日咳の罹患リスクを低減できることが、今回の研究から分かった。児が受けたワクチンの有効性はやや落ちるものの、これは妊婦への接種を支持する知見である」と述べている。(HealthDay News 2023年10月10日).https://www.healthday.com/healthpro-news/pulmonology/physician-s-briefing-pertussis-2665828672.html.Copyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock