母親の抑うつ症状は、分娩前の胎児が急速に成長する重要な期間(critical rapid growth stage;CRGS、おおよそ妊娠30〜37週に相当)における胎児の成長速度の低下と関連していることが、「JAMA Network Open」に12月4日掲載された論文で明らかにされた。.四川大学(中国)のLu Zhang氏らは、四川省の12都市、81県をカバーする13カ所の病院で前向き多施設共同出生コホート研究を行い、分娩前のCRGSにおける母親の抑うつ症状と胎児の成長との関連を検討した。対象として、2018年1月から2020年12月の間に対象とした12都市13カ所の病院のうちのいずれかで初めて妊婦健診を受けた女性を試験に登録。最終的に、基準を満たした母子2,676組を対象に解析を行った。.母親の抑うつ症状については、妊娠14〜27週〔中央値24.0週、四分位範囲(IQR)23.0〜25.0週〕にエジンバラ産後うつ病自己評価表(EPDS)で評価を行った。胎児の成長アウトカムは大横径(BPD)、大腿骨長(FL)、腹部周囲長(AC)、胎児推定体重(EFW)とし、妊娠30±2週と妊娠37±2週に超音波検査でBPD、FL、およびACを測定し、Hadlockの式によりEFWを推定した。超音波検査時点の在胎週数(Gestational age at each ultrasonography measurement;GAUM)は、原則として検査日から最終月経日を引いたものとした。母親の抑うつ症状と胎児の成長アウトカムとの関連の検討は混合線形モデルによった。P値算出の際は、多重比較を考慮してBenjamini-HochbergのFDR(false discovery rate)補正を行った。.母親の平均年齢(標準偏差)は28.0(4.4)歳で54.5%は初産であり、EPDSスコアの中央値は5.0(IQR 4.0〜9.0)点であった。また、生まれた子どもの48.4%(1,294人)は女児であった。GAUMのランダム傾きを取り入れ、かつ母親の年齢・教育水準・妊娠時体重・喫煙などの因子を調整したモデルによって解析したところ、母親のEPDSスコアが1IQR増加するごとに、FL〔標準化偏回帰係数(β)=−0.40、95%信頼区間(CI)−0.58〜−0.22、FDR補正後のP<0.001〕、AC(同−1.97、−2.90〜−1.03、FDR補正後のP<0.001)、およびEFW(同−50.11、−68.46〜−31.75、FDR補正後のP<0.001)の成長速度はいずれも有意に遅くなっていたが、BPDの成長速度との関連は有意でなかった。サブグループ解析からは、女児や世帯年収の高い家庭の児では、これらの関連がより顕著であることが示された。.著者らは、「今回の結果は、妊娠中の母親の抑うつ症状を早期に発見し管理することが、特に、母親の社会経済的地位が高い場合や胎児が女児である場合には、重要な課題であることを示している」と述べている。(HealthDay News 2023年12月4日).https://www.healthday.com/healthpro-news/womens-health/maternal-depressive-symptoms-linked-to-slower-fetal-growth.Copyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
母親の抑うつ症状は、分娩前の胎児が急速に成長する重要な期間(critical rapid growth stage;CRGS、おおよそ妊娠30〜37週に相当)における胎児の成長速度の低下と関連していることが、「JAMA Network Open」に12月4日掲載された論文で明らかにされた。.四川大学(中国)のLu Zhang氏らは、四川省の12都市、81県をカバーする13カ所の病院で前向き多施設共同出生コホート研究を行い、分娩前のCRGSにおける母親の抑うつ症状と胎児の成長との関連を検討した。対象として、2018年1月から2020年12月の間に対象とした12都市13カ所の病院のうちのいずれかで初めて妊婦健診を受けた女性を試験に登録。最終的に、基準を満たした母子2,676組を対象に解析を行った。.母親の抑うつ症状については、妊娠14〜27週〔中央値24.0週、四分位範囲(IQR)23.0〜25.0週〕にエジンバラ産後うつ病自己評価表(EPDS)で評価を行った。胎児の成長アウトカムは大横径(BPD)、大腿骨長(FL)、腹部周囲長(AC)、胎児推定体重(EFW)とし、妊娠30±2週と妊娠37±2週に超音波検査でBPD、FL、およびACを測定し、Hadlockの式によりEFWを推定した。超音波検査時点の在胎週数(Gestational age at each ultrasonography measurement;GAUM)は、原則として検査日から最終月経日を引いたものとした。母親の抑うつ症状と胎児の成長アウトカムとの関連の検討は混合線形モデルによった。P値算出の際は、多重比較を考慮してBenjamini-HochbergのFDR(false discovery rate)補正を行った。.母親の平均年齢(標準偏差)は28.0(4.4)歳で54.5%は初産であり、EPDSスコアの中央値は5.0(IQR 4.0〜9.0)点であった。また、生まれた子どもの48.4%(1,294人)は女児であった。GAUMのランダム傾きを取り入れ、かつ母親の年齢・教育水準・妊娠時体重・喫煙などの因子を調整したモデルによって解析したところ、母親のEPDSスコアが1IQR増加するごとに、FL〔標準化偏回帰係数(β)=−0.40、95%信頼区間(CI)−0.58〜−0.22、FDR補正後のP<0.001〕、AC(同−1.97、−2.90〜−1.03、FDR補正後のP<0.001)、およびEFW(同−50.11、−68.46〜−31.75、FDR補正後のP<0.001)の成長速度はいずれも有意に遅くなっていたが、BPDの成長速度との関連は有意でなかった。サブグループ解析からは、女児や世帯年収の高い家庭の児では、これらの関連がより顕著であることが示された。.著者らは、「今回の結果は、妊娠中の母親の抑うつ症状を早期に発見し管理することが、特に、母親の社会経済的地位が高い場合や胎児が女児である場合には、重要な課題であることを示している」と述べている。(HealthDay News 2023年12月4日).https://www.healthday.com/healthpro-news/womens-health/maternal-depressive-symptoms-linked-to-slower-fetal-growth.Copyright © 2024 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock