糖尿病治療薬の1つで、週1回皮下注射で投与するGLP-1受容体作動薬のsemaglutide(セマグルチド、日本国内未承認)に経口投与の可能性を示唆する第2相の臨床試験結果が「Journal of the American Medical Association(JAMA)」10月17日号に掲載された。2013~2014年に行われた6カ月にわたる臨床試験でsemaglutideの経口薬は血糖コントロールに優れ、体重減少効果も高かったほか、有害事象の発現率も増加しないことが示された。研究を主導した英レスター大学糖尿病研究センター教授のMelanie Davies氏は「semaglutideの経口薬によるHbA1c値の低減効果と体重の減少効果は非常に印象的で、これまで注射製剤で認められているものと同程度だった」と述べている。.第2相臨床試験の対象は、14カ国100施設から登録した2型糖尿病患者632人。食事療法や運動療法単独、一定用量のメトホルミン投与で十分な血糖コントロールが得られなかった患者とした。対象患者の平均年齢は57.1歳で、糖尿病の罹病期間は平均6年、BMIは平均31.7と肥満者が多く、HbA1cの平均値は7.9%であった。.対象患者を、semaglutideを1日1回経口投与する群(2.5mg、5mg、10mg、20mg、40mg;5mg以上は4週間で徐々に増量)と2 週間または8週間かけて40mgまで経口薬を増量する群、semaglutide 1.0mg(最初の2週間は0.25mg、続く2週間は0.5mg)を皮下注射で週1回投与する群、プラセボ群にランダムに割り付けて26週間治療を行い、その後5週間追跡を行った。.対象患者のうち583人(92%)が第2相試験を完遂した。解析の結果、ベースラインから26週後のHbA1c値の低下幅は、semaglutide経口投与群では平均で-0.7~-1.9%とプラセボ群(-0.3%)より有意に大きく、注射群(-1.9%)と同程度であることが分かった。また、体重減少幅は注射群の-6.4kg、プラセボ群の-1.2kgに比べて経口投与群では-2.1kg~-6.9kgであり、10mg以上の経口投与群でプラセボ群との間に有意差がみられた。.有害事象の発現率は、経口投与群(63~86%)と注射群(81%)の間で差はみられなかった(プラセボ群では68%)。軽度から中等度の消化器系に関連した症状の頻度が最も高かったが、そのほとんどが時間の経過とともに消失した。また、投与量を徐々に増やした群の患者では吐き気も認められた。過去の研究で同薬との関連が報告されていた膵炎については注射群で1例、経口投与群では2例が報告された。.内分泌の専門医である米サウスサイド病院のRobert Courgi氏は「GLP-1受容体作動薬は糖尿病診療ガイドラインでその使用が強く推奨されているにもかかわらず、注射薬という使いにくさから広く普及するまでには至っていない。経口薬は利便性も高く、semaglutideの経口薬は糖尿病治療に変革をもたらすのではないか」と期待を示している。.米モンテフィオーレ医療センターの臨床糖尿病センター長を務めるJoel Zonszein氏もこの意見に同意し、「この経口薬は心血管死の低減効果を示した注射薬と同じ分子でできており、高用量では注射薬に匹敵する効果が示された。血糖コントロールに優れる上に低血糖も少なく、減量にもつながることから発売されれば糖尿病患者に大きなベネフィットをもたらすだろう」と述べている。.なお、この研究はsemaglutideの製造元であるNovo Nordisk社の資金提供を受けて行われた。Davies氏によると、経口薬の第3相臨床試験が既に進行中だという。(HealthDay News 10月17日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/misc-diabetes-news-181/diabetes-pill-might-replace-injection-to-control-blood-sugar-727573.html.Copyright © 2017 HealthDay. All rights reserved.
糖尿病治療薬の1つで、週1回皮下注射で投与するGLP-1受容体作動薬のsemaglutide(セマグルチド、日本国内未承認)に経口投与の可能性を示唆する第2相の臨床試験結果が「Journal of the American Medical Association(JAMA)」10月17日号に掲載された。2013~2014年に行われた6カ月にわたる臨床試験でsemaglutideの経口薬は血糖コントロールに優れ、体重減少効果も高かったほか、有害事象の発現率も増加しないことが示された。研究を主導した英レスター大学糖尿病研究センター教授のMelanie Davies氏は「semaglutideの経口薬によるHbA1c値の低減効果と体重の減少効果は非常に印象的で、これまで注射製剤で認められているものと同程度だった」と述べている。.第2相臨床試験の対象は、14カ国100施設から登録した2型糖尿病患者632人。食事療法や運動療法単独、一定用量のメトホルミン投与で十分な血糖コントロールが得られなかった患者とした。対象患者の平均年齢は57.1歳で、糖尿病の罹病期間は平均6年、BMIは平均31.7と肥満者が多く、HbA1cの平均値は7.9%であった。.対象患者を、semaglutideを1日1回経口投与する群(2.5mg、5mg、10mg、20mg、40mg;5mg以上は4週間で徐々に増量)と2 週間または8週間かけて40mgまで経口薬を増量する群、semaglutide 1.0mg(最初の2週間は0.25mg、続く2週間は0.5mg)を皮下注射で週1回投与する群、プラセボ群にランダムに割り付けて26週間治療を行い、その後5週間追跡を行った。.対象患者のうち583人(92%)が第2相試験を完遂した。解析の結果、ベースラインから26週後のHbA1c値の低下幅は、semaglutide経口投与群では平均で-0.7~-1.9%とプラセボ群(-0.3%)より有意に大きく、注射群(-1.9%)と同程度であることが分かった。また、体重減少幅は注射群の-6.4kg、プラセボ群の-1.2kgに比べて経口投与群では-2.1kg~-6.9kgであり、10mg以上の経口投与群でプラセボ群との間に有意差がみられた。.有害事象の発現率は、経口投与群(63~86%)と注射群(81%)の間で差はみられなかった(プラセボ群では68%)。軽度から中等度の消化器系に関連した症状の頻度が最も高かったが、そのほとんどが時間の経過とともに消失した。また、投与量を徐々に増やした群の患者では吐き気も認められた。過去の研究で同薬との関連が報告されていた膵炎については注射群で1例、経口投与群では2例が報告された。.内分泌の専門医である米サウスサイド病院のRobert Courgi氏は「GLP-1受容体作動薬は糖尿病診療ガイドラインでその使用が強く推奨されているにもかかわらず、注射薬という使いにくさから広く普及するまでには至っていない。経口薬は利便性も高く、semaglutideの経口薬は糖尿病治療に変革をもたらすのではないか」と期待を示している。.米モンテフィオーレ医療センターの臨床糖尿病センター長を務めるJoel Zonszein氏もこの意見に同意し、「この経口薬は心血管死の低減効果を示した注射薬と同じ分子でできており、高用量では注射薬に匹敵する効果が示された。血糖コントロールに優れる上に低血糖も少なく、減量にもつながることから発売されれば糖尿病患者に大きなベネフィットをもたらすだろう」と述べている。.なお、この研究はsemaglutideの製造元であるNovo Nordisk社の資金提供を受けて行われた。Davies氏によると、経口薬の第3相臨床試験が既に進行中だという。(HealthDay News 10月17日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/misc-diabetes-news-181/diabetes-pill-might-replace-injection-to-control-blood-sugar-727573.html.Copyright © 2017 HealthDay. All rights reserved.