アルツハイマー病の発症リスクに影響を及ぼす可能性の高い、10項目の因子が明らかになった。糖尿病はリスクを高める因子の一つだという。復旦大学(中国)のJin-Tai Yu氏らが行ったシステマティックレビューとメタ解析の結果であり、詳細は「Journal of Neurology, Neurosurgery & Psychiatry」7月20日オンライン版に掲載された。アルツハイマー病は高齢者で最も多いタイプの認知症。米国アルツハイマー病協会によると、米国の65歳以上の人のうち500万人以上が罹患しており、2050年までに3倍に増えると予測されている。そのため、予防法の確立が急がれている。.Yu氏らは、アルツハイマー病の危険因子と抑制因子を検討した論文のシステマティックレビューを実施。PubMed、EMBASEなどの文献データベースに2019年3月までに公開された論文を対象として、「アルツハイマー」、「認知症」、「予防」、「リスク」などのキーワードで検索したところ、3万3,145件の観察研究と1万1,531件の無作為化比較試験、計4万4,676件の論文がヒットした。事前に定めていた適格基準を満たすものとして、観察研究243件と無作為化比較試験153件、計396件の論文を抽出し、メタ解析を行った。.その結果、アルツハイマー病リスクの増大と関連する強いエビデンスのある因子として、糖尿病、肥満、高血圧、起立性低血圧、高ホモシステイン血症、頭部外傷、ストレス、うつ病という8項目が浮かび上がった。それに対して、教育歴の長さや、高齢期の認知活動(例えば読書)の2項目は、アルツハイマー病リスクの低下と関連することが強く示唆された。.また、弱いエビデンスのあるリスク因子としては、喫煙、脳卒中、脳微小出血、頸動脈IMT肥厚、心血管疾患、心房細動、フレイルが該当した。反対に、身体活動、健康的な食習慣、ビタミンC摂取、高齢期以降の体重減少が少ないことは、アルツハイマー病リスク低下の弱いエビデンスが認められた。.また、エストロゲン補充療法やコリンエステラーゼ阻害薬は、アルツハイマー病リスク低下を意図しての使用は推奨されなかった。このほか、社会活動への参加、拡張期血圧の管理、非ステロイド性抗炎症薬、農薬への曝露などは、アルツハイマー病リスクへの影響を判定するにはエビデンスが十分でなく、さらなる検討が必要と判断された。.今回の研究で示されたこれらの知見は理にかなったものではあるが、著者らは「本研究の結果から導かれる推奨に従うことで、アルツハイマー病の発症を防ぐことが可能だと保証するものではない」と述べている。そして「アルツハイマー病を予防するための有望な方法を明らかにするため、エビデンスをさらに強化しなければならない」とし、より質の高い前向き観察研究や無作為化比較試験を早急に行うことを提案している。(HealthDay News 2020年7月20日).https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/alzheimer-s-news-20/researchers-zero-in-on-alzheimer-s-disease-risk-factors-759593.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
アルツハイマー病の発症リスクに影響を及ぼす可能性の高い、10項目の因子が明らかになった。糖尿病はリスクを高める因子の一つだという。復旦大学(中国)のJin-Tai Yu氏らが行ったシステマティックレビューとメタ解析の結果であり、詳細は「Journal of Neurology, Neurosurgery & Psychiatry」7月20日オンライン版に掲載された。アルツハイマー病は高齢者で最も多いタイプの認知症。米国アルツハイマー病協会によると、米国の65歳以上の人のうち500万人以上が罹患しており、2050年までに3倍に増えると予測されている。そのため、予防法の確立が急がれている。.Yu氏らは、アルツハイマー病の危険因子と抑制因子を検討した論文のシステマティックレビューを実施。PubMed、EMBASEなどの文献データベースに2019年3月までに公開された論文を対象として、「アルツハイマー」、「認知症」、「予防」、「リスク」などのキーワードで検索したところ、3万3,145件の観察研究と1万1,531件の無作為化比較試験、計4万4,676件の論文がヒットした。事前に定めていた適格基準を満たすものとして、観察研究243件と無作為化比較試験153件、計396件の論文を抽出し、メタ解析を行った。.その結果、アルツハイマー病リスクの増大と関連する強いエビデンスのある因子として、糖尿病、肥満、高血圧、起立性低血圧、高ホモシステイン血症、頭部外傷、ストレス、うつ病という8項目が浮かび上がった。それに対して、教育歴の長さや、高齢期の認知活動(例えば読書)の2項目は、アルツハイマー病リスクの低下と関連することが強く示唆された。.また、弱いエビデンスのあるリスク因子としては、喫煙、脳卒中、脳微小出血、頸動脈IMT肥厚、心血管疾患、心房細動、フレイルが該当した。反対に、身体活動、健康的な食習慣、ビタミンC摂取、高齢期以降の体重減少が少ないことは、アルツハイマー病リスク低下の弱いエビデンスが認められた。.また、エストロゲン補充療法やコリンエステラーゼ阻害薬は、アルツハイマー病リスク低下を意図しての使用は推奨されなかった。このほか、社会活動への参加、拡張期血圧の管理、非ステロイド性抗炎症薬、農薬への曝露などは、アルツハイマー病リスクへの影響を判定するにはエビデンスが十分でなく、さらなる検討が必要と判断された。.今回の研究で示されたこれらの知見は理にかなったものではあるが、著者らは「本研究の結果から導かれる推奨に従うことで、アルツハイマー病の発症を防ぐことが可能だと保証するものではない」と述べている。そして「アルツハイマー病を予防するための有望な方法を明らかにするため、エビデンスをさらに強化しなければならない」とし、より質の高い前向き観察研究や無作為化比較試験を早急に行うことを提案している。(HealthDay News 2020年7月20日).https://consumer.healthday.com/cognitive-health-information-26/alzheimer-s-news-20/researchers-zero-in-on-alzheimer-s-disease-risk-factors-759593.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.