糖尿病は体のさまざまな箇所にダメージを与える可能性があり、眼は特に影響の大きい臓器として知られている。しかし現在は、良好な血糖管理を維持し定期的に検査を受けることで、糖尿病による眼疾患の多くを予防し治療可能な時代となった。米フロリダ州でスポーツジムを経営しているPatricia Welterさんは、14歳で1型糖尿病と診断され、40代で片方の眼の視力を失った。「私は常に、糖尿病による眼の合併症や失明を恐れていた」と彼女は語る。彼女の母親と叔父も1型糖尿病で視覚障害があり、糖尿病と眼の関係はよく理解していた。しかし彼女が1型糖尿病と診断されたのは、糖尿病と糖尿病眼疾患の治療が急速に進歩し始めた1970年代より前のことだった。.Welterさんは40代の時、網膜に出血を起こし、レーザー光凝固術を受けた。その後しばらくして彼女は、左眼に閃光が走るのを感じた。網膜剥離だった。視力を救うために手術が3回行われたが、その間に脳卒中にもなり、左眼の視力は結局、元に戻らなかった。.「数カ月間は本当に絶望した」と彼女は振り返る。しかし、彼女の当時のボーイフレンド(現在の夫)に励まされ、スポーツジムの運営を再開。さらに、夫のアドバイスを受けてハーフマラソンに挑戦し、ついには完走するまでになった。今、彼女は「視覚障害のあることは、私という存在の一部だ」と語る。.彼女は糖尿病網膜症に加えて、白内障も発症していた。白内障もまた、糖尿病患者に多い眼疾患の一つだ。ただし濁った水晶体を眼内レンズに置き換える手術によって、白内障が原因で低下した視力は取り戻すことができる。彼女も手術を受けて視力が回復し、世界が変わったことを実感したという。Welterさんは現在、多くの糖尿病患者に、「家族や友人、同僚、内科医、眼科医、管理栄養士、療養指導士など、あなたの周りにいる人々の助けを借りて、糖尿病の管理を続けてほしい。そして、眼の問題を早期に発見し治療を受けることが大切だ」とアドバイスしている。.糖尿病眼疾患の早期治療の重要性は、米国糖尿病学会(ADA)のCEOであるTracey Brown氏も強調している。「糖尿病患者の3分の1は眼合併症を抱えているが、そのケアにあまり注意が向けられていない」と現状を説明した上で、「しっかりケアを続けていれば、糖尿病による眼合併症を心配する必要はない」と述べている。.米国立眼科研究所(NEI)によると、糖尿病患者が発症しやすい眼疾患として、以下の4つが該当するという。.・糖尿病網膜症・糖尿病黄斑浮腫・緑内障・白内障.これらの疾患は、血糖値が高い人ほどかかりやすいため、糖尿病を上手に管理することが予防につながる。また、これら糖尿病眼疾患によって以下のような症状が現れることがあり、該当する場合は眼科を受診したほうが良い。.・物がかすんで見えたり、ゆがんで見える・視力が頻繁に(多くの場合は日ごとに)変化する・視野が欠ける・視野に暗い部分がある・色を識別しにくい・視野に斑点や紐のようなものが見える・光の点滅が見える.ただし、専門家はこのような症状がなくても毎年、散瞳検査(瞳孔を拡張して網膜の隅々を確認する検査)を受けることを推奨している。.Welterさんは現在、定期的に眼科医と網膜専門医の診察を受けている。彼女を診ている医師は、もしWelterさんが今1型糖尿病を発症したのであれば、彼女の眼を救えることは間違いないと確信している。(HealthDay News 2020年8月10日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/diabetes-management-news-180/have-diabetes-don-t-lose-sight-of-danger-to-your-eyes-760249.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
糖尿病は体のさまざまな箇所にダメージを与える可能性があり、眼は特に影響の大きい臓器として知られている。しかし現在は、良好な血糖管理を維持し定期的に検査を受けることで、糖尿病による眼疾患の多くを予防し治療可能な時代となった。米フロリダ州でスポーツジムを経営しているPatricia Welterさんは、14歳で1型糖尿病と診断され、40代で片方の眼の視力を失った。「私は常に、糖尿病による眼の合併症や失明を恐れていた」と彼女は語る。彼女の母親と叔父も1型糖尿病で視覚障害があり、糖尿病と眼の関係はよく理解していた。しかし彼女が1型糖尿病と診断されたのは、糖尿病と糖尿病眼疾患の治療が急速に進歩し始めた1970年代より前のことだった。.Welterさんは40代の時、網膜に出血を起こし、レーザー光凝固術を受けた。その後しばらくして彼女は、左眼に閃光が走るのを感じた。網膜剥離だった。視力を救うために手術が3回行われたが、その間に脳卒中にもなり、左眼の視力は結局、元に戻らなかった。.「数カ月間は本当に絶望した」と彼女は振り返る。しかし、彼女の当時のボーイフレンド(現在の夫)に励まされ、スポーツジムの運営を再開。さらに、夫のアドバイスを受けてハーフマラソンに挑戦し、ついには完走するまでになった。今、彼女は「視覚障害のあることは、私という存在の一部だ」と語る。.彼女は糖尿病網膜症に加えて、白内障も発症していた。白内障もまた、糖尿病患者に多い眼疾患の一つだ。ただし濁った水晶体を眼内レンズに置き換える手術によって、白内障が原因で低下した視力は取り戻すことができる。彼女も手術を受けて視力が回復し、世界が変わったことを実感したという。Welterさんは現在、多くの糖尿病患者に、「家族や友人、同僚、内科医、眼科医、管理栄養士、療養指導士など、あなたの周りにいる人々の助けを借りて、糖尿病の管理を続けてほしい。そして、眼の問題を早期に発見し治療を受けることが大切だ」とアドバイスしている。.糖尿病眼疾患の早期治療の重要性は、米国糖尿病学会(ADA)のCEOであるTracey Brown氏も強調している。「糖尿病患者の3分の1は眼合併症を抱えているが、そのケアにあまり注意が向けられていない」と現状を説明した上で、「しっかりケアを続けていれば、糖尿病による眼合併症を心配する必要はない」と述べている。.米国立眼科研究所(NEI)によると、糖尿病患者が発症しやすい眼疾患として、以下の4つが該当するという。.・糖尿病網膜症・糖尿病黄斑浮腫・緑内障・白内障.これらの疾患は、血糖値が高い人ほどかかりやすいため、糖尿病を上手に管理することが予防につながる。また、これら糖尿病眼疾患によって以下のような症状が現れることがあり、該当する場合は眼科を受診したほうが良い。.・物がかすんで見えたり、ゆがんで見える・視力が頻繁に(多くの場合は日ごとに)変化する・視野が欠ける・視野に暗い部分がある・色を識別しにくい・視野に斑点や紐のようなものが見える・光の点滅が見える.ただし、専門家はこのような症状がなくても毎年、散瞳検査(瞳孔を拡張して網膜の隅々を確認する検査)を受けることを推奨している。.Welterさんは現在、定期的に眼科医と網膜専門医の診察を受けている。彼女を診ている医師は、もしWelterさんが今1型糖尿病を発症したのであれば、彼女の眼を救えることは間違いないと確信している。(HealthDay News 2020年8月10日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/diabetes-management-news-180/have-diabetes-don-t-lose-sight-of-danger-to-your-eyes-760249.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.