妊娠中に妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群といった合併症を発症した女性は、後年の心臓の健康リスクが高いことを示す研究結果が報告された。米ノースウェスタン大学のJaclyn Borrowman氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」に4月22日掲載された。 著者らによると、妊娠合併症と健康リスクとの関連は、妊娠前に過体重や肥満であった女性に、特に強く当てはまるという。そして、「女性にとって妊娠中に合併症を発症するか否かは、将来の健康状態や慢性疾患のリスクを予測するという点で、あたかも“ストレス負荷テスト”のようなものだ」と解説。またBorrowman氏は、「われわれの研究結果は、妊娠を考えている女性が体重管理を優先することが、妊娠中および将来の心臓血管の健康につながり得ることを示唆している」と話している。 この研究は、妊娠前に高血圧や糖尿病のない18歳以上の妊婦4,269人(平均年齢30.1±5.6歳)を妊娠28週(範囲24~32週)時点に登録し、観察研究として行われた。妊娠前に、22%は過体重(BMI25~30未満〔国内ではこの範囲も肥満に該当〕)、11%は肥満(BMI30以上)だった。妊娠糖尿病は13.8%に、妊娠高血圧症候群は10.7%に認められた。 出産後11.6±1.3年間追跡(範囲10~14年)。平均41.7±5.6歳の時点において、妊娠前に肥満であった群はそうでない群に比べて、平均血圧(7.0mmHg〔95%信頼区間6.0~8.1〕)、トリグリセライド(28.5mg/dL〔同21.9~35.1〕)、HbA1c(0.3%〔0.2~0.4〕)が有意に高かった。 妊娠糖尿病の発症は、肥満と追跡期間中のHbA1cとの関連を24.6%(20.9~28.4)媒介し、妊娠高血圧症候群の発症は、肥満と追跡期間中の平均動脈圧との関連を12.4%(10.6~14.2)媒介していた。この結果についてBorrowman氏は、「妊娠合併症は将来の心臓病リスクに寄与するが、そのリスクの全てを説明できるわけではなく他の因子も関係している。妊娠合併症と心臓病リスクとの関連性を理解することは、効果的な予防戦略の開発や最良の介入タイミングの決定のために重要である」と話している。 米イノバ・ヘルス・システムのGarima Sharma氏が、この論文に対する付随論評を寄せ、「本研究は、医師が妊娠後の女性の心臓リスク因子を予測する際に役立つ可能性のある、示唆に富む情報を提供している」と評価。また、「示された結果は、妊娠前および出産後に、過剰な脂肪を減らすことの意義を強調するものと言える。抗肥満薬などの新しい治療選択肢が整ってきた現在では、この点はより重要な意味を持つ」と付け加えている。(HealthDay News 2025年4月18日) https://www.healthday.com/health-news/pregnancy/pregnancy-complications-affect-future-heart-health Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
妊娠中に妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群といった合併症を発症した女性は、後年の心臓の健康リスクが高いことを示す研究結果が報告された。米ノースウェスタン大学のJaclyn Borrowman氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」に4月22日掲載された。 著者らによると、妊娠合併症と健康リスクとの関連は、妊娠前に過体重や肥満であった女性に、特に強く当てはまるという。そして、「女性にとって妊娠中に合併症を発症するか否かは、将来の健康状態や慢性疾患のリスクを予測するという点で、あたかも“ストレス負荷テスト”のようなものだ」と解説。またBorrowman氏は、「われわれの研究結果は、妊娠を考えている女性が体重管理を優先することが、妊娠中および将来の心臓血管の健康につながり得ることを示唆している」と話している。 この研究は、妊娠前に高血圧や糖尿病のない18歳以上の妊婦4,269人(平均年齢30.1±5.6歳)を妊娠28週(範囲24~32週)時点に登録し、観察研究として行われた。妊娠前に、22%は過体重(BMI25~30未満〔国内ではこの範囲も肥満に該当〕)、11%は肥満(BMI30以上)だった。妊娠糖尿病は13.8%に、妊娠高血圧症候群は10.7%に認められた。 出産後11.6±1.3年間追跡(範囲10~14年)。平均41.7±5.6歳の時点において、妊娠前に肥満であった群はそうでない群に比べて、平均血圧(7.0mmHg〔95%信頼区間6.0~8.1〕)、トリグリセライド(28.5mg/dL〔同21.9~35.1〕)、HbA1c(0.3%〔0.2~0.4〕)が有意に高かった。 妊娠糖尿病の発症は、肥満と追跡期間中のHbA1cとの関連を24.6%(20.9~28.4)媒介し、妊娠高血圧症候群の発症は、肥満と追跡期間中の平均動脈圧との関連を12.4%(10.6~14.2)媒介していた。この結果についてBorrowman氏は、「妊娠合併症は将来の心臓病リスクに寄与するが、そのリスクの全てを説明できるわけではなく他の因子も関係している。妊娠合併症と心臓病リスクとの関連性を理解することは、効果的な予防戦略の開発や最良の介入タイミングの決定のために重要である」と話している。 米イノバ・ヘルス・システムのGarima Sharma氏が、この論文に対する付随論評を寄せ、「本研究は、医師が妊娠後の女性の心臓リスク因子を予測する際に役立つ可能性のある、示唆に富む情報を提供している」と評価。また、「示された結果は、妊娠前および出産後に、過剰な脂肪を減らすことの意義を強調するものと言える。抗肥満薬などの新しい治療選択肢が整ってきた現在では、この点はより重要な意味を持つ」と付け加えている。(HealthDay News 2025年4月18日) https://www.healthday.com/health-news/pregnancy/pregnancy-complications-affect-future-heart-health Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock