米国では2型糖尿病と高血圧を併発している患者が過去20年間で倍増し、そのような患者は全死亡リスクが約2.5倍、心血管死のリスクは約3倍に上ることが明らかになった。これは米コロンビア大学メイルマン公衆衛生大学院のNour Makarem氏らの研究の結果であり、詳細は「Diabetes Care」に5月21日掲載された。 この研究には、1999~2018年の米国国民健康栄養調査(NHANES)に参加した4万8,727人の成人のデータが用いられた。参加者全体を、2型糖尿病も高血圧もない群(50.5%)、2型糖尿病のみの群(2.4%)、高血圧のみの群(38.4%)、両方に罹患している群(8.7%)という4群に分類して、全死亡(あらゆる原因による死亡)と心血管死のリスクを比較した。なお、2型糖尿病と高血圧を併発している患者の割合は、前記の期間中に6%から12%へと倍増していた。 中央値9.2年の追跡期間中に7,734人の死亡が記録されていた。2型糖尿病のみの群の死亡率は20%、高血圧のみの群では22%であるのに対して、両疾患併発群では約3分の1が死亡していた。一方、どちらの疾患もない群での死亡率はわずか6%だった。死亡リスクに影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、人種/民族、飲酒・喫煙状況、教育歴、婚姻状況、世帯収入、がん・うつ病の既往など)を統計学的に調整後、以下のようなリスク差の存在が浮かび上がった。 2型糖尿病も高血圧もない群を基準とすると、両疾患併発患者群は全死亡リスクが約2.5倍であり(ハザード比〔HR〕2.46〔95%信頼区間2.45~2.47〕)、心血管死リスクは約3倍(HR2.97〔同2.94~3.00〕)と有意に高かった。性別に解析すると、女性の方が男性よりも両疾患の併発と死亡リスクとの関連が強く認められた(交互作用P<0.01)。 また、糖尿病とは診断されない程度の高血糖状態(前糖尿病)や、高血圧とは診断されない程度の血圧上昇(血圧高値)の死亡リスクに対する影響も明らかにされた。例えば、前糖尿病と血圧高値の双方に該当する群の全死亡リスクは、両方とも該当しない群に比べて10%有意に高かった(HR1.10〔1.09~1.11〕)。さらに、血圧高値のみ、または前糖尿病のみが該当する群を基準とする比較でも、両者該当群は有意なリスク上昇が認められた。 これらの結果についてMakarem氏は、「注目すべき点の一つは、解析対象期間中に、糖尿病と高血圧を併発している患者がほぼ倍増したことが挙げられる。また、糖尿病や高血圧の診断基準に至らない程度の血糖値や血圧の上昇であっても、死亡リスクを押し上げることが明らかになった」と総括。その上で、「血糖値と血圧がともに高い人が増加傾向にあるという状況を変化させるため、両者の併存を効果的に予防・管理し得る公衆衛生戦略の立案が、喫緊の課題であることが強調される」と述べている。(HealthDay News 2025年5月30日) https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/combo-diabeteshigh-blood-pressure-threatening-more-american-lives Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock