高血圧予防のための食事スタイルとして歴史のある「DASH」を糖尿病患者向けにアレンジした、「DASH4D(Dietary Approaches to Stop Hypertension for Diabetes)」の有効性が報告された。米ジョンズ・ホプキンス大学のLawrence Appel氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Internal Medicine」に6月9日掲載された。 Appel氏は、「血圧は、コントロールすべき最も重要な検査値の一つだ。数値が高いほど脳卒中や心臓病のリスクが高まる」と解説。そして、「この研究の参加者の多くは既に複数の降圧薬を服用していたが、それにもかかわらず食事スタイルを変更することで、さらに血圧が低下した」と述べている。 従来のDASHは、果物、野菜、低脂肪乳製品を豊富に摂取し、飽和脂肪酸とコレステロールの摂取量を減らすことで、血圧をコントロールする。一方、新たに開発されたDASH4Dは、DASHの基本を維持しながら炭水化物を減らし、不飽和脂肪酸の摂取を増やすような変化を加え、これにより血圧とともに血糖値の管理にも役立つという。論文の筆頭著者である同大学のScott Pilla氏によると、「DASH食は長年用いられてきており、高血圧の標準的な治療の一部となっている。しかし、DASHを糖尿病患者向けにアレンジするというアプローチは、これまであまり研究されていなかった」とのことだ。 この研究は、収縮期血圧(SBP)が120~159mmHg、拡張期血圧(DBP)が100mmHg未満の成人2型糖尿病患者を無作為に4群(低ナトリウム〔Na〕のDASH4D、高NaのDASH4D、典型的な米国人の低Na食、典型的な米国人の高Na食)に分類して、血圧の変化を比較した。参加者102人のうち85人(83.3%)が5週間の介入期間を脱落せず終了。その平均年齢は66±8.8歳、女性66%で、介入前のSBP/DBPは135±9/75±9mmHgであり、66%の参加者に2剤以上の降圧薬が処方されていた。 介入後、低NaのDASH4D群は典型的な米国人の高Na食群と比較して、SBPが4.6mmHg(95%信頼区間7.2~2.0)、DBPは2.3mmHg(同3.7~0.9)低下していた。過去の研究データを参照すると、糖尿病患者のSBPが5mmHg低下した場合、脳卒中リスクは14%、心不全リスクは8%減少することが予想されるという。なお、降圧薬を用いた治療を行った場合には通常、SBPが10mmHg程度低下するとのことだ。 Pilla氏は、「本研究に続く次のステップは、われわれが得た知見を糖尿病患者に伝え、食事スタイルを通して健康的な変化が起きるようにサポートしていくことだ。多様な文化や食習慣を背景とする多くの人たちが、このDASH4Dを手間やコストをかけずに、日常生活へ取り入れられるようにしていく必要がある」と述べている。(HealthDay News 2025年6月17日) https://www.healthday.com/health-news/diabetes/blood-pressure-diet-helps-type-2-diabetics Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock