古くから「早寝早起き」は健康や気分、さらには運気にも良いとされているが、運動量を増やすというメリットもあることが報告された。モナッシュ大学(オーストラリア)のElise Facer-Childs氏らの研究によるもので、詳細は「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に6月30日掲載された。論文の上席著者である同氏は、「睡眠と身体活動はどちらも健康にとって非常に重要だが、それら両者がいかに複雑に絡み合っているかを、われわれは今まで十分に理解していなかった」と述べている。 この研究では、2種類の大規模な集団を対象に、就寝時刻や睡眠時間と翌日の身体活動時間との関連が調査された。いずれの研究も参加者は成人であり、自由行動下で行われた。 一つ目の研究には1万9,963人が参加し、2021年9月から翌年8月までの1年間、手首装着型のデバイスを用いて睡眠と身体活動が客観的に評価された。599万5,080人日のデータの解析の結果、研究参加者の平均的な就寝時刻は23時頃だった。年齢や性別、BMI、季節などの影響を調整後、21時頃に就寝する人の日々の中~高強度身体活動(MVPA)時間は、23時頃に寝ている人よりも約15分長く、さらに1時まで起きている夜型の人との比較では約30分長かった。 次に、同一個人内での日々の変動を解析。すると、普段よりも就寝時刻が早く睡眠時間が短い夜の翌日にはMVPA時間が有意に長く、反対に就寝時刻が遅く睡眠時間が長い夜の翌日のMVPA時間は有意に短いという関連が認められた。 二つ目の研究は、参加者数が5,898人で、63万5,477人日分のデータが解析された。この研究でも一つ目の研究と同様の傾向が認められた。また、普段よりも早く就寝し、かつ普段どおりの睡眠時間を確保した翌日のMVPA時間が最も長くなることが分った。 論文の筆頭著者である同大学のJosh Leota氏は、「これらの結果は、日中に仕事に充てる時間の長さが人々の運動習慣を妨げる可能性を示唆している。また、一般的な9時から17時という勤務時間は夜型の人のリズムには適しておらず、睡眠の質の低下、日中の眠気、社会的時差ぼけの増加につながり、それらは全て、運動の意欲および機会を減少させる」と語っている。 一方、本研究では上記のように、同一の個人内の日差変動の解析から、普段より早く寝た翌日は身体活動量が増えることも明らかにされた。つまり、生活パターンを変えることで、身体活動量を増やせる可能性が示された。この点についてLeota氏は、「公衆衛生施策を考える上で意味のある結果だ」とし、「人々に対して睡眠と身体活動をそれぞれ個別に推奨するのではなく、就寝時刻を早めることを積極的に奨励することで、自然に活動的なライフスタイルへと導くことができるのではないか」と付け加えている。(HealthDay News 2025年7月3日) https://www.healthday.com/health-news/sleep-disorder/want-more-exercise-go-to-bed-earlier-study-suggests Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock