米国では過去20年間で、肥満に関連するがんによる死亡が3倍以上に増加したとする研究結果が、米国内分泌学会(ENDO2025、7月12~15日、サンフランシスコ)で発表された。米ハッケンサック・メリディアン・ジャージーショア大学医療センターのFaizan Ahmed氏らが報告した。Ahmed氏らの研究によって、肥満関連の13種類のがんによる米国での死亡率が、1999年から2020年の間に、100万人当り3.7人から13.5人に増加したことが明らかにされた。主任研究者である同氏は、「肥満は多くのがんの重大な危険因子であり、死亡率の上昇に寄与している」と解説。また、「われわれの研究から、特に農村部や医療サービスが行き届いていない地域で、肥満に関連するがんによる死亡のリスクが高いことも示された」としている。研究者らは、研究背景の説明の中で、米国の成人の40.3%が肥満であり、肥満関連のがんは、同国で毎年診断されるがん全体の約40%を占めていると述べている。肥満関連のがんとは、具体的には食道がん、乳がん、大腸がん、子宮がん、胆嚢がん、胃がん、腎臓がん、肝臓がん、卵巣がん、膵臓がん、甲状腺がん、脳腫瘍の一種である髄膜腫、そして血液がんの一種である多発性骨髄腫が該当するという。今回発表された研究では、米疾病対策センター(CDC)のデータを用いて肥満関連のがんによる死亡例3万3,572件を特定し、その経時的な推移を解析した。その結果、肥満関連のがんによる死亡率は1999年から2020年の間に、平均すると1年に6%近くのスピードで増加していた。特に、2018年から2020年にかけての死亡率の増加は、平均で19%以上と急速なものだった。この研究ではまた、女性、高齢者、黒人、ネイティブアメリカン、農村部の居住者など、特定のグループで、肥満関連のがんによる死亡率の増加が顕著であることも明らかになった。肥満関連のがんによる死亡率を地域で比較すると、中西部が100万人当たり約8人と最も高く、反対に北東部は同6人未満と最も低かった。研究者らは、「このような傾向のあることを踏まえると、肥満関連のがんの予防措置、早期スクリーニング、医療アクセスの公平性の確保など、的を絞った公衆衛生対策が極めて重要と考えられる」と結論付けている。なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。(HealthDay News 2025年7月14日)https://www.healthday.com/health-news/cancer/obesity-related-cancer-deaths-more-than-triple-in-usCopyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: PBXStudio/Adobe Stock