禁煙に際して、ニコチンを含んだガムや飴を用いるよりも、ニコチンを含む電子タバコの方が、効果が優れていることを示唆する研究結果が発表された。6カ月間での禁煙成功率に、約3倍の差があったという。ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)および国立薬物・アルコール研究センターのRyan Courtney氏らの研究の結果であり、詳細は「Annals of Internal Medicine」に7月15日掲載された。なお、研究者らは、長期的な禁煙継続率への影響は未確認であることを指摘している。 この研究は、公的年金等を受給している社会的弱者に該当する成人のうち、禁煙の意思がありながら毎日喫煙している1,045人を対象として、2021年3月~2022年12月に実施された。ランダムに1対1の割合で2群に分け、1群にはニコチン入りのガムや飴、他の1群にはメンソールやフルーツ風味のフレーバー付きニコチン入り電子タバコを、それぞれ8週間分支給。また、全員に対して5週間にわたり、禁煙サポートのためのテキストメッセージの自動配信を行った。 7カ月後の追跡調査を受けたのは866人(82.9%)だった。割り付けを知らされていない研究者が盲検下で、一酸化炭素呼気試験により禁煙/非成功を判定。ニコチン入りのガムや飴を受け取っていた群では9.6%(523人中50人)が、6カ月間禁煙が継続していたと判定された。一方、電子タバコを受け取っていた群のその割合は28.4%(522人中148人)と高かった(リスク差の推定値18.7%〔95%信頼区間14.1~23.3%〕、電子タバコが優れている事後確率が99%超)。また、自己申告による有害事象の発生率は、電子タバコ群の方が有意に低かった(発生率比0.75〔同0.65~0.88〕、P<0.001)。 以上を基に著者らは、「社会的に不利な立場にある人々を対象とした今回の研究では、フレーバーを選べるニコチン入り電子タバコを、わずかなテキストメッセージによる行動支援と組み合わせて提供した場合、ニコチン代替療法としてのガムや飴と比較して、より高い効果を期待できることが示された」と結論付けている。ただし、「ニコチン入り電子タバコによる禁煙が成功した後に、その状態が長期間維持されるという確実な証拠を得るため、さらなる研究が必要だ」としている。 また、その他の留意事項として、「現時点のエビデンスは、紙巻タバコから電子タバコへと完全に切り替えた場合に、健康リスクが低下する可能性を示唆している。しかし、電子タバコの健康への長期的な影響はほとんど分かっていない。電子タバコが心臓血管系の健康に悪影響を与える可能性があることを示すデータも出てきている」と付け加えている。 なお、日本ではニコチンを含む電子タバコは承認されていない。(HealthDay News 2025年7月15日) https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/vaping-better-at-helping-smokers-quit-clinical-trial-indicates Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock