糖尿病既往のある女性の妊娠に関する、米国内分泌学会と欧州内分泌学会の共同ガイドラインが、「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」に7月13日掲載された。糖尿病女性患者には、診察の都度、子どもをもうけたいかどうかを尋ねるべきだとしているほか、妊娠前のGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)の使用中止などを推奨している。 ガイドラインの筆頭著者である米ミシガン大学アナーバー校のJennifer Wyckoff氏はガイドライン策定の目的を、「生殖年齢の女性の糖尿病有病率が上昇している一方で、適切な妊娠前ケアを受けている糖尿病女性はごくわずかであるため」とした上で、「本ガイドラインは、計画的な妊娠の方法に加え、糖尿病治療テクノロジーの進歩、出産の時期、治療薬、食事・栄養についても言及したものだ」と特色を強調している。 ガイドラインの推奨には、以下のような内容が含まれている。 ・出産可能年齢の糖尿病女性全員に妊娠の意思があるかどうかを尋ねる。・糖尿病妊婦では妊娠継続に伴うリスクが早産に伴うリスクを上回ることがあるため、39週より前に出産を計画する。・妊娠前にGLP-1RAの使用を中止する。・すでにインスリンを使用している妊婦では、メトホルミンの使用を避ける。・1型糖尿病の妊婦には、連続血糖測定(CGM)機能を備えたハイブリッド・クローズドループのインスリンポンプを使用する。アルゴリズムを利用していないCGM対応インスリンポンプや、CGMに基づく頻回のインスリン注射は推奨しない。・2型糖尿病の妊婦には、CGMまたは血糖自己測定(SMBG)のいずれかの使用を推奨する。・糖尿病の女性が妊娠を希望する場合、妊娠の準備が整うまでは避妊を継続する。 著者の1人であるパドヴァ大学(イタリア)のAnnunziata Lapolla氏は、「われわれはランダム化比較試験から得られたエビテンスに基づいて、これらの推奨事項を策定した。現在、世界中で肥満に関連する2型糖尿病が増加し、2型糖尿病を持つ妊婦が増加しているが、本ガイドラインの推奨事項は、そのような女性に対する適切な栄養と治療アプローチに関する課題にも対処している」と述べている。 なお、本ガイドラインの策定には、前記2団体のほかに、米国糖尿病学会、米国産科婦人科学会、母体胎児医学会、国際糖尿病・妊娠研究グループ、欧州糖尿病学会、糖尿病ケア・教育専門家協会、米国薬剤師会などが関与した。(HealthDay News 2025年7月18日) https://www.healthday.com/health-news/diabetes/diabetic-women-should-be-asked-about-desire-for-kids-at-every-doctors-visit-guidelines-say Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock