ビール、ワイン、ウイスキーなどを楽しむなら、健康的な食事と運動を続けた方が良いかもしれない。飲酒は肝臓の障害による死亡リスクを高める一方、健康的な食事と運動によりそのリスクが低下することを示唆するデータが報告された。米インディアナ大学のNaga Chalasani氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Hepatology」に8月26日掲載された。 論文の上席著者である同氏は、「あらゆる飲酒パターンにおいて、質の高い食事や活発な身体活動の習慣が、肝臓関連死亡リスクの低下と関連していることが分かった」と述べている。なお、米国では成人の半数以上(53%)が習慣的に飲酒し、毎年約17万8,000人が大量飲酒により死亡しているという。 この研究では、1984~2018年の米国国民健康栄養調査(NHANES)の対象となった成人6万334人のデータを用い、2019年末まで死亡を追跡した。飲酒状況や食習慣・身体活動習慣は自己申告により把握した。平均12.2年の追跡期間中に252件の肝臓関連の死亡が記録されていた。 解析の結果、飲酒習慣のある人ではその習慣のない人に比べて、1日の平均飲酒量が多いほど、肝臓関連死亡リスクが高いことが示された(1日1ドリンク〔アルコール換算で約14g〕多いごとの交絡因子調整後の部分分布ハザード比〔aSHR〕が、男性は1.04〔95%信頼区間1.01~1.06〕、女性は1.08〔同1.04~1.12〕)。また、短時間大量飲酒者(男性は2時間で5ドリンク以上、女性は同4ドリンク以上の飲酒)も、男性は約1.5倍、女性は約2.5倍、肝臓関連死亡のリスクが高かった(aSHRが男性は1.52〔1.04~2.29〕、女性は2.52〔1.44~4.41〕)。 一方、飲酒習慣があっても健康的な食習慣の場合(HEIという指標の上位4分の1)、非健康的な食習慣の人(HEIの下位4分の1)に比べて肝臓関連死亡リスクが65~86%低かった(aSHRが非大量飲酒者〔男性は1日4ドリンク以下、女性は3ドリンク以下〕では0.35〔0.13~0.90〕、大量飲酒者〔前記の基準を超過〕では0.14〔0.04~0.82〕)、短時間大量飲酒者では0.16〔0.06~0.46〕)。 同様に、飲酒習慣があっても運動の習慣がある場合(週に中強度の運動を5回以上、または高強度の運動を3回以上)、運動習慣がない人に比べて肝臓関連死亡リスクが36~69%低かった(aSHRが非大量飲酒者では0.52〔0.28~0.94〕、大量飲酒者では0.64〔0.35~0.99〕)、短時間大量飲酒者では0.31〔0.10~0.88〕)。 このほかに、野菜や果物、全粒穀物、魚介類、植物性タンパク質、不飽和脂肪酸を多く含み、固形の脂肪、アルコール、添加糖が少ない食事スタイルは、死亡リスクの低さと関連していることが分かった。また、性別で比較した場合、健康的な食習慣や運動習慣による肝臓関連死亡リスクの抑制は、男性よりも女性でより強く認められた。 Chalasani氏は、「われわれの研究のユニークな点は、米国の一般人口において、習慣的な飲酒量と短時間大量飲酒という異なる二つの飲酒パターンが肝臓関連死亡リスクに及ぼす影響と、健康的な食事と運動によるそのリスクの緩和効果を同時に評価できることだ。これにより、飲酒がもたらす肝臓へのリスクとライフスタイルとの関連について、詳細かつ包括的な把握を可能にしている」と述べている。(HealthDay News 2025年8月28日) https://www.healthday.com/health-news/liver-health/diet-exercise-protect-liver-health-from-alcohol-damage-study-says Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock