カロリーがない、または低カロリーの甘味料が脳の老化を促進する可能性を示唆するデータが報告された。特に糖尿病患者では、より強い関連が見られるという。サンパウロ大学(ブラジル)のClaudia Kimie Suemoto氏らの研究の結果であり、詳細は「Neurology」に9月3日掲載された。 アスパルテーム、サッカリン、エリスリトール、キシリトール、ソルビトールなどの低カロリーまたはノンカロリーの甘味料(low- and no-calorie sweeteners;LNCS)は、摂取エネルギー量の抑制に役立つ。しかし論文の上席著者であるSuemoto氏は、「われわれの研究結果は、一部のLNCSは脳の健康に悪影響を及ぼす可能性があることを示唆している」と話している。 この研究では、ブラジルの35歳以上の公務員対象の縦断的観察研究のデータが解析された。食物摂取頻度質問票を用いて、7種類のLNCSの摂取量を推定。記憶力、言語能力、思考力など、6種類の認知機能の指標のzスコアとの関連性を検討した。 摂取エネルギー量が極端な人(1パーセンタイル未満または99パーセンタイル超)や、データ欠落者を除外し、1万2,772人(平均年齢51.9±9.0歳、女性54.8%)を解析対象とした。ベースライン時点のLNCSの摂取量は92.1±90.1mg/日であり、平均追跡期間は約8年だった。 認知機能に影響を及ぼし得る因子(年齢や性別、高血圧、心血管疾患など)を調整後の解析で、LNCS摂取量の第1三分位群(摂取量が少ない下位3分の1の集団)に比べて、第3三分位群(摂取量が多い上位3分の1の集団)は、認知機能(思考力や記憶力)の低下速度が62%速く、これは約1.6年分の脳の老化に相当すると計算された。また、第2三分位群(摂取量が平均的な3分の1の集団)でも第1三分位群に比べると、低下速度が35%速く、これは約1.3年分の脳の老化に相当すると計算された。 年齢60歳未満/以上で二分すると、60歳未満ではLNCS摂取量が多い群で認知機能の低下が速いという有意な関連が見られた一方、60歳以上ではこの関連が非有意だった。他方、糖尿病の有無で二分すると、糖尿病のある群ではLNCS摂取量が多い群で、認知機能指標の一部がより速く低下することが示唆された。この点についてSuemoto氏は、「糖尿病の有無にかかわらず、中年層においてはLNCS摂取量の多さと認知機能低下との関連が明らかになった。また、糖尿病患者は砂糖の代替としてLNCSを使用することが多い傾向がある」との考察を付け加えている。 LNCSの摂取と認知機能低下との関連のメカニズムについて研究者らは、LNCSが体内で分解されて、脳にダメージを及ぼすような物質に変化したり、炎症を引き起こしたりするのではないかと推測している。ただし、この研究は観察研究であるため、LNCS摂取と認知機能低下との直接的な因果関係を証明するものではないことを、著者らは研究の限界として挙げている。 「われわれの研究の追試が必要である。さらに、本研究で検討しなかった、アップルソース、ハチミツ、メープルシロップ、ココナッツシュガーなど、他の代替甘味料では認知機能にどのような影響があるのかを調査する研究も求められる」とSuemoto氏は述べている。(HealthDay News 2025年9月4日) https://www.healthday.com/health-news/senior-health/sugar-substitutes-could-be-bad-for-brain-aging-study-argues Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock