人工甘味料を用いた低糖・無糖飲料と加糖飲料は、どちらも代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)のリスクを高めることを示唆するデータが、欧州消化器病週間(UEG Week 2025、10月4~7日、ドイツ・ベルリン)で発表された。蘇州大学附属第一医院(中国)のLihe Liu氏らの研究によるもので、人工甘味料を用いた飲料や加糖飲料を水に置き換えることでMASLDリスクが低下する可能性も報告されている。 Liu氏は、「加糖飲料は長い間、厳しい監視の目にさらされてきたが、その代替品として広まった人工甘味料を用いた飲料は、健康的な『ダイエット飲料』と見なされることが多かった。しかしわれわれの研究結果は、それらの飲料を無害であるとする一般的な認識に疑問を投げかけ、肝臓の健康への影響を再考する必要性を強調している」と述べている。 MASLDは肝臓に脂肪が蓄積することで発症し、時間の経過とともに肝障害を引き起こしてくる。研究者によるとMASLDは最も一般的な慢性肝疾患であり、世界中で30%以上の人々が罹患しているという。 Liu氏らの研究では、英国の一般住民対象大規模疫学研究であるUKバイオバンクの参加者12万3,788人を解析対象とした。24時間思い出し法による食事調査が複数回行われ、各種飲料の摂取量が把握された。 中央値10.3年の追跡期間中に、1,178人がMASLDを発症し、108人が肝臓関連の疾患で死亡していた。解析の結果、人工甘味料入り飲料を毎日約250mL以上飲んでいると、MASLDのリスクが60%増加することが分かった(ハザード比〔HR〕1.599)。また加糖飲料を同量飲んでいる場合には、50%近くのリスク上昇が認められた(HR1.469)。Liu氏は、「1日1缶程度という少量の低糖または無糖の甘味飲料を摂取している場合でも、MASLDのリスクが高まることが示された」と話している。 一方、人工甘味料入り飲料の代わりに水を飲んだ場合、MASLDのリスクが15.2%低下すると推算された。同様に、加糖飲料の代わりに水を飲んだ場合は、リスクが12.8%低下すると予想された。 Liu氏によると、加糖飲料は血糖値の急上昇を引き起こし、体重を増加させ、尿酸値を上昇させる可能性があり、これらは全て肝臓への過剰な脂肪の蓄積に関連してくるという。一方の人工甘味料入り飲料は、腸内細菌叢を変化させ、甘いものへの欲求を刺激し、またインスリン分泌を刺激する可能性があり、それらを介して肝臓の健康に悪影響を及ぼし得るとのことだ。そして同氏は、「最善の方法は、加糖飲料と人工甘味料入り飲料の双方を制限して水に置き換えることだ」と付け加えている。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。(HealthDay News 2025年10月7日) https://www.healthday.com/health-news/liver-health/both-diet-and-sugary-drinks-increase-fatty-liver-disease-risk-study-says Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock