人生の後半に起こりやすくなる心筋梗塞や脳卒中などのリスクは、人生の前半の生活習慣により大きく異なることを示唆するデータが報告された。45歳までに生活習慣が悪化した場合、好ましい習慣を維持した人に比べてリスクが約10倍高いという。米ボストン大学のDonald Lloyd-Jones氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に10月6日掲載された。論文の上席著者である同氏は、「変化が重要だ。心臓の健康状態の改善は将来のリスク低下につながるため、できるだけ早いうちに好ましい変化を遂げて、それを維持する方が良い」と語っている。 この研究では、1985~1986年に研究参加登録された18~30歳の成人を、その後35年間にわたって追跡し、心血管疾患(cardiovascular disease;CVD)リスクを調査した。研究参加者は、参加から20年の間に心臓の健康状態(cardiovascular health;CVH)が3回以上評価された。CVHの評価には、米国心臓協会(AHA)の「Life's Essential 8」の達成度を点数化した指標(LE8スコア)が用いられた。具体的には、食事・運動・喫煙・睡眠という四つの習慣と、BMI、血圧、血糖値、non-HDL-Cという四つの検査値を100点満点のスコアとし、20年間でのそのスコアの変化と、それ以降のCVDイベント(心筋梗塞、心不全、脳卒中、冠動脈血行再建術、心血管死)のリスクとの関連が検討された。 解析対象者数は4,241人(ベースライン年齢24.9±3.6歳、女性55.5%)であり、20年目(平均約45歳時点)以降から平均13.8年の追跡期間中に、211件のCVDイベントが発生した。20年目までCVHが常に高値だった群(21.3%)を基準として、年齢、性別、人種、教育歴などの交絡因子を調整後、CVHが常に中程度だった群(37.7%)のイベントリスクは約2倍だった(調整ハザード比〔aHR〕2.15〔95%信頼区間1.04~4.47〕)。20年目までにCVHがやや低下した群(32.0%)のリスクは約5倍だった(aHR5.25〔同2.69~10.26〕)。そして、20年目までにCVHがより大きく低下した群(9.0%)は、CVDリスクが約10倍に上った(aHR9.96〔4.75~20.86〕)。このほか、20年間でLE8スコアが10点低下するごとに、リスクが53%上昇するという関連も認められた(aHR1.53〔1.31~1.78〕)。 この報告をレビューした米ハンティントン病院のGaurav Rao氏は、「重要なこととして、18~30歳の間に健康状態の改善に取り組むことの意義が示された点が挙げられる。心臓専門医への受診を45歳になるまで待つ必要はなく、人生の早いうちに診察を受けることで、将来のリスクに影響を与えることができる。人生の後半での生活習慣の変化も健康に役立つかもしれないが、より早い段階での変化の方が、より永続的な効果をもたらすだろう」と話している。(HealthDay News 2025年10月9日) https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/health-habits-in-20s-30s-can-have-dramatic-effect-on-later-heart-attack-stroke-risk Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock