1回5分以内というごく短時間の運動を日常的に随時行うことで、健康状態が改善することが報告された。そのような短時間運動の繰り返しは、生活習慣として取り入れる際のハードルが低く、かつ継続率も高いことが示されたという。オビエド大学(スペイン)のHugo Olmedillas氏らが行ったシステマティックレビューとメタ解析の結果であり、詳細は「British Journal of Sports Medicine」に10月7日掲載された。 運動に関するガイドラインでは一般的に、1週間に300分の中強度の運動、または75~150分の高強度運動を行うことが推奨されている。しかし、著者らが研究背景として記している情報によると、成人では約3分の1、10代の若年者では5人中4人が、その推奨を満たしていないという。 それに対して、この研究により“エクササイズ・スナック”と呼ばれる意図的に行う短時間の運動が、成人の心肺機能や高齢者の筋持久力を有意に向上させることが明らかになった。また、そのような運動習慣を身に付けることを研究参加者が困難と感じていないことも示された。論文の上席著者であるOlmedillas氏は、「エクササイズ・スナックは時間効率が良く、『時間がない』とか『やる気が起こらない』といった、運動に関するよくある障壁を克服するのに役立つのではないか」と述べている。 この研究では、7件の文献データベースを用いたシステマティックレビューが行われた。それぞれのスタートから2025年4月までに収載された、運動習慣のない成人を対象としてエクササイズ・スナックによる介入を行ったランダム化比較試験の報告を検索し、11件の論文を適格と判断した。なお、エクササイズ・スナックは、5分以内の運動を1日2回以上かつ週3回以上行い、2週間以上継続する計画的な運動と定義した。 11件の研究はオーストラリア、カナダ、中国、英国で行われたもので、合計参加者数は414人、女性が69.1%だった。介入期間中、若年から中年の成人はエクササイズ・スナックとして階段昇降をすることが多く、高齢者は脚を中心とする筋力トレーニングや太極拳を行っていた。 メタ解析の結果、エクササイズ・スナックは体力(成人の心肺機能や高齢者の筋持久力)を5~17%向上させることが示された。より詳しくは、成人の心肺機能については6件の研究があり、効果量(g)が1.37(95%信頼区間0.58~2.17)で有意な向上が認められ(P<0.005)、高齢者の筋持久力については4件の研究があり、g=0.40(同0.06~0.75)でやはり有意な向上が認められた(P=0.02)。 この結果を基に研究者らは、「運動の総量が現行のガイドラインの推奨より大幅に少ない場合でも、短時間の高強度運動の積み重ねが、好ましい生理学的反応を誘発することが示唆された。心肺機能がわずかに改善するだけでも、死亡リスクの低下につながる」と述べている。さらに重要なこととして、介入の遵守率が91.1%と高く、また82.8%がその運動を継続していたことが挙げられ、これらのデータを根拠として研究者らは、「公衆衛生政策においてもエクササイズ・スナックを推奨すべきではないか」と付け加えている。(HealthDay News 2025年10月9日) https://www.healthday.com/health-news/exercise-and-fitness/fun-sized-exercise-snacks-can-boost-fitness-review-says Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Siam Pukkato/Adobe Stock