てんかんは、てんかん発作を主徴とする疾患だが、発作以外の健康障害を併発しやすく、それが生活の質(QOL)を低下させ、発作感受性を高める可能性も示唆されている。発作以外の健康障害の一つとして睡眠障害があり、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)や不眠症などについては報告が多い。しかし、てんかん患者の周期性四肢運動(PLM)による睡眠障害に関する知見は限られている。これを背景として、クイーンズ大学(カナダ)のManav Jain氏らは、てんかんを有する人(PWE)のPLMの有病率や関連因子を検討。結果が「Epilepsy Research」12月号に掲載された。 この研究は、同国の三次医療機関のてんかんセンターで睡眠ポリグラフ検査を受けた患者のカルテ情報を用いた、後ろ向き研究として行われた。152人のカルテから、専門医によるてんかんの診断が確定していた18歳以上の成人61人をPWE群として抽出。年齢、性別およびOSA重症度などをマッチングさせたOSA疑い症例61人を対照群とした。PWE群は、平均年齢41.4±17.2歳、女性31人で、焦点起始てんかんが43人、全般起始てんかんが16人、病型不明が2人であり、25人は2種類以上の抗てんかん薬(ASM)が処方されており、15人は薬剤抵抗性と判断された。 睡眠中のPLMは、PWE群の23%、対照群の26%に認められた。PLMの定量的指標であるPLMI(PLM index)は、同順に6.1±16.8、8.8±20.7(P=0.34)、PLMに伴う覚醒の評価指標であるPLMAI(PLM arousal index)は、0.5±1.0、1.1±2.4(P=0.28)であり、いずれも有意差がなかった。なお、呼吸関連パラメータの無呼吸低呼吸指数(AHI)は、16.0±20.0、19.7±19.4(P=0.01)、呼吸障害指数(RDI)は、17.3±19.8、21.8±19.3(P<0.01)であり、いずれも対照群で呼吸障害が強く認められた。 PWE群において、てんかんの発症時期、病型、ASMの処方数などは、いずれも睡眠関連パラメータと有意な関連が認められなかった。また、睡眠関連パラメータと発作コントロール状況との間にも有意な関連は認められなかった。PWE群において、PLMを有することと有意な関連のある唯一の因子は、患者が高齢であることだった。 Jain氏らは、「PWE群のPLMIやPLMAIは、年齢や性別等が一致するOSA対照群と同程度であった。この結果は、てんかん患者におけるPLMがてんかん特有のメカニズムではなく、睡眠障害によって惹起されている可能性を示唆している」と考察。その上で、「PWEの睡眠障害を評価する際には、てんかん以外の要因が隠れている可能性を考慮する必要がある」と結論付けている。(HealthDay News 2025年9月22日) https://www.healthday.com/healthpro-news/neurology/periodic-limb-movements-occur-frequently-in-persons-with-epilepsy Abstract/Full Texthttps://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0920121125001639 Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock