極端に暑い日は、心臓病や糖尿病を持つ高齢者の死亡リスクが高くなることを示唆するデータが報告された。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)デイビッド・ゲフィン医学部のEvan Shannon氏らが、同州の退役軍人の医療記録などを解析した研究の結果であり、詳細は「JAMA Network Open」に11月25日掲載された。 この研究の結果、猛暑による死亡リスクへの影響は、居住環境により大きく異なることも明らかになった。例えば、低所得地域に暮らす高齢の退役軍人は、猛暑日に死亡するリスクが涼しい日に比べて44%高くなることが示された。一方、高所得地域に居住する退役軍人の場合、涼しい日との死亡リスクの差は12%の上昇にとどまっていた。論文の筆頭著者であるShannon氏は、「本研究では退役軍人のみのデータを解析に用いたが、得られた結果は退役軍人以外にも当てはまるのではないか」と話している。 著者らによると、研究に参加した退役軍人の多くは糖尿病や心臓病などを患っていたという。そして、心臓病に使われる薬の中には、気温が上昇すると副作用のリスクが高くなる可能性を持つものもあると解説している。Shannon氏も、「高血圧や糖尿病といった、心臓病のリスク因子である一般的な病気を抱えている人は、猛暑の際に死亡するリスクが上昇し得る」と指摘している。 発表された研究では、カリフォルニア州在住の退役軍人の電子医療記録が利用された。2015年10月~2021年9月に死亡した人のうち、生前に心血管代謝疾患(心臓病や糖尿病など)が診断されていた人は1万3,556人(年齢中央値78歳、男性97.9%)だった。これらの人たちの死亡日の気候データを解析した結果、猛暑日には涼しい日に比べて死亡件数が10~14%多いことが明らかになった。 このような猛暑日に認められた死亡リスクの上昇は、居住地域や住宅の有無によって大きく異なっていた。具体的には、住宅を持たない退役軍人では猛暑日の死亡リスクが25%上昇していたが、住宅のある退役軍人では12%の上昇にとどまっていた。また、前述のように、低所得地域の退役軍人は猛暑日の死亡リスクが44%高く、高所得地域の退役軍人は12%のリスク上昇であった。 論文の結論は、「地球温暖化の進行により猛暑日は今後、より増加していくと予測される。退役軍人省や関連機関は、猛暑による健康リスクおよび死亡リスクを抑制するための施策を立てる必要があるだろう」とまとめられている。なお、著者らは現在、ホームレスの退役軍人が猛暑から身の安全を保つのに役立つツールキットの開発を進めているという。(HealthDay News 2025年11月26日) https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/heat-waves-can-be-deadly-for-seniors-with-diabetes-heart-disease Copyright © 2025 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock