家事や散歩などの軽強度運動が、メタボリックシンドロームなどに該当する人の死亡リスク低下につながっている可能性が報告された。米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のJoseph Sartini氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に1月7日掲載された。 この研究から、心血管・腎・代謝(CKM)症候群に該当する人では軽強度運動に充てる時間が毎日1時間多いことが、14年間での死亡リスクが14~20%低いことと関連していることが明らかになった。CKM症候群とは、過体重、高血圧、脂質異常、高血糖、腎機能低下などがあって、心筋梗塞や脳卒中、心不全などのリスクが高くなっている状態のこと。米国成人の約9割が、CKM症候群の構成因子を一つ以上持っている。 CKM症候群の構成因子は併存することが多く、併存する場合は互いに悪影響を及ぼしあって心不全などのリスクがより高くなることが知られている。軽度の高血糖や脂質異常などが併存し、動脈硬化が進行しやすい状態であるメタボリックシンドロームも、CKM症候群に含まれる。 一方、軽強度運動とは、Sartini氏によると「息切れせずにできる運動のことであり、ヨガ、軽いウォーキング、ストレッチ、家事などが該当する」という。同氏は、「軽強度運動は軽視されがちだが、CKM症候群の人の心臓の健康改善に役立ち、特に病期(ステージ)が進行している人では潜在的なメリットがより大きい」と話している。 この研究では、2003~2006年の米国国民健康栄養調査(NHANES)に参加した成人7,246人のデータを用いて、軽強度運動の実施状況とCKM症候群のステージとの関連が検討された。CKM症候群のステージは0~4に分類される。ステージ0は、健康上のリスク因子がない状態、ステージ1は過体重や糖尿病前症に該当する状態であり、ステージ2はCKM症候群の構成因子が複数併存するか、腎機能低下が進行している状態。ステージ3は、腎機能低下がより進行していて心臓病や脳卒中の高リスク状態で、心臓病や脳卒中などを既に発症後の場合はステージ4に該当する。 NHANESでは、ウェアラブルデバイスにより最大7日間の身体活動が把握されていた。解析の結果、軽強度運動がCKM症候群のステージの低さ、および、中央値14.4年の追跡期間中の死亡リスクの低さと有意に関連していた。例えば、1日の軽強度運動の時間が1時間長いごとに、死亡リスクが14~20%低下するという関連が認められた。 また、CKM症候群のステージが高い人では軽強度運動を行う時間が長いほど、メリットがより大きいことも明らかにされた。具体的には、軽強度運動を1日に90分行っている人と2時間の人を比べた場合(わずか30分の違いでの比較)、ステージ2では死亡リスクに2.2%の差があり、ステージ4では4.2%の差が見られた。 論文の上席著者である同大学院のMichael Fang氏は、「ウォーキングやガーデニングといった軽強度運動が心臓の健康に有益であるというエビデンスが増えているが、心臓病の高リスク者や既に心臓病を発症している人での長期的なメリットについては、これまで検証されていなかった」と、研究背景を説明している。また本研究には関与していない、米ウエストバージニア大学のBarone Gibbs氏も、「軽強度運動は、エネルギーの消費増大、血液循環の改善などを介して健康の維持・増進につながると考えられるが、高強度運動に比べると分かっていないことが多い。生理学的なメカニズムと潜在的なメリットについて、さらなる研究が求められる」と語っている。(HealthDay News 2026年1月7日) https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/walking-household-chores-can-be-lifesaving-therapy-for-people-with-metabolic-syndrome Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Ievgen Chabanov/Adobe Stock