家計のやりくりの心配が、既に知られている心臓病のリスク因子と同程度以上に、心臓の老化や死亡リスクに関係していることが報告された。米メイヨー・クリニック心臓血管研究センターのAmir Lerman氏らの研究によるもので、詳細は「Mayo Clinic Proceedings」12月号に掲載された。 この研究によると、経済的負担と食料不安が心臓の老化を加速させる最も大きな要因であって、それらに関連する心臓の老化は、糖尿病や高血圧、心筋梗塞の既往などの既に知られているリスク因子によって引き起こされる老化と似ているという。そして、そのような心臓の老化の結果として、心臓病の発症と心臓関連死のリスクが上昇するとのことだ。Lerman氏は、「われわれの研究は、心臓の老化と死亡率の上昇に対する、社会的要因の重要性を浮き彫りにしている」と話している。 Lerman氏らは、2018~2023年にメイヨー・クリニックで治療を受けた28万323人(平均年齢59.8±16.4歳、女性50.8%)を対象とする横断研究を実施。健康に影響を及ぼし得る社会的要因を質問票で把握するとともに、人工知能(AI)を援用した心電図データの解析により心臓年齢を評価して、両者の関連を調べた。社会的要因として調査した項目は、ストレス、運動習慣、教育歴、経済的負担、食料不安、居住環境、社会的つながりなど。米疾病対策センター(CDC)はこれらの非医学的因子も、人々の健康と死亡リスクに重大な影響を及ぼす可能性があるとしている。 解析の結果、心臓年齢が実際の年齢よりも高いこと(心臓の老化の進行)と、社会的要因との有意な関連が明らかになった。例えば経済的負担(β=-1.02〔95%信頼区間-1.03~-1.01〕)や食料不安(β=-0.74〔同-0.74~-0.733〕)は、調査した社会的要因の中で特に強い関連が認められた(いずれもP<0.001)。また社会的要因は、心臓の健康に影響を及ぼす疾患の存在や人口統計学的因子と比較して、心臓の老化への寄与度が高かった。 本研究についてLerman氏は、「既知のリスク因子のみでは心臓の病気のリスクを説明しきれないという事実や、人によって既知のリスクの影響の現れ方が異なるという事実からも、社会的要因の存在が示唆される。さらに言えば、医療従事者および患者がともにまだ意識していない、心臓の老化を進める社会的要因が存在する可能性もある」と語っている。 この研究では、死亡リスクとの関連も解析された。その結果、社会的要因は既知のリスク因子と同等以上の影響をもたらす可能性が示唆された。例えば、経済的負担は早期死亡のリスクの60%上昇と関連し(ハザード比〔HR〕1.6〔1.5~1.72〕)、居住環境の不安定さは18%のリスク上昇と関連していた(HR1.18〔1.07~1.3〕)。それに対して、心筋梗塞の既往があることは10%(HR1.1〔1.03~1.18〕)、喫煙は27%(HR1.27〔1.22~1.32〕)のリスク上昇だった。 Lerman氏は、「心臓の老化の最も重要なリスク因子を特定することにより、的を絞った予防的介入が可能になるとともに、患者中心の医療の推進、および心臓病の社会的要因の改善につながっていくのではないか」と述べている。(HealthDay News 2025年12月29日) https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/money-worries-speed-up-heart-aging-increase-risk-of-death Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock