コーヒーの中から、2型糖尿病の血糖コントロールに役立つ新たな成分が見つかった。糖の吸収を遅くする作用があり、糖尿病の治療に用いられている薬剤よりも効果が優れている可能性もあるという。中国科学院昆明植物研究所のMinghua Qiu氏らの研究の結果であり、詳細は「Beverage Plant Research」2025年発行号に掲載された。 コーヒーについてはこれまでにも、エネルギー消費を増やしたりインスリンの感受性を高めたりする作用のあることが報告されてきている。今回の研究では新たに、焙煎したコーヒー豆に含まれている特定の成分が、食品中の糖が吸収されて血糖になるまでの速度を抑制することを示唆するデータが得られた。 血糖値は食後に高くなる。これは摂取した炭水化物食品が消化されてブドウ糖となり、それが吸収されて血液中に流れ込むためだ。炭水化物食品が消化される過程では、α-グルコシダーゼという酵素が必要とされ、これが炭水化物の分解を促進する。この作用に着目して開発された、α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)という薬があり、糖尿病の治療薬として長く使われてきている。α-GIはα-グルコシダーゼの作用を阻害する(妨げる)ことで、食後の血糖上昇を抑制する。 Qiu氏らの行った今回の研究では、焙煎コーヒーの中にα-グルコシダーゼを強力に阻害する、これまで知られていなかった3種類の成分が含まれていることが明らかになった。この研究結果は、コーヒーが単に嗜好を満たすことにとどまらず、人々に健康効果をもたらす可能性があるというエビデンスを、さらに裏付けるものと言える。 食品には極めて多くの成分が含まれていて、それらが互いに関連して作用することがあるために、食品の中から人々の健康に有益な成分を見つけ出す作業は一筋縄ではいかない。Qiu氏らの研究チームはこの課題に取り組むため、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS/MS)や核磁気共鳴分析(NMR)などの高度な分析ツールを用いて、焙煎したアラビカコーヒー豆を分析した。なお、アラビカコーヒーは味や香りが良く、世界で最も親しまれている品種。 研究では3段階のスクリーニングプロセスを経て、コーヒー抽出物の中で最も化学的な活性の高い部分を絞り込み、さらに精製を重ねた結果、これまで見つかっていなかった3種類の新たな成分の単離に成功した。カファルデヒド(caffaldehyde)と名付けられた新規成分は、A、B、Cと3種類あり、いずれもα-グルコシダーゼを強力に阻害した。 阻害作用の強さを表すIC₅₀という値(作用が強いほど値が小さい)は、カファルデヒドA、B、Cの順に、45.07±3.16μM、24.40±0.33μM、17.50±2.86μMだった。これらの値はいずれも、α-GIの一種であるアカルボースという薬剤(60.71±16.45μM)よりも低値(作用が強力)だった。 この結果は、コーヒー由来成分が将来的には、血糖コントロールをサポートするために利用される可能性を示唆している。研究者らは今後、これらの成分の生体での安全性と有効性を検証することを計画している。(HealthDay News 2026年1月19日) https://www.healthday.com/health-news/diabetes/new-Dchemicals-show-promise-for-managing-type-2-diabetes Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Memorystockphoto/Adobe Stock