都市部に暮らす人々では、自宅の周辺に樹木が多いという環境が、心血管疾患(CVD)リスクの低さと関連していることが明らかになった。しかしその一方、芝生や背の低い草地の広さは、CVDリスクの高さと関連しているという。 この研究は、米カリフォルニア大学デービス校のPeter James氏らによるもので、詳細は「Environmental Epidemiology」2月号に掲載された。論文の筆頭著者であるJames氏は、「われわれの研究結果は、公衆衛生介入において居住環境の樹木の保護と植樹を優先すべきであることを示唆している。そのような取り組みは、芝生を敷くといったことへの投資に比べて、心臓の健康にメリットをもたらす可能性が高い」と述べている。 James氏らは、Googleなどの情報ソースから入手した、米国の都市部のストリートビュー画像3億5000万枚以上を分析して、樹木や草地などの緑の広さを推定した。ストリートビュー画像を解析するという研究手法を採用した背景として、論文には以下のような説明がある。つまり、これまでにも衛星写真を用いて緑地の豊かさと住民の健康状態との関連を解析する研究は行われてきているが、その手法ではどのような植物の緑地なのかが区別されずに検討されていたとのことだ。James氏も、「衛星写真を用いた解析は多くの貴重な知見をもたらしてきたが、はるか上空からの視点に基づく解析であり、あらゆる植物をひとまとめにしてしまうため、植物の種類の違いという重要な点がマスクされてしまいかねない」としている。 今回の研究では、人工知能(AI)を用いてストリートビュー画像を解析。その地域を歩行する際に目にする可能性のある植物を、(1)樹木、(2)芝生、(3)その他(道路沿いの植え込みや草地など)という3種類に分類して、それぞれの広さを推定した。次に、米国の看護師対象疫学研究(NHS)の女性参加者約8万9,000人のCVDリスクと、各参加者の自宅から500m以内の上記(1)~(3)の広さとの関連を検討した。 その結果、(1)の面積が広いことはCVDリスクが4%低いことと関連していた(四分位範囲当たりのハザード比〔HR〕0.96〔95%信頼区間0.93~1.00〕)。それに対して(2)の面積が広いことはCVDリスクが6%高いことと関連し(HR1.06〔同1.02~1.11〕)、(3)の面積の広さはリスクの3%上昇と関連していた(HR1.03〔1.01~1.04〕)。 研究者らは、芝生や草地などの緑が多いことがCVDリスクの上昇に関連するという結果に驚きを述べている。この意外な関連の理由として、農薬使用量の増加、草刈りの際に生じる粉じんの影響、および、夏季の暑熱緩和作用が樹木に比べて乏しく、騒音や大気汚染の緩和作用も弱いことなど、複数の要因が考えられるとのことだ。そして、都市生活者の健康にとってどのような植物を増やすことが最も良いのかを正しく知るために、さらなる研究が必要だと指摘している。(HealthDay News 2026年1月26日) https://www.healthday.com/health-news/environmental-health/trees-but-not-grass-or-other-greenery-good-for-urban-dwellers-heart-health Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock