身体活動の不足と糖尿病の合併症リスクとの関連を示すデータが報告された。合併症の最大10%程度が身体活動の不足に起因していると考えられるという。リオグランデ・ド・スル連邦大学(ブラジル)のJayne Feter氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Sport and Health Science」に1月14日掲載された。論文の筆頭著者である同氏は、「糖尿病の合併症は避けようのないものだと見なされることが多い。しかしわれわれの研究結果は、糖尿病患者が身体活動量を増やすことで、合併症のかなりの部分を予防できる可能性があることを示している」と述べている。 この研究では、これまでに世界中で実施されてきた前向きコホート研究や横断研究、計27件のデータを統合して、糖尿病患者237万7,414人の身体活動量と糖尿病が関連する合併症のリスクとの関係を検討した。身体活動の不足は、世界保健機関(WHO)の推奨(週に150分以上の中~高強度の身体活動)を満たしていない場合と定義した。なお、米疾病対策センター(CDC)は、中強度の身体活動とは早歩き、低速での自転車走行、アクティブなヨガなどで、高強度の身体活動とはランニング、水泳、エアロビクスダンス、高速での自転車走行、縄跳びなどが該当するとしている。 解析対象者の平均年齢は55.3~71.3歳の範囲で、女性の割合は33.4~57.1%だった。19カ国(そのうち16カ国は高所得国)からの前向き研究における追跡期間は3.8~27.9年だった。身体活動不足の有病率は国によって大きく異なり、ロシアが27.7%で最も低く、中国が83.9%で最も高かった。日本は44.7%だった。 糖尿病に特異的な合併症である糖尿病網膜症の発症に身体活動不足が寄与する程度(人口寄与割合〔PAF〕)は、9.7%(95%不確実性区間4.1~16.5)と計算された。さらに、糖尿病が関連して発症リスクが高まる合併症では、冠動脈性心疾患のPAFが5.3%(同2.0~9.4)、心血管疾患が5.2%(2.2~8.9)、脳卒中が10.2%(5.1~16.6)、心不全が7.3%(3.1~12.5)だった。日本のデータからは、糖尿病網膜症15.9%(7.6~24.6)、冠動脈性心疾患8.7%(3.8~14.2)、心血管疾患8.5%(4.2~13.4)、脳卒中16.7%(9.5~24.4)、心不全11.9%(5.6~18.7)と計算された。なお、研究者らによると、女性や教育歴の短い人たちは、身体活動不足に関連した糖尿病合併症の有病率が一貫して高い傾向が認められたという。 本研究についてFeter氏は、「糖尿病合併症予防戦略の中心に身体活動を位置付ける必要性を示すものと言える。糖尿病患者に身体活動を促すことが入院や障害の発生および医療費の削減につながり、また患者の生活の質(QOL)を向上させ得るのではないか」と総括している。ただし研究者らは一方で、身体活動の種類が環境によって異なることを考慮すると、画一的なアプローチは機能しないだろうとも述べている。例えば、高所得国の人々は余暇時間に身体活動をする傾向があるのに対して、低所得国の人々は肉体的な仕事として身体活動を行っていることが多いという。(HealthDay News 2026年2月13日) https://www.healthday.com/health-news/diabetes/physical-inactivity-drives-diabetes-complications-study-finds Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock