多くの子どもはクッキーやケーキ、フルーツスナックなどの甘い菓子が大好きだ。しかし、将来の心臓の健康のためには、乳幼児期の砂糖摂取を抑えた方が良いかもしれない。受胎後の1,000日、つまり2歳になるまでの間、砂糖摂取を制限されていた子どもは、成人後の心血管疾患の発症リスクが少ないことが明らかになった。香港科技大学(中国)のJiazhen Zheng氏らの研究によるもので、詳細は「The BMJ」に10月22日掲載された。 この研究は、英国でかつて行われていた砂糖配給制度が1953年に廃止されたことを利用した、自然実験として実施された。すなわち本研究では、砂糖配給制度廃止前後に生まれた人を比較することにより、乳幼児期の砂糖摂取量の違いが長期的な健康に及ぼす影響を検討した。砂糖配給制度が廃止される1953年9月以前、英国では砂糖の摂取量が1日40g未満に制限され、2歳未満の子どもの食事には砂糖の添加が認められていなかった。このような制限は、乳幼児に甘い飲み物や加工食品をなるべく与えないことを推奨する今日の栄養アドバイスとほぼ一致している。 解析対象は、英国の一般住民対象大規模疫学研究「UKバイオバンク」の参加者のうち、1951年10月~1956年3月に生まれ、研究参加時点で心血管疾患の既往のない6万3,433人(平均年齢54.6±1.6歳、女性56.9%)。このうち4万63人は1~2歳になるまで砂糖配給制度下で育ち、2万3,370人は同制度廃止後に育っていた。 人口統計学因子、社会経済的因子、遺伝的背景、生活習慣、親の健康状態などを調整後の解析で、砂糖配給制度下で育った群は対照群より、成人後の心血管疾患リスクが低いことが明らかになった。具体的なハザード比(HR)と95%信頼区間は以下の通り。心血管疾患全体では0.80(0.73~0.90)、心筋梗塞は0.75(0.63~0.90)、心不全は0.74(0.59~0.95)、心房細動は0.76(0.66~0.92)、脳卒中は0.69(0.53~0.89)、心血管疾患死は0.73(0.54~0.98)。また、砂糖配給制度下で育った人が心血管疾患を発症したとしても、その発症時期は対照群より約2.53年遅いことも判明した。 研究者らは、このような心血管に対する保護作用の一部は、心血管疾患の大きなリスク因子である糖尿病や高血圧の罹患率の低さが関係している可能性を指摘している。ただし本研究は観察研究であるため、乳幼児期に砂糖摂取を減らすことが、心血管の健康状態を直接的に改善するという因果関係を証明するものではなく、両者の間に関連性があることの証明にとどまる。とはいえ、保健分野の専門家の間では古くから、受胎から2歳までの人生の最初の1,000日間が、長期的な健康にとって非常に重要であると言われてきた。今回の報告もそれを裏付けるものと言える。 著者らは、「われわれの研究結果は、乳幼児期の砂糖摂取量に重点を置いた健康政策が、心臓に有益であることを示している」と総括。その上で、「今後は個人個人の食事摂取状況も調査し、遺伝的、環境的、生活習慣的要因の相互作用を考慮した研究を進め、より個別化された予防戦略を開発する必要がある」と付け加えている。(HealthDay News 2026年2月24日) https://www.healthday.com/health-news/child-health/study-suggests-cutting-sugar-before-age-2-could-lower-heart-disease-risk Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock