筋力が寿命に好ましい影響を与える可能性が報告された。高齢女性において、握力などで評価した筋力と8年間の追跡期間中の死亡リスクとの間に、有意な関連が見られたという。米ニューヨーク州立大学バッファロー校のMichael LaMonte氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に2月13日掲載された。 この研究では、高齢者の筋力の評価によく用いられている、握力および椅子から立ち上がる速度(5回立ち上がりテスト:椅子からの立ち上がり動作を5回行った所要時間)という2項目が測定された。その結果、高齢女性では握力が15ポンド(7kg弱)高いごとに死亡率が12%低下し、椅子から立ち上がる所要時間が6秒短いごとに死亡率が4%低下するという関連が示された。 LaMonte氏は、「椅子から立ち上がるための筋力が低下していると、ウォーキングなどの有酸素運動を行うことも難しくなる。ウォーキングは米国の65歳以上の高齢者において、最も一般的な運動だ」と解説。また、「健康的な老化のためにはおそらく、適度な有酸素運動と筋力強化のための運動の双方を行うことが最善の方法ではないか」と語っている。 この研究には、63~99歳の女性5,472人(平均年齢78.7±6.7歳)が参加。平均8.4±2.4年の追跡期間中に1,964人が死亡した。死亡リスクに影響を及ぼし得る因子(年齢、社会人口統計学的因子、生活習慣、臨床因子)を調整後、握力が高いほど、また椅子から立ち上がる速度が速いほど、死亡リスクが低いという有意な関連が示された。具体的には、握力の第1四分位群(握力が最も弱い下位25%)を基準として、第4四分位群(握力が最も強い上位25%)はハザード比(HR)0.67(95%信頼区間0.58~0.78)で、第3四分位群もHR0.85(同0.75~0.97)だった(傾向性P<0.001)。椅子から立ち上がる速度については第4四分位群がHR0.63(0.54~0.73)、第3四分位群はHR0.76(0.67~0.87)で、第2四分位群もHR0.79(0.69~0.88)だった(傾向性P<0.001)。 これらの関連は、加速度計で測定した身体活動量や座位時間、歩行速度、全身性の炎症反応で調整しても有意性が維持されていた。また、筋力が強い高齢女性はガイドラインで推奨される身体活動量を満たしていなくても、死亡リスクが低かった。 重要なこととして、筋力が強いことによるメリットを得るために、ボディビルダーのようなたくましい体格である必要性がないことも示された。LaMonte氏は、「体重や除脂肪体重を考慮に入れて解析しても、筋力の強い高齢女性の死亡率は有意に低く、筋力と死亡率の関係は体格の違いでは説明できなかった」と述べている。 これらの結果に基づき研究者らは、高齢者が筋力を増強するために、必ずしもジムに通う必要はないと強調する。ただし注意点として、高齢者が筋力トレーニングを始める場合、事前に医師に相談することを強く推奨している。LaMonte氏も、高齢者が目標とする筋力トレーニングを安全に進めるために、理学療法士や運動専門家の助言を受けると良いと提案している。(HealthDay News 2026年2月23日) https://www.healthday.com/health-news/senior-health/strength-linked-to-longevity-among-senior-women Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock