肥満症治療のためにGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)を使用している患者が同薬の使用を中止すると、体重が元に戻ってしまうことが多いが、中止ではなく注射の頻度を減らした場合は減量効果が維持できる可能性があるとする米スクリップスクリニックのMitch Biermann氏らによる研究が、「Obesity」に2月24日掲載された。GLP-1RAの注射頻度を減らすという試みは、Biermann氏が同院の患者たちの間に共通するパターンがあることに気付いたことから始まった。何人かの患者が当初は毎週注射していたが、途中から間隔を空けて注射するようにしたところ、それでも体重の減少を維持できたと話していたという。同氏は「3人目の患者が『2~3週間に1回の注射でも体重を維持できている』と教えてくれた時点で、私はほかの患者にもこの方法を勧めるようになった」とニューヨーク・タイムズ紙に語っている。Biermann氏は、GLP-1RAによる減量に成功した後、注射スケジュールを変更していた34人の患者の医療記録を調査した。結果は有望なものだった。多くの患者は体重を維持できており、血糖値や血圧は依然として良好であった。また、追加の体重減少は筋肉ではなく主に脂肪の減少によるものであった。注射の間隔を広げた後に体重が増加していたのはわずか4人であり、その患者らは最終的に元の週1回注射に戻していた。注射回数を減らした状態を維持していた30人のBMIの推移を見ると、GLP-1RA治療開始前が30.0±0.7と肥満であり、注射回数を減らした時点では25.2±0.5と過体重の範囲に低下していた(日本ではBMI25以上が肥満とされるが、米国ではBMI25~30未満は過体重とされる)。そして注射頻度を減らした後もさらにBMIが低下し続け、平均36.3週間経過後には24.6±0.5と、普通体重の範囲に収まっていた。なお、この30人のうち6人は注射頻度を10~14日に1回、17人は2週間に1回へと減らし、さらに残りの7人は2週間超の間隔で注射していた。ただし本研究は小規模なものであり、対象者の大半は民間医療保険に加入している白人であることから、この結果が全ての人に当てはまるわけではないことに留意が必要である。また、本研究は医療記録を用いた後ろ向き研究であり比較対照群も設けられておらず、「ゴールドスタンダード」とされるランダム化臨床試験として行われたものではない。加えて、研究対象者が減量目標を達成した後の患者であって、さらにGLP-1RAの注射頻度を減らしたものの同薬の投与そのものを完全に中止したわけではないことを専門家らは指摘している。米ハーバード大学医学部の肥満治療の専門医であるFatima Stanford氏はニューヨーク・タイムズ紙の取材に対して、「注射頻度を減らすことに同意した人は、もともと治療順守度が高く自分の行動に自信があり、代謝の反応が良好な人であった可能性がある」と語り、対象患者の約12%は元の週1回投与に戻す必要があったことを指摘。ただし同氏は一方で、「この研究はこれまでの議論の枠組みを変えるものだ。肥満症が慢性治療だからといって、必ずしも規定通りの投与方法で永続的に注射を続ける必要はない。個々の患者に合わせて注射スケジュールを設定した方が効果的なのかもしれない」とも述べている。(HealthDay News 2026年3月6日)https://www.healthday.com/health-news/weight-loss/some-patients-keep-weight-off-with-fewer-glp-1-injections-study-findsCopyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock