肥満が心臓病などのリスクを高めることは古くから知られているが、肥満の程度と肥満該当期間の積である「肥満の累積負荷」の方が、より重要なことを示唆する研究結果が報告された。この累積負荷を考慮に入れた場合、ある一時点のBMIの高さは、心筋梗塞や脳卒中のリスクとの関連が有意でなくなるという。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院および米ハーバード大学のAlexander Turchin氏らによる研究の結果であり、詳細は「PLOS ONE」に4月8日掲載された。この研究は、米国で行われている看護師健康調査(NHS)と医療従事者対象調査(HPFS)のデータを用いて行われた。1990~1999年の間に1回以上、BMI25超(米国の基準では過体重、日本国内の基準では肥満に該当)が記録されていた13万6,498人(平均BMI27.2)を解析対象とした。肥満の累積負荷は、過剰なBMI(25超に相当する値)と、その持続期間(年数)を掛け合わせ、面積として評価した。その四分位数に基づき全体を4群に分類し、性別・年齢層別に心血管イベント(心筋梗塞と脳卒中)の発生リスクを比較した。2000年から中央値16.7年(四分位範囲12.5~17.8)追跡したところ、1万2,048人(8.8%)に心血管イベントが発生した。四分位群ごとの累積イベント発生率は、女性では第1四分位群から順に、2.62%、2.89%、3.35%、3.53%、男性では13.45%、15.09%、16.80%、17.99%だった。交絡因子(年齢、性別、人種/民族、喫煙習慣、ベースラインのBMI、糖尿病、高血圧、心不全、動脈硬化性疾患の既往歴および糖尿病または動脈硬化性疾患の家族歴など)の影響を調整後、肥満の累積負荷の第1四分位群と第4四分位群との間に有意なリスク差が認められた。例えば、女性については、35歳未満(ハザード比〔HR〕1.60〔95%信頼区間1.05~2.44〕)と35~50歳(HR1.27〔同1.01~1.58〕)で有意差が観察され、男性では35~50歳(HR1.57〔1.22~2.03〕)と50~65歳(HR1.23〔1.02~1.48〕)において有意差が認められた。全体的に若年成人において肥満の累積負荷の影響が強く見られ、50歳以上の女性と65歳以上の男性は関連が非有意だった。なお、肥満の累積負荷を考慮に入れた解析では、ベースラインのBMIは性別・年齢層にかかわらず、イベントリスクと有意な関連が見られなかった。これらの結果を基にTurchin氏らは、一時点においてBMIが高いという情報も警告のサインに違いないが、心臓や血管へのダメージは、過剰な体重による負荷が長く続くほど大きくなると述べている。また、本研究では若年成人で肥満の累積負荷の影響がより強く認められたことに関して研究者らは、肥満は永続的なことではなく修正可能なリスクであることを強調。Turchin氏も、「われわれの研究結果は、ある一時点において肥満であっても体重を減らせば、健康状態が改善する可能性があることも示唆している」としている。 なお、本研究はイーライリリー社の資金提供を受けて実施された。(HealthDay News 2026年4月9日) https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/years-of-excess-weight-not-one-bad-checkup-drive-heart-disease-risk Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock