ワクチンを接種していてもインフルエンザに感染してしまうことがある。しかし、たとえ感染したとしても、感染に伴う心筋梗塞や脳卒中といった心血管イベントのリスク上昇が抑制されることを示すデータが報告された。欧州疾病対策センター(ECDC)のRoberto Croci氏らの研究によるもので、詳細は「Eurosurveillance」4月号に掲載された。研究者らによると、インフルエンザ感染によって引き起こされる全身性の炎症が、短期的に心血管イベントのリスクを高める。それに対してワクチン接種は、感染リスクを抑制することを介して心血管イベントのリスクも抑制することが既に知られていた。しかし、ワクチンを接種してもインフルエンザに感染することがあり、その場合の心血管イベントへの影響についてはこれまで明らかでなかったという。Croci氏らは、2014~2025年にデンマークでインフルエンザ感染が確認され、かつ、心筋梗塞または脳卒中の治療を受けた40歳以上の入院患者1,221人(1,231件)のデータを解析に用いた。この集団の主な特徴は、年齢中央値が75歳(四分位範囲66~82歳)、男性54%で、35%が心筋梗塞、65%が脳卒中であり、全体として半数(50%)がワクチン接種済みの患者だった。解析の結果、インフルエンザの感染が確認された後1週間以内の心血管イベントのリスクは、その他の期間(感染前または感染から1週間以上経過後)に比べて有意に高いことが確認されたが、ワクチン接種済みの場合はそのリスクの上昇がほぼ半減することが示された。具体的には、季節の影響を調整後、ワクチン未接種の場合はインフルエンザ感染から1週間以内の心血管イベントリスクがそれ以外の期間に比べて4.7倍に上るのに対して(調整発生率比〔aIRR〕4.7〔95%信頼区間3.3~6.6〕)、ワクチン接種済みの場合は2.4倍だった(aIRR2.4〔同1.5~3.8〕)。研究者らは、「今回の研究結果は、インフルエンザワクチンの接種が心血管イベントの予防に有効だとするエビデンスを支持するものだ」としている。Croci氏らも、「この結果が別の環境での追試で確認されたなら、心臓病や脳卒中のリスクが高い人たちに対するインフルエンザワクチンの接種を優先すべきだという考え方が、より強固なものとなるだろう」と述べている。なお、研究の限界点の一つとして、ワクチンのインフルエンザ感染抑制効果はシーズンごとに異なり、その有効性の違いが心血管イベントリスクの差につながる可能性があるが、その点を考慮できていないことが挙げられるという。また、患者の性別やワクチン接種のタイミングが、心血管イベントのリスクにも影響を及ぼすのかといった点も、残された検討課題としている。(HealthDay News 2026年4月8日) https://www.healthday.com/health-news/cardiovascular-diseases/the-flu-vaccine-can-lower-your-risk-of-heart-attack-and-stroke-even-if-you-wind-up-infected Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Konstantin Postumitenko/Adobe Stock