男性不妊症が一部のがんのリスクと関連しているとする研究結果が報告された。ルンド大学(スウェーデン)のMichael Kitlinski氏らが、1973年以降に同国内で生まれた全ての人の医療記録(Medical Birth Register;MBR)を用いて明らかにしたもので、研究結果は「European Journal of Epidemiology」に2月21日掲載され、4月16日に同大学からリリースが発行された。リリースにおいてKitlinski氏は、「生殖能力が低下している男性は、自然妊娠で父親になった男性と比べて、大腸がんのリスクは約2倍であり、甲状腺がんのリスクは約3倍であることが分かった」と述べている。研究者らは、今回の結果は、男性の生殖能力の低下とさまざまな健康問題との関連を示した先行研究結果を裏付けるものだとしている。先行研究では、精液中に精子が全く存在しない男性は疾患リスクが高い傾向にあり、精子の質が高い男性は平均寿命の長い傾向が示唆されている。論文の上席著者である同大学のAngel Elenkov氏は、「遺伝子レベルの異常が精子の質の低下として現れる場合、生殖機能以外の身体システムにも影響が及び、疾患リスクの高まる可能性がある」と説明している。今回の研究では、1994~2014年にスウェーデン国内で第一子をもうけた男性118万1,490人のうち、解析に必要なデータのない男性やパートナーの妊娠前にがんの既往のあった男性などを除外した113万7,829人を解析対象とした。このうち1万4,540人が顕微授精(ICSI)または精子提供により父親になった。これらを生殖能力低下の代理指標として、自然妊娠で父親になった男性との間で健康状態を比較した。パートナーの妊娠が成立した時の年齢は、生殖能力低下群が中央値35歳、自然妊娠で父親になった群(対照群)は同31歳だった。がんのリスクは、年齢、パートナーの妊娠が成立した時期、教育歴の影響を調整し、対照群を基準として解析した。その結果、生殖能力低下群は大腸がんのリスクが2倍に近く(結腸がんの調整ハザード比〔aHR〕が1.7〔95%信頼区間1.1~2.7〕、直腸がんはaHR1.8〔同1.1~3.0〕)、甲状腺がんのリスクは約3倍だった(aHR3.3〔1.7~6.2〕)。ただし研究者らは、精子の質が低く生殖能力が低下している男性では、がんの相対的なリスクが高いものの絶対リスクは低く、若い世代では発がん自体がまれであると指摘している。Elenkov氏は、「不妊の検査を受ける男性は大半が30~35歳であり、検査はその世代の男性が父親になるのをサポートすることを目的に行われている。そのため、妊娠が成立した後に男性の健康状態をフォローアップすることはほとんどない」と指摘。その上で同氏は、「大腸がんや甲状腺がんが若年層で増加傾向にあることを考えると、公衆衛生という観点から、われわれの研究結果が重要な意味を持ってくる。これらのがんは、早期診断によって転帰を改善できる可能性がある」と付け加えている。なお、大学発のリリースの中で研究者らは、今回の研究結果が、「男性不妊症の治療ががんの原因となることを意味するものではない」と強調している。(HealthDay News 2026年4月22日) https://www.healthday.com/health-news/fertility/male-infertility-linked-to-cancer-risk Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Konstantin Postumitenko/Adobe Stock